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[炉にとって大河は、俗に言う初恋の相手だった。
恋心を自覚するにはあまりに幼すぎたが、大河といる時だけ喜怒哀楽が激しくなったことには自分でも気付いていた。
憧れの塊だった彼が突然いなくなったショックは大きく、追加で一週間近く寝込む程度には大河に懐き、依存していた。
散々泣き明かし、寝込んで五日目の夜にとある決心を固めた。
――誰にも負けない、強い男になってやる!
引っ込み思案だったから、大河も呆れていなくなったのだろう。
そんな思い込みから空手を習い始め、中学からは髪を染めて激しい自己主張をしたりと間違った方に暴走していた。
夜遊びや喧嘩に明け暮れていた日々も、高校に入り大河と再会してからぴたりとなくなったのは、また別の話。]
[目を伏せて昔を思い出す間に、大河の視線>>28は文庫本に戻る。揶揄の言葉にはむっとして大河を睨み付け、]
新幹線くらい、乗ったことあるっての。
でも久々だからこんなんだったかなって思ってさ。
[大袈裟に肩を竦め、珍しくも何ともないとアピール。
ふと、僅かに涙が滲んだ目尻を見つけると大河の方に体を向け、]
……もしかして眠ィのか?
昨日は眠れなかったってオチなら、大河にも可愛いとこあんのな。
[開いた部分に指を引っ掛けて顔を隠す本を倒し。
眠気で歪んだ口許を指差してけらりと笑った。**]
[興奮しているのか、方々から聞こえた声>>51>>62にゲイシャ!テンプーラ!とでも続きそうだなとどうでも良い思考が走る。
声からして彼女らは姿は見えなくとも、窓に貼り付いたり写真を連写してはしゃいでいるのだろう。その素直さは、正直羨ましい。
あの綺麗な山も、近寄ればゴミの山なんだよな…と青々とした山肌に向けるのは冷ややかな目。]
富士山をフジヤマと呼ぶのって、シバイヌかシバケンか、
とんじるとぶたじるみたいなあれなんだろうか……。
[そんなどうでも良い独り言を落とし、大河を一瞥した。]
――昔のお前ならしたかもな。
なぁ、いろりちゃん?
[わざと、ちゃんをつけて呼んで意趣返ししてやろうと。
あれは小学生の遠足の前日。
楽しみすぎて眠れなかったのか、行きのバスでうとうとしていた小さい炉の姿を思い出して目を細めた。
帰りのバスでは、疲れもあって互いに寄りかかりながら爆睡してしまい。
学校に着いたところで先生に起こされたのを今でも覚えている。]
[睨む半眼>>93も、潤んでいれば迫力は半減する。
そのまま文庫本を奪おうかと指に力を籠めたが、悲鳴を上げる紙の束にすぐ力を抜いて退いた。]
へぇ、そりゃあ大変なことで。
準備は前日じゃなくて、もっと前にしておくべきだろ。
そう思わねぇの、優等生の大河クン?
[事前に用意していても確認作業に明け暮れたことは棚に上げ、
叩き落された手をひらりと振り、口煩ぇの、とぼやく。
その表情も次の瞬間飄々とした物から怒りへと変わる。]
……今、何て言った?
[手を叩き落とされたことよりも何よりも、付け加えられた一言が逆鱗に触れた。本を掴んだ手を今度は胸倉目掛けて伸ばし。]
[日本と中国のハーフだった炉は、同じ字で別の読みが出来るせいで家の中での呼び名は適当だった。
ローだったり、いろりだったり、父も母もその時の気分で呼んでいたが、それでは困るだろうと統一された呼び名が“いろり”。
日本人の母にベタ惚れした父は、母の『いろりの方が可愛くて良いわよね』の一言に二つ返事で応じたのだった。
幼少期はそれで構わなかった。問題は思春期に突入してから。
男らしさを求めていた炉にとって可愛い名前は邪魔でしかない。
高校に入ってからはローだと自己申請することでいろりの名で呼ばれることはなくなった。この、目の前の元幼馴染以外には。]
その名前で呼ぶなって何度言えば分かるんだ。
[幼少期の片鱗もない鋭い眼光を向け、ドスの効いた声で凄む。
大河の細められた目が、昔のことを思い出しているのだと知らせ。
神経が逆撫でされる感覚が消えず奥歯を噛み締める。
バス内で寄り掛かって眠った時、あまり家以外で眠れない炉にとって安らかな心地を与えてくれた大河には感謝していたが、口にする機会はなく。言ったところで信じて貰えないだろうと苦々しく眉を下げる。]
[それは掴み掛からんとする前だったか。
富士山が見えると言われ>>101、視線を動かしたのは数秒。
呆れられようとテレビに何度も映ったことのある見飽きた青い山に、どう感動すれば良いのか聞きたいくらいだった。]
富士山っつっても、たかが山だろ。
やれ日本一の高さだの霊峰だの言われてるらしいけどさ。
新年にわざわざ山頂まで登ってご来光を拝む連中もいるらしいが、何が有り難いのやら。
[そんな罰当たりなことを口にして。
本を置いた大河がこちらに身を乗り出して来れば、軽く硬直した。]
――っ、――…っ!
(は、ちょっ、人の肩に触ってんなよ。
そんなに見たいなら退くから待てっての。)
[声にならなかった言葉は口を数回開閉することしか出来ず。
肩に乗っている手の重みだとか、近い顔の距離だとか。
吐き出された息が肌を掠め、顔が引きつる。
嫌がらせでわざとやっているんじゃ、と横っ面を殴り飛ばそうとしたが、絶景を見つめる横顔に見とれることしか出来なかった。*]
/*
笑顔でいろりちゃん呼びとか分かってやがりますね…。
[もだもだごろごろ机ばんばん]
遠足楽しそうじゃないか…過去捏造したくなって困る。
思わず家以外じゃあまり眠れない設定を捻り出す程度にはドストライク食らったと言いますかもおおお。
>>100最下段 正直すまんかった。
黒髪で小さい弟がデカくなって金髪になったら、そりゃあ。
/*
それとちょこちょこ駒王が可愛くて秘話が気になってしまい。
床に転がったのかとか…膝の間に入ってるのかとか…。
恐らく狐型なんだろうけど人型でも可愛いなと。
後Fujiyamaテロ>>51>>62>>121は卑怯だと思うんです。
[肩を震わせて笑っている]
/*
へぇ、プロから個人抽出可能なんですね。
で、大河を抽出した時、自分から大河への秘話も見えると。
これはまた便利な機能だ。
/* 同クラスリスト
C:園部・朝雲(・天倉)
D:丑ケ屋・未谷・穂積(・聖前)
シュテルン・遥斗
大河・炉・琉璃・幸久
不明:美土代・蛍火・織江・満井
柳瀬がガラ鳩だと変換出来ない+・表示でコピペも不可とか。
[ドスが効いた声。凄む眼光。
派手な色に染められた髪。背丈が伸び逞しくなった身体。
昔の面影と重ならないものばかりが目につき、複雑な胸中を隠したまま。
ふ、と余裕を見せるように小さく息を吐き。]
足だけじゃなく、手も早いことで。
生憎その脅しは俺には効かないことくらい、わかってるだろ。
[今はいろり、と呼ばれることを嫌がることを知っているからこそ。わざと「ちゃん」まで付けての確信犯。
けれど何度も呼ぶなと脅されたところで、今までもこれからも首を縦に振ることはしない。
だから怒らせておきながら、はぐらかすように応えずに。
それは、今更ローと呼びたくない。
ただそれだけの、意地だった。]
[外見だけを見てるわけではないし。
どちらも、炉の名であることに違いはないことだってわかっている。
けれど。
その名で呼ぶと、まるで知らない誰かを相手にしてるようだ、なんて。
喩え、奥歯を噛みしめて苦々しい顔をされようとも。
近付いて肩に触れるだけで、嫌そうに顔を引きつらせようとも。
憎まれ口を叩かれようとも、凄まれようとも。
それが、炉にとって迷惑であろうとも。
思い出の中の炉を忘れられない自分が、
どんなに滑稽であろうとも――。]
/*
20時くらいまでごろごろしようかと思ったらこれ来て箱前にいそいそと着席させられたの巻。駄目だ削除テロに顔がにやついて俯いてしまう。
どう殴り返そうかなと。
[口許に刷られた、見せつけるような笑み。>>157
宥めるどころか火に油を注ぐ言葉に、野生動物のように威嚇を気配と声に孕ませ。八重歯を剥き出して食い掛かる。]
(人の気持ちも知らないで、くそ大河。)
[旅行に舞い上がっているのはこちらだけだと思い知らされ、
惨めさに押し潰されそうな反動で声音は一層と剣呑となった。]
耳が遠くなるような歳でも、突発性難聴でもねぇよ。
大体頼んだって聞くようなタマじゃねぇ癖に。
俺が頭下げても鼻で笑うだろ。違うか?
[避けられなかったのを良いことに、掴んだ胸倉を無理に引き寄せ。
大河のシャツに皺が刻まれ、ネクタイがよれる。
ここまで乱暴を働いてもその涼しい顔は動かずに。
息苦しさから歪んだ眉に、視線が一瞬、戸惑うように彷徨った。]
[いくら睨みを効かせようと、声に怒気を混ぜ込もうと。
それがただの虚勢だと見破ってか余裕のある態度を見せられ、
まるで相手にされていないようで小さく舌打ちした。]
掴んでいるだけで、まだ何もしちゃいねぇだろ。
殴られたいってんならいくらでもやってやるけどよ。
[家族には呼ばれ慣れた名前であっても、大河となれば話は別だ。
呼ばれる度にむず痒さを覚え、自分が自分でなくなるような。
昔の大人しい、誰かの後を追うだけの子供に引き戻されるような。
たった三音だというのに、後頭部や背後がざわついて仕方なかった。]
……人前では、あんま呼ぶなよ。
[お互い頑固な性格なことくらい熟知している。
だからこそ、低い声でギリギリの妥協策を提示して。
睨みつけていた視線を緩めると、長く長く溜め息を吐いた。]
[もし、自分が昔のような性格に戻ってしまったら。
大河があの頃の時の様に突然いなくなってしまうのでは、という想像が付き纏って消えない。
通信手段が発達したこのご時世だろうと、今度こそ出会うことは二度となくなるだろう。
再会した今であっても、卒業が近付いている以上別れが間近にある事実は変えようもなかったが。
表札のない玄関。呼び鈴を鳴らしても誰も出て来ない家。
つい数日までそこに在った日常が、前触れなく忽然と消えた絶望感。
もうあの感覚は、味わいたくなかった。
だというのに、こうして掴み掛かっている愚行を簡単には止められない自分。
子供時代よりよっぽど子供ではないか、と。
大河を目の前にしただけで、そんな一面を引きずり出される優位性に歯噛みした。]
[胸倉を掴む手の力が、僅かながらも断続的に変化して。
乗り上げていたせいでやや上から降ってきた声>>133に、はっとした表情を浮かべ、そちらの方に顔を向ける。直前に盗み見た大河の表情>>158も自分と同じく驚いたものだった。
珍しい、という言葉が妙に重く圧し掛かった。
無理もない。今は大人しくしているとはいえ、入学当初はそれこそ札付きの悪と呼ばれる程には喧嘩にと明け暮れていた。
今もなお問題児である織江とも拳を交えたこともあるくらいだ。]
こんなん、取り込み中でも何でもない。
どこにでもある、かるーい、スキンシップだろ。
[胸倉を掴んでいない方の手を、高殿妹にひらひらと振って。
我ながら説得力のない言葉だとは自覚していたが、半分は事実だ。
高殿妹が自分の座席に戻るのなら引き止める用件もなく。
制服の中で目立つ私服姿も、ホテルに着いた夜には着替えた生徒達に紛れてしまうだろうなと的外れの感想を抱いた。]
(俺なんかじゃ、まともに隣にいることも出来ねぇんだな。)
[ずっと前から、再会した時から分かり切っている事実。
腹を割った親友でもない。気心の知れた幼馴染でもない。
腐れ縁と呼ぶにも希薄な、今にも消えそうな弱い関係性。
今までがそうだったように、そう簡単に変わりはしないだろう。
何か劇的な切っ掛けでもない限りは──…]
[気の抜けた溜め息>>159と共に肩を押される。
弱い力だったがくらりと視界が揺れ、平衡感覚がなくなった。
気付けば掴んでいた手は胸倉から離れ、ゆっくりと腕を引く。]
俺が誰彼構わず喧嘩吹っ掛け回ってるように見えるのか?
……へいへい、分かったよ。俺だって旅先で説教されたくないし。
俺が何か問題起こしたら、大河クンの内申点に響くもんな。
[今自分が仕出かしたことからは目を背け、吐き捨てるように言い。
苛立った空気を纏ったまま、席を立つとどこかへ歩き出す。
大河から何か言われたら、便所と買いモン、と短く答えただろう。]
/*
入村締め切りは10/17の22時ですという文で更新時間を22時だと思い込んでいた馬鹿がこちらになります。
あー、もう更新かーって焦ってたとか!馬鹿か!!
上に書いてあるじゃねーかよ![スパァン]
/*
考えることは一緒である>織江メモ
そして冷静に考えてみると、髪を染めている以外に不良要素がないことに気付いてですね?不良()
目が滑ってプロが読めてない上に日本語が不自由過ぎて辛い。
[引き寄せられ、近づいた距離。
苛立ち舌打ちする音ははっきり聞こえて、肩を竦めて見せる。]
すぐに力で訴えようとするからだろ。
お前に殴られたらシャレにならないことになるな。
[胸倉を掴むのは、空手部で鍛えられた手だ。
素人にその拳を奮うことはしないだろうが。一応、遠慮しておくポーズを見せ。
低い声で差し出された妥協策に、目を見開いた。]
…………どこか調子でも悪いのか。
[再会してからというもの。
その名を呼ぶことを譲歩する言葉は、初めてかもしれない。
嬉しさよりも、驚きが勝ったのは仕方のないことだ。
当然。長い溜息を吐き出すその心中など、知る由もなく。]
[手を離すよう仕向けたのは自分なのに。
実際に離れ、引き寄せられていた距離が隣の座席の位置へ戻っていくことに。
ほんの少しだけ覚えた寂しさを、飲みこんで。]
[用を足した後、車内販売を探して通路を進行方向と逆に歩く。
もうすぐ京都に着くというアナウンス>>#4はあったが、販売員を見つけてから買って戻るまでの時間くらいはあるだろう。
浮き立つ生徒達の間を通り抜け、A組の車両からD組の車両までと結構な距離を歩いたが何とか目的の人物を見つける。]
飲みモン……えーと、じゃあ緑茶で。
それとグミ。ピーチ味あります?
[ついでにもう一つ適当な菓子を買い、元来た道を引き返す。
400円と少額だったが、わざわざここで買う必要性もない。
それでも何だかむしゃくしゃした気持ちを、金を使い、腹を満たして治めようという魂胆だった。]
[帰り道すがら。誰もいない空間に話しかける一人の女生徒の声に、ちらりと視線を投げかける。
名前までは知らなかったが、神社の娘だとか、いつもあんな風に独り言を話しているという噂だけは知っていた。
友達がいない寂しさから架空の友達と話しているのか。
それとも自分には見えないが存在する何かと話しているのか。
どちらにせよ、進んで関わる相手でもないだろう。
視線を進行方向に戻し、袋を開けてグミを頬張りつつ足早に自分の席へと帰る。戻る前に、大河には見られないようグミとお菓子はポケットに詰め込んで。
新幹線が止まったら、級友がごった返すのを見送ってから悠々と外へと荷物を運び出した。]
馬鹿らしいよなぁ。
[窓の外に溢れていく生徒を眺め、ぼそりと呟く。
グミとは逆のポケットに詰め込んだキャラメル。
大河が昔好きだった菓子を買ったところで、分けてやることなんて出来ないだろうにと。
特に食べもしないそれを持て余しつつ、新幹線の外にと。]
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