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大将、無事で何より、です、が…
[ ぎりぎりだな、と、どこか冷静に考えている自分がいる ]
俺の方が、ちょっと、ぎりぎりなんで、滑走路に消化班待機させといて、くだ、さい…!
しっかし、あいつ…
[ 必死で操縦桿を操りながら、機体をなんとか格納庫まで飛ばしていく ]
あの様子だと、まさか自分が生き返ったから、人間も、死んでもみんな生き返るって思ってんのか?
[ それは思いつかなかった、と、吐息が漏れた ]
[ たどり着いたトラオムングの格納庫では、ほとんど墜落に近い着陸をした機体が火を噴いて、魔法での消化まで使う羽目になった ]
大丈夫だ、生きてるって。
[ 結構な量の血を流したはずのコンラートは、しかし担架を断り、自分の足で滑走路に降りた ]
さすがに、もう飛べねえか…
[ すっかり焼けてエンジンがほぼ溶けた鉄の塊になった愛機を見上げ、まだ熱を持つ、穴だらけの胴体部分を軽く叩く ]
お疲れさん…。
[ 静かな労いを最後に、滑走路を後にした ]
コンラート・フリーデル中尉ただいま帰投しました。
[ 型通りの敬礼を送ったコンラートに、
《シャドウ・パレス》の運命とダーフィトの事も、或いは耳にできたかもしれないが。
マレンマのことを問われれば ]
振られちまいました。
[ そう言って苦笑する ]
大丈夫ですよ、俺は。
早く、
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このじーちゃん軍団乗せた艦と戦うとか怖すぎるwwダーフィト鬼www(褒めてる)
がんばれ大天使様wwwww(どこ応援してるの?)
(道化で良かったとしみじみ思った瞬間)
/*
そういえば、俺、まったく道化らしく動いてませんね?ね?
しかし今更どうしようもなさそうなのであった。(待ちなさい)
/*
独り言で騒いだあと、家事に攫われてた道化です。
また綺麗な文章が(拝む)
どうでもいいが、俺はそろそろ赤が見えてる特性をなんとかしような。きゃーきゃーしか言ってないぞ。
― トラオムング格納庫 ―
[ 飛ぶ前に治療はしろと促されて、それもそうかと軍医の世話になることにする。さすがに応急手当で済ませられる傷の数ではなかった ]
『指揮官級の天使を倒したって?名誉の負傷だな』
『しっかり治療しとけよ』
[ 医務室に向かう途中で何人かに声をかけられる。もともとある程度親しかった者も多いが、今まで遠巻きにしていた兵達も大分、混ざっていた。
どうやら影の天使を倒したと伝わった事と、人並みに怪我をして戻った事で「天使憑き」の不気味さが大分薄れたらしい。思わぬ副産物だ。 ]
(ま、団結って点では、悪くないかね)
[ 戦闘機と違って、宇宙船は一人では飛ばせられない。各部署のチームワークが必要だ。舵取り役のパイロットが他から信用されていないままでは、不安が残るところだった ]
『致命傷は無いが、この傷で良く操縦できたな?』
[ 一方で治療をしてくれた軍医には呆れた顔を向けられる事になった ]
えーと…必死だったもんで。
[ そういう問題か?という目で一瞬睨まれたが ]
『人間てのは、気持ちで体に限界を超えさせちまうことがあるからな。だが、体に無理がかかってることは間違いない。ちゃんと食って少しでも休め』
[ 結局治療の最後に渡された忠告には、素直に、はい、と頷いた ]
[ 頷きはした、のだが ]
プロッツェ少佐、ちょっといいですか?
[ 休む前にマチスを探し、二人で話したいと声をかける。了承を得られれば周囲に声が届かぬ場所まで移動して ]
あんた、わざわざ大天使と口喧嘩したらしいですね?大将。
[ 笑顔+低音で問いかけたのは、戻ってからマチスと共に居た兵士に聞いた話、と、内側から聞こえるコエの訴えを総合した結果だ ]
どうして、てのは、聞きません。あんたの気持ちは俺にも分かる。
けど、身の安全も確保せずにすることじゃない。
マチス、何度でも言いますが、あんたの代わりはいないんだ。
[ 大将でも、少佐でもなく、名を呼んだのは、初めてかもしれない* ]
あんたは天使より平和主義ですからね、あの暴力至上の大天使様とは、そりゃ話は合わないでしょう。
[ 結局のところ、そういうことだ。天使は人間達より遥かに強い力を持つが故に、力以外のものを示す必要性を考えもしなかった。
しかし力弱い人間は、大気の枷を離れるためにも、理不尽な粛清に抗うためにも、あらゆる可能性と手段を探る。
圧倒的な力を持つ者達には、そんな人間達の努力は、姑息で無駄なものにしか見えないのだろう ]
[ ぽつりと落とした声は、マチスにも聞こえたか。言葉ではなく、別の手段で、天使達に示す必要がある。
小さく弱い人間…その中には、天の救済を振り切るだけの、可能性と意志があることを ]
あんたのそういうところが、俺は好きですけど。
[ 言ってから、口元に手を当てた。うっかり口を滑らせたという顔だ。内心、これはダーフィトの影響じゃないか?と、罪をなすりつけつつ 咳払いをひとつ]
…ともかく、気をつけてください。ええ、ちゃんと見張ってますとも。
[ マチスの他人任せの言に応じ、名前を初めて呼ばれたいう言葉には、そうでしたっけ?と、とぼけてみせた ]
俺は、生き延びますよ。だからあんたも生き延びてください。
「天使憑き」が付いてますから。
[ こういうの、天使憑き付きとか言うんですかね?と、コンラートは屈託なく笑った* ]
[ 少しばかりの休息を経て、残る時間に、コンラートに出来るのは、トラオムングの最終調整と、どのタイミングでどこを狙って打ち上げるかの最終選択に従った打ち上げ手順と軌道の確認 ]
カルカリアス号は、先に出るって?
[ それを聞いたのはどの時点でだったか。
ダーフィトとは、《シャドウ・パレス》で別れて以来顔を合わせてはいないが、マレンマの率いる天使部隊と戦い《シャドウ・パレス》を墜とされたにも関わらず、すぐに新しい手段を見つけ戦い続ける強靭さには、純粋な感嘆を抱かずにはいられない ]
また、無茶してねえといいけど。
[ それでも、ぽつりと案じる心が溢れるのは、コンラートの前では、あの男はとびきりの無茶ばかりをやらかしているように見えるからだ ]
デューラー元帥もついててくれるだろうけど、俺との約束も忘れんじゃねえぞ。
[ コンラートは、格納庫の天井窓から見える空を見上げ、拳を手のひらに打ち付けて、祈るように目を閉じた* ]
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ところで、多分マレンマは忘れてないだろうと踏んでるので敢えて触れてないんだが…
シスターフリーデル、どこなんだろうね?
[ なんとなく箱舟にはいない気がしている ]
おぅ!
[ 何があっても諦めるな、と、鼓舞するマチスの声に、拳突き上げるその姿に、希望を抱いて声をあげるその一団の中に、コンラートの姿もある。
破壊されたアンライエンと違って、トラオムングの操縦席は一つ、副操縦士を置かない仕様だ。だが、操縦室には一人きりでも、これから飛ぶ船にはマチスも含め、多くの兵が乗船する ]
届かせて見せるさ。
[ 操縦席に体を固定する前に、コンラートはぎゅ、と拳を握る。
次に手を開いた時、そこには数枚の純白の羽がふわふわと踊っていた ]
Circuito
[ 言霊に応じ、白い羽根は、すう、と、白い光に変じながら伝声管の中に吸い込まれていく ]
相変わらず、いってえ…
[ 襲う痛みに、はあ、と、息を吐いて、操縦席についたところで、マチスからの声が届いた ]
だ、が…
[ 操縦桿を微調整し、トラオムングの先端が真っ直ぐに大気の壁を突き破る角度を維持して支える ]
押し通るぜっ!!
[ 大地の軛を離れ、トラオムングは、ぐんぐんと上昇していく ]
[ そして ]
[ 目指す空の彼方から、ローレライの歌を響かせるカルカリアス号に向けて一筋の光が降るのが視界に入る。
大天使の光の槍が、戦艦を貫き ]
ダーフィトッ?!
[ 数刻の静寂の後、大爆発の音と光が、空を駆け上り続けるトラオムングにも届いた ]
大将…
[ カルカリアス号が、と、口にしかけて、声を途切らせ ]
……このまま、突っ込むぜ!
[ 強い意志を込めた声で、そう告げた ]
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