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─ 水の神徒の間 ─
[休息の間に男は浄化の香を染み込み直したストールを腰に巻き。
トールに貸したスカーフは水で濡らした後、同様に香をつけ直して左のトンファーに巻き付けておく。
それと、ホルダーに幾つかの香り袋も結わえておいた。
一重に、これから進む先への用心の為]
狂焔の門、か。
[>>15白角の紡いだ言葉は、この先に居る者の属が知れるもの。
成程、生物に根源的な恐怖を与えられるそれは、>>16守り人から告げられる具象にも相応しい。
>>17続き向けられた言葉に異論など出るはずもなかった。
問うた守り人自身返答など分かり切っていたのだろう、答えも待たず光の渦へと消えていった。
その後を追って飛び込んだ先は、強い熱波とそれを抑える涼やかな水、そして─]
[巻き付けたスカーフに水を含ませたのはトンファーから剥がれにくくする為だったが、思わぬ功を奏したようだ。
水に濡れている御陰で緋色の発す熱に燃やされる事も無く。
確実な一撃を胴へと与え、叩き伏せることは出来たものの]
…この熱で乾いてしまう前に、出来るだけ叩くべきだね。
[緋色に触れた瞬間、じゅ、と蒸発する音が聞こえた事を考えればあまり保たないだろう。
最悪、飲み水を使って濡らす事も考えながら次へと視線を向けたのだが]
暗示か何か…?
いや、でもそんな術を使う様には見え───…あ。
もしかして、この地に呑まれた…?
[この熱波に負けず劣らず、狂気がこの地に充満している。
けれど男は身につけている浄化の香のおかげで、それに侵されずに済んでいた。
だからこそ、事が起きるまでその可能性にすら気付けずにいて]
…少し考えれば、予想は出来たことなのに。
[後悔を口にするも、先ず優先すべきは現状の対処、と。
腰に結わえた香袋を一つ、外し取った]
[男が袋から何かを振り撒くその姿は獣から見ても異様だったのだろう。
粉を振りかけられている緋色の苦悶の様を見、別の狼が男へと向けて火を放ってきたのだが]
あぁ、丁度良かった。
使わせてもらうよ。
[そういうと、苦悶から動かなくなりつつある緋色の首を掴んでその火へと放り投げた]
[かち合った焔は、緋色の全身を包んで燃え上がる。
それと同時、周りに立ち込めていくのは穏やかな花と、微かに香る海の気配。
鎮静と浄化を掛け合わせたその香は、届けば正気を取り戻し、保つに一役買えるだろう]
[火を吐いた獣から見れば、男の行いは非道でしかないだろう。
自身と同じ身を、自らの手で焼かせたのだから。
故に向けられる敵意も更に強く、激しくなるは当然なのだが]
もっと火を吐いてくれていいよ。
香を焚く手間が省ける。
[男もまた、護るべきものの為なりふり構っていられない。
男がこれまで選んできた道は、人の為の道だから]
[言葉が通じているのかは分からないが、男の挑発は伝わった様。
男へと向かい焔を吐き出そうと、緋色が大口を開けた。
それを見るや否や、駆け出すと同時、中身を殆ど振り撒いた香袋をトンファーの柄先に括りつけ]
── せい!!!
[真っすぐ突き出したそれは、緋色の吐き出した焔を貫き、更に大きく開いたその喉まで強く打った]
[リュックから目当てを取り出すと、口を開きスカーフを濡らす。
その作業をしている最中、パン、と頭上で音が弾けた]
っ、
[即座逃げなければ、と思ったものの。
それが何を成したかが分かると、誰からのものかも理解が出来た。
銃を以て戦うは、この場においては彼女しかいないのだから]
悪いね、邪魔しないでくれるかい!
[目指す位置は、当然ながら距離がある。
眼前を遮る緋色も脚で蹴り避け最短を駆けて行き]
…うん、やっぱり此処には届いていないね。
[くん、と空気を嗅いで確認をした後、香袋をもう一つ、腰から外し取った]
…さて、それじゃあ君達にもう少し協力してもらおうかな。
[そういうと、自分を追ってきた緋色とこの周辺に居た緋色に対峙して。
香袋を放り投げると同時、腰に提げたトンファーを左右共に抜き取った]
[男の狙いは、緋色たちの放つ炎。
此処まで駆けてくる間に闇を吐き出す個体も見た為にある種の賭けではあったのだが]
(……来た!)
[それぞれが炎を口中に溜めているのが見えれば、自分の読みが勝った事を悟る]
それ!!!
[間髪入れず香袋を放り投げると、開いた封から粉が散らばっていく。
それを見て男も駆け出し、まっすぐ伸ばした腕を目の前でかち合わせれば手にしたままのトンファーも当然かち合う。
それにより生じた火花は、緋色に向かい振りかかる香粉を伝って全てを燃やし。
更に緋色の口中にある火も、香粉が導火線となって体表を燃やし尽くす助けとなった]
[結果、緋色は炎によって浄化の香を広げながらその力を散らすこととなったのだが]
くっ…!!!
[間近で燃え上がったそれに、巻き込まれるは避けられたものの。
その熱から逃げられる程の距離は即座に稼げる訳もなく、構えたトンファーから伝わる熱で手に軽く火傷を負った。
もっとも、この状況で火傷程度で済む事が奇跡に近いことは男が一番分かっていた*]
[男が自身の治療に入った所で、>>135>>139守り人がユーリエの元に向かったのが見える。
恐らくはあの祭壇に居る大本命を抑える為の相談だろう。
ユーリエの武器ならば、近付かずとも決定打を与えることが出来る。
となると、セルウィンとトールは攪乱役を買って出るだろうとは容易に読めた。
コンスタンツェも術を繰り助力を惜しまないだろう]
…後は頼んだよ。
[皆がそれぞれの力を揮い挑む相手に、男は挑めない。
これ以上香を広げれば、過剰となって効力が下がってしまう。
かといって、セルウィン達と同じ様に戦うには腕が違いすぎる。
何も出来ない歯痒さに眉を下げながら、自分の役目はこの後だと言い聞かせて彼らの戦いを見守った]
/*
あ、せやせや。
エピ入り前に言っとこうと思ってたことがあったんやった。
昨日一昨日と忙しかったので遅くなっちゃいましたが鈴音さんお誕生日おめでとうございました。
本当は10日当日に言っとくつもりだったのに遅くなってごめんねー(´・ω・`)
[その側に近づくと、涼やかな風が吹き抜けて。
気持ちよさそうな声を上げた彼女が、こちらを見て顔を緩めたのを見れば大事は無さそうなと安堵する]
そりゃそうだ。
あれだけの大立ち回りを演じたんだものね。
まぁ、疲れただけなら良かったよ。
少し休んで、まだ辛いようなら薬湯を作ろうか。
[ユーリエからの答えにそう返しながら、薬湯は皆にも必要かなと思考に意識が逸れる。
ふと見れば、彼女が身体を起こそうとしているのに気付いて]
あ、ちょっと待って。
まだ横になっていた方が…うん?
あぁ、これは……そうだね、すぐに薬を塗ろう。
流石に時間が経っているから、しっかり包帯を巻かせてもらうよ。
[身体を休めていろと言おうとするも、見せられた火傷に眉を下げ。
守り人の太鼓判もあることだしと、動かしやすさを考慮せず治療優先の処置を施した]
…包帯はきつすぎないかい?
ひとまずこれで手当は終わりだけど、僕が出来るのは応急処置までだから戻ったらすぐにお医者さんに診てもらうんだよ。
あ、もし余力があるなら包帯の上からでも冷やしておくと治りが早くなるからね。
[ユーリエの左腕を大きく覆う様に包帯を巻き付け、具合を確認すると共に念を押し。
次は公子達の所に、と立ち上がろうとしかけたものの、一旦止まり]
……皆、本当に頑張ったね。
無事で居てくれて、ありがとう。
[誰も命を落とす事なく戦いを終えてくれたことに、感謝を告げた*]
[ユーリエの治療を済ませれば次は公子達主従だ。
二人とも此処に来るまでにも大概な負傷をしているのだが]
お二方とも、流石にもう応急処置では済まされませんよ。
ユーリエ君にも言いましたが、戻られたらすぐにお医者様に診て頂いて下さいね。
[声をかけに行くも、守り人と言葉を交わしている内は邪魔するべきではないかと控え。
話が一段落ついたところで二人の治療と相成った]
[先に負った傷も改めて消毒し、保護をし直して。
一刻を争う事態は遠のいたと息をついた後、すぐにリュックから取り出した革袋を火にかけて湯を沸かし]
疲れている人は、これを飲んでもらえるかい?
さっきのお茶より苦くはあるけれど、効き目はこちらの方が断然上だからね。
タンツェ君も疲れていたろう、飲んでおいた方が早く回復出来るよ。
[水の神徒の間で淹れた茶よりも仄かな苦みがあると分かる香が湯気から伝わる薬湯を勧め]
皆、本当にお疲れ様。
無事で居てくれてありがとう。
[どんなに良く効く薬も香も、死んでしまった相手には通じない。
皆が全力で、それぞれ己を失うことなく戦ってくれたからこそ自分が此処に来た意味を全う出来た。
そんな想いからユーリエにも向けた感謝を、彼らにも向けた後。
守り人達にも同じように、頭を下げた**]
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