情報 プロローグ 1日目 2日目 エピローグ 終了 / 最新
[隻腕の剣士が腕の中から消えていく。
彼が万全の状態だったら、消えるのはどちらだっただろう。
彼の腕が戻ったら、また戦ってみたい。
それにしても呪詛の傷とは、また厄介なものを背負っている奴だなと、少しばかり彼に同情した。]
[このままここにいれば、始祖に言葉を賜るのだろう。
そんな気がしたから、さっさと移動した。
連れを置いてきた水場に戻ると、なにか小さいものがわしゃわしゃと動き回っている。]
もしかしなくても、シメオンか?
面白い姿になっているな。
そら。これでどうだ?
[自分の腕を裂き、血を注いで与えてみる。
元に戻るかな。]
するべきはした。
見るべきも見た。
おおよそ満足だ。
あとは面倒に巻き込まれないうちに帰るぞ。
[運良く生き残っている奴がいれば、そいつが狩場だかなんだかを手に入れるだろう。
それでいいかな、と思う。*]
[わきゃわきゃ大騒ぎしながら形が組み上がっていく様子は、見ていてなかなか楽しかった。
ようやく形の戻ったシメオンは、妙に感極まったような様子でいる。]
感動の再会というほど時間は経ってないぞ。
それとも獲物を持ってこなかったのが不満か?
[問いかけの口調だが、大して意味を持たない言葉を並べる。
戯言だ。仔猫と戯れるために振る、紐のようなもの。]
海賊船か。それは良い。
適当に喰い散らかして船を奪って、
あー。今度は船で海の旅ってのも良いな。
[誘われて話を広げる。
海賊船で冒険の旅。悪くない。]
[シメオンが翼を生やしてみせた様子にうははと笑う。]
飛ぶか?おまえも飛ぶか。
ペンギンでなくてトビウオの方がまだ飛べそうだぞ。
そうだ。おまえもっと小さくなれ。
なれるだろう?
[言ってから、自分もまた姿を変えた。
やはり巨大な鳥だが、今度はペリカンのように大きな嘴と袋がある。
ぱくりと呑み込んで顔だけ出せば、乾くこともないだろう。]
では行くか。
海についたら、今度はおまえの背に乗せろよ。
コバンザメになってくっつくのも良いか。
[先の計画をいくつも口にする。
暫くは退屈とも無縁だろう。
魔物という奴は寂しがりが多いからな、とふと思う。
退屈では死なずとも、孤独で魔物は滅ぶのだ。
そういう奴を知っている。
良い番いでもいればな。
なんて考えながら、ばさりと大きく翼を広げた。
それを探しに行く旅というのもまた面白い。*]
情報 プロローグ 1日目 2日目 エピローグ 終了 / 最新