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……ま、なんだ。
無茶しねぇ、とは、言い切れねぇけど。
無理はしねぇようにするから、そう、怒んな。
[その『無茶』が問題なのもわかってはいるのだが。
今は、こう言うしかできなかった。*]
― 再会の後・夜 ―
[ちゃんと休めと散々言われてはいたし、身体も休息を求めてはいたが。
どうしても、すぐには寝つかれなくて、宛がわれた部屋を出たのは深夜の事。
中庭に感じる人の気配は避け、太刀を片手に向かったのは修道院跡を取り巻く堀。
水の気配を近くに感じつつ、しばし、空を見上げて立ち尽くした]
……やーれやれ。
一応、落ち着きはした、けど。
[夜風に銀の髪を遊ばせつつ、零すのは、小さな呟き]
……会ってみたかったんだけどなぁ。
あいつが、全力でぶつかって……知りたいって思った御仁に。
[結局、会う事は叶わなかった人物。
友が師と仰いでいた人。
友が武芸の師を得てから、その話を聞かされた回数は両手で足りない所じゃない。
最初の稽古の事から始まって、何かしら変化があれば必ずそれが伝えられた。
彼の人が軍を辞めてまでその傍らに留まった時などは、前後の説明を全部飛ばして、それこそ飛びつかんばかりの勢いで喜びを伝えてきた。
そこまでの信を得ていた人物への興味は、ずっと尽きなくて。
帰還に同行している、と聞いた時にはようやく会えるんだな、と気持ちを弾ませもしたのだが]
あんたが、どんな思いでいたか。
どんな願いをあいつに託したか。
俺にゃ、想像もつかないけどさ。
……託したそれが、
正しく、届くように。
俺は、俺の全力を尽くす。
[静かな宣の後、白鞘から太刀を抜き放ち。
切っ先を下に向ける形で両手で持ち、目の前に掲げた]
……我が魂たる太刀『霧雨』、そして『白露』にかけて。
気高き武人の御魂の願い、正しく叶えんがため、己が力を尽くす事を、ここに誓う。
[太刀に向け、紡ぐのは誓いの言の葉。
それから、ひとつ、息を吐いて]
……あいつが願う先に行けるように、俺も気合いれてくから、さ。
最後まで、見届けてくれよ……クロイツ殿。
[太刀を下ろし、空を見上げて。
紡ぐのは、決意と願い、二つの言霊。**]
― 翌朝/軍議にて ―
ま、普通に考えたら、橋狙う……かね。
船での渡河は、身動き取り難いってリスクもあるし。
まあ、しょーじき、何が出て来ても不思議ねぇ気はするが……考えすぎても、動けねぇしな。
[橋を狙うか、という予測>>203に、思案の後にこう返す。
橋や船を用いぬ渡河の手段、というのはすぐには浮かばない。
何かしら準備していた、という痕跡は気になるが、そこから先の発想には中々至れぬもので]
おう、りょーかい。
……一度目できて、二度目できねぇ、ってのも情けねぇしな……きっちり務めさせてもらう。
[橋を任せる、という言葉>>204に、配置編成も含めた諾を返す。
歩兵隊とは意識的な連携も強いし、何より、あの橋には少なからぬ思い入れもある。
そこを預かる事に、異を唱える必然性は感じなかったし、それに]
(……あのおっさんも、出てくる可能性高いしな)
[半ば無意識、右腕に触れながら過る思いは口にはしない。
ただ、僅かに細めた銀灰に刹那、宿ったいろは隠せてはいないが。**]
― 翌日/戦準備 ―
[軍議の際に聞こえた何か>>265には、ジト目を向けた。
そりゃもう、全力でジト目った。
とはいえ、指揮官という立場にあって尚、剣士としての血の滾りを完全に制御できていたかと言えば……な立場上、反論はできなかったが]
しっかし、前回は橋を後ろにしての布陣だったわけだが。
今度は逆配置、か。
[南側での橋防衛、という位置取り。
歩兵部隊の内訳見つつ、思案を巡らせる]
……同じ手くってくれるよーな連中じゃねぇだろうし。配置は、ちょいと手入れいるよ、な。
正面重歩と軽歩で固めて、槍は橋袂の両側面に回して。
側面の後ろに弓、正面の後ろに弩が基本、てとこかねー。
[弩の掃射は、緒戦では効果が高かったが、果たして次はどうか。
何かしら、対策が取られる可能性も低くはないだろうけれど]
ま、狭いとこ突っ切ってくる以上、あちらさんの出来る手は限られそうだが。
……型に囚われねぇ分、何やってくっかの予想もつかねぇんだよなぁ。
[初戦における掻きまわされぶり──苦い記憶でもあるそれを思い返しつつ、がじ、と頭を掻いて]
ま、あれだな。
何が出て来てもビビらねぇよう、腹括って。
後は臨機応変に動くしかねーか。
[大雑把といえば大雑把だが、緻密な計略の類を仕掛けるには時間も限られているし、何よりそちらには向いていない。
それでも、同じ場所に詰めるダーフィトに何か策があるならば、と問うような銀灰を向けてみた。*]
[手が離されると、やれやれ、と息を吐く。
後で言っとく、という言葉>>=35には一つ頷いた]
あー……他が言うより、お前が言う方が効果あるだろーからな。
[五十歩百歩の自分が言ってもあらゆる意味で効かないのはわかるから、さらっとそう言って]
[滲む案ずる色と、零れ落ちた言葉。>>=36
自分を思ってのそれは、真っ直ぐ内へと落ちる。
落ちるからこそ、ちょっと痛い部分もあるのだが、そこは押さえて]
……だーいじょぶだって。
忘れて、ねぇから。
俺は『ここ』にいるって、言ったろ?
[口にするのは、遠いいつかに告げた言葉]
戻って来る場所があるのは、忘れねぇ。
『約束』すっから、んな声だすな。
[願い>>=37に対し、返すのは。
流離い人たる在り方を捨てて選んだ場所を、再び捨てる気はない、という意思を込めた言の葉たち。**]
― 軍議にて ―
ん、じゃ、配置はこれでいく。
火矢の件も了解、舟の方は頼むわ。
[出された要望>>294に、返す調子は軽いもの。
その後、細かい配置を調整して]
まー、確かに、総大将だけ引き込めれば、ってのはあるわなぁ……。
実際には、動いてみねぇとわからんが。
[予想や推測を述べていたところで、机上の空論の域は出ない。
ならば後は動くのみ、と。
そんな割り切りがあるから、ここで深く悩む事はしない。
なお、向けられたいい笑顔には、散々釘を刺されていた事もあり、はいはい、と素直に応じていたとか。*]
― 決戦の日 ―
さーあて、んじゃあ行ってみるか。
[出立の号が出されたなら、こちらは軽い口調で歩兵隊に呼びかける。
両腕と足の傷にはきっちり手当てが施され、切り裂かれた籠手も新しいものと取り替えている。
せめて鉄製使ってくれ、とは言われたものの、腕の動き
を遮るものは使いたくないから、と。
それだけは頑なに断っていた]
― サクソー川/橋の南側 ―
[陣を張るのは橋の前。
先に決めた通り、正面に重歩兵と軽歩兵、側面に槍兵を並べて三方の壁を形成し、その後ろに弩隊を配置する。
正面の弩は射界に敵を捉えたら斉射、橋を渡って来られたなら側面からも攻撃を加えつつ、正面の隊で受け止める構えだが]
……ま、こないだみたいな規格外も考えとけよ。
何があっても、驚いたら負けだ。
[正面中央、一応は歩兵の後ろに立ち位置定めつつ。
冗談めかした口調でさらり、と言ってのけた。*]
― 葬送の儀 ―
[葬送の儀、それ自体は少し離れた所で見守った。
立ち位置的に、参列すべき──とは、思うのだが]
……俺は、ここのやり方には馴染めねぇからなぁ。
[そんな言葉で、列には加わらず。
少し離れた所で黙祷を捧げ、葬送の音色が奏でられる>>301のを聞きながら。
抜刀した『白露』の柄をぐ、と握り締めた]
……風よ運べ、空に御魂を。
……水よ抱け、廻るべき命を。
繰り返される廻りの果て、再び地に花開かすため。
今は一時の安らぎを。
[『白露』を手に、紡ぐのは己が一族に伝わる葬送の言葉。
それを紡ぐのは12年前、病に倒れ帰らぬ人となった父の弔いの時以来だ。
なお、この時は大荒れした挙げ句、「誰も手ぇ出すな!」と周囲の手を悉く振り払い。
そのまま5日ほど消息不明となる、という事態をやらかして、戻ってからこっぴどく怒られた──というのは、余談である]
― 葬儀の後 ―
……ん?
いいけど……どした、旦那。
[葬儀の後、さてそれじゃ、と思った所に呼び止められ>>243、緩く首を傾いだ。
人気のない場所へ移動し、珍しく真顔のダーフィトが語る言葉を、まずは黙って聞く]
手当てはちゃんとしたっての。
っつか、その辺りはもう散々言われてるから、大丈夫だって……。
[その辺りの釘は既に刺され済み、故に口調はぼやくようなものになるが。
お前一人の命じゃない、という言葉に僅か、居住まいを正した]
ん……ああ。
[『解放軍』。確かに、友は敵軍をそう称していた。
場の空気的にもその後の流れ的にも、そこを突っ込む者はいなかったようだが]
…………。
[唐突になされた断言。>>256
銀灰がひとつ瞬く。
そのまま口を挟む事なく、綴られる言葉を聞いた]
……確かに、な。
覇王ってヤツがいるんだとしたら、あいつは、それに当たるかも知れん。
[橋の前で対峙した時に感じたもの。
それを思い起こしつつ、そんな言葉を返す]
ま、俺はそもそも、『王』っていう存在に拘りがないんで、細かい事は差っ引くが。
[それは、常から口にしている事]
人の上に立ち、束ね、率いる者。
そういう存在だ、ってのは、わかる。
オクティの持ってる……素養? ってのが、人を護り、導こうとする気質に由来するってんなら、それもわかるわ。
[むしろわかりすぎるわ、と冗談めかした口調で言って]
……ああ。
この戦いが行きつく先、それがどっちに転んでも、まだまだ厄介事が控えてんのは、わかってる。
[ラモーラルを取り巻く情勢。
それを思えば、一つの区切りがつくにすぎないのは明白で。
示唆された可能性と、願い。
そこに込められたものは、感じられる。
やれやれ、と。
呆れたような嘆息が、落ちた]
……っつーか。
そこで頭下げなくていいから。
[どうにも、ここに頭を下げられるとか珍し過ぎて、きょどる。
そんな思いを込めて言い放った後]
……15年前の、争乱の直前。
[言いつつ、見やるのは、手にした白鞘の脇差──『白露』]
親父がこれを俺に渡して、オクティを護れと言った。
結果がどっちに転んでも、あいつは多くを失う。
だから、俺は離れるな、と。
命の恩を命を持って返すために、あいつに添えと。
[それは、今まで誰にも──友にすら伝えていない、過去の一幕]
……まさか、今んなって、それと同じような事言われるたあ思ってなかったが。
……んな余計な心配しなくても、俺は、あいつから離れる心算なんてねーよ。
『霧雨』にもかけて、誓った。
魂にかけた誓いを、セイガの一族は決して破らねぇ。
だから……。
[ここで一度、言葉を切って]
……心配すんな、ダフィ兄ぃ!
[全開の笑みと共に向けたのは。
いつの間にか使わなくなっていた、幼い頃の呼びかけ交えた言の葉、一つ。**]
― サクソー川/川の南側 ―
あー……おっちゃん、仕掛けたか。
[対岸の動きに、銀灰を細める]
さすがに動きが速いっつーか、なんつか。
……年季ってヤツなんかねぇ。
[口調が軽いのは、いつもの事。
けれど、少なからぬ緊張を帯びている事は、『霧雨』の柄を確りと握る左手の様が端的に物語るか]
全員、備えとけよ。
あちらさん、どう動くかわからんからな。
[銀灰を対岸から逸らす事なく、告げるのは短い指示、ひとつ。*]
― サクソー川/橋の南側 ―
……羊?
[もたらされた報告>>369に、最初に上がったのは惚けた声だった]
おいおい……いくらなんでも、こんな状況で放牧とか。
そりゃま、あちらさんの守りがあれば……ってのはあるかも知れんけど。
……財産、なんじゃねーの?
[遊牧の民には、ここに来る前に会った事がある。
住まう土地は違えど、家畜に対する価値観は変わらないだろう、とは思う。
それを、この場に連れてくる、というのは何を意味するのか]
……なんにしても。
こりゃ、とんでもびっくり箱が用意されてるってぇのを、覚悟しとかねぇとまずいか……な。
[羊がここにいる意味、それは完全には読めないが。
想定を超えたものがいる以上、正攻法以外の警戒は強めて損ねぇな、と、思考が動く]
戦場で使えるものはなんでも使え……ってな。
ある意味、常道だからな。
[思考の動きの基礎は正規軍ではなく、傭兵としてのそれ。
父の教えはここに来て、役に立っているような気がした。*]
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