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パン屋 オットーは、旅人 ニコラス を投票先に選びました。
死にはしないさ。
僕は笛に吹かれるよりも、笛吹きになりたいのさ。
血のくすんだ赤も、僕の鮮やかな色で塗り替えてやろうじゃないか。
[ジムゾンににっと笑ってみせる。
無用な心配であると。
そうさ、全ては僕の色に染まるんだ。
それまであと少しだ。]
ジムゾンは部屋を見ていた。
人間たちも、探りを入れ始めているのかも知れないね。
けれども、まだ真実には気が付いていないようだ。
君も何か変わった事はあったかい?
[己の見てきたものを共有する。
これからの事を考える必要もあるだろうから。]
ニコラス・・・・・・フリーデル・・・・・・
みんな様子がおかしい。
[それはとても都合が良い事。
だがしかし。]
未だに月はこちらを照らしているようではあるけれども、僕にはどうしても分からないんだ。
彼らが何に惑うのかが。
[犠牲心、謝罪、あるいは単なる混乱。それのどこに信念がある。美学がある。
一体何を求めると言うのさ。]
極彩色か。確かに僕にぴったりかもね。
[言い得て妙だ、と笑う。
美を追究するために泥臭くなり、信念を通すために信念を曲げる。そんな気まぐれ。
自分そのものじゃないか。
だが、ひとたびシスターの告白が始まれば。
一気に警戒度は増していく。]
ああ、シスター。そんな顔だけはしないでおくれ。
もう僕たちは4人の笑顔を見る事はできないのだから。君の笑顔まで、失いたくはないんだ。
月は満月でなくとも、三日月の姿で照らす事だってあるじゃないか。
[もっとも君は、僕の太陽を覆い隠す黒き新月だが。
慰めはいらぬと分かっていても、オットーならばそう言うだろうから。]
けれども、困ったね。
僕は君の全てを受け入れられそうにない。
[髪を1つ掻き上げる。
ああ、残念だ。両の手を広げた。
そして真っ直ぐニコラスに視線を向けた。]
僕も皆が大好きだ。僕は全てを愛して生きたかった。
[その言葉は誑かすための虚構か、それとも。]
ニコラスは人なのかも知れない。
いや、人であるのなら。人であるからこそ。
全てを信じたくともたった一つしか真実はない。真っ先に信じたいとは思えないんだ。
[ハーメルンの笛吹きが、笛を吹いた。]
僕には、ニコラスがパメラを殺した。
その事実だけが見えている。
不安という名のカラスに、僕たちの楽園は荒らされてしまったようだね。
僕もその一人さ。
[そっと目を伏せた。]
僕の言葉は、君にさらなる不安を与えるのかも知れない。
君の信じたい者の代わりだなんて、いくら僕が素晴らしかろうとできない相談さ。けどね。
[いつの時か、シスターは僕の真実へと辿り着くのだろう。
残酷な運命さ。ならば、約束しよう。
言葉に魂が宿った。]
僕は君を残して逝ったりはしない。
[これに似た言葉を吐いたのは何度目か。
100回? 200回? いや、もっとか。
それでも、これまでのどれとも意味が違っていた。]
ここでじっとしていても、埃を被ってしまうだろうさ。
雪を溶かして水を作るの、誰か手伝ってくれるかい?
[そう言い残すと、席を立つのだった。**]
面倒事が多すぎる。
虫たちも賑わいとは言えどもね。
[だが、度が過ぎれば草木は枯れ果ててしまうだろう。
自分の一言で、ニコラスへの矛先が戻ってくれれば良いが。]
シスターの牙城を崩すのは難しいかも知れないよ。
シモン君という影矢を放ったとしても、ね。
[今の人間たちは、占い師という光明に依存しすぎている。
誰が占われるかが分からないというのも厄介だ。
運任せほど危険なものはあるまい。]
それでも彼女を襲うのが難しいだろう、それなら君の言う事もアリかも知れない。彼は彼女の信を得ている。
後は同じ理由でヤコブ君か。
神父の件は僕がもう少し接触しておきたい。
いつかシスターの目が真っ直ぐこちらを見た暁には。
僕たちは真っ正面から対峙しなくてはならないだろうね。
例え望まぬとも。
[避けては通れない道さ、と嘆くのだ。
きっと大いなる壁に違いない。]
その時には狩ってみせるか、人間に狩ってもらうか。
頼んだよ、シモン君。
[人である彼に声は届かないが、そっと呟いた。]
パン屋 オットーは、行商人 アルビン を能力(襲う)の対象に選びました。
それなら、それが一番だよ。
[今夜のディナーはアルビン。
商人さんよ、君の生涯一の商品を僕たちが買おうじゃないか。]
こうして2匹が揃った事も、希有な事なのかもね。
それでいて決めたんだ。間違いはないさ。
そうだ、魅力だ。もっとオオカミの魅力を語らなきゃ。
[白狼にとっての雪ってのは麻薬のようなものだ。
気が付けばどんどん危険な方向へと思考が傾く。
君にも分かるかい? ・・・・・・パンの魅力が。
中でも僕が作るメロンパンは特別だよ。
甘い愛情を注げば、生地も甘くなるのさ!
[オットーがもしも人並の聴覚だったとすれば、そんな彼が近付いてくるのにも気が付かずに過ごしてしまったかも知れないが。]
わあ、ど、どうしたんだと言うんだい?
ま、まさか。
[思っていたのと違う反応にこちらも驚きはしたけれども。
顔を青ざめさせて。]
この僕がレディをびっくりさせてしまったと言うのかい?
ああ、なんてことだ!
[別の意味で驚かせた事は数え切れない程だが、果たしてこちらは素なのかどうか。]
受け取ってくれるのかい?
ああ、君はなんて優しいんだ。
これじゃあ君のほうが聖母じゃないか!
[多分、素な気がする。
より丁寧にクロスを渡したのだった。]
[さて、また夜がやってきた。
随分と満ちた月も暴風雪にかき消された闇夜。
まだ少し時間は早いが、のそりと部屋から獣が這い出る。]
この宿は僕には暑すぎる。
喉の渇きが止まないよ。
[夜目の利くその眼光を煌めかせ、歩を進める先は階段ではなく裏口。]
こうでなきゃ。僕は吹雪に生きる運命なのさ。
[白い世界へ紛れ込むその姿は幻想的で、自己陶酔するのも頷ける程。
動物が目を瞑りながら空を見上げていると考えれば可愛らしいのだが、現実はそうもいかない。]
やあ、アルビン。
君は確か、行商人だったよね。僕は君とビジネスがしたいのさ。
[獣には似つかわしくない、表情豊かな。あまりにも豊かすぎて不気味な笑み。
そしてオットーの声で話しかけるのだった。
逃げるか、それともその場に立ちすくむか。
どちらだっていい。僕がする事は変わらないのだから。]
最高のコマーシャルを考えたんだ。
成功した前例だってある。それも、100年間も伝わったんだよ。
[まさかこんなにも長い間とは考えもしなかったが。
一度目の伝説は、もうなされていたのだから。]
代わりに僕が君に求めるものは、そうだね。
[一瞬にして喉元に食らいつく。
人の姿は消え失せ、あるのは獲物を捕らえた肉食獣の姿だけ。]
最高だ。
これはもっと良い条件にしてあげなきゃね。
[数口喰らっただけで満足だ。
左腕だけを相棒へのお土産に手にすれば、アルビンの亡骸を背に乗せる。]
どうするかな。
ここに置いてちゃ、すぐには気付いて貰えなさそうだけれども。
[それじゃあコマーシャルにならないだろう?
部屋へ連れ帰るかな。
そう考えた際にふとよぎる。フリーデルにプレゼントした氷のクロス。]
よし、あれでいこうか。
[宿の裏。元は肥だめだったが、今は雪だけが貯まったその箱にアルビンを投げ入れる。
これで明日には、美しい氷の彫像が完成している事だろう。*]
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