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[己の名乗りに浮かんだ表情を見れば、>>*30対峙する相手の思いは知れる。
それでも闘う意志を失くさぬ様相から、やはり彼女も良い縁を得られたものだと仄かに笑い。
突き出された棒、その先から伸びた水の刃の挙動に応じた竜の動きはこれまでの経験則]
何、これは年季の違いという奴よ。
伊達に幾度も喚ばれてもおらぬでのぅ。
[あくまで皇玉としてではなく、この場に喚ばれた同士として笑う。
折られた棒はそのまま絡め捕ったまま、扇から伸びた蔓は更に蠢き]
[年若く疾さも持つ海蛇は、得物を握り直す暇も短い。
上段から振り翳された棒から噴き出す水の刃は、先よりも長く形作られて。
ざくり、音を立てて斬られたのは竜を護るように蠢き続けた蔓の一端]
っ、早いのぅ!
主の動きを追うが精々じゃ!
[その音に、振り下ろされた軌道を知った竜が飛び退くのと。
難を逃れた蔓、絡め捕ったままの棒の先が振り子のように元の持ち主の胴めがけ打たんとする
[他者に力を借りるというのは多少の忌避もあった。
自分の望みともいえるものに巻き込みたくない。というのもあるが、自分が高みを目指すにあたり、余計な何かを容れるのを嫌であった。
でもこの、一つの高みにいたった竜といえば]
ん……まぁ……
[小さな憎まれ口。密やかなる思いを告げるような意識も途絶え、少しだけ困ったような表情に変わる]
[天女のように舞うような雷華を少しぼんやりと見つめる。
自らの心にあることが是とうつり、膝にあがる雷華を容認するように抵抗もせずにいる。
通じるまでは、自らとアデルとの差に、理解できないようなもどかしさもあった気がする。
今は―――ああ、そういえば――と。唇にふれる指に、ふと浮かんだ言葉。
そっと手を重ねるように優しく重ねて]
…ああ、そうだ。
月も恥じらい己を隠す。というやつか。
[先ほど、少しの逡巡の後にいった言葉を思い出したように、口にした**]
/*
……いや、まぁ、のぅ。
ペア組決まった時から主の恰好良さにも、一筋縄ではいかぬ一癖二癖あるだろうとも分かってはおったがの。
少しは手加減してくれてもいいと思うんじゃがのぅ!?
儂の主は赤フン一丁と唱え続けるこちらの身にもなってほしいものよ…
どう見てもおかしい身形なのに恰好良いとかタチ悪すぎじゃ…
[扇が変じた羽衣が、ふわりと竜の身を運ぶ。
膝に上がった男の胸に添えた手から伝わるは、鍛え上げた硬い肌。
けれど、もう一方の手、指で触れた唇は男に触れる竜のそれと似た柔さ。
相応、男の身にもこちらの重さ、温もりを伝えながら]
やはり主でも、こちらまでは鍛えられぬものなのじゃな。
[面白いと笑うその顔は、見目相応の少女のような素直さを隠さぬもの。
伸ばした手指へ、重ねられた手には最初、不躾を咎められたかと過ったが]
…ならば、此度の舞台は儂らの独壇場と出来るのぅ。
[月が身を引くならば、残る華が主役に成ると。
そう言って笑む竜のかんばせに乗るは自信に満ちた、けれど確かに恥じらいも含んだそれ。
重なる手はそのままに、視線をふい、と脇に逸らして]
さて、そろそろ降りるとしようかの。
時間もそうじゃが、主も儂もこの身形じゃ。
人目があればあらぬ誤解をさせてしまう所じゃろうて。
[己が纏うは、華霞に煙る雷光のような淡い薄衣。
肌を隠さず最低限の衣しか身につけぬ男の膝に上がる様相は、傍目があれば目を逸らされても不思議ではない。
小娘にでもなったような不思議な心持に、内心一つ、調子が狂うのぅ、と苦笑の溜息を落とした]
─ 回想/準備中 ─
[身支度を整えて、ぱちんと扇を鳴らしたは気持ちの切り替え。
そろそろ月の舞台へと向かおうか、と主からの呼び水に一度うむ、と頷いてから]
のぅ、主や。
儂はずぅっと、この場において座は飾りと言うておったろう。
何故儂がそういうか、主は分かるか?
[ふと、男に向けて切り出したのはそれまで交わした言葉とは脈絡のないもの。
主がどのような顔をみせるか、竜はそれには構わずに言葉を続ける]
この舞台が何故に用意されておるか、それは儂にもあずかり知らぬこと。
じゃがの、幾度と呼ばれた故にこの舞台の在りようは推し量れる。
この月の舞台は、言うなれば一つの『せき』じゃ。
主らの世界と儂らの世界を隔てる関であり、
この場に流れ込むだけの力を持ち、
この場が耐え切れるまでの力しか持たぬ者を通す堰。
本来の力がどれ程であろうと、この場に喚ばれた時点で力の差など有って無いようなものとなる。
それこそ、どれ程川幅が違おうと堰が通すを許す幅しか水が流れぬと同じ様にの。
主は魔術を上手く使えぬと言うておったが、主の身に宿る力は膨大じゃ。
それを使えばいくらでも魔術など使えるだろうに上手く使えぬ、ということは。
おそらくは主の身の内、もしくは主自身が堰となっておるのじゃろう。
[そういうと、男の胸に当てたままだった扇を己の手に戻して]
これを言うて何がどう変わるとは思うておらぬ。
じゃが、ほんの少しだけ頭の片隅に置いておいても邪魔にはなるまい。
…まぁこれは建前じゃがの。
主は儀式の折、儂の力を利用したであろう。
それなのに主自身の力は上手く使えぬなどと言われるが納得いっておらぬだけじゃしのぅ。
[そんな風に笑って言う竜の声音、隠す気もない気位の高さも男はもう馴染んだものか**]
そうさの。
その点においては其方よりも儂の方が有利じゃな。
いうて其方も、一戦を経ておる分儂よりも身体を動かしやすいという利があるがの!
[過去の経験よりも直近の実戦の方がより強い利だと翠が笑う。
それは侮りからではなく、>>*42向けられた敬意を受け取ったが故。
その証拠に、竜が対峙する海の者へ向ける戦意の手は緩まない。
振り子の如き蔓が狙った一撃は、水剣の柄に防がれてしまったが]
使えるものは何でも使うは、儂の主から学んだ事での。
なりふり構って出来る事をせぬなど失礼じゃろう?
[>>*43鎧の空きを作ることは出来なかったものの、御陰で更なる追撃は避けられた。
開けた距離は互いに仕切り直しの時間も稼ぎ、ぱちんと扇が閉じた音に蠢く蔓は消え。
対する竜が棒杖を繰り、新たな得物を作り上げるその様を見ながら翠は再度、扇を開く]
其方の得物はまるで無尽蔵じゃのぅ…良い、良いぞ。
ならばその刃、儂に届くか試してみぃ!
[言いながら横に扇を薙ぎ扇げば、ざ、と挙動に合わせて矢竹が生え伸びる。
細く、けれどしなやかな強度を誇るそれらは、振り下ろされた大鎌の挙動をどこまで逸らすか*]
[むき出しの肌に這う手を許し、むしろ抱き止めるように背中側に手を回す]
顎や歯は鍛えられても流石にそこを鍛えようと考えてはいなかったな。
[必要ないと思えたことはしてこなかった…なんて考えをしておくのは、今までよりもずっと近い位置でみる雷華に、意識を取られ過ぎないため。
種族が違うから、年齢が違うから、そういう垣根を超えて見せる表情は、見た目不相応に老練とした気配が抜けた、見た目相応なものにみえた。]
…ふむ、確かに。
[見られたら、確かに誤解を受けそうな恰好だ。
自分はこの通りだし、雷華もまた薄衣を身に纏うのみではあり、姿勢を言われれば納得ができるものがあったが]
今気づいたんだがな。雷華
[膝の上から退去しようとする雷華を一度、ぐっと抱き寄せる]
雷華の姿は写し身なら、その見た目からして初めてなこと、って、まだまだあるんじゃないか?
[純粋に喋ることなく、一緒にいたとして、見た目でいえば、自分より年下にすら見えるとは思える。
心情まで文字通り年を取っていたら、老婆のような姿ではないだろうか。そのような想像でもあった
そんなことを考えるのは、先ほど覗かせた、誇りをもった自信と不慣れな恥じらいを乗せた表情を見たせい。というのもあるのだろう。]
[だから年下扱いするな。というほど、自分は見た目相応に成熟しているとは思っていない。
ただ、今は、目線を合わせるように、軽く体を起こす。
立っていれば見上げられて、竜の姿であればさほど変わらぬが。人化でこうして視線を同じくして見せて]
色々な初めてをもらえた俺が、雷華を、可愛い。と告げること、間違いはないだろ。
[こんな調子でいるのは初めてだな。と似通った気持ちを内心で呟きながら伝えると、寄せるようにこめていた力を解いた。]
其方もか。
あの竜のいとし子はやはり良き主なのじゃな。
おそらくは其方と舞ったあの二彩も良き主なのじゃろう。
此度はほんに、良き縁と巡り逢えたものよ。
[>>*50見受けられる微笑みと耳を打つ同意の言葉に、浮かべるは闊達な笑み。
先の一戦を思い返せば、彼女と舞闘を交えた竜もまた、主に添い力尽し切っていた。
言葉は交わしておらずとも、見える絆は温かに伝わって。
だからこそ、後悔のない戦いを。本当はもっと力を出せるなど、心に浮かばぬように]
[ザ…ッ、と音立てて広がり生え伸びる矢竹はそのしなやかな頑丈さのみならず、豊かな葉が視界の邪魔をする。
振り上げられた鎌の柄は、当初の狙いのままには振り下ろさせずに済んだものだが]
他にもあるが、其方とは相性が悪いでのぅ!
潮は草木を枯らす故、其方に向けるは分が悪い。
[>>*51向けられた感嘆に返すのは、偽り無き答え。
多少なりと潮風にも耐え得るものを選んだが吉と出るか否かは読めない。
力比べにもどれ程敵うものかと視線はそらさぬまま、扇を咥えて空けた手を一つ、打ち鳴らし。
生んだ稲光で身近な矢竹を一本撃ち焦がすと、葉を落とし硬さは保ったままのそれを両手に持って。
そうしている間にも上がる水柱は、見る間に己を囲う矢竹の壁を乗り越える。
見上げた空に見えるは、水の揺らめきをそのまま刃と変えた大きな鎌と、潮香纏う蛇の竜]
……っ!!!!
[その鎌を受け大きな音を立てたは、両手で頭上へと撓ませた矢竹。
しなやかなそれが刃を滑らせたおかげで狙いは多少外せただろうが、その代償として受けた矢竹は刃に折り切られ。
勢いを殺し切れなかった刃は、翠の肩へとくい込んだ。
痛みに耐えきれぬ声が漏れ出るは、経験があろうと避けられぬこと]
[翠が一撃を受けたは事実。
だが、これは海蛇がこの手に届く距離まで近付いたともいうことで。
肩に食い込んだままの大鎌、その先の棒杖を右手で掴むと口端をにぃ、と上げ]
…よう来たのぅ、
儂の手中に!!
[空いた左手で咥えていた扇を取ると、ばっと開いた動きに合わせて雷光を奔らせた**]
そうさな。
ここは鍛えたとしても活かし様が無さそうじゃしのぅ。
[主の言葉を受けた竜は、詠うように笑う。
本来不安定な体勢を危なげなく支える手の主が、何を考えているかなど知る由もなく。
けれど流石に現状の危うさ恥ずかしさを自覚すれば、そろそろ離れようと思考は動いた訳だが]
?
どうしたの、じゃ?
[竜の言葉に同意を返したはずの男の手が、離れるでなく逆の動きで己を抱き寄せるのに目を瞠る。
先までも近かった顔はより間近に見上げる形に、触れていた肌はよりその硬さ厚さを教えられて。
気付いたという主が続けたその言葉に、浮かべた表情はきょとりとしたまぁるい眼。
それが緩く、仄かな色づきを広げていく様は間近で見ている男の眼が見逃すはずもないだろう。
一度、二度。
唇を開きかけては閉じるを繰り返した後]
そりゃまぁ、確かに、無いとは言わぬ、言わぬけれどもな。
[我ながら、今の己はらしくなく。
言わぬというよりも言えぬ、としか言えない訳だが]
主ももっと言い様があるというか、その、なんだ。
口説いておるような言い方だと、自分でも思わぬか?
[主の性質を考えれば、これを素で言っているのも有り得るが。
流石にこの状況、この体勢で言って良い事では無いのではないかと告げた後]
……まったく。
主は、儂をどうしたいのじゃ。
[小さく零した言の葉は、老獪な竜には似つかわしくない声音であったろう*]
[>>*63返された頷き、向ける笑みは穏やかなもの。
舞闘においては不釣り合いなそれは、すぐに不敵なものへと取って代わるが]
じゃからこその此奴らよ。
これらは潮水に浸かっても早々朽ちぬでのぅ!
[少なくとも、即座枯らされたり強度を案じる不安は無いと。
海蛇が浮かべた自嘲には触れず、潮に強い種を選んだと笑う竜を伸び生える矢竹が囲う。
跳躍上昇に激しく動く海蛇から、けして視線を外さずに。
だからこそ、その鎌の軌道も確と見止めることが叶ったのだ]
[バキリと大きく音を立てて折り切られた矢竹は足元に。
己が右手に在るは大鎌の柄、左手に在るは翠の扇。
肩から流れる血は身に纏う洋装を赤に染めていくも、竜は揺らぐ事無く立ちはだかる]
主は海の者じゃからな。
流石に距離を取られては、儂の力も薄れてしまうと思うてのぅ。
…今の雷をよぅ耐えた。
[>>*65得物を落とし、けれど地に伏す事無く水の気配を強める竜に。
こちらも笑って、開いたままの扇を己が前へとつい、と動かし。
人の身を覆うように奔る雷が竜の形を成し行くと、海蛇の一手が成るはどちらが早いか*]
[戦いの中、他のことを考えるのは、無駄な余裕の表れとして、思考していなかった。
でも今は、二人で戦っている。だからこれは違うのだ。と思うのは言い訳なのかどうかだが]
雷華
[どうしたいのか。それは、一区切りしてからだ。ただ、彼女を輝かせるように、その真名をつぶやく声は、柔らかかった]
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