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この間ファミルが教えてくれた資料の中に綺麗な図面があったんでね。
それを参考に、裾の合わせと袖口の彩りにしようと思っているんだ。
コートの色が重いからあんまり控えめだと地味すぎるし、かといって派手すぎても合わないからね。
[くい、とコートを引っ張って、茎を模した縁取りに小さな釣り鐘型の花が不規則に連なった刺繍を見せる。
ダークグレーの生地にきらりと光るそれは、出来上がれば品の良いアクセントになるだろう]
[他にもクララの興味を引いたものについて答えたり、彼女が最近読んだ中で気に入った本などを聞いて]
あれ。
そういえば、今日は何も借りなかったんだ?
…あー、いや。
一度家に帰ってたんだったね。
[図書館からの帰りついでに寄られる時はいつも何らかの本を持っているのにと首を傾げかけたが、すぐに自宅に置いてきたのだろうと疑問は打ち消えた。
実際は違うかどうかは、クララが話さぬ限りは分からないのだけれど。
ともあれ、色んな話をしている間にお茶と甘味はそれぞれのお腹の中に収まって]
思ってたより長居させちゃったね。
付き合ってくれてありがとう、クララ。
あぁ、片付けは気にしなくて良いよ。
良い時間だし、そろそろ行かないとお昼時で混み合うだろう?
─ 仕立て屋 ─
[>>17クララが気に入った本は、創作を志す彼女らしいと思えるものだった。
会話の流れでした問いに返った答えも、たまにはそんなこともあるだろうと納得できるもの。
快活な彼女にしては珍しい笑顔だったのは少し気にかかったけれど、すぐに話題が移っていったのでそれ以上問うことも無く]
お茶はこっちからお願いしたんだから気にしないで。
気にかかるなら、また時間がある時にお茶に付き合ってほしいな。
[来客はあまり腰を落ち着けない人が多いから、クララのように他愛ないお喋りをしてくれる人はある意味貴重で。
来てくれるだけで礼になると笑うと、店を後にする彼女を見送った]
─ 仕立て屋 ─
[そうして、また一人の店内に戻ると先まで漂っていたお茶の香りも次第に薄れ。
程無く、嗅ぎ慣れた甘さが漂い香るばかりになる]
…香り自体は嫌いじゃないんだけどなぁ。
[溜息をついて向けた視線の先、扉越しにあるのは自身の本体。
目の覚めるような黄色の、大きなラッパの形をした一輪がこの香の出所だ。
茎に触れれば刺さりそうな棘は危ないから店先に出さず自室に置いているのだけれど、それでもここまで届く程強い香りは良し悪しという所。
甘やかさは不快じゃないけれどもう少し控えめだったらよかったのに、と思いながら先程やりかけていた刺繍を再開して品物を引き渡す相手を待っていたのだが]
─ 仕立て屋 ─
…さすがに遅いな。
午後の営業前には取りに来るって言ってたのに。
[今日受け取りに来ると言っていたのは雑貨屋を営む友。
自分の体形に合った仕事着が欲しいと言って依頼してきたものだ。
出来上がったらすぐに着たいと言っていたから、引き渡しも昼までには終わると思ってクララの誘いを断ったものの。
パイを食べてあったから空腹という訳ではないが、そろそろ昼食とは呼べない時間になると思うと流石に待っていられない。
そもそも、友は理由もなく約束を反故にするような花精でもないのにまだ来ないのがおかしいのだが]
─ 仕立て屋→雑貨屋 ─
……買い物ついでに届けに行くか。
[まだこの時は、何かが起きたなんて考えは無く。
雑貨の製作で忙しくて、こちらまで来られないのだろう位しか思ってはいなくて。
大通りから離れた立地であるが故、街中に広がる動揺もまだ届いておらず]
カトレア、居るかい?
取りに来るって言っていたけれど、お昼ついでに届けにきたよ。
[来訪の報せに雑貨屋の扉を叩いて友に呼びかけるも、中からの返事はない。
裏からまわって工房に入ろうかと思考が動いたと同時に、その声がかけられた]
『エルナ、カトレアと約束してたの?』
あ、こんにちは。
うん、カトレアに頼まれてたものを届けに来たんだけど…
原因不明の、病?
カトレアが眠ってるのも、そのせいだ、ってこと?
『…多分ね。
あの子、店から出たところで行き倒れるみたいに眠り込んでたから。
なんとかうちの中まで引きずって、布団に寝かせはしたんだけど』
[そう言いながら、彼女の家の中に入るとたしかにスヤスヤ寝入っている友の姿があった。
頬を触っても身体をゆすっても起きる気配もない彼女に落胆しているこちらの肩に、花精の手が労わるように乗って]
『長の通知を見る限り、出来る事は無さそうだから側にいても仕方ないと思うの。
いつ起きるかもわからないみたいだし、お店に戻った方がいいわ。
カトレアが起きたら、エルナのところに行くように伝えておくから』
…そ、か。
それじゃあ、私は失礼する…
あぁ、そうだ。
カトレアをここまで運んでくれてありがとう。
[気遣ってくれる花精に、友を保護してくれた礼を告げると頭を下げて。
その場を辞した私は、花精から教えられた通知の内容を正確に知りたいと掲示板のある場所へと足を進めた*]
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