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[フェリクスの為すがままになっていると、靴を脱がされた。>>67
滑らかでヒンヤリした指先が踝に触れる。
手当される間は唇を引き結んでいたが、担ぎ上げられる段になって、力なく拳を握ってフェリクスを叩いた。]
馬鹿もの…! 無礼だぞ。
[これはサービスではなく、ミヒャエルの安全を守るという契約の範疇なのだろうとわかってはいたけれど。
歩けると主張したところで、実が伴わないのでは仕方なかった。
本来ならお願いしますと言わねばならないのだろう。
だけど、だけど!]
[ミヒャエルが何を思おうと、するべきことをするだけで、やりたいことをやるだけだ。
今回の軍事交流、内容を変えさせたのは自分だ。
ミヒャエルは知らないだろうが、この島は「見込んだ者を育てる施設」なのだから。]
駄々じゃない…
[脅しになど屈するものかと言い返すけれど、すでに趣旨が滅裂だ。
細身に見えて案外と逞しいフェリクスの身体に見蕩れてる余裕もない。
ほどなく日差しが遮られて空調の効いた場所に到着する。
これが宿舎とやらだろう。
コテージめいたつくりで、荷物よろしく担がれたまま人目のある受付を通らなかったのは良かったけれど、フェリクスの行動を止める者もまたいないということだった。]
− 宿舎 −
[ベッドに下ろされたのは痛めた足を床に下ろして体重をかけさせまいという配慮だったのだろう。
フェリクスの手が伸びて来て手際よくボタンを外してゆく。
侍従に着替えを手伝ってもらった小さい頃を思い出した。けど、]
自分で、 する
[子供扱いするなという反発と、早く休みたい一心で身を捩った。]
[フェリクスの作業を助けるように腰を浮かせ、自らシャツをはだけて肌を晒してゆく。]
[こちらを止めるようなことを言いながら、ミヒャエルの動作は協力的だ。手早くスラックスを脱がせている間に、彼は自分でシャツをはだけ始める。
露わになった胸には筋肉が乗りきっておらず、まだ薄い胸板を覆うのは瑞々しい肌だ。
手を伸ばして胸の中央に触れ、両手を添えて彼の体を裏返しにしてシャツもまた剥ぎ取ってしまう。
現れた肌の全てに、目を細めた。]
[彼の上に覆いかぶさって、再び口移しに水分を含ませる。
その間に、手はなめらかな肌の上を滑らせた。
隅々まで手を動かして感触を確かめる。
他に怪我はないか。体の調子はどうなのか。
どこが柔らかく、どこが感じやすいのか。
毛布の下で、仄かな熱が灯る。]
[足首は少し捻っただけだと思うけれど、甲斐甲斐しく世話を焼いてくれるフェリクスに逆らいはしないでおく。
そういえば訓練課題に失敗した気もするけれど、回復しなければ続きもできない。]
シャワーは?
[設備があるなら浴びたい。降り注ぐ水を飲みたい。ゆっくり眠りたい。
そう求めた声がまだ熱っぽかったようで、フェリクスは飲み物を運んでくる。]
[たぶん、焦れるような顔をしてしまった。
水が、欲しかった だけ、なんだから。]
もっ… と
[フェリクスの背に手を回して雫を含んだ唇を吸う。
喉を伝い落ちる甘さに舌を絡め、喘ぐ。]
[身体に沁みてゆく水分が、幾分、正気を取り戻させ、フェリクスの手の動きに警戒心を起こさせた。]
何 して る
[疼く身体と尖る声と。
足首に添えられた氷嚢が戦慄きを受け止めて涼しい音を立てた。
こんなに火照ったら、氷、すぐに 溶けて しまう]
[もっと、とねだる顔は艶めかしい。
意識の少しの混濁がもたらした欲の色。
つまり、正気を剥いでやれば、彼はあでやかに染まるということだ。
与えられた水分が理性を呼び戻せば、彼の声は硬さを増す。
それでも構わず一通りまさぐった。]
体の具合を確かめていた。
君の体のことを詳しく知りたい。
[彼の足元で、抗議のように氷が鳴く。
あるいは、誘うかのように。]
捻ったのは足首だけだから! それももうそんなに痛くないし。
他はなんともない。
[触診(?)に抗議して主張する。
傷の具合を、ではなく、「体」と言われた意味は別段、深読みもせず。
怪我人の自己申告は信用しないタチなのか、フェリクスは構わぬ態で肌をまさぐる。
ミヒャエルは、変な声が出ないようにと毛布を握りしめた。]
[ミヒャエルの容体に問題はないと納得したのか、フェリクスは実務的な話を振る。>>94
そんな姿は有能な軍人らしさが際立ち、充分に大人っぽい。
実際、自分といくつ年齢差があるのだろう?
なんとなく気まずい空気が流れて、ミヒャエルは見かけ程には落ちついていない内心を押さえつけつつ、フェリクスの端正な面差しを見上げた。]
手法には遺憾ながら、助けてくれたことには礼を言う。
[予想の範疇だったが、まだ訓練は続くらしい。
名誉挽回できるか。
軍事の技量じゃなく、彼に自分を認めさせたい気もするけれど、うまく言葉にできない。]
教官の成績に傷がつかないよう努力はする。
[「なにか他にして欲しいことは」と問われた。
さっき、シャワーを浴びたい、と伝えたが、「浴びさせてもらいたい」わけじゃない。
そんなことを頼んだら、下着まで脱がせる口実を与えるようなものだと思った。
少し気分も良くなったから、シャワーを浴びるくらいひとりで可能だろう。
なら、フェリクスにここから出て行ってもらいたいだろうか? ミヒャエルは自分の心を覗いて自問する。
否。
さっきの続きをして欲しいわけじゃないけど。
このまま放置しておくのもひっかかるのだ。なんで。なんか。]
おまえか、 おまえの国か知らないけれど、
何を企んでいる。
[裏があるんだろうと、その感触が欲しくて問うた。
それともこれは、自分の一方的な妄想なんだろうか。
フェリクスの言動に淡い期待を抱いてしまうのは。]
[なにかを迷うような様子を見せたミヒャエルが、企みを問うてくる。
ずいぶんとストレートな問いだ、と片頬を上げた。]
国からの命令は、君を訓練することだけだ。
[当初の説明を繰り返した後、手を伸ばす。
彼の髪へ。撫でるように、確かめるように。]
特務部隊の───つまり私が率いている部隊の要請は、
有能な人材を確保すること。
私個人は、
君がどんなふうに成長したのか、見たかった。
[企みの一端をあっさりと口にして、
それ以上の意味を視線に込めた。]
[宿舎の近くに湯が自噴している場所があるという。>>98
そう聞けば汗を流しにゆきたくなった。
湯に浸かるのはシャワーよりも足に負担なさそうだし。]
見ておくのも悪くないな。
[好奇心を丸出しにするのも子供っぽいかと、あえて恬淡と応えたが、浮き足立った気配は隠し切れていなかったかもしれない。
期待してると言われた、せいで。]
[フェリクスの手がそっと伸ばされる。
殴られる理由もないとばかりに、背筋を伸ばしてミヒャエルは避けも竦みもしなかった。
それでも、触れてくるほのかな温もりに息をつく。 爪弾かれた弦のごとく。
尋ねておきながら、国とか組織の事情は耳を通り過ぎた。
ミヒャエルを戸惑わせたのはフェリクス個人の”望み”。]
前に… 会ってる?
[どんなふうに成長したのか──つまりは、過去と比較できるくらいに記憶に残っているという意味だと。そんな風に届いた。
脈が早くなる。]
[そうであれば、と願い、
会った瞬間に思い出せなかった自分に戸惑い、
今に始まった縁でないなら、もっと踏み込んでいいのかと焦れて、
真っすぐに見つめる眼差しに射抜かれて、
何故だか切なくて泣きたくなった。]
覚えていないか?
[目を見開かれて問われて、小さく笑みをこぼす。]
もう10年かそこらも前のことだし、
私も変装していたからな。無理もないが。
カノートの市場で、君を1日連れまわした男のことは覚えているか?
あれが、私だ。
[余人のいない気楽さで、秘密を明かす。]
私はあの時、任務で君の国に侵入していた。
たがどうにもつまらないミスで追い詰められて、
君を人質に、暫く逃げ回るはめになったんだ。
あの時の君の態度、
君が見せた度胸や私に向けた言葉に、驚かされたものだ。
あの時君と別れる直前に私が何を言ったか、
ちゃんと覚えているか?
次に会うことがあるなら、
私と君が縁で繋がっているということだ。
だから君が我が国に来ると聞いて、こちらに呼び寄せた。
縁を繋ぐために。
…会えた。 また会えた、
[髪型もしゃべり方も、目の色さえ変わっているけれど、カノートの市場の一日を忘れるはずがない。
箝口令を敷かれて報道記録にも残されていない事件でも、ミヒャエルこそは当事者なのだから。
そして彼もまた待っていてくれた。
再び縁を繋ごうと──]
ずっと大事に持っているよ、あの時もらった月長石。
[耳のカフスを見せる。]
[呼吸が浅く、早くなる。
このまま連れて行ってくれればいいのに。
でも、「見たかった」だけなのかもしれないと、小さな震えが走る。
戦争があって。10年という月日が流れて。
成人した自分は──彼に意に適う人間だろうか。
聞くのが、怖い。]
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今夜から尋問イベントですが、その前に親密度が上がりすぎてヤバいねwww
ストレートに萌える過去話を投下しおってw 好きだ
持っていてくれたか。
[約束の石。一族を繋ぐ石。
縁はやはり、ずっとつながっていたということだ。]
間違っていなかった。
[なにが、とは言わず]
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