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― 道中 ―
誰が殺ったか王様を?
それは私とスズメが言いました
誰が死ぬのを見届けた?
それは私とハエが言いました
誰が王様の墓を掘る?
それは私と王子様!
響き渡る鐘の音は国のため
街にすべての国の民、
ため息ついて 忍び泣く
かわいそうな王様は
―― 忘れられてしまいました
[ 遊び唄になぞらえ、
鼻歌交じりに娘は街を行く。
遠く北方の空は薄暗く曇り、
王都の人々の顔も晴れやかではない日。
いつか出会った新兵のように>>0:7
一見機嫌よく街を行く様子は
怪訝な視線を時折受けただろう。 ]
[ それを気にする風でもなく、
今や動乱の只中にある市中を抜けて
王宮から然して離れていない塔へと急ぐ。
北から届けられた便りを聞いた直後、
盛った毒薬の行方も知らぬまま>>53
北の国が動いたというのならば
最早悠長なことはしていられない。
…そう、
北の要塞が落とされるよりも先に
王都さえ落としてしまえるのならば。
その判断を下せるのはたった今、
絵描きの娘ただ一人だけ。
政も軍事にも一切携わってこなかった
塔の窓から差し込む斜陽が
一時瞳に暁色を作ったことも知らないまま
塔の頂きに着いてひとつ、息を吐いた。 ]
― 幼い日のこと ―
ねえ、あれはなに?
[ 珍しく尋ねごとをしたのは
誰相手にだったのだろう。
指さした先には高い塔があった。
少女の暮らしてきた環境に
あれほど高い建造物は無かったから
国葬や祝い事の時に鳴らすのだよと
教えてもらえたなら、
ぱあ、と、顔中に笑みを乗せて ]
悲しいことも、嬉しいことも
みんなで分けられるんでしょう?
…どんな時もさびしくないね。
いいなあ……
[ "おうさま"っていいなあ、と
憧れる声の色を隠すこともなく紡いだ。
今は触れられない温かな思い出の欠片。* ]
[ … ふと。
忘れかけていた記憶が脳裏を過ぎる。
どうして、今。と苦く微笑めど
過ったものは今更、消えてもくれない。 ]
…案外、未練がましい人間だったのかな。
[ 呟き、握り締めた鐘の舌は冷たく。
耳を片手と肩口で塞いでから
――――――…
重く厳かに響く鐘の音を一度、二度と
"約束"に足る数だけ打ち鳴らす。 ]
[ …七つ。
きっちりと終えたら、
反動で更に鳴らないよう止めて
へたり、とその場に座り込んだ。 ]
………… ……、
[ 言葉は出ない。
…やがて北の侵攻よりも早く
南の国は王都に辿り着くだろうと
何事も無ければ、と、冷静に思う。
王都を守る兵の多くは北へ向かった。
どんな形で在れ、王都が制圧されるのも
そう遠くはないだろうと。>>38
無慈悲な「侵略」か、
それとも「救援」の体を取るか。
それは
何れにしろ、
まだ見ぬ空模様であることには違いなかった。 ]
……終わった よ
[ その言葉を届けるべき相手はいない。
すでに飛び去ってしまったのだか
鐘の音色を聞き届けたのだか
最早知る術もない。>>27
只、唯一、
娘の謀を知った上で
身を案じてくれていたのだろう
もう一人の"裏切り者"に対して
一言だけ言葉を届けたくて。* ]
[
彼の翼が背負った荷の重さで折れてしまわないように。
今の娘に出来るのはそれを密かに祈ることだけ。* ]
/*
起きだしたはいいけど
こう、画家の体調的なアレで
鐘を鳴らすタイミングをちょっと早めてしまった!
頭痛が痛い状態なので今日は睡眠不足解消する……
― 鐘の塔 ―
[ 街へ、王宮へ
重々しい鐘の音が響き渡る。
塔の上からは見えていた。
王宮に連なる道の上に
徐々に人の顔が増え始め、
鐘の塔を見上げる様子が。
急ぎ、逃げてしまえばよかったのだろうか。
人の駆ける速さは音を超えない。
ともすれば、不安を顔に浮かべた民の目から
――… あるいは王宮から成る道を、
駆けてくる兵の目>>79からは逃れ得ない。 ]
[ 民を鼓舞する王の姿は無く、
鐘の音を悪戯と断じる道理も民には無く。
ざわざわと街中の喧騒は
塔の上に聞こえるほどに大きくなる。
やがて、民のざわめきの元は
鐘ではない物に変わるのだろう。
近頃暴動の頻発していた南方の地>>3:216
そこから王都へ報せが齎されれば。
『 隣接する南の国に進軍の動きあり 』と。
何も情報を伝えるのは、
国に仕官する衛兵ばかりではないのだから。
…国の中に隣国と通じる者は少なくない。
かつて北の国と通じていた
[ ―― 石段を登る音がする。
城内に引きこもってばかりの
近付く足音の主の顔が見えたら、 ]
やあ。…また会ったね。
[ 振り返った画家はふふりと微笑む。
奇しくも、やって来た相手はかつて
名と顔を覚えてもらった>>1:228衛兵で。
人手不足で見張りの仕事をしていたのか
それとも今が人手不足なのだろうかと
緩く首を傾げたローレルの心は凪いでいた。
街中に、…向かい合う相手の貌に
不安の色が見え隠れしているからだろうか。
同行をと申し立てる言葉には静かに頷く。 ]
[ 彼が真に
一体いつになるのだろう。
鐘が侵攻の合図だと気付く者は居るだろうか。
お祝いや弔いや、大事な時に鳴らす鐘なんだ。
かつて少女には死んだ心を蘇らせてくれた
今度お祝いの鐘を一緒に聞こう?
そしたら――――… >>77
兵士に伴われ、塔を降りながら
風が弄る御転婆な髪を手で押さえ
娘の唇が誰にも聞こえない微かな言葉を紡いだ。 ]
( ごめんね )
[ "約束"を破ったかつての自分に向けたものか
それとも――、と、深く思案することはない。 ]
[ 形ばかりはあくまで丁重に。
けれど、逃げ出す隙などは無く。
王宮へ続く道を娘は行く。
街中で視線を向けられることはない。
民の多くが
鐘の余韻に不安を抑えきれず
程度は違えど右往左往し、
戸惑い、物々しい雰囲気だった。
さながら、
最後の審判を待つように。
それを見遣るでもなく、
絵描きの娘は道を行く。
…ある時、道端に立つ養父と目が逢う。
彼もまた家から出てきたのだろう、
ローレルは養父と目を合わせなかった。 ]
[ 養父から声をかけられることもなく、
道が別たれる前、ちらと見遣った顔には
どことなく哀愁が漂っているように見えた。
そのまま角を曲がり、
王宮に着いてとある一室に通されたら
付いて来た衛兵が行ってしまおうとするから ]
…悪戯っ子を閉じ込めておくには
鍵が足りないんじゃないかなぁ
[ と、態々呼び止め、冗談だよと言い直して
筆と紙を一つずつ持ってきてくれるよう頼む。
先に届けられるのは
彼の王子>>66の死の報せか、
それとも南の国の侵攻の報せか
どちらとも未だ知れぬことで
待つ間に何か描いていようと思ったのだった。* ]
/*
ある晴れた 昼さがり
お城へ 続く道
兵士が てくてく
画家を 連れて行く
かわいい娘 引かれて行くよ
(養父が)悲しそうなひとみで 見ているよ
ドナドナド〜ナ〜ド〜ナ〜
/*
王宮戻ってきちゃったし、訃報聞いてそうか死んだか…奴は死んだのか(アルカニックスマイル)するくらいしかもうねロールが無いのです…
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