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[100年もの昔。
まだ、人も人ならざる者も一緒くたになっていた混沌の時代。
森で妖精に出会うのと森で兎に出会うのが同義で、吸血鬼に血を吸われるのと蚊にたかられるのが並列だったその時代。
ジムゾンが言ったように人と獣のあいの子だって珍しくはなかった。
原点はそこにあった。]
みんな、何を言っているんだい?
僕には、分からない。
[幼い彼には分からなかったが。
時代の移ろいと共に関係は壊れてしまった。
いや、壊されたのか。異質な存在を認めぬ人間たちに。
亀裂を決定的にする契機こそがかつての人狼騒動だったが、それも長い歴史の1ページに過ぎなかった。]
僕が人狼だから、みんな僕を認めてはくれない。
[誰も認めてくれないから、自分が認めるしかなくて。自分を褒め称える、目立とうとする。]
僕が人狼だから、みんな僕を嫌う。
[誰にも嫌われたくないから、嫌われる事のないように。他人を褒め称える、プレゼントを贈る。]
[時折各地で人狼騒動が聞こえる。自分だけが降りる訳にはいかないだろう。
あらゆる文献という文献を片っ端から漁った。オットーは馬鹿だが、馬鹿じゃなかった。
その語彙はどこから>>0:284と聞かれたが、全てはここから来たものだった。]
このままじゃ終われない。終わりたくない。僕はまだ、楽しい思い出を持っていない。
[姿を変え、過去も今も偽って。牧羊犬に紛れ込んだのはちょっと無理があったな、すぐにバレた。
すがった藁は
いつかこの村が再び吹雪に包まれた時、世界の命運は集いし者に委ねられるだろう。
との予言。
運命だと思った。自分の毛色と同じ、この村には滅多にお目にかかれない白の世界。
それにすら裏切られた。]
[自慢の鼻は働かず、耳には何も届かず、瞳には何も映らない。
もしかしたら、自分が死んだ事にすら気が付いてはいないのかも知れない。
それでいて、誰かがやって来ればちゃんとその場から逃げるのだから。]
知っているかい? 犬はご飯の夢と遊ぶ夢しか見ないんだぜ?
[誰に教えてもらった言葉だったっけ?
だけど、自分は悪夢しか見ることができなくて。それが獣になりきれない証で。]
けれどももう一度だけ。
良い夢を見させてほしいな。
[届くはずのない遠吠えを返すのだった。]
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