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僕はゲルトじゃない。だから、彼のようにはなれないだろう。
[そっと肩に手をやり、引き寄せる。
耳元で囁く。
理性ではなく、本能で判断せよと。]
けれども、彼の代わりに彼の分まで君を守る事はできる。
キザな事しかできない僕だが、最後の1人になっても君は死なせやしない。
[カタリナを安心させるように。
誘い込むように。
甘い声で。
妖しい声で。]
僕を信じて、教えておくれ。*
パン屋 オットーは、シスター フリーデル を投票先に選びました。
さてと。
[カタリナとの話は一段落付いた。
シスターは神父と一緒に戻って来るつもりか。
ご苦労な事だね。昼間は襲えないってのにさ。
あの2人を引き離せば、賭けてみたいものがあるのだけれども。]
ディーター、聞こえるかい?
[ほんのりとした焦りと共に、仲間を呼ぶ。]
シスターを1人になるよう誘き出せはしないだろうか?
夜の話じゃない、今の話さ。10分、いや5分で良いんだ。
限り無く可能性は0に近いけれども、試してみたい事がある。
そうか。いいや、良いんだ。無理を言ってすまない。
[それはゲルトからの情報が何も無かった事に対する落胆とも取れたか。]
残念だけど、僕から言える事も少ない・・・・・・
いや、待ってくれ! 思い出した事がある。
[懐から取り出したのは、パメラからニコラスを通じて渡された赤い薔薇。]
僕宛にと渡されたんだ。
彼女の死には不思議な事が多かった。
もしかすれば、これも何かのメッセージだったんじゃなかい?
[カタリナがそれをどう受け取るかは分からない。
リスクはあるだろう。ただ、それがオットーへ渡されたものである限りは。人狼を誰かに伝える内容だとは思われないだろうと踏んで。
その本当の意味は、キザで花ばかり見ているオットーだから知っているというのに。]
どこでもいい。君が、やりやすい場所で。
ただ、あまり人から聞かれないようにしたいのさ。
[言いながら、今度は自らの心を落ち着かせる。
そうだ、ディーターだって喜んでいる。
だから。]
[そいつは厨房と食堂を繋ぐ扉に立っていた。
こっそり、扉の隙間から全てを見ていた。
ディーターとフリーデルの話が終わるのを待って、扉越しにフリーデルに囁く。]
悲しいよねシスター。裏切られるってのは。
[それは何のつもりか。
嫌味にしては、タイミングがおかしい。]
おっと、逃げないでくれ。
でないと、君の大切なものが見えなくなってしまうよ。
[みながこちらに気が付いていない内に、くつりと笑う。]
やっぱり、君は不思議だなあ。
それとも裏切ったのは君のほう?
シモン君の事、何とも思っちゃいなかったの?
[それは彼の、素朴な疑問。
答えによっては少し怒ってみせるかも知れないけれど、そこに他意は無い。]
ああ、分からないね。信じているだなんて。
君も、みんなも。
ディーターは馬鹿か、確かにそうかも?
「信頼の証」だなんて、君に言うのだもの。
そんな軽い言葉、僕にはさっぱり分からないさ。
[ひっそりと友人へのフォローを入れたりもするけれど、それが本題じゃない。]
現にシモンは君の前に立ちふさがっただろう?
それにさ。
ジムゾンは、こう言ったんだよ?
シモンが偽物だって。
君という唯一無二の存在がありながら、消去法で君を選んだに過ぎないんだ。
[自分が真と相手が偽。その2つは同じようであって、どこまでも違っている。]
笑っちゃうよ。馬鹿なのは彼のほうさ。彼は君の価値を何も分かっちゃいない。
僕も昔はずっと騙されていたのさ。
愛されてきたつもりだったんだけどね。
親に銃口を向けられるだなんて、ほんと笑っちゃうよ。
[ゲルトが視力を失い、オットーの両親が姿を消したあの日。
本気で、信じていたのに。]
人間は、嘘つきだ。
だけど、君は違う。君も痛みを知っている。
[それはカタリナと同じ、誑かし?
それとも毎度お馴染みの愛の囁き?
自分に浴びせられた、甘くて冷たい言葉の数々をずっと返し続けてきた。
だが今の言葉だけは、本気のものだ。]
そう、僕だって君が欲しいのさ。
どうして人狼が人間を襲うのか知っているかい?
仲間を守るためさ。
狼は、他のどの生き物よりも群れを大切にするんだ。
[だからそれを失えば、何をするか分からない。]
人間も同じだと思うかい? いいや、違うね。
食べもしないのに、殺し合う。
無責任で大きな言葉だけ吐いて、結局みんな死んでいくじゃないのさ。
だが僕たちは違う。
[最後まで貫き通す。
仲間こそが、自分自身だ。]
ここに初めて君に伝えよう。
今までの嘘っぱちとはまるで違う僕の気持ちを。
[そこに告白オバケはいない。
そこにあるのは一つの魂。
この心だけでも、届いておくれ。]
君を群れに迎えたい。
僕たちの存在すらをも認めない、今のダメな世界は終わりだ。
君はそれを守る必要なんてない。好きにならなくたっていい。
僕たちと一緒に、ノアの箱舟に乗ってはくれないか?
そうさ、僕のわがままさ。君は捨てるにはあまりにも惜しすぎるんだ。
前に言ったろう? 君を置いてはいかないと。
[冗談に見えた言葉の数々は。
もしかすれば、そのいくつかは。
本気だったのか。]
完璧じゃない君は、僕にとって完璧すぎたんだ。
[聞き入れられるとは思っちゃいない。
けれども、僅かにでも可能性があるのなら。
ほんの僅かにだけ扉を開ける。]
さあ、何も恐れる事はないさ。僕の手を掴みなさい。
残念だなあ。本気だったのにな。
[こうなる事は分かっていたけどね、とこっそりと舌を出す。
人に獣の理屈は分からない。
だから、獣である自分に人の理屈は分からない。]
おかげではっきりしたよ。
やっぱり僕はパーフェクトでなきゃ、いけないのさ。
[逢いましょうと言われるとは思わなかった。
おかしそうに笑う。]
もう二度と、逢いはしないさ。
たった今、一度交わった道が二手に分かれていったのだから。
ああ、困った人達だ。
こんなにも分かりやすいってのに。それとも、僕の事は嫌い?
[投票の結果が伝えられれば、観念したように肩をすくめた。
使える手は全て使った。
もう何も持っちゃいないさ。
けれども、終わらせちゃいけない。
この灯火を消してはいけない。
今、僕にできる事は1つさ。]
それは、僕と同時にシモン君、そしてそれにまつわる全ての可能性を否定する、という事でいいね。
[恐らく、朝には僕の正体は皆が知る事になるだろう。
ディーターもフリーデルを襲うと言った。
それを拒否はできないさ。
なら、その後の事を考えよう。]
[すまない、シモン君。
もしも君の事をもう少し知っていたのなら、君の事も仲間だと思えたのかも知れないな。
心の中で謝ると、鋭い眼光を周囲の人々へと飛ばした。]
生き物だなんて、所詮いつかは死ぬもの。
僕にとって、たまたま今日がそうだったのかも知れない。
だけどね。
そこには、大いなる無駄がある! 何よりも価値のある、無駄がある!
僕はパーフェクトだ。
欠けた君たちに、やられる訳にはいかないんだ!
[立てられた砂時計がひっくり返った。
日没の合図だ。
その場にあったオットーの姿が一瞬にして掻き消え、白い獣が躍り出た。]
ディーター!
そこにある彫像で僕の頭を殴れ! 手加減は要らない、思いっきりだ! そして僕を殺せ!
[止めてはいけないんだ。例え何が犠牲になったとしても、死んでも進まなきゃならないんだ!]
ガルルルル・・・・・・
[今の僕には、これしかできない。
必ず大願を果たしてくれ、ディーター。
村人たちを警戒するあまり、疎かになったように。
全くの無防備となるように、ディーターに背を向けた。]
[最期の最期、とびっきりの嘘を付いてやる。
ゆらりと体が崩れ落ちると共に、言ってやったのさ。]
世 界 は
僕 の た め だ け に
あ る の だ か ら
生きてくれ。ディーター。
もしも君が生きるのを諦めたのなら、僕は。
地獄の底から蘇ってでも、君に牙を突き立てるからね。
[そう言って、笑うのだった。
鳴り響く鐘の音。
目覚めの音とは裏腹に、意識は遠のき暗闇へと落ちていった。]
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