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そういえば、もうすぐ……。
[いつも決まった日に訪れることを考えれば、おそらく何かの特別な日であることは推察出来て。
……彼の表情から、もしかしたら命日なのかな?と思ったこともあったが、結局それは聞くことができていたのだろうか。
そして、その日がもうすぐだなとポツリと声に出す。]
……ああしてる姿は、ただの話し好きの、だらけたおじさんなんだけどね。
[なーんて失礼なことも呟いて、彼が好みそうな花を脳裏に思い描いていることに苦笑した。
話しはまた後で……かな、と、偶然に彼と同じことを思いながら、口パクで「またね」と言ってにっこり。
そして、ぽりぽりとグリッシーニをかじっていたのである。]
―回想:あるときの花屋―
あら、いらっしゃい。
今日は何のお花にする?
[いつも店に訪れて花を一輪買っていってくれる常連の"男性"。>>43
たしか名前をカレルといったか。
名前を言うときにどこか居心地悪そうにしていたから、聞いちゃいけなかった?と思わず言ってしまったのは記憶に新しい。
それに、ピリピリとした気を張った顔でやってくるものだから、どうしてもつい構いたくなってしまうのが困りもの。
たまに上手くタイミングが合って、ハーブティーなんかをおすそ分けすると、目元を和らげてくれたような朧げな記憶があるが、どうだっただろうか。
そういった彼の独特の雰囲気に、こちらもどこかホッとしていたのは内緒。]
そうだ、今日はジャスミンを切ったの。
匂いが駄目じゃなかったら、これにしない?
[指さしたのはスッキリとした白い花弁の、独特な方向を持つ花。
ジャスミンの匂いは、自信を取り戻すのに役立つと何かの本で読んだことがあった。
自分には彼の心中は察することが出来ないけれど、少しでもリラックスできればいいなという思いがあった。
彼は果たして買ってくれたのだったか。]
―現在:レストラン―
……近いうちに、また来てくれるかしら?
[ごちそうさまでしたと、手を合わせて、そんなことを呟く。
確かそろそろ前の花が駄目になる時期だったなと思い出したときに、カレルの顔が浮かんだからだ。
それに……ジャスミンティーを試作してみたので、ぜひ試飲してもらいたいななんてこともぼんやりと思う。
グラスに残っていた水を飲みほして、ペロリと平らげたお皿を眺めながら一息ついた。
お腹は膨れた……けれど、もう一声というところ。
でも、ハラハチブンメがいいと言われたことがあったから、お昼までちょっと我慢することにする。
いかにもな女子の食べ物だな……とか、腹はもつのか……なんて思われている>>92 とは露も知らず。]
あ、やっぱりソマリ?
2年ぶり……かしら?久しぶりね。
ええ、相変わらずよ。
でも……上お得意様がいなくなって困っててね?
[くすくすと冗談めかして言ったのは、彼が女性にプレゼントするためによく買いに来てくれていたこと>>92 を思い出したから。
その姿は思いのほか熱心で、セリフも顔も軽いけれど、彼に口説かれる女性は幸せだなぁなんて思ったりもしていた。]
[元々頭もよかったのか、最後の方には随分と詳しくなって、「あの子に挙げたいからこの色のこの花、ラッピングはあの色とあのリボンで」ってレベルで注文までしてくるようになってしまったのだったか。
細かく注文される面倒くささと、自分が丹精込めた花を好いてくれる嬉さ。
面倒くさくも、愛おしいってこういう事を言うのかもしれないとそのときは思ったものだ。]
ああ、でもこれで安心だわ。
どんなお花がお好みかしら?
[言外に、また御贔屓によろしくね?と伝えれば彼はどんな顔をしただろう。
今回の宇宙総会での花の需要は思ったよりも多く、専用スペースで今もなおぐんぐんと成長中だなんて雑談交じりに伝えてみる。]
女手ひとつといってもそれほど大規模じゃないからねー。
……だから、趣味みたいなものよ。楽しくやってるわ。
ソマリもあっちいきこっち行きで大変そうね?
[彼の仕事事情を尋ねつつ、邦総会の手伝いに召集された>>13と聞けたならば、ご愁傷様と、慰めようか。
でも会えてうれしいと、いう言葉も添えて。
もし彼が談笑に応じてくれるようであれば、しばしの時を楽しんだだろう。*]
―回想:レストランに行く前の廊下―
ああやっぱり!マーティンだわ!!
久しぶりね。
へへん、どう?大人になったでしょう?
[眩しい笑顔で自分の名前が呼ばれたことに>>61、こちらも頬を緩めてそう返した。
5年前まで同じ船に乗っていたのだが、そのときのは20歳になるかならないかというガキンチョで。
越に両手を当てて、胸を張り、大げさにどやぁ……って顔をしたら、マーティンはどんな顔をしただろう。
子供に泣かれる現場を目撃した>>58 のは一度や二度ではなかったが、そのたびに肩を落とす様が気になって、声を掛けたのがきっかけだっただろうか。
外見とは裏腹に、優しく繊細な内面。
みるみる懐いてしまったのは、仕方がない事だろう。
自分が捻くれていると自覚していたからこそ、まっすぐなものに惹かれたのかもしれない。]
シレネは元気?
[小鳥がもう居ないのだと知らないなら>>61、そう聞いてしまうだろう。
知っていたならば、シレネとっても可愛かったわよね……と思い出話。]
……制服?
ああ、言ってなかったかしら?
私も面倒だから脱ぎたいんだけれど、お偉方が許してくれなくてね。
動きにくいったらありゃしないわ。
[昔馴染みだったからだろう。
マーティンの言葉>>62 には特に深読みなどせず、けろりと普通に答える。
バッジに視線がいったのには気付いたが、あいまいに首をすくめておいた。
勿論、高いのには理由があるが……再会を喜んでいるときに話すようなことではないだろう。
むろん、聞かれれば答えるつもりはあるけれど……。]
マーティンはどうしてまた船に?
……あ、もしかして復帰するの?
[そうであれば嬉しいなと思いながら、今は何をしてるんだっけ?と尋ねてみたりする。
彼がメイン・サロンに急ぐようであれば、またゆっくりご飯食べようねと、見送るつもりで。*]
ー回想:レストランー
え?分かるの?
[植物関係の仕事を?と、声をかけられたのは、ソマリと話していたときだったか、それとも別れた後だったか。
人間、自分から発せられる匂いには得てして鈍いものだ。
例にも漏れず、全く気付いていなかった自分も、きょとんと首を傾げる。
ブーツが土で汚れているのは、もはや慣れ過ぎていて日常の一部となっていた。
長靴とか作業靴を使えばいいのは分かっているけれど、制服同様外に出るときに履き替えるのが面倒で、ブーツで作業するのが常だったのだ。
だから、目の前の青年は、なんていうか……するどい観察眼をもつ探偵のようにもみえたりして……。]
うん、そうなのよ。
レストランと同じ区画でね、花屋をやってるの。
植物関係は広く扱っているから、薬草なんかも揃えてるわよ。
[にっこりと営業用すまーいる。
お客様の獲得に、手は抜きません。]
みたところ……お客様かしら?
ようこそシルバー・メリー号へ。歓迎するわよ。
私はカサンドラ、貴方は?
[もしホットドッグが届いたならば、彼の食べている間に、少し食べたりなかった分でも補給しておこうかな。
コーヒーのおかわりを注文しよう。
船の外の話を聞くのが好きだから、食事の合間には会話に耳を傾けて。
話しに花が咲いたなら、自分は薬草を調合したり、花を育てたり、ハーブティーやお茶を作ったりしている……なんて他愛もない話を話すだろう。]
ー回想:昔馴染みとの再会 in 廊下ー
……、……。
[子どもさながらに、胸を張ってドヤ顔したのは自分だけれど、そうも屈託なく別嬪になったとか言われたら>>173、……ボンッと顔が破裂した気分。
かぁぁぁ……と顔に血が上り、ぷいっとそっぽを向く他出来ない。
見ようによっては態度悪いどころじゃないけれど、そんなことに気を留める余裕はなかったわけで。]
(ば、ばっかじゃないの……そういうとこが大好きなのよばかぁ!!)
[多分甘えも出ているのだろう。
両親を知らない自分にとって、彼にどこか気を許している部分があったのは紛れもない事実。
マーティンはそんなこと無いというけれど、……本当に昔の自分は捻くれていたものだ。
彼の太陽のような温かさの前では、そんな頑なささえ、自然とぐずぐずに溶けていたのかもしれないけれど。]
あ、ありがとう。
……マーティンはいつも優しいわね。
ふふ、シレネ……お転婆だったものね。
[ようやく言葉を絞り出し、……ふっと気を抜いてくすくすと笑う。
もし彼が娘に対する情を感じているのだと知れたとしたら、素直に嬉しいと顔を綻ばせる筈である。]
[そして、シレネの話を聞いたなら、少しだけ寂しそうな顔をして、そうなの……と懐かしむように思い出話をしただろう。
それは彼の顔に、哀しみではなく、追懐の情があらわれていたからかもしれない。]
そうなの……それは残念だけど……
そういうことなら仕方ないわね。
[もう制服は着ないと断言したこと>>174 に、一抹の寂しさはあったけれど、引き止めるだなんてことはしない。
だって、道は人によって向かう方向も、進む速さもちがうものだから。
その異なる道がほんの少しでも交わったことに、喜ばないでどうする。]
それなら、怪我した動物ちゃんたちのためにも、早く帰ってあげないとね。
[そう言って、にっこりと笑う。
もし、病気の症状のことまで聞けたとしたら、薬草関係も当ってみる旨を伝えるだろう。
あ、でもここに居る間は私も構って!!と主張しておくのも忘れずに。]
じゃあまたね!
あ、そうだ、これおすそ分け!
まだまだ船旅は長いからね……シレネの色―。
[がさごぞと専用バッグから取り出されたのは、ピンク色のシャクヤク。今は持ち合わせがないもので。
飯食いに行こうやという言葉には、シャクヤクの花言葉通り、はにかんだ笑みで返しておこう。
店にも来てね?と、ばいばいと手を振って、彼とは別れたのだったか。*]
―回想:白い花束―
(へぇ……真っ白。)
[何か遠くを思い出すかのような優しい手つきで、彼の手に一本一本納まる白い花。>>122
カスミソウにカーネーションに、マーガレット。
勿論何色か色も用意している中で、彼が手に取ったのは全て真っ白な花たちだった。
清らかな心、私の愛情は生きている、心に秘めた愛。
誰かを思う言葉をもつ花たちが、彼の手の中で一つに合わさる。
まだ店を開きたての頃だったので、ペラペラと花の本をめくりながら、彼の選ぶ花を眺めている。]
(……いいセンスしてるわね。)
[不躾にもジロジロとみてしまっただろうか。
それでも彼は白い花たちを差し出して、花束にと告げたのだった。]
……奥にも、まだ白い花あるわよ。
[ポツリと呟くように、彼にそう言ったのが、初めての会話だったかな。彼がどう答えたか、それは定かではない。
しかし以来、ついついその日、店に並ぶラインナップには白い花が多くなる。
彼がそれを望んでいようがいまいが、何となく店に出す花が淡い色になってしまうのだ。
そして、たまに……。
鮮烈な白の中に鮮やかに映える青色。
ブルースター。
花言葉は、信じあう心。……身を切る思い。]
/*
あ、しまった!!
彼の答えはあったのか、それは定かではない……って書こうとしたのに。なんか、ちょいちょい確定っぽくなって申し訳ない……。
ふにににに……DOGAZAAAAA!!
ー回想:レストラン ソマリと会話してた時ー
ふふ、ありがとう。
顔見せてくれるだけでも嬉しいのよ。
割引?……そうね……
[人好きのするような微笑みを返してくる様子に、目を細める。
こういう、何気ないやり取りをするのが好きだった。
彼が花屋としての自分の技量を認めてくれているのが分かってからはなおさら。]
じゃあそのときお茶に付き合ってくれるなら
上お得意様に、大サービスしちゃおうかしら。
[にっこり笑って一つウインク。
出来るだけここを使うようにすると言われ>>156、嬉しくならない店主がどこにいるだろう。
全く、喜ばせるのが上手いんだから。]
ああ、やっぱり大変なのね。
って、え?ほ、本当に?
いいの?それは、凄く嬉しい……
[彼の仕事事情を聴いていたら、やはり大変らしい。
何処も大忙しなんだなぁと頷きながら聞いていると、またもや嬉しいことを言う。
夜にのみ咲く花……ほんのりと淡い灯りが暗闇を柔らかく照らす幻想的な風景>>157 を想像し、うっとりと目を細めた。
いつだったか、この船からは降りられないからね、と愚痴のように零したことがあったんだっけ。
もしかしたら、それを覚えてくれていたのかもしれないが、純粋に珍しい花を見られるのは胸が躍る。]
写真でも実物でも、どっちでも嬉しいわ!
枯れちゃうと可哀想だから、写真の方がいいかしら?
……あ、でも育ててみたいわね……。
種とかあると嬉しい……
あ、でも気候条件とか、土壌……PHと石質と……
[おっといけない。
ついのめり込み過ぎて、ハッと我に返る。
彼は苦笑でもしていただろうか。
恐らく自分の目は過度な期待によるキラキラビームを放っていただろうし。
彼が時計を確認したので、何か約束事があるのだろう。
またな、と手を振られれば、ありがとうまたね!、と同様に手を振って、その姿を見送っただろう。*]
ー現在:レストラン→第2エリア通路ー
[それはソマリと話した後だったか、アデルと話した後だったか。
充実した会話とご飯に、お腹も満ち心も満ち、レストランを後にした自分は、次にどこに行くか考えあぐねていた。
店に戻ってもいいけど、今日の手入れは粗方終わっているから、あとはジョニーに任せておけばいいし……なんて考えながらぶらぶらと第2エリアを歩く。]
(こうして独りになって歩いてると、……昔を思い出すわね。)
[それは、まだ自分が10代前半だったときの話。
チビでガリガリに痩せていて……誰も信用しなかったころの話。]
ー過去:捻くれた子どもー
……嫌よ。ぜんぶいや。
生きていくのが嫌なの。
[目に大粒の涙を溜めて、黒い石飾りの付いた鋭利な短刀を喉元に向ける少女。
その水の膜の張った目は、目の前の男 ー部下にあたるらしいー を睨み付けた。
部下の腰には、短刀の鞘だけがあった。
既に宇宙へと飛び立ったシルバー・メリー号の船内で。
生きていく理由も意味も分からず、死にたいと強く望んだ当時の私。]
[事の始まりは、軍が兵器を開発しようと計画したことからだった。
物理、化学、工学……そういった兵器は既に出回っていたから、次に軍が目を付けたのは生物学の分野であり……。
倫理、道徳、常識……などと、表では綺麗事を並べているものの、そんなものは化けの皮。裏ではどうでもいいことなのだ。
武力が落ちれば国力が落ちる、ならば強い国をつくるためだ……と、倫理や道徳は後回しにされる。それが必然。]
(……多分私の故郷は、そういった残骸の集まりだった。)
[……故郷と呼べるほどの記憶はないけれど。
銀河の果ての果て、クエーサー。
宇宙を漂うゴミが、惑星の引力の相互関係の元、どういう訳か集まるゴミの星。
でも、それは後からの教育で知ったこと。
当時の私は自分がいる星の名前すら知らない場所で生まれ、そうすることがごく自然であるかのように、宇宙に彷徨うゴミを集め、そこから僅かに使える物を選び、生きる。
多くが3歳を迎えられずに死に……多くが大人になれないまま死ぬ子どもの星。
年々人が少なくなってゆく、死にゆく星。]
……私は幸運……だったわ。
[ポツリとこぼした言葉……思わず言いよどんでしまったのは、それが本心の全てではなかったからか。
その星は無人の星になってしまう前に、沢山の大人たちがやってきた。
厳つい防具をつけた者、キッチリとした胸にバッジのついた制服を着た者。
そして子供たちに暖かいご飯と清潔な衣服、暖かい住居を与えてくれたのだ。
……そんな無償の、ボランティア精神がそもそもおかしいのだということに、当時の私達は気づく訳もなく……。]
[皆の警戒が解け、大人に懐いた頃……何故か一人ずつ医務室に呼ばれる。 ]
なぁに?この前検査したよ?
[定期的に健康診断は受けている。そう思って尋ねると、今日はまた別の検査をするのだと制服の男は言った。
勿論疑問が浮かぶはずもなく……注射を撃たれ、そのまま眠りに落ちる。
暗い、暗い……底なし穴に落ちてゆくかのような、深い眠り。]
[次に目が覚めると……身体中に酷い激痛が走る。
指先を少し動かすだけで、耐え難い痛みが全身を襲った。]
っ、ぁ……(ぁぁぁあ……!!!)
[叫んだつもりだったのに、小さくぐももった声しか出ないことに絶望した。
体の芯が煮えたぎるような、熱くなった鉄に押し付けられるような激痛。
自分の身体がボロボロと壊れていゆき、そして再び違うものとして再構成されるような感覚。
涙すら零れることはなく、大きく目を見開いたまま、ガクガクと震える。]
[しかしその小さな声で、大人は気づいたのだろう。
「おい!生きてるぞ!!」
「成功か?どのサンプルだ!!」
……何を言っているのか分からなかった。
しかし今ならその意味がわかる……私達子供は、実験台にされたのだ。
"ガルー"という寄生生物に侵された人間の脳を、子供の脳に直接移植し、間接的に感染させ、肉体的に強化を図るというのがこの実験の目的であったらしい。
人間でありながら、いざと言うときに"生物兵器"として使えるように。
多くの者が拒絶反応を起こして死んだ。
多くの者が凶暴化して殺された。
対象を子供にしたのは、単に凶暴化したときに殺しやすいということらしかった。ゴミの星の住人は、そこらへんのネズミと同じ。
ただのモルモット……人間としての権利はなかったのだ。]
[幸か不幸か……私の脳に住む"生物兵器"は、随分古代の、しかも亜種も亜種という、非常に弱い珍しいもので。
酷く大人しく……未だに何の兆候も訪れていない。
失敗だ、証拠は全て隠滅せよとの意見が多く提議されたらしいが、ある男がそれを留めた。
もしかしたら、成功例かもしれない……と。
年数経過に伴う経過を観察してもよいのではないかと主張して、今の私が存在する。
高い階級を与えることで、個人単位の監視レベルを強化して。
いつでも処分できるよう、船から降りることを禁止した。
多分船員には知らされていないことだが、"最悪"の場合シルバー・メリー号ごと証拠の隠滅を図るつもりのようだ。]
"嫌よ、ぜんぶいや。"
"生きているのがいやなの。"
[そう言って、短刀を喉元に向けた少女は、今もこうして生きている。
その後に何があったのかを思い出すには、少し肌寒くなってきたかもしれない。*]
ー現在:第2エリアー
[特に行くあてもなく、ぶらぶらと歩く。
何だか冷えてきたので暖まりたいような、食後のデザートに甘いものが食べたいような……ぼんやりしたいようなそんな気分だ。
……つまるところ、予定がない。]
……店に帰って、お茶でも淹れようかな。
[いろいろ思い出したし、ちょっとリラックスしたい。
ふぅっと、一息吐き出して、ゆっくりと自分の店に戻ろうと足を向けたのだった。
勿論、誰かと会ったなら、何か話をするかもしれないけれど。**]
―回想:カレルに出会う前―
[ふーらふーらとのんびり歩く。
それこそが、時間に縛られない仕事の特権な訳で。]
(ええと、明日はあの子にご飯をあげて、
次の時期の種まきもそろそろね……)
[とはいえ、脳内は仕事モードだったりするから、いわば年中仕事をしているだけなのかもしれないけれど。
と、そんなことを考えていると、キョロキョロと周囲を見回している女性を発見。
ベニバナのような綺麗な中紅花色の髪を結いあげた女性>>206 は、船員であることを示す制服を着ているが、……どうやら迷っているらしかった。>>293]
ねぇ……もしかして迷ってるのかしら?
……、……あれ?
もしかして、小さい頃に船に乗ってた……かしら?
[十数年前に、自分が船に乗ったときに、ちらと見かけたような気もする。>>290
そのときはお話しできたのだったか、それともできていなかったのか。
しかし、その綺麗な髪に、見覚えがあるような気がうっすらとしており、ついそんな言葉がこぼれていた。
もし違っていれば、ごめんなさいねと謝って、どこに行きたいのかを尋ねるだろう。*]
―回想:レストランでのアデルとの話―
難病患者……向け?
あら、そうなの?植物はいいわよね。
まぁ、そんな植物もあるの?
うわぁ、見てみたいわ。
[名を名乗ってくれたなら、それを数度繰り返して、短い船旅の間だけど、改めてよろしくと伝える。
そして、彼の話に相槌を打ちつつ、にっこりと笑う。
難病患者……という部分で不自然になったことに気付かれていなければいいが。
自分のは病気ではないし、そもそも軍の監視が付いている時点で治療なんて頼めるはずもない。
治療法があるのであれば、とっくに試しているわけだし。
そんな思いは、続く植物の話で吹き飛んだ。
聞いているのも話すのもたのしくて、ついつい興味津々に身を乗り出してしまっていたかもしれない。]
ええ、待ってるわ。
栽培施設もあるから、アドバイスなんかもらえると嬉しい。
[あとで店に寄らせてもらうと聞けば、そう答える。
切ってしまった花のように、咲いてしまった花のように、彼にそれほど多くの時間が残されていなかったのだとしても。>>241
彼が席を立つならば、話の余韻に浸りつつ、その背を見送っただろう。*]
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