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6人目、近衛騎士隊長 シェットラント が参加しました。
近衛騎士隊長 シェットラントは、共鳴者 を希望しました(他の人には見えません)。
[ 領主の娘ローレルは当年12歳。
彼女がその半分の年齢だった時分から、シェットラントは城に住み込みで仕えてきた。
父親の再婚相手とシェットラントがうまくいかないのを見越して、姫の乳母であったシェットラントの叔母が根回しをしてくれたのである。
以来6年。他の護衛役が1-2年で交代する中、勤続し続けたシェットラントは姫の近衛騎士隊長となっていた。
もう2-3年もすれば姫は結婚し、シェットラントも城の外に家庭をもつだろう。
何事もなければ、そうなるはずだった──]
― 宴の前 ―
[ その日、ローレル姫は捕まったという吸血鬼の話題に興味津々だった。
もっとも、城中いや街中がその話でもちきりだったはずだ。
美青年であるとか、魔法を使うとか、情報源も定かではない噂が飛び交う。
吸血鬼を捕らえた狩人についても同じくらいまことしやかに流言が囁かれていた。
いわく、天使の化身であるとか、血が毒なのだとか。
「自分の目で見てみたい」と姫は言った。]
噂を鵜呑みにせず、ご自身で確かめようという考えはご立派です。
けれど、魔物が晒されている広場には群衆が詰めかけており、熱狂した群衆は何をするかわかりません。
記録官が詳細に事実を書きつけているでしょうから、その報告をお待ちいただけませんか。
[ シェットラントが説けば、姫はうなずいてくれはしたが、「せめてバルコニーから眺めたい」というので、つきしたがうことにする。
そのせいで、天変地異の様相を特等席から見ることになった。>>1]
[ 日を陰らせたコウモリの群れが城に到達するより早く、姫を部屋の中へ引き込んで鎧戸を閉ざす。
バチバチと激しい音をたててぶち当たってくるコウモリは、雹のようだ。
いずれ、鎧戸を壊すかと思われた。]
魔性の悪あがきか。
聖職者たちが鎮めてくれましょうが、念のため、一時避難いたしましょう。
[ 即断すれば、姫は「礼拝堂がいいわ」と言う。
シェットラントはうなずき、他の護衛を露払いに走らせ、自分は姫のすぐ側についていく。
侍女たちが後ろに従った。*]
― 宴の前 ―
[ ローレル姫を護衛しながら廊下を移動する最中、後ろで侍女らの悲鳴が上がった。
コウモリが追ってきたらしい。
暖炉の煙突あたりから入り込んだものだろう。
ほぼ同時に、前を走る近衛兵からも警戒の声が発せられる。
「薔薇が進路を塞いで…」
禍々しい真紅の花の前に、屈強な兵らが膝を折るのを見て、シェットラントはとっさにハンカチで姫の口を覆う。
毒花の可能性が高かった。]
失礼いたします。
[ そのまま、姫を抱えて手近な部屋へ飛び込んだ。
まだ動ける近衛兵が扉を封じて、守ってくれる。
あっという間に、姫と二人きりになってしまった。]
城の裏手へ周り、馬を見つけて、突破しましょう。
[ 簡潔に計画を伝えれば、姫は不安げながらも頷いて、自分の足で歩いてくれる。
シェットラントは常に背中に負っている小型のヒーターシールドを左手に装備して、姫を囲い込むようにして進んだ。
いくつかある隠し扉から外へ出て、詰所へ向かう。
そこも混乱を極めたとみえる。
乗り捨てられていた騎手のいない馬を捕まえ、姫を前鞍に乗せた。]
参ります。
しばしのご辛抱を。
[ そうして二人、めくるめく宵闇へと馬腹を蹴った。*]
― 宴の前 ―
[ コウモリの群れが真っ先に城へ突入したせいか、城の周辺に住民の姿はなかった。
家に帰るか、教会に縋るか、街を捨てたかしたのだろう。
路上には慌てふためいて逃げた痕跡がそこかしこに残っている。
その中を、巧みに馬を操って障害物を躱しながら駆ける。
一度、振り返ってみた城は、高みに翻っていた旗の色を違えていた。
魔の手に落ちたのだと思う。
シェットラントは唇を噛んだだけで、姫には見たもの告げずに先を急いだ。
城主の命令を待たずして、独断で動いてはいたが、躊躇いはない。
姫をこの災厄から無事に逃すこと、それが近衛騎士の使命だ。]
[ と、不意に周囲の闇が濃くなる。>>63]
──ッ!
[ 驚いた馬が竿立ちになる。
片手に姫を、片手で手綱を掴んで堪えた。]
[ 人間を外に出すまいと、結界めいたものが張られているのだろうか。
それにしても、こんな中途半端な路上でか。
と、思い巡らしたところで、上空を飛ぶ人影を認める。]
── 魔物、
[ 簡単には抜けさせてくれそうにないが、押し通る他ない。
いつでも剣を抜けるように、身構える。*]
― 宴の前 ―
[ 上空にいた魔物がおりてくる。>>81
漆黒の衣に真紅の髪の美丈夫だ。
その所作も王侯貴族さながら。
おもわず視線が吸い寄せられる。]
──…、
[ 名を問われ、シェットラントは姫を軽く引き寄せて警戒を示した。
できることなら可憐な姫の有様を魔物に触れさせたくない。]
わたしは
[ 魔物に名を教えるのは危険であろう。
ただ、先に示された礼を無視することはしなかった。
相手同様に肩書きを告げる。]
そこを退き、我々を通していただきたい。
[ 硬い口調で意志を伝える。*]
― 宴の前 ― >>106
[ 名乗りを受けた魔物が妙に嬉しそうなのを見て、さらに隔意を覚える。
魔物が導き出した指示の唐突さは論外だ。]
すでに主人を持つ身だ。
[ この話題はこれで打ち切りだと声に込める。
空を飛ぶような魔物相手にどう切り抜けるか、それだけを考えている。**]
― 宴の前 ― >>129
[ 滑るがごとき動きにつられるように剣を抜いて擬した。
魔性の接近を拒みたかったのは事実だが、シェットラントとしては、剣を"抜かされた"という印象が強い。
抜き打ちが通用する相手かは別として、少しずつ肉薄してくる気味の悪さを感じている。
目の前の魔物が、捕まった吸血鬼の親なのだろうか。
それにしては、こちらに矛先が向く理由がわからなかったが、関心を持たれてしまった以上、簡単には立ち去ってくれそうにない。
けれど、紅髪の魔物の視線が姫に向いて物騒な言葉を口にすれば、シェットラントは静かに威圧を強めた。]
…この方が死ぬようなことがあれば、わたしも生きてはいない。
[ 一蓮托生というのとは違う、近衛としての覚悟だ。]
が、──この方を無事に逃しおおせた暁には、貴君と一勝負、付き合っても構わない。
[ 囁くように声を向けた。*]
[ 騎士たる者の有り様について、紅の魔性はそれなりの知識は持っているようだった。>>152
だが、その口調にはどこか他人事めいた響きを感じる。
「日が昇るまで」「狩り場」── 魔性はタルボシュを襲った天変地異の実情を明かした。
瓏たけた魔性の紡ぐ言葉に、シェットラントの腕の中で姫が震えた。
街ぐるみで被害にあっていると聞かされ、声も出せないほど心を痛めているのだろう。
シェットラントは姫を抱える腕にそっと力を込めた。]
[ 脅すようなことを告げておきながら、紅の魔性は狂乱とは一線を画すかの態度だった。
檳榔卿と名乗るこの魔は、災厄を引き起こした絢爛公とやらに比する力を持っているらしい。]
…そんな勝手な真似をしてよいのか?
[ 絢爛公はおそらく、街中の人間を報復対象としているはずだ。
匿うなど、裏切りではないのか。]
ともあれ、貴君にそれが可能として、
「わたしが」貴君に従うのではない。
「貴君が」我々を日が昇るまで護衛してくれるというのなら、先ほどの約束をしよう。
[ シェットラントが言い返すと、姫が、「魔物と取引をしてはダメ」と目で訴えてしがみついてくる。
それはもっともな見解なのだけれど、シェットランドにとっては、どうあっても姫を無事に逃すことが最優先事項なのだった。*]
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