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[ 親父とお前に護られている、と、自信たっぷりにカナンからのコエが返れば、予測不能だった事態への焦りは静まり、男は深く吐息をつく ]
...ああ、その通りだったな。
お前は殺しても死なないやつだった。
[ そう口にすれば、先刻の焦燥が、むしろ気恥ずかしく感じられた。 ]
こちらの決着もお預けだ。
だが、刃交えて、分かったこともある。
後で、話そう。
[ コエではなく、と、いう意は伝わったか** ]
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色々出遅れてる副官ですこんばんは。
ベリアンとフェリクスのとこは、どうすんだろ?このまま一騎打ちかな。まあ、面子的に、大丈夫だろうけど。
― 東海上 ―
...では、その時は、傷に良く効く薬草の調合も、お教えしよう。
[ ギデオンの持ちかけた取引に>>60背を向けたまま答え、後の言葉には>>61男は何も返さなかった。
この先に、語り合う時が来るかどうかは、男ではなく、平原の南で、
それも、どちらが勝つか、ではなく、互いが何を掴むか、だ。 ]
全速前進!
[ 軍船までは、王国の旗艦の陰に守られるように戻り、女神の膝下たる月の舞台から、未だ戦神の支配する大地へと舵を切る。
王国の船が追ってくるかどうかには頓着しなかった。
どの道、ゼファーの船は風下に居る。すぐに追いつかれる事はない。 ]
船を捨てる。
全員退船の後、西方へ進軍。本隊との合流を目指せ。
[ 接岸後は、そう指示を下し、男自身は危急の場合に備えて船に乗せられていた軍馬に騎乗する。
乗せられる馬の頭数には限りがあったため、男に従う兵は10名だけ。小隊よりも尚少ない寡兵だが、それぞれが一騎当千の強者揃いではあった。 ]
ゼファーに勝利を!
[ ダン!と、ゼファーの戦士の足が、一斉に大地を叩く音を合図にして、馬上の一団は、進軍する兵達に先行して西へと走る。 ]
[ 先頭を行く男が騎馬の扱いを学んだのは、当然フェリクスからだった。
そして、視界閉ざす夜の帳の中、頼るのは、先にミヒャエル率いる偵察部隊が齎した、戦場の地理についての情報だ。 ]
森には近づくな!この先右手には沼地がある、左へ迂回しろ!
[ 頭の中に叩き込んだ地形図に従い、出来うる限り最短の道程を選んで駆け抜ける。 ]
ミヒャエル...感謝するぞ。
[ 恩賞の酒袋を受け取った時の、驚きと喜びに彩られた顔が、ふと脳裏に蘇り、男は小さく微笑んだ。 ]
/*
拠点から半日?くらい北上した位置から上陸してると思うんで、多分フェリクスのとこが一番近いはず?なんだけどなー。しかし数時間はかかるのかなこれ。
[ 駆け続ける男の五感に、篝火の光と馬の嘶きが触れる。
斥候に走った兵の報告で、北の森で交戦中の軽騎兵と王国軍だと知れた。 ]
フェリクス殿は?
『平原西方を突破するため先行されたと。』
[ 返った答えに暫し思考を巡らせる。 ]
カナン。
[ 恐らくは、この戦の局面を、一息に塗り替えるかもしれない
勝敗を問うでなく、ただ、確かめるように、唯一の名を。 ]
後方進軍中の部隊に、ここに合流し支えるよう伝令。新手が必ず来る。本体の横を突かせるな。
我らは、西方の援護に向かう。
[ 平原南は、必ずカナンが突破する。ならば、手を貸すべきは、新手を相手にし続けて居るフェリクスの方、と判断して、指示を下す。 ]
[ 返るコエ、その深い響きに、彼の感じる充足感を共有する。
異なる国、異なる価値観、異なる望み...その全てを身一つで乗り越え、高く硬い壁を突き崩してきたのだ、と。 ]
そうか。
俺にも、必ず紹介しろよ、その大地の民とやら。
お前が、そこまでして口説いた相手を見てみたい。
[ 少しばかり、興味以外の何かが滲んだが、相変わらず男自身は無自覚だ。 ]
― 回想 ―
[ かつて、英雄の子として、多くの者から特別視され、遠巻きにされていた少年時代、その少年を、ただの子供として扱った数少ない人間の一人がフェリクスだった。 ]
[ その彼が、自分から距離を置き始め、怠惰を装い始めた時、疑ったのは、叔父の影響だ。
叔父は政敵に容赦なく、そして若者から人気のあったフェリクスは、脅威となる可能性のある相手と、看做されていたのを知っている。 ]
[ だから、フェリクスに訳を訪ねる事はできなかった。
そもそも男が彼に懐いていなければ、叔父もその存在を見逃していたかもしれない......その思いが、彼に再び近づく事さえも躊躇わせた。 ]
[ それでも、フェリクスに教えられた槍の技は、男の生きる道標の一つだった。いつか、彼の技を超えたいと、その願いは少年の頃から変わっていない。 ]
[ 俺とお前は同じもの、と、躊躇いなく断じるカナンのコエに、鼓動が跳ねる。
人が聞いたら、きっと仰天するだろう。 ...浮かんだその言葉は宙に消え ]
確かに、そうだな。楽しみだ。
[ 静かな肯定だけを返す。 ]
[ 戦を終わらせる、その形を探るカナンの言葉に、思い出すのはギデオンが最後に落とした言葉>>61 ]
薬も飲み過ぎれば毒となる。ほどほどがいい。か...
[ フェリクスの居場所までは迷う事はなかった。明々と闇を照らす王国軍の篝火が、そこで繰り広げられる死闘を、余さず照らし出していたからだ。 ]
一騎打ち、だと?
[ 緋く濡れる姿に、一歩遅れたか、と臍噛む思い。>>122 ]
フェリクスっ!
[ 声は無意識に、少年の頃そのままの色を纏った。* ]
.........カナン、急げるなら、出来る限り、早く来い。
[ ふいに、コエの調子が、何かに耐えるように、絞リ出す声音に変わる。 ]
[ 双方覚悟の上の一騎打ちに、割って入る事も、邪魔する事も出来はしない。
普段の男ならば、それも戦士の倣い、と顔色一つ変えずにいられた事だろう。
それが出来なかったのは、恐らく、彼の真実を知る事なく、己の真実を伝える事も出来ず、断ち切られようとする絆を惜しむが故。 ]
[ 一瞬、閉じてしまった瞼を開け、大きく息を吸い、ざわめく周囲の兵全てを恫喝するかの声を上げる。 ]
勝負ありだ!
[ カナンは、恐らく間に合わない。だから、この場を収め、見届けるのは男の役目だった。 ]
[ 足取りは重くゆっくりと見えるのに、男の歩みは速い。並ぶ兵士達の後ろから、一気に前に出ると、フェリクスとベリアンの間に立つ。 ]
どのような仕儀で一騎打ちとなったのかは聞いた。ゼファー軍将軍バルタ・ザールの名において、ここは兵を退く。
が、貴殿も傷の手当てがあろう、こちらの退却にも暫しの猶予を頂きたい。
[ 願う言葉を伝え、その返答がどうであっても、フェリクスの方へと馬を寄せ同じ緋に濡れるも構わず、その肩を支えた。>>137 ]
フェリクス...狡いですよ、勝ち逃げする気ですか?
[ 少年の頃と同じ口調で囁く声が、わずかに震えているのは、フェリクスのみに聞こえたろう。 ]
俺も、カナンも、まだ、あなたに一度も勝てていない。
俺達は...誰にも負けられないのに、あなたのおかげで黒星がついてしまう。
[ 伝えられなかった真実を、恨み言に混ぜて口にする。きっと、彼は、彼だけは気付いていたのではないかと思うけれど。* ]
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めちゃくちゃ、全方位に申し訳ないけど、うちが年下って相当珍しいので、この機会は逃せない(まがお)
天命なんて言葉、あなたには、似合いませんよ。
[ 兄のように思っていた、昔と、どこか重なる声音に、こみ上げるものを飲み込む。 ]
はい、フェリクス...はい。
[ 続いた言葉に、伝わったのだと、僅かな安堵を感じた直後、こぼれ落ちる命のいろに目を伏せる。>>148 ]
[ 次いで、託されたのは彼の大切な者達への形見と伝言。>>149 ]
貴方の息子には、いつか俺が、貴方の技も伝えます。奥方への伝言も確かに。
[ そうして、最後に伝えられた、彼自身の心からの言葉。>>150それがきっと、欲しかった真実だったのだと... ]
[ がくりと下がる
必ず、未来を開いてみせます。ありがとう...
[
時を与えて頂いた事、感謝する。
貴君の名を、お聞かせ願えるだろうか?**
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