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あまり、気に病まれませんように。
ベルンシュタイン大佐も、貴方のそんな顔は見たくはないでしょう。
[――それだけを告げて離れる。
実の所、在学中に彼女とディークが組んで戦う姿を見かけた際から、ふたりは恋人同士と誤解していた侭であった。
今の両者の関係は知らぬが、その先入観が、二人の間に流れる空気を、ほんの少し甘いものに見せていたのかもしれない]
――通信石ですか。
帝国に、片割れが…?
[美しい薔薇色をした石を眺め、僅かに首をかしげて尋ねる]
………。
片割れを持っていたのは、もしやリエヴル・ド・トゥーレーヌでしょうか。
[もしその理由を尋ねられれば、軽く瞬きして笑い]
――ああ、いいえ。思い付きです。
こちらの前線最高指揮官が所持していたことと――
今のお言葉ですと、帝国に潜入した者が所持しているにしては、切り札として扱いが大きいようでしたので。
敵幹部、或いは戦死した准将とのホットラインであった可能性を考えました。
つまりは敵中枢と直に繋がる連絡手段を手中にした、ということで宜しいか?
[宣戦布告。人質交渉。さまざまな使い道はあるだろう。
――この石の元の持ち主が、それを望んでいなかったとしても]
――渡河、…か。
[潜入するだけならば、ほかにも方法はあることを知っている。
しかし其れは、退路を断つことにもなりかねない。
無表情なままに伏せた目は、何らかの迷いを示してはいたか。
――しかし唇は開かぬまま、ただ、ディークの言葉に聞き入った。]
[シロウ・ファーイーストの件はひそやかに囁かれてはいたが、改めて耳にするのはこれが初めてのことだ。
己が祖国に属する事を当然とする彼らにとっては、それは裏切りであり、理解しがたい行動なのだろう。
だが傭われた刃であるという事がどういう事なのかを、彼らの方も、恐らくは知るまい。
尤も、シロウが己の判断により自らの犯行を自白した――という事実を知れば、傭兵としての彼は首を傾げたであろうが]
(……意外とは、思わないが)
(簡単に自白した、というのはどういう了見なのだろうな。何か、政局に絡んだ取引でもあったのか…)
(幾らか事前調査は終えて来ていたが、あまり思い当たることもないな)
[敢えて言えばそれが気になり、暫く口元に手の甲を当てて思案する。
大臣暗殺の黒幕は、『狼』の雇い主――クレメンス・フォン・グリューネワルド。恐らくはこの事件にて、失脚の憂き目を見ることになろう。
その後は和平派が台頭することになろうが、彼らが完全に実権を握るには、恐らく、まだ問題が大きすぎる。]
[……ひとつ気にかかるのは、ラウツェニングとトゥーレーヌの心中譚だ。
それぞれ名家の令息、当主である彼らが相討った事――
大公の血をひくラウツェニング家に残された後嗣は、開戦派の父親の元で育ち、恐らくは薫陶を受けている、という事実。
相討ちと言えど息子を、兄を敵方に殺され、体面的にもただ引き下がりはしないだろう。
彼の従兄であるという大公もまた、わが子を殺されたラウツェニングを無碍にするわけにもゆくまい。]
(…そして『狼』が和平派に寝返ったというのなら、大臣暗殺をこの場で告白するより、もっと良い方法があった筈。)
(寧ろ開戦派――ラウツェニング家の庇護を求め、拒否された、という事だろうか)
(もしくは教え子達の正義感を、甘く見ていた、という事かな)
ノトミヒャ心中キタ━(゚∀゚)━!
と思ったら心中じゃないの? そうなの?w
なんかカサンドラやりたい事があって心中キャンセルしたんだろうか…
……少し、すうっとしますが、甘いですよ。
[シェットラントと同室だったフレデリカは、見たことがあっただろうか。
彼女の掌にそれを残し、踵を返した*]
[たっぷりのミルクで淹れられたココアに、カップに別盛りにされたホイップクリームとシナモン。
それにバナナのカステラを添えて。
漂う甘い匂いに、同室者の目は覚めただろうか。
机の上に積み上げられた年鑑を自分も捲りながら、ウェルシュの問いに答える]
――ああ。俺の後援者が、都市から大分遠い場所に住んでいてな。
シュヴァルベなら簡単に両国の年鑑を手に入れられるので、購入して送ってくれないか、と頼まれている。
……その手間賃として、1冊余分に購入していい、と言ってくれているので、甘えているんだ。
此処に来てからのものは大体あるが…… 興味があるのか?
[ココアを口にしつつ、特に嘘のない事情を、率直に答える。
――聊か探るような思いで、しかしさらりと尋ねた質問に、ウェルシュは、『戻ってからが大変』と返してきた。
それは、卒業してからという意味なのだろうか。
もしそれが正しいなら、政局に直接にかかわるような家柄を予想させる言葉に、しかし気づかない振りをして微笑する]
図書室では揃うのが遅いし、持ち出しも出来ないからな。
俺はもう殆ど読んだし、いつでも借りに来るといい。
歓迎するぞ。
[ココアのカップを持つ手は、白く。
まるで、あの白猫のようだな、と思ったことを覚えている。」
…ん? ああ。
あの人形のことを考えていた。ほら、白猫の…。
随分愛らしいが、手作りなのか?
[返るのは否定の言葉だったが、幾分様子はおかしく見えて。
どこで買ったんだ?と問えば、バザールで入手したという。
まさか彼自身が造ったとは思わない故に、ほわほわのマスコットを思い浮かべ、素直に納得して頷く。]
……確かに、バザールで売っていてもおかしくはない出来だ。
スノウにとてもよく似ているから、見つけたらきっと喜ぶ奴も多いだろう。
特に、西寮にはスノウのファンが沢山いるからな。
[その言葉に、彼は何を返したのだったか。
――まさか当時はただの友人同士だった同室者との間の、微妙な雰囲気の変化を悟られているとまでは思っていなかったが。
交流は、卒業までそうやって続いていた*]
みんなちゃんと追悼していてえらい…!!!!
すみません!村建てのくせにすみません!!!
でも葛藤しすぎちゃいけないキャラだということに気づいてしまって。メロウな面を余り見せられなくなってしまった
うううう うううううう
―会議後―
[隊に戻れば、専用の天幕が用意されていた。
仮に中尉相当の位を賜った故に、取り急ぎ用意されたものであるらしい。
隊の皆が眠るものよりも更に広い其れに瞬きし、案内してくれた兵士に告げる]
……お心遣い痛み入ります、とお伝えしてくれ。
[荷物も、既に移されていた。
感謝を述べ、ひとりになった天幕の、簡易な寝台に座る。
――ふ、と、大きく息をつく。
酷くだるい気がして、しかし、脳の芯は冴えていた。
短い休息だ。休んでおかねばなるまい。
だがその前に、やらねばならないことも、あった]
[――魔石がゆるやかに光っているのに気づいたのは、ローとの定期通信を終え、灯りを落とした寝台の中だった。
枕元に置かれた指輪は、ぼんやりとした赤の、蒼の――真珠色の瞬きを繰り返す。]
ローからか…?
[取り上げて、指に通す。
寝台に横たわったまま、薬指を覗き込んだ。
瞠目した。
認識番号はローのものではない。
もうひとつの――イェンのもの。]
………。
[何を言っているのかわからず、ただ、ぽかんとしたまま指輪を眺める。
やがて、本当に彼が本格的にレシピを話しはじめたところで、気が抜けたように、寝台に転がった。
木の台の上に藁で形作った簡素な其れが、ぎしり、と軋む。
その音は、向こう側に聞こえただろうか――
わからない。
ただ。
……砂が水を吸うように、その声を貪る。
ぼんやりと、穏やかな懐かしい響きに耳を澄ませる]
『蜂蜜色になるまでじゅわじゅわ焼く。林檎から出る水分と砂糖が混ざって、いい匂いがする。』
『焦がさないように――』
[思わず、クスリと笑みが漏れる。
鼻を擽る、懐かしいあまい匂い。
砂糖と蜜と、果実。
あの頃、『彼』と――
ダーフィトと共に、常に傍にあった――もの]
[どうしたらいいのかわからずに、目を伏せる。
壊れ物のように、そっと、指に嵌めた魔石にふれた。]
(……俺は、もう、殆ど菓子を口にすることもなくなったよ)
(口にするのは一掴みの砂糖と、馬乳。それに酒。そのくらいのものだ)
(草原の生活は――俺が子供であった昔より、更にずっと厳しくてな。なかなか嗜好品も手に入らない)
(たぶん、痩せてはいない、と思う。……大丈夫。少し体質が変わった気がする)
(……お前は、少し頬が削げたかな。…だが、あんな真似をするから、碌に顔を見られなかった)
(なあ、ダーフィ)
(俺は、……俺は、もう…――)
[やさしい響きを紡いでいる、彼に。
四年。
彼と離れている間に。
――なにもかもが、変わってしまったのだと。
そう、……口にするのは、どうしたらいいのだろう]
………。
[双眸が、ゆがむ。
やさしい声を繰り返している仮面石。
……その上に唇を触れさせて、軽く吸う。
その音は、向こうに響いただろうか。]
……、……フィ。
――ダーフィ……。
[殆ど掠れた息にしかならない声で。
――彼の名前を呼んだ。
通信を切断するスイッチに、力を入れる。
……その、瞬間に*]
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