情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 5日目 エピローグ 終了 / 最新
え…あ、は…?
[言われるまま、半ば口をあけて硬直すれば、口元に感じる濡れた熱。
場合によっては恐怖の一つも感じる状況なのだろうと思いながらも、そんな気は全く起きないのだから、これは不思議なことである。
しかしどう見ても、相手の獣からは好意のようなものしか感じられない。]
う、ぁ
[さらにもう一頭が加われば、あっさりと敷布の上へと転がされてしまい、間もなくふた塊の灰色に埋もれてしまった。]
ちょ…くすぐ…
[狼たちは、容赦なく洗礼を浴びせてくる。
ありがたいと思いつつも、さすがにこちらは人間である。
顔中べたべたにされるのには少々、閉口する。
伸ばした指の先で、もはやどちらかわからない狼の耳の下を軽く掻いてやる。]
わ、ちょ…
[そうこうするうち、のし、と胸の上に陣取られてしまい、無抵抗を決め込まざるを得なくなった。*]
/:
加護の一つももらえるだろうだなんて勝手に期待して、祝福をもらったなんてロルを先に書いてしまったわけだけれど、オネダリしたみたいになってしまっただろうか
わふわふ
[大地を蹴って、銀狼は駆ける。
翳したサーベルに、黒の指先で触れ。]
ダニエル!!
[呼ばうは金色の雷狼。
バチリと火花を散らして生まれ出た雷獣は、男の身体を掬い上げるようにして大地を駆け、そして獲物に迫る。
電光石火、目にも留まらぬ速さで大地を掴み、駆ける雷獣の背に跨り、男はぐっと膝を絞めた。
まるで鞭のように襲いかかる水を避け、対する花神の背後を取らんと駆けさせて。]
ハァっ
[振るう右腕は、踊るような軌道と共に、剣先で背中を狙う。*]
/*
どうでもいいんだけど。
実は、ルートよりハルト君の方が身長高いんだよね。
まぁルートは多分軍靴がかなり厚底だと思うので、同じくらいの慎重になってるかな。
体重はルートの方が上ですよ、どう考えても筋肉のつき方違うし。
サービスショットやっても良いんだけどね。
こう、上半身がちっとしてて、割と傷だらけって言う
[逃した、と思うと同時、雷獣は大地を踏みしめ体を反転させて向き直る。
そして、足元に伸びる葉に気付くと、それを嫌がるように後ろへと飛び離れ、距離を取った。]
ッチ
[追いかけるように襲い来る水刃を見ると、男はサーベルを頭上に構え、その水の刃を受け止める。
水に触れた瞬間、サーベルがバチリと火花を放った。
バチバチッと派手な音と共に、水の刃を弾き飛ばそうと腕に力を籠め、同時に右腰のホルスターからリボルバーを引き抜く。
ガチリ、と撃鉄を起こし、狙うは花神の胸の胸。]
マリー!
[叫ぶと同時、背を借りていた雷獣の姿が消え、大地を踏みしめると同時に低い位置で転がり刃を避ける。
弾丸に乗った電気玉は花神を目指して一直線、振れた箇所でスパークが弾ければ、中から手のひら大の雷魚が姿を現す。]
[追尾する電気玉は、しかし突如上がる水柱に衝突し、弾ける。>>*13
溜めこんだ雷撃を水流へと叩き込めば、水を操る花神へと届いたようだった。
雷魚は水柱の表面を跳ね、そして踊るように尾びれを振る。>>*14
ジジ、と辺りに発生する磁場は、水流を柱の形に維持していた力を狂わせた。
雪崩れる水流、それを目にすると同時に、左手でサーベルへと触れる。]
ダニエル!
[同時に雷魚が消え、代わりに雷狼が駆け出した。
花神の背後へと回る雷狼に合わせ、正面から斬り込まんと、体勢を低くして前方に刃を構え、一気に距離を詰めると踏み込んだ。*]
[錫杖により叩き落とされたサーベルを、流れに任せて手首で返し、そのまま貫くを試みる。
しかしそれより先に、錫杖の先から飛び出す水槍に気付くと、反射で体を捻った。]
ッチ、
[同時に背後から雷狼が獲物の肩口へと喰らい付き、その牙から雷電を放つ。
若干逸れた槍先は、男の左目の下の皮膚を浅く切り裂き、紅を散らす。
避けた、と思った。
直後、ぐっと軌道を変えた槍先が、男の背後からその胴を刺し貫く。]
ッぐ、
[花神に喰らい付いた雷狼が、その牙を緩め男の下へと駆ける。
半ば体当たりをかますような勢いで、男の身体を掬い上げると、即座に距離を取った。
左のわき腹、元々あった古傷のすぐそばに、新に穿たれた傷から、鮮血がしたたり落ちる。
主の加護が無ければ、それ以上立つこと叶わなかったかもしれない。
永い時をかけ、何度も何度も演じられる神話のように。
語り継がれる英雄たちのように。
様々に塗り替えて、繰り返される逸話のように。
肉体が急速な再生を見せ、穿たれた穴の修復を試みる。
時間にして数秒。
傷が消えるわけでは無いが、もう一度戦場を駆けられるようになるまで、金の獣が男を護衛するように、花神を睨みつけた。*]
─ 回想 ─
『ならば、私も貴方に連なる者の一員としていただいたのですね。』
[静かに話を聞いていたルートヴィヒが言う。
ガートルートが口を開く前に、またシヴがピクリと頭を動かし、アイスブルーの瞳でこちらを見た。
あー、と笑み含む声で珍しく曖昧な返事。
興味を失ったように頭を伏せた狼を見て、男は少し眉を下げる。]
ルートの場合はちょっと特別。
雷華としての転身より従華としての性質が勝るからな、『今は』。
[ココが繋がってるから、父子というより、分身に近いんだ。
そうして指で叩いたのは、己の胸骨の上。
その奥にある臓器を指しているのは青年には伝わったろうか。
ルートヴィヒが狼達にのし掛かられたのは、そんな会話のすぐ後だったか。]
っははははは!
ホンッットに気に入られたなァ。
[顔中すっかり舐め回されべとべとにされ、眼鏡もズレたまま敷布の上にひっくり返りもはや無抵抗を貫いていた青年に男は笑い声をあげて労った。
膝立ちでにじり寄り上から覗き込むと、ひょいと眼鏡を外して清潔な布で顔を拭いてやる。
満足したらしい二匹のハイイロオオカミは、めいめい外や別の部屋に移っていった。]
…っく、ふふふ…
[未だ笑いの治まらないガートルートは、卓の上の陶器から三つ目の
ルートもたべるか?
[半身を起こしてやや憮然としている(気がする)青年に首を傾げて問うた。
しかし、それは問いの形をしてはいるものの返事を待つ気は無いらしく。
床に手をついてまるで先ほどの狼達のように青年の腹にのし掛かる。
下から覗き込んで鼻先を寄せて、彼の下唇をべろ、と舐めた。]
くち、あけて。
[反応が返るより先に唇の隙間から舌を捩込む。柔らかいあまいものを青年の口内に押し込んだ。
そのまま、溶かすみたいに舌先でその物体を追い掛ける。バターと砂糖のにおい。子供が好むような、甘さの。]
ルート、…………。
[小さく呼んだ名前は、互いの口の中のそれと同じ味がした。
狼達がしたのと同様に青年の腔内を繰り返し丁寧に舐め上げる。舌の奥、上顎、喉の方まで、漁るように何度も。
溶けかけだった
男はようやく身体を離して、ぼふ、と青年の腹の辺りに顔を埋める。
"獣が相手の口元や口内を舐めたがるのは、主や仲間に対する挨拶は勿論、親愛や好意を示すことが多い"。
先ほど自分でした説明を、こちらを向く青銀の瞳を見上げながら再度口にして。]
……まあ、俺のは、甘えてるだけだけどな。
[腰に腕を緩く回し、青年の腹に顔を埋めたままくつくつと笑って、言った。*]
/*
同じフィールドで戦ってるなら、ハルト君をこう、ワイヤーでひっかけてこっちに巻き込むっつーか、盾にする、みたいな下衆いことをやりたくなってしまう。
やりませんけど。
/*
そして、僕から見える状態だと、主のあのあんまい秘話の直後にハルトくんの決死の赤なのね。
笑うよね。
愛しいわ。
[響く鈴の音、共に広がる波紋。
その出所は対する花神自身。
ざわり、と首の後ろが総毛立つと、ぐ、と下肢に力を込めて立ち上がる。
寄り添う雷狼の背に手を添えて、睨みつける眼差しは爛々と。
蒼銀に燃え、銀の狼は牙を剥く。
傍らの雷狼が、身をかがめ、大地を汚した赤を舐めた。]
バチバチバチッ
[派手な音と共に弾けたスパークに飲まれ、雷狼が遠吠えを一つする。
刹那、ぐ、とその背が盛り上がり、そして、巨大化する。
傍らの男と肩口が並ぶほどにその身を成長させた雷狼は、低く唸って牙をむき出しにする。
男は広がる波紋がつま先に触れる瞬間、それを避けて飛び上がると、雷狼の背に流れるたてがみに捕まり、その背に跨った。
同時に強く大地を踏みしめ、跳躍する雷狼。
雷狼が、その足で踏みしめた大気が、バチバチと火花を放ち、それを足場に跳びまわる。
一歩、二歩、三歩…
段々と高度を下げる雷狼が、宙を踏めるのはせいぜい10歩にも満たないだろう。*]
― 回想 ―
[一族より強固な繋がりを示唆され、胸の内に広がる悦び。
顔に現れたソレは、主にはばれていただろうか。
しかしそれを確認するより先に、狼たちの洗礼を受ければ、どこか茫然としている。
覗きこまれた金色を見返すと、顔を清められた。]
ん…ッ
どうも…すみません…
[力なく返した礼は、しかし決して嫌そうなものではなく。
ただ人の身をもつ男には、いささか強烈だったというのは見て分かったかもしれない。]
[半身を起して、少し頭を振り、しかしまだどこか悄然としていると、菓子を勧められた。
しかし、いただきます、と返事をするより先に、近づく顔。
…この体勢は、身動きができない。]
っは…あ…?
[大きな獣のような人だとは思っていた。
だが、“人”である。
少なくとも、姿かたちは。
突然の事に硬直している間に、口の隙間から押し込まれたのは…]
ん、は、ぁ…ッ!
[幼い頃から戦いに明け暮れ、まともな口づけ一つ経験のない朴念仁である。
そんな男にこの挨拶は、些か強烈に過ぎた。
獣の舌とは異なる、もっと明確な。
ぞくり、と背筋を駆け抜けた物の正体を知らぬまま、気づけば解放された口元から零れる呼吸音が、ぜぇはぁと煩い。]
は…は…
[腹に埋まった主が、説明のように口にした言葉には、ただただ頷いて。
その意味を考えるのは、また後の話である*]
[狙う獲物へと距離を詰め、牙を届かせようというのはこちらもあちらも同じこと。
数度宙を蹴った雷狼が水面に近づけば、とたんに水面から伸び来る無数の花茎。
雷狼の足が、行く手阻まれる度にバチリと火花を散らすが、構わずに絡みついてくる蓮に、男は目をやりぐっと下肢に力を込める。]
ッ、
[雷狼の背を蹴り、跳ぼうと思った。
しかしそれを寸前に留める。
それは、空中を狙われる恐れを加味した故の行動だったかもしれないし、あるいは…
正面から向ってくる花神を、受けて立ちたいという衝動に飲まれたからかもしれなかった。
構えたサーベルに左の指先で触れると、バチリと金属が帯電する。]
ッ、ハァッ
[気合を込めるように腹から声を出して、見据える瞳は蒼銀に燃え*]
[振られる錫杖に従い、左側から飛来する水の針を、庇うように構えた左腕で受ける。
突き刺さるそれらを、ぐっと奥歯を噛みしめて耐え。
直後、返す錫杖が纏う水刃を、構えたサーベルで受け止めた。
バチバチ、と触れたところから雷電が散る。
反射で顎をもたげ、身をのけぞるようにして露わになった喉が、ごくりと揺れて、ふはっと笑いが零れる。]
ふは、惜しかったな。
[刹那。
足元の雷狼が
狙うは喉元。
人体であれば、急所であるはずの場所である。*]
[弾けるはずの水刃が形状を保つことに疑問を抱くのも一瞬、その水刃がただの水ではないことは即座に知れる。
得体のしれぬもの、だ。
長く受けるは得策ではない、思うと同時に雷狼が花神へと喰らい付く。
バクン、と閉じた顎が捉えたのは、花神の胴の肉。
…否。
花弁であった。]
ッは、
[落ち行く花神を尻目に、今度こそ雷狼の背を蹴って高く跳ぶ。
針を受けた左腕は抜き撃ちには使えない、宙で右の手にしたサーベルを鞘へと納め、そして。
左の肩から斜めに下げていたワイヤーを、慣れた動作で解き、先のフックを手につかむ。]
[男の眼下で雷狼が消える。
それを目にしてから、ひゅん、と音を立てて一回転、フックのついた先を回し、そのままの勢いで、手近な礫山へと投げつける。
狙い違わず山の先端へと喰らい付いたワイヤーを、ぐっと右手で引き寄せて。
水に飲まれていない大地へと、踵を付ける。
足場の不安定なその場所へと立ち、くるりと軽くまとめたワイヤーを手に、花神を見据える。
近づけば、足を取られる。
遠距離を飛ばす銃は、狙いを定められる自信が無い。]
…貴女だけは、使いたくなかったんだが。
[別段使役しているわけでは無い。
気持ちの問題である。
男はワイヤーの先端を左手に握り、右手でフックをほうり上げる。
ひゅん、とフックの重さを使い、投げる先は、花神。]
クリスティーナ…
[まるで囁くように、その名を口にすると、金色がワイヤーを駆け抜け、そして。
雷蛇がそこへ絡みつき、狙う先へと牙を剥く。*]
情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 5日目 エピローグ 終了 / 最新