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6人目、韋駝天 ヤコブ が参加しました。
韋駝天 ヤコブは、瘴狼 を希望しました(他の人には見えません)。
― 『聖都市』近辺・スラム街 ―
[がたごとと音を立てながら、街道を荷馬車が行く。
農作物をたっぷり積んだ荷台の隅に、一人の男が座っていた。
柄の長いスコップのようなものを担いだ男は、幌の隙間から周囲の景色を見るともなく見ている]
[やがて荷馬車は、とある街の中へと入り停止した]
『あんちゃん、到着だよー』
おー。
[御者から声を掛けられて、荷台から飛び降りる。
風を孕むばさりという音が、微かに響いた]
『悪いねぇ、格安で護衛を引き受けてもらっちゃって』
[頭を下げる御者に軽く手を振り、荷を下ろすのに手を貸しながら口を開く]
いんやぁ、この積み荷はおれっちの村の収穫物だからな。
この荷物を無事に届けるのも、おれたちの生活に必要なことってわけよ。
[男の本来の生業は農夫である。
しかし多少なりとも腕に覚えがあること、それととある事情により、村の用心棒や遠出する村人の護衛を買って出ることも多い。
村の作物の交易に協力することも、その一環であった]
よし、荷物はこれで全部だな。
……気を付けてな、おっちゃん。この辺は最近、治安が良くないというから。
[市場や商店の並ぶこの辺りはまだ通常の街と変わらぬ様子に見えるが、一歩裏通りに入ればスラム化が進みつつあるのだという。
声を潜め忠告すると、御者は険しい表情となって、こちらの全身を眺めた]
『ああ。――あんちゃんこそな』
[男の耳は産毛ではなく、白い羽毛に覆われている。
内から膨れた白いシャツの腕と背中側には黒い羽が透けて見え、特に腰の裾からは、黒白の大きな尾羽が、納め切れぬという風にはみ出していた]
大丈夫さ。
[御者へ向けて微笑んで見せる]
おれっちにゃ、関係のないことだ。
[治安悪化の原因は、他所を追われた獣人たちが、この街へ流れ込んできているからだと聞いている。
帰るべき場所を見付けられた自分は、きっと幸運なのだろう――そう、少しばかり眼差しを細め]
じゃあ、また後でな。
[互いに買い物や用事を済ますべく、御者と別れる。
そうして一人、街の中を歩き始めた*]
― 街・表通り ―
[この街を訪れたのは護衛のためではあるが、ついでにと村の住人たちから、幾つか買い物を頼まれてもいた。
その内のひとつが保存食で、村にない食材や非常時に食い繋ぐためのものは特に重宝されていた。
常に求める品が置いてある場所として、よく利用しているのが、表通りにある小さな店>>12だった]
よう、今やって――うん?
[目的の店に顔を出すと、入れ替わるようにして銀髪の人物>>17が店を出て行った。
店の近辺で幾度か見掛けたことのある姿で、店員と懇意なのだろうとは思うが、込み入った事情を知るわけではない]
もしかして、邪魔したかいね?
[軽く首を傾げるが、相手の反応はどうであったか。
やり取りの後要件を訊かれれば]
― 街・表通り ―
[必要なものを購入し、店員とも幾らか言葉を交わした後、店を出る。
他に頼まれた買い物もあったし、自分自身たまの遠出の機会であったから、適当に街を見て回ろうと思っていたのだが]
…………。
[こちらを窺うような、妙な気配がある。
歩き出せばその気配は、付かず離れずの距離を保ってついてくるようで]
なんだぁ?
[何気なさを装いつつも、足を人気の少ない裏通りへと向けてみる]
― スラム街 ―
[行き交う人の賑わいは、徐々に遠ざかっていく。
街の光景は薄汚れたものとなり、物陰で息を潜める日陰者たちの気配が色濃くなる]
そろそろ、いいんでねぇの?
[振り向かぬままに、意識だけを後方へ向けて呼び掛ける]
用があるなら出て来るんだね。
[その声に応じるように、宗教的なモチーフを身に付けた兵士が姿を現す]
『失礼。新たなサンプルを見付けたものですから、少々観察を行っておりました』
さんぷる?
[訝しむ表情に気付いているのかいないのか、信徒兵は言葉を続ける]
『ええ。貴方もまた、我らの計画の糧と――おや?』
[信徒兵が言い切る前に、男はその場から姿を消していた。
正確に言えば駆け出していた――人並み外れた俊足を誇るその足で]
――ああん?
[ちょっとした街とはいえ、男の足なら数分と経たずに突っ切ることが出来る。
それ故に気付いてしまった――スラム街の外縁へ、いつまで経っても辿り着けないことに]
どうなってんだ、こりゃ。
[幸い、どこかの宗教組織に属するらしい兵士は撒けたようだ。
一旦足を止め、周囲を見回してみた*]
……ま、別に急いで村に帰る必要はないんだけども。
[スラム街から出られないらしいことに関してはそう呟くが、これは果たして一時的なものだろうか。
それに、異変はこれだけで収まるものだろうか?]
考えてても仕方ねぇか。
[今の内に用事を済まそうと前向きに考え直し、スラム街の散策を再開した**]
― スラム街 ―
[裏路地を歩き回れば、かなりの数の黒服を見掛けることとなった。
無目的にうろついているわけでもないようで、スラム全体が異様な雰囲気に包まれている。
ここの住人ではない以上、積極的に関わろうという気は起こらなかった]
折角お土産も手に入れたしな。
― スラム街 ―
[人影は屋根の上を跳んでいく>>101。
それを追い掛けるのは難しくはなかったが、こちらも特段気配を消したりはしなかったから、気付かれてはいたのだろう。
しばらく後にその人物は足を止め、屋根の縁からこちらを見下ろした>>102]
ああ……いや、ちょっとばかし道に迷ったみてぇでな。
ここの住人か通い慣れてる奴に、訊ねてみようかと思ったんだがね。
[如何にもおのぼりさんのような口調で訊ねる。
吹き抜ける風に、腰からはみ出した尾羽がわさわさと揺れた。
間近で見た相手には、やはり獣の耳や尾が生えていて、瞬きつつもそれらの様子を眺めていた*]
― スラム街 ―
通い慣れてても、ねぇ。
[出方がわからないという相手>>110に答え、首を傾げる。
どうやら自分が道を知らないだけ、という線は薄くなったようだ。
続く言葉に、お、と目を見開いて頷く]
そうそう。
ちょっと訳があって、街ん中まーっすぐに走ってったんだけども、いつまで経っても端っこに行きつかなくてな。
ちょっと歩き回って見ても、やっぱり出られそうにないのよ。
[そう答えつつ、見上げた相手に]
つーことは、おめぇもおんなじか。
……一応訊くけど、理由の心当たりとかねぇよな?
[自分よりはこの辺りに関して詳しそうな相手へ訊いてみる。
どことなく、不穏な気配が忍び寄っていることも感じつつ*]
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