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[フィオンの姿が消え、少女は改めて此方と彼方の境を知る。
まさか死の後に魂を見送る経験を得られるなど、そうそう
あるものではない。]
……ネズミさん、きっと喜ぶ。
世界もきっと。
[そして、仲間達も。
その代わりの悲しみはあるのだとしても。]
[彼の行く手に危険が無いように見守るべく映像を見上げる。
今、ヴェルナー達は何処を駆けているのだろうか?
彼らの姿を追う。
その中にドロシーの姿が無い事に気が付くのは、
ほんの少し後の話。**]
[映像に映る、長い長い階段。>>10
視点はおそらくヴェルナーのものと同じになっているのだろう、
後ろに続く者がどれだけ居るのかがわからない。]
……。
[皆、無事で居て欲しい。
もう誰も居なくならないで欲しい。そう願っていても
すぐに魂の形を成す気配が近付くと、受け入れるしかないのだ。]
[やがて視界は大きく開けた…もとい、階段の長さの分
天井の高い部屋へと移る。
床を穿つクレーターについての調査結果を告げる
ヴェルナーの口ぶり>>11に、少なくとも単体での突撃とまでは
行っていない事は伺えた。]
………。
[少女は、祈るような気持ちで見つめ続ける。]
/*
タチアナさんを幸運の女神扱いしようと唸っていたけれど、
これ酷い無茶振りになったりはしないだろうかと。
もう少し軽い目の表現にしてみようか。
それから…フィオンさんのログに涙じわ。
村でじわ来たの、しばらく振りだなぁ。
[ふと。
地下一階の映像に変化が起きた。]
フィオン。
[生きている。そのことがとても嬉しかった。
ネズミが再び定位置(フィオンの頭の上)に収まると、
すっかり見慣れたいつもの姿。]
[自分の亡骸を見下ろし一体欠けた人形達を見つめ、
夏の人形の行方を探す。
そこで目に留まるフィオンの鞄、その膨らみが少しばかり
大きくなっているような気がする。]
連れて行ってくれるの…?
[いつだって皆一緒だと言うには言ったが、やはり思い出の品の
ように持ち歩いてもらえるのは、嬉しいものだ。]
……気を付けて。
[やがて地下一階の光景は移り、二階のカーク、
三階の…ドロシーの横たわる姿へと視点は変わって行く。
その頃にはドロシーも、此方へと姿を形作っていただろうか。]
それじゃあ、今……
[地下四階に辿り着けたのは、ヴェルナーとタチアナだけ。
圧倒的な力の差はあるが、不思議と絶望的な感情は
抱かなかった。
ヴェルナーが強いということも理由のひとつとしてあるが、
タチアナの行動は決してマイナスに働かないという点を
見ていたからである。]
[振り向き、周囲の人々の顔を見る。
皆の心情は如何なものなのか、それが気がかりで。
そうして視線を外す間、映像には地下四階のクレーターに
身を投じるセルウィンの姿が映し出されて居た――>>20]
[瞬間、意識が乱れた。]
――――…!!
[いや、意識どころの話ではない。
今までに感じた事のない瘴気が一度に襲い掛かって来たと
考えれば早いだろうか。>>+18
形を留めていた少女の魂が一度崩れるかのように流れ、
どうにかこの場に繋ぎとめて堪える。
身体が失われているから、むき出しの精神だけでは
耐えるのは少し難しく、流れに飲まれないようにするには
その場に蹲るしかなかった。]
[瘴気に曝されている身体の所々が形を崩しかけては戻りを
繰り返し、非情に不安定な状態で留まり続ける事しばらく。
怖い。
怖い、怖い
本当に死んでしまうのが、怖い。
形を失ってしまえば、この妖星に飲まれて二度と自分自身として
現れる事は出来なくなるだろう。
その予感に更に縮こまるも、それにも限界がある。]
[強く握った拳に、誰かの手が触れた。>>+34
それにより、不安定な魂の形は再びしっかり少女の姿を形作る。
一体誰が?薄く目を開いてその手を見ると、傷の痕。]
(イェンスだ……。)
[彼もまた身の危険があるだろうに、少女を瘴気から庇い続け
何度も何度も「だいじょうぶ」と声を掛け続けている。
その一言一言毎に、段々と視界がぼやけて来る。
恐怖を知り、安堵を得、そんな色んなものが混ざった
涙のせいで。]
[瘴気の流れが収まると、慌てて涙を拭くが
イェンスが無事なのかどうかが気がかりで]
イェンス、イェンス!?
[足をばたつかせて、早く退くよう急かした。
…彼の身体の震え>>+19が嫌と言うほど伝わって来るから、
きっと姿を留めているのもやっとではないのかと思って。
そして、他の皆も無事かどうかが心配だったから。]
……い
[何を言えば言い?]
イェンスの方が!!大丈夫なの!!?
[しばらく暴れておれば慌てて離れたイェンス>>+42に向かい、
口を開いたと思えばこれである。
おまけに感情の昂ぶりに涙の追加が入り、始末に終えない。
ありがとう、とかごめんなさい、とか…そんな言葉を紡ぐより
イェンスを始め皆が無事かどうかが先立った結果だった。]
カークだって、無理しないで!!
[怒っている、凄く怒っている。
実に解り難いだろうが、どう話せば良いのかが解らない
少女にとっての、皆への気遣いの裏返し。
心配するカークの呼びかけ>>+47へも大声を張り上げて。
生前の気弱さは一体何処へ行ったのだろうか?]
〜〜〜〜〜〜〜………。
だ、って、居なくなって、しまうのかもって…
[イェンスにも、カークにも怒鳴り散らかして。
大声を張り上げたら少し落ち着いたは良いが、
ちっとも涙が止まってくれない。
少女自身にも解らない感情の爆発。
二人も、皆も、こんな風に言われてもちゃんと言葉で
対してくれる。]
[だから]
ごめ、んなさい…。
みんなが、無事で、良かった……。
[イェンスの手をしっかりと握って、
その笑みに、少女もまた言葉で思いを告げるのだった。]
―戦闘の様子を見つめる―
[瘴気の流れの一方で、地下四階での戦いは激化している。
フィオンも辿り着き、タチアナに託される鞄を見る。]
タチアナのやる事は…
絶対に悪い方には向かないって、私…知ってる。
どんな事になっても、それは思い出してみたら
良い事に繋がっていたんだって、知ってる。
[何も出来ないと思っていたら大間違いである。
タチアナが居るからこそ持つ空気が大切なのだから。]
[戦いの様子を、目を逸らさずに見る。
ただ…彼らが戦っているのは新たなる魔王ではあるが、
それ以前に]
………。
[ゲオルグは近くに居ただろうか。
彼は、この戦いをどのような気持ちで見つめているのだろう。
世界を取ったとは言えども、仮初ではあっても
親と子である事をそう簡単に断ち切れるのだろうか。
拙い少女の思考は巡る。]
[少女は、戦いの間只管に願った。
タチアナの傍に在る夏の人形に、祈りを届けよと――
どうか、セルウィンの姿を人として留めて欲しいと。
人形を象徴する向日葵は、日回草とも伝えられる。
巡る時のひとつひとつを追いかけるその花は
生命の動きもまた追いかける。
それを、せめて人のものとして留めよと。]
[様々なものを割り切る事が出来ない少女の願いである。
世界を救いたい。
皆が無事で居るように。
せめて人として眠りに就かせてあげて欲しい――――
実に身勝手な願いだろうが、それでも止めはしないのだ。
奇跡を起こす神が居るのならば、そんな願いの欠片でも
持っていたとしても良いだろうと。]
/*
でも人じゃないから叶わないという。
このあたりの考えの浅はかさは年端も行かない
娘っこだからとかで通用するじゃろうか…13歳、13歳…。
[視界の中で崩れ落ちて行く巨大な姿を見つめ、
幼い願いは届かなかった事を知る。
願った無事も、ヴェルナーの受けた傷を見るに
これすらも叶えられなかったのかと、肩を落とした。]
……ヴェルナー、残っちゃうの…?
どうして?
[せめて、地上に戻り…普通の活動が出来るまでに
修復してもらえるようにはならないのかと首を傾げる。
…彼の身の構造やその仕組みを詳しく知らない少女の背後、
フレデリカはきっと浮かぬ顔をして居る事だろう。]
[フィオン達の相談の中、これでいいのか、と
言いたげな顔でイェンスを振り返る。]
……さみしく、ないの…かな。
[生きて行けるのかどうかより、先にそちらが
気に掛かって呟いた。]
/*
ああ、終わってしまうんだなぁ…。
エピじゃもっと切なくなるんじゃろうから、
「エンディングまで泣くんじゃない」の精神でガンバリマス!
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