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…バルタさんは、このあとどうするんですか?
[アリーセさんは、欧州に向かうって、言っていた。
じゃあ、バルタさんは?
迎えが来て、戻るんだろうか。
できることなら、白騎士さんの修理や整備、お礼の気持ちも込めて、手伝わせてほしいけど…っと、そうだ、いけない。
クレイカさんの操縦席を立って、白騎士さんにまっすぐ向き直る]
あのっ…ありがとうございました。
…守ってくれて。
言葉をくれて、ありがとうございました。
バルタさんがああ言ってくれてなかったら、私、きっともっと後悔してた。
[みんなを助け出すことはできなかったけれど。
それでも、特装に乗り込んでたおかげで、瓦礫に埋もれた人たちは助かった人も多かった。
特装が目印になって、見つけやすくもあったし。
…コクピットを狙われた人たちは、どうしようもなかったけれど。
それでも、あそこでただ、泣いてただけじゃ、今頃、きっとずっと後悔してたから。
だから、ついててくれて、守ってくれて、動く気持ちをくれた、バルタさんに、ちゃんとお礼を言っておきたかった]
私の、やりたいこと…
[さっき、自分の考えてたことを、思い出す。
人を殺すことと、戦おうって思ってたこと]
じゃあ、また、お願いしたら、手伝ってくれま…
[聞こうとして。迷う。
それは、危険に付き合わせることにならないだろうか、って]
…アリーセさん。
近日中に大規模な蟻退治があるんですけど。
参加していきませんか?
きっと、それが済めば多少の余裕ができますから。
護衛とかだってできるかも知れないです。
[それと同時に、蟻退治に一段落つけば、欧州戦線に向かうことができるかも知れないっていう思惑もあった。
なにが起こるか分からないから、なにができるかは分からないけど。
それでも、なにもできないってことはないはずだと思いたかった]
世界には、って、大げさすぎじゃあ…
[言いかけて。留まる。日本だって、連合軍だって、AIUだって、なんとかしたいんだから。
必要とされるかどうかなんて分かんない。でも、世界くらいって言える気持ちじゃなくてどうするんだ]
…分かりました。
でも、バルタさんだって十分、関わってるんですからね?
守るって言うなら、バルタさん自身のことも守ってくれないと困ります。
庇ってくれるっていうなら、傷つくな、とまでは言わないですけど。
直せる範囲でお願いしますね。でないと、私のほうが庇っちゃいますから。
[目の前の騎士に、そう告げて。
ええと、こう言うときの作法って、よく知らないんだけど…]
さ。まずは呉に戻りましょう。
間違いなく忙しくなりますからね。
こき使っちゃいますよ。
[告げて、クレイカさんを起き上がらせ、歩かせる]
それに、早く白騎士さんも直さないと。
[腕と頭に被弾して、ところどころに銃創も刻まれた、見るからに痛々しい姿の白騎士さんは、見ていて辛い]
−呉・快速工廠艦 せと−
ただいま、おじぃ。
『おう、まぁた無茶やりやがったなバカ孫』
[呉に着いて、ひとまずは社長さんたちのところに向かったバルタさんといったん別れて、なんだか久しぶりな気がする我が家へ。
出迎えたのは、ため息混じりのおじぃの言葉。手にはこの時代だっていうのに端末じゃなくて新聞紙が握られている。
大方、大阪での一件が記事にでもなったのだろう。
だいぶ目立ってた、大通りを半裸のおじさんぶら下げて交番まで練り歩いたほうか、通信でかなりの広範囲に知れ渡っちゃった、あの警報が鳴ったときのほうかは知らないけど]
『まぁ、今回はひとりで突っ走ってなかったらしいとこだけは褒めといてやる。けどな、だからって―――!』
うん、それでね、おじぃ。
『――――なんだよ』
[記事には、あの、ビルの中で突っ走った件は載ってないらしい。まぁ当たり前か。
それでもまだ何か言い募ろうとするおじぃをまっすぐ見つめて、遮った。
渋々ではあるけど聞く姿勢になってくれたのは、真剣な話だって、察してくれたらしい]
私、戦いたい。
『…はっ。なに言うかと思やぁ。
バカ言ってんじゃねぇよ。言ったろ。軍人の仕事は軍人の仕事だ』
うん。
でも、軍人さんは、軍人さんの仕事は、人を殺すときがあるから。
人が、人の作った道具で人を殺すなんて、そんなのヤダ。
私にそういう風に教えたのは、おじぃでしょ。
『…だからって、なんでお前が戦わなきゃならん』
ほかの人たちも、さっきのおじぃみたいに言うから。
人が、人を殺すのは仕方ないみたいに言うから。
だから、私がやるの。ほかの誰もやろうとしないことなら、まず自分が動かなきゃ。
これもおじぃが私に言ったんだよ?
『だーくそ!ああ言えばこう言いやがってっ!!
誰に似やがったこのガキ!』
おじぃでしょ。
『……〜〜〜〜〜っくそ。
…できるつもりか? それこそいつも言ってるよな。できることをやれって』
うん。
だから、これは戦いたいっていう報告で連絡で、どうすればいいかな?っていう相談なの。
できるとこから手をつけてこうって思うから、まずは連合軍の人たちが協力してくれるって言ってた蟻退治から始めようって思うんだけど。
私一人じゃ、また急ぎすぎちゃうかもしれないし。
危ないことしちゃうかもしれないし。
だから、相談。
[アリーセさんに協力のお願いをしたのは、まずその一歩>>35。
でも、まだまだきっと足りてないから。
大阪での一戦で、連合軍にも小さくない被害が出てたのだって、間違いないし。
当初の目的だったAIUの協力だって、結局は取り付けてない。
…ただ、あのビルに攻め込むためのおとりに使われただけっていう気がするのは考えすぎだろうか?
……いいや。考えたって仕方ない。
それでも、連合軍があの計画に協力するって言ったのは事実。
だったら、思いっきり利用しちゃうんですからね]
『…まぁ、ここまで言われちゃなぁ…
へいへい分かった。わーかったよ。
知恵くらいなら出してやるよ』
やった!ありがとおじぃ!
『ただし、動くのはお前で、責任者もお前だ。言ってる意味分かるか?』
……うん。
[責任を持つってことは。大雑把に言って、“悪いことが起きたら私のせい”ってことだ。
例えば計画の途中で人が死んだら、私のせい。
…重たいなぁ。
でも、それが、やめる理由になんかならない。
やりたいことのために必要なら、背負う。
だいじょうぶ。死なせなければいいんだから]
分かってる。やる。
−呉・Rainbow Arch社 整備スペース−
バルタさん!バルタさぁーん!
[そのときバルタさんはどうしていただろう。
声をかけて、駆け寄って、息を整えて。
近くに社長さんもいたなら、紹介してもらって、自己紹介を交わしたりもしただろう]
んっと…お邪魔にならなければ整備を手伝わせてほしいなって。
重機操作でも部品の組み付けでも道具の保守整備でも何でもやりますから、お願いします!手伝わせてくださいっ!
[深々と、頭を下げる。
だってそれらの傷は、自分を守ろうとしてくれたからついた傷だ。
どんな形であれ、直す手伝いがしたかった]
あ、と。そうだ。
それと、これ。
よかったら見てみてください。
どれもウチの自信作です。
気に入ってもらえたのがあったら、どれでもひとつ、今回の護衛報酬ってことでお渡しします。
それ以外のでも、割安でご提供させていただきますから、考えてみてくださいね!
[言葉とともに、分厚いカタログを差し出す。
糸川くんに使ってる、軽くて硬くて熱にも強いセラミック装甲板や、多少出力を調整して一般規格の動力源にも接続しやすいように改良したジェットエンジン。
他にも、動力不要の刃物としては最高の切れ味を誇る長船さんとこの刀剣類もあるし、いつか中尉さんにオススメした変り種兵器の数々もあった>>0:234。
あとあとアリーセさんのとこにも持って行くつもりだけど…陸戦艇となると、規格が合うかなぁ…?]
それからこれ。
申し訳ないんですけど、よかったら心当たりに配ってもらってもいいですか?
[もうひとつ取り出したのは、ビラの束。
内容は、蟻退治作戦の概要だ。
おじぃが読んでた新聞紙見て、閃いた。
紙媒体使ってたくさんの人に知ってもらおう、手伝ってもらおうって。
だから、近々アリーセさんにも、傭兵仲間の人がもしいたら、声をかけてもらえるように頼みに行くつもり]
−それから数日−
[蟻退治のために、文字通り走り回った。
バルタさんの白騎士さんの整備が済んだら、次は協力者集め。
予定通りにビラを渡して、大阪で広報を請け負った会社の人たちにも同様の依頼。
あの、広報のときの一件で叱られるかと思ってたら、逆に喜ばれたのは、半裸のおじさんをぶら下げて町を練り歩いた姿が、テロリストの検挙に協力した民間人として報道されたかららしい。
おじぃが言うには、連合軍と多企業の看板背負って歩いてるところを大勢に目撃されてるから、揉み消すよりはプロパガンダに利用されたんだろうって。なんだかなぁ…
でも、利用されたら利用し返してやるって決めたので、プロパガンダも大いに真似させていただくことにした。
反攻作戦のライブ中継だ。
その話を持ってTV局各社を回って。
取材してもらうことにした。取材料も多少なり入ってきたから、そのお金はまるまる傭兵さんを雇うのにまわして、それから取材の話を持って、防衛能力を持った民間企業各社を回る。
ウチやバルタさんのRA,シュテルンさんが所属してたグローセンハンクみたいな、連合軍から防衛手当てをもらってたとこだ]
[TV中継されるってことで、自社の技術をPRするチャンスだからってことで、そっちの方からも協力者をどんどん募る。
そうなってくると、作戦に参加する企業の利用者や関係者たちから口コミで、反攻作戦に参加する人は正義の味方!みたいなイメージが出来上がってくるから、そうなってきたら今度は連合軍以外の軍隊さんにも話を持っていく。
異国の地で肩身の狭い思いをしていただろう軍隊さんは、活動しやすくする意味でも、イメージアップって大事らしいっていうのは、おじぃの助言。
そうでなくても、侵略者からの防衛を謳って日本に駐留してるんだから、これだけ反攻作戦が有名になってきて動かなかったら大問題だ。
そうやって、いろんな人たちが集まるようになってくると、どさくさ紛れの同士討ちもちょっと怖いけど。
その辺は、複数の報道陣がライブ中継してくれるとこが抑止力になるらしい。
そりゃ、生中継で世界中に見られてる中で、仲間を撃ったらまずいよね]
[そうやって、あちこちを回る、私の脚になったのは―――]
『S・糸川くんだ』
…え?
[おじぃに唐突にそう切り出されたときは驚いた。
糸川くんにはもう乗せないって言われてたし、当分触るのも、見るのもダメって…]
『言ったろ、S・糸川くんだ。糸川くんとは違うのだよ、糸川くんとは』
…なにその屁理屈。
[思わず苦笑い。しばらくぶりに会った糸川くんは、なんだか着膨れしたみたいに一回り大きくなっていた。透き通るドームを開けて、コクピットに収まる。
コクピットの座り心地は、前と同じに思うけど…]
『一回りでかくして、できた隙間に立山のヤロウんとこの接着剤を封入してある。
これでグルーガンの弾切れはほとんどねぇし、仮に装甲が万が一抜かれることがあっても、突き破ってきたヤツを接着して硬化、装甲の一部にできるって寸法だ』
[ぱたたたたっとパネルの上で指を躍らせて、おじぃの言葉を確かめる。…あれ?これって…?]
『…隙間が足りなきゃ、でかくすりゃいんだよ。バカ孫め』
[パネルに映し出された内部構造。その各所に、私の考えてた衝撃吸収構造が追加されてた。…消すとか言ってたくせに。おじぃのヤツめ]
『でかくした分だけ重量も増えてるからな、ジェット一基増設してある。
バランスの取り方がだいぶ違うぞ。うまく使え』
ん、分かった。
[おじぃに言われてシミュレータ起動。言われたとおりだいぶ重量も増えてるけど、出力も延びてるから、速度だけ見ればむしろ上がってる。
それに。うん。こっちもやっぱり、私が弄ってたモーションデータが組み込まれてる。
ためしにちょっとシミュレータ上で動かしてみる。
うん、これなら、ちょっと慣らし運転すればなんとかなるかな]
……ありがとね。おじぃ。
『……ふんっ。問題点が分かっててほっといたんじゃ技術者の名折れだからな。
テメェのためじゃねぇや。糸川くん完成のためだ。思い上がんじゃねぇ』
あははっ。
…うん。絶対行こうね。宇宙。
『おう』
[それが、みんなの夢だから。
みんなの夢を見るために。遠い空に手を届かせるために。今は、足元を。地球を。なんとかしよう]
…行ってきます。
『おう、行ってこい紗々』
[向かう先は、私が駆け回ってる間に連合軍の人が見つけてきた巨大ネスト。
その所在は、九州、鹿児島、桜島。
旧世紀のそのまた前から、ずっと活動を続けていた火山の根っこ。
そこに、極東のあっちこっちから集まった企業の人、傭兵の人、軍隊の人が集まってきている。
侵略者をやっつけるっていう、ひとつの目的のために。
発起人ってことで、私が命名を任された、その名も―――]
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