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[かつて己は、剣は左で持つが、羽筆は右で持っていた。
今では大分歪んだ文字しか綴れない。
そんな時、彼女に代筆を頼んだ。
己の悪筆でも構わぬ書類ばかりではない、
深窓で高い教育を受けた彼女の一筆が必要だった。
今宵も彼女は、代筆の為と呼ばれた気で居るだろうか。
しかし、己は紙ではなく、掌を差し出した。
月夜に誘うのは三度目、
名を知らなかった一度目、
身分を知らなかった二度目、
三度目は何もかもを知る為に。]
[彼女の手を取り、エスコートするのは執務室に設けられた小さなバルコニー。
見下ろす庭園は己にとっては小さいながら、薔薇の蕾を抱えて今にも花開きそうだった。
彼女とは、いつも月下から始めたい。
詩文も貴族の嗜みであったが、己にはロマンス小説よりも特別な意味を持つ。
彼女も書物を愛するならば、気取った男が月夜に誘うなんて、意図が透けてしまうだろう。
けれど、彼女は深窓の令嬢。
花より優しく、硝子細工よりも丁寧に扱いたかった。
外へと誘った彼女の肩に、白いショールを掛けた。
片腕でも器用に生活送れるようになってきた。
それもこれも、彼女の補佐の御蔭だろうが。]
―――アプサラス、君も忙しいのにすまないな。
今宵は君に折り入って頼みがあるんだ。
……いつも遅いのね。と笑われてしまいそうなことなんだが。
[少々、気恥ずかしそうに咳を払った。
今更緊張が指にまで伝わり、視線を揺らす。]
[浮名なら幾らも流したのに妙な話だ。
如何にも、自分は彼女に対し、意外と奥手らしい。
それを言葉に変えたことは無いが、彼女を前にするとまだ胸が跳ねるのだ。]
……アプサラス、俺はこの国を変えようと思う。
どれだけの時間が必要かは解らない。
途方も無い時間が掛かるかもしれない。
けれど、もう、待っていて欲しいと楽観を告げない。
[それはもしかしたら何年後か、何十年後かもしれない。
人の記憶は色褪せても、深い場所に根付くのだ。
彼女にとっても、易き道ではありえない。
けれど、結んだ左手を離す心算など無かった。
彼女の選んだ男は、彼女を幸せにしたい男で在りたかった。
彼女に貰うだけ、全てを返したかった。]
万事上手く行くよう努めるが、どれだけ実現出来るかは知れない。
それでも、アプサラス―――…、
[彼女の左手を取って、指に通して押し付けるものが在った。
銀色の円環、外周は仄か蒼に光る銀で出来て、
その内側には彼女の瞳と同じ緋色の石が嵌る。
親指で通し、彼女の左の薬指に輝かせるその色合い。]
君の家族も、血族も、何もかも。
俺は強欲に君の全てを愛するから。
[思考が上手く言葉にならず、数度沈黙を噛み締めてから、
熱を散らすように瞬きを挟み。]
―――俺の、妻に、なってはくれないだろうか。
[恋うように、願うように口にした本音。
彼女の細い指先に、もう一つのリングが乗せられる。
差し出すのは五本の指が揃った左手。]
[己が左で剣を振り続けた訳、
それは案外子供っぽいもので。
剣を握る腕が落ちたときが死に時だと知っていたから、
死ぬまでそこに在って欲しいと思っていたのだ。
幼き日、絵本で読んだお姫様と王子様は、天使に祝福されて、リングを交換していた。
命繋がる、左の薬指に。
―――それは、とても、幸せな光景だった。*]
/*
\ピンクい!/
あんまり、キメキメにならなかった。
こう、この村にソマリの守備範囲が殆ど居なくて、
比較対象もないという事は、これは唯のヘタレかも知れない可能性が微レ存。
― 城内 ―
[ガラ、と瓦礫が崩れた音がした。
金の髪を緩く肩から滑らせ、振り返る先には我が手に掛けた友の姿。
漆黒の鎧に身を包み、朝の迫る城内で巡りあう。>>380
切れ長の双眸を細く変えて、少しだけ口角を引き上げた。]
先ほどぶりだな、バルティ。
君の方が見てくれ正しいなんて、珍しいじゃないか。
[生きた己は装束も汚れ、髪も遊んでいる。
ゆっくりと脚を踏み出し、彼へと距離を削る。]
君は素直だから、直ぐにあちらこちらへと出かけてしまう。
だが、其方も存外悪くなかったようだな?
[彼の顔に発露する感情はいつも読み難い。
だが、何故か今ばかりは、瞬きの間を置くことも無く知れた。
―――まるで拗ねているようだ。]
[彼は別れ際に、生きたと言った。
その言葉が脳内に反響して蘇る。
彼は真実生きたのだろう、彼は全うしたのだろう。
だが、己はやはり、彼に嘘をつかなかった。]
君、覚えているだろうか?
俺は子供も使い、大儀も使い、名も使う。
――――そして、君も使うといった。バルティ。
[彼の目前に迫る男は、視線を介し、その瞳の色を強く変えた。]
[差し出した左手は、彼の肩を抜けた。
向こう側の透けて見える身体だ、己が触れられるはずも無い。
―――ただ、失いし右腕を除いては。
見えない右手の感覚を追いかけ、五指を握りこむ。
神なんてあまり、信じてないが、この腕は親友を信じていた。
ギシ、と関節が悲鳴を上げても、右腕を大きく振りかぶった。
霊体を殴るなど、奇跡か、笑い話か。
彼を信じることは、奇跡でも笑い話でもなかった。
振り下ろした右腕が、彼の頬へ。]
起きろ、バルティ!
勝手に満足して、何も決めないまま、俺に君を見誤らせるなっ!
― 近い未来 ―
―――クルースニク開発計画は急には止められない。
春に予算の編成が組まれる、先ずはそこを調整する。
[周辺国への抑止力としても機能している使徒開発。
執務室にて脚をゆっくりと組む男が、
束ねられた羊皮紙を卓上に放って、呼び出した聖剣を見やった。]
サイキカルの当主の座は頂く。
なに、親父と兄貴を蹴りだせば、降りてくる。
そちらはそんなに難しい話ではない。
[腕を失おうと傲岸不遜な男は変わらなかった。
寧ろ、目的を明確なものに変えて、瞳は炯炯と輝いていた。]
民とは放牧された羊のようなものだ。
急な改革は内乱を呼びかねない、牧羊犬が居る。
元老院は金で買うのが良いんだが、生金が足りない…。
――――いっそ、稼ぐか。
[クレステッドへと言葉を投げかけるが、
彼の有効な使い方を知らぬ将ではなかった。
それで、俺は何をすれば良い。とでも聞きたげな眼差しに、口角を持ち上げた。]
[一人では決して成し得ない、国を変えるとは大仕事だ。
明るく希望に満ちた光だけは成り立たぬ。
闇を切り分け、裂いて、そっと刃を刺し入れることが必要だ。]
―――…クレステッド、まだ我が血の道は続く。
君は聖剣だけに留まらず、俺の懐刀となれ。
君は直情型だが、莫迦ではない。
[ギ、と椅子を鳴らして立ち上がった。
そうして、向ける顔が、彼に道を預ける。]
付いてこいよ、俺の敷く血の道だ。
死ぬまで君に戦火と栄誉を与えよう。
[我が剣は闇も光も切り裂いて、高らかに進むは覇道。
どこまでも、彼に与えし、戦火と、騎士の道。*]
/*
ああ、私も先にご挨拶。
今回、貴族ソマリやらせていただきましたmomotenことももてんと申します。
城主兄弟とリエヴルは宇宙の絆ぶり、
ゆすらさんは先日ぶり、蒼生さんは魔学ぶり。
eyesさんはいつもぶり。
それ以外は初めてかな?
なぜかかりょさんはどこかでお名前見た記憶があるけれど。
今回は初演劇村で毎日イベントたっぷりでとっても楽しかったです。
毎日たくさん遊んでくれて、本当にありがとう!
どこかで同村したら、また宜しくね!
俺は、生きるぞ。
悔いなく生きるぞ、君も生きろ。
他の誰でもない、一振りの剣として生きろ。
君は、俺の、親友だ。バルタザール!
[偽りと義務に塗れた男が、
親友へ晴れやかな笑顔を輝かせて見せた。*]
[耳に届く声に眦が熱くなる。
今後、どれだけ先までも、ジンと胸と薬指が震えるだろう。]
ありがとう、アプサラス。
[嬉しそうに笑う男は、軽く吐息を散らし、そっと瞼を伏せた。
此処から始めよう、月下から始めよう。
天女に恋をした男は、そっと、彼女の唇に接吻を落とす。
柔く食むように、唇が開き―――]
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