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………迷惑かけて、ごめん。ありがとう。
[彼だって、村を訪れたばかりだろうに。
このような手間をかけてしまうのが、忍びなく思う。
ニコラスが一端部屋を出て行ったのを見届けてから、
ふう、男は深いため息をついて、ベッドに倒れる。]
[足を銃で打ち抜かれ、戦場に居られなくなった男は、
軍を抜けて故郷へと帰る事を選択する。
走る事は難しかったものの、左足はまだ動かす事が出来て。
遠い故郷を目指す男の旅の供は、
男がもっとも得意としていた狙撃銃。
もちろん、それ以外にも身を護る術はあったけれど。
故郷を目指す旅は、戦地に居た頃とは違い、
とても平和なものだったように思える。
大きな怪我をすることもなく、男はひとつの村にたどり着いた。]
[そこで男は、人狼と呼ばれる存在に遭遇する。
閉じ込められた村の中で、疑心暗鬼に揉まれ。
それでも、誰かを人狼から護る事が出来たらと。
毎晩、銃を片手に目を光らせていた。
――その甲斐なく、何人もが人狼の犠牲になったあと。
男は、ようやく人狼の姿を目の当たりにした。]
[それからの事は、ひどく曖昧だ。
誰かを喰らおうとしている人狼を、狙撃銃で何度も撃ち、
そしてこちらへと向かってきた人狼に、左目と左足を裂かれ。
確かその時――朝日が昇ったのだと思う。
男の目が覚めた頃には、人狼は既に退治された後だった*]
[18年越し――いや、それ以上かもしれないニコラスの勘違いは、
エルナ本人>>272からも訂正が入った。
勘違いしてしまうのも、わからなくもない。
自分もエルナと初めて出会った時は、女の子だと勘違いしたから。
ニコラスとは違い、その誤解はすぐに解くことが出来たけれど。
かなりのショックを受けている様子>>292に、
そろそろ同情心まで芽生えてくる。
先ほど転んだときに打ち付けてしまった場所を気にしつつ、
男はベッドへと腰をかけた。]
…………………。
[表情の変化が乏しい顔が時折顰め面になるのは、
濡れたタオルが傷口を掠める時。
一人で居た頃は自分でやっていた事で、
傷口に湯や薬が沁みる覚悟もしやすいものだが。
他人の手を借りるのは久々すぎて、どうにも落ち着かなかった**]
………少しだけだから、大丈夫。
[>>375 昔と比べればかわいいものだ。
約半年、あの騒動の時以外は大きな傷を負う事もなくなったから、
かつてよりは痛みに弱くなっている気がしないでもないが。
ニコラスが焚いているのは薬草だろうか。
軍に居た頃も、薬草を麻酔として使う事があった。
あまり身体にはよくないと言われた記憶がある。]
あ…――エルナも、ありがとう。
[先ほど彼が手にしていたものを思い出し、
ニコラスの手伝いをしてくれたのだろうと礼を告げ。
エルナに向けられたニコラスの言葉、
茶髪というのは誰だろうか。
思い当たるのはヨアヒムくらいだが――]
[>>383 これくらいの痛みで音を上げる事もない。
むしろ音を上げてしまったら少し恥ずかしいと、
そんな事を思ってしまう。]
はは、馬鹿と煙は――…ってやつか。
[確かに、と笑みを漏らす。
その表情はといえば、これからの事を思って
少し硬くなっているのだけれど。]
……… ん。痛くない。
[ニコラスに問われてから、
肌をつねられていることに気付くほどには。
麻酔というのも不思議なものだと思う。
痛みを感じなくなるなんて。その分、副作用は強いのだろうが。
薬を塗られていく感覚は覚えど、
傷口を触れられても、大した痛みはない。
静かな空間に、瞳を閉じかけた――その時。]
[傷を見られてしまえば、隠し通すことも難しいか。
観念したように、男は口を開く。]
……… 人狼、に。
[その表情は、ひどく険しい。]
[>>394 自分の目には見えない足の傷は、
今、どうなっているだろう。
ニコラスの反応を見るに、
やはり医療に携わるものが見ても、酷いものなのか。
――彼が心を痛めている事など、男は気付かず。]
……… あ、ああ。
[>>395 こっち。左目の事かと気付き、表情を曇らせて。
また心配をかけてしまう、そう思いながらも、
解かれていく包帯を止めるようなことはしない。]
!! ニコラス兄さん、大丈夫か…っ!
[あの煙を、深く吸い込んでしまったのか。
ふらつくニコラスの身体を支えようと手を伸ばす。
ああ、やはり言わなければよかった――…、
後悔をしても、もう遅い。]
……… 変な話をして、ごめん。
[解けかけた左目の包帯が、落ちる。
そこには左目の上を通って、縦に裂かれた痕。
閉じられたままの左目、傷は眼球にまで到達してしまっている。
また、哀しそうな顔をさせてしまうのか。
そう思うと、こんな怪我を負ってしまう自分の未熟さが、
とても、いやになった。]
18年も経てば変わるさ。
[>>429 大きいと思っていた『兄』は、
今では、簡単に支えられるほどになってしまった。
そのことに驚きを覚えつつ、小さく笑う。]
ニコラス兄さんだって………いや、あまり変わらないか。
俺よりも若く見える。
[右目が、ニコラスを見る。
記憶の中の彼よりは成長しているものの、まだ若々しく見える。
自分よりも年上のはずなのに、だ。]
ああ ……爪に、やられた。
[かつての男ならば、避けられる程のものだった。
けれどその頃には戦地を離れ――…、
数ヶ月平和な日々を過ごしてきて、少し鈍っていたのと。
怪我を負って思うように動かなくなっていた足が、
攻撃を避ける事を許さなかった。]
この目で――…目の前で、見た。
[赤い瞳に、鋭い牙。大きな体躯に長い爪。
思い出すだけでも恐ろしい、獣の姿。
男の右目に少しだけ恐怖の色が宿った事に、
ニコラスが気付くことはできただろうか。]
ん、ありがとう。
[左目の傷へと塗られていく薬。
瞼を持ち上げられたとて、その奥の瞳は何も映さない。
時折ふわりとした感覚を覚えるのは、麻酔のためか。
体内に取り込み過ぎないように気をつけてはいるが、
こればかりはどうしようもなさそうだ。]
― 少し前 ―
[ニコラスとエルナの会話>>417を、男は静かに耳にする。
自分が村を発ったときには、
彼の裁縫の腕はなかなかのものだった。
何れは彼もそういった仕事に就くのだろう、
そう思っていたが、やはり裁縫の仕事を請けているらしい。
ミシンという便利な物もあると耳にしたが、
彼はそれを使いこなす事は出来るのだろうか。]
ああ、また。皆で話せたらいいな。
[>>419 エルナや、あの時はちびっこだった三人。
悪ガキだったディーターに、18年越しに再開したニコラス。
懐かしい顔を続々と見ることができて、
彼らの話をゆっくり聞いてみたいと、楽しみに思った*]
確かに、若く見られてもあまり嬉しくないか…。
[女性ならばとも思うが。
同じ男としては、彼の思う事は分かる。
とはいえ、どう見てもニコラスは三十代には見えない。
下手をすれば、オットーやヤコブと同じくらいに
見られてしまうのではないかと思うほど。]
ああ………人の姿を模しているときは――、
ほんとうに、ただの人間、なんだ。
獣だなんて、思えないほど……、
[>>447 男が人狼と対峙し、意識を失い、目を覚まして。
そうして聞かされたのは――…
人と信じていた者が人狼であるという事実だった。
人間の姿をしているときは、まるで人間そのもの。
人間と言ってしまってもいいのかもしれない。]
ニコラス兄さんの帽子を超えるくらいに、なるかもしれないな。
[>>457 ともすれば、かなりの大男である。
当然の事ながら嘘だ。もう背は伸びないだろう。]
身長は…最近測っていないから分からないけど。
最後に測ったときは…180は越していた。
[成長も終わり、軍に入った頃だから、
あれから大して変わっていないはず。
ただ、随分と前の事だから、記憶は曖昧だ。]
胃はまあ、丈夫なほうだとは…思う?
けど、漢方というものは結構気になる。
[何せ食料が届かなかった事もある。
その時は生えている草だって食べたものだ。
腹部へと下ろされる指に、少しくすぐったいと笑う。]
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