情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 エピローグ 終了 / 最新
― 『世界軸』上層・『月闇の間』 ―
[仔竜>>2:215が声を発したのは、ミリアムとのやりとりが一段落ついた頃か]
『奥の院』?
……ここから更に上へ向かうわけではないようだねぇ。
[どうやらその場所へは、中層の『儀式の間』を通って向かうらしい。
ミリアムの用意が整えば、共に階段を下りることになるだろう*]
確かに派手にやられちゃったし、
これ、けっこう、……辛い……けど。
きっと……“先”に進むためには必要なことだと思うのよねえ。
一旦戻った方が良さそうかな?
……どっちにしろ『奥の院』とやらは、中層からしか行けないようだしねぇ。
[この場では手当に必要なものは見つかりそうもない。
幸い神子の力のお蔭である程度は動けそうだ]
――よし、ちょっと揺れるけど我慢しておくれ。
[と言うが早いか、ミリアムを横抱きに抱き上げる。
小柄とはいえ鬼族の力があれば、造作もないことである。
そのまま、階段を下り中層まで引き返す心算]
そうかい。
……ミリアムがそう感じてくれているなら、全力を出して良かった、と思うよ。
[ミリアムと違い、壊すことしか出来ない力に歯痒さはあれど。
傷を負ってなお前向きなミリアムに安堵する*]
とはいえ、まだ竜との戦いが残ってる。
しっかり治しておかないとね。
[どうやらミリアムは予想以上に消耗していたようで、治癒魔法だけでは回復は不十分なようだった。>>+9
一度中層に戻る流れになった所で、徐にミリアムを抱き上げる]
アハハ、このくらい軽い軽い!
[驚いた様子のミリアムに笑って答えつつ、そのまま中層まで下りていく]
― 『世界軸』中層 ―
[中層には他の面々も戻ってきたようで、特にトーマスの部屋>>2:246からは良い香りが漂っていた。
誘われるままに部屋へ向かえば、もてなしと共に、島の特産品に関する進捗>>36も聞くことが出来たのだった]
なるほどねぇ。完成したら是非アタシにも試食させとくれ。
[鬼だから辛さへの耐性はあるが、それでも他種族向けの味付けというのは気になるのだった]
[そうしてその場の面々と言葉を交わしつつ、十分に体力が回復した所で『奥の院』へ向かう*]
―― ちょっと前 ――
も、もちろんしっかり治すわ。
だから心配しないで、キアラはその全力を今度は竜にぶつければいいと思うわ。
私も全力で手助けするから。
[声なき声にも驚きの余韻と、
ついつい好意に甘えることを選んでしまった歯痒さが滲むものの。
先を見据えた思いに切り替えはっきり告げていた*]
― 『世界軸』中層・奥の院 ―
[休憩や準備を終えれば、ミリアムと二人儀式の間へ向かうことになるだろう。
光の輪へと触れれば、目の前には今までと異なる空間。
そしてそこに立つ神子の姿があった>>*0]
なんだい、アンタも随分と疲れているみたいじゃないか。
[『世界軸』に初めて迎えられた時と比べ、明らかに消耗している様子。
見えない所で行われていることを思えば、それも当然か]
そうだね、のんびりお話している場合ではないか。
[残る八竜の名を挙げる神子>>*1に頷く。
しかしその口振りには、どこか引っ掛かるものがあった]
八竜以外にも、何かあるのかい……?
[疑問に思いはすれど、追究は今はせず]
――下層、ねぇ。
[神子が告げた言葉>>*2には思う所があった。
伝承が正しければ、下層の更に下には魔界が在り、鬼族の祖先はそこから現れたというのだから。
そう思考に沈んでいた所で、神子の思わぬ言葉に瞬いた]
妖魔の掃除って……アンタそんなことまでしていたのかい?
ああ、いいさ、後はアタシらの力でなんとかするから。
[ね、と、力強い眼差しを相棒へ向ける。
それからこちらを案ずる神子へ]
アンタもね。
無理するな、と言ってられる状況でもないけど……八竜でもなんでも、相手できるものなら引き受けてやるさ。
[少しでも神子の背負うものを減らせれば、と努めて声を張り。
ひらりと手を振って、下層へ繋がる門を潜った*]
― 『世界軸』下層・心の広間 ―
[下層へと下った先には、『深淵』の時と同様広間があった。
しかしその中に待つものは、闇竜とは異なる姿をしていた]
こいつが心の龍かい。
なるほどね――アタシの故郷でいう"龍"と、同じ形のヤツもいるわけか。
[瑠璃色の鱗に覆われた胴は長い。一見蛇のようでもあるが、背には皮膜の翼があり、地を這うだけではないと示していた]
ま、形なんてものは関係ない。
どんな相手でも、雷で焼くだけさ!
[引き抜いた苦無を、翼の付け根辺りを狙い"真っ直ぐに"飛ばす。
図体が大きい分、咄嗟には飛べず対処が難しいと判断してのこと。
しかし――龍はキアラが苦無を投げるのと"ほとんど同時"に、翼を打ち下ろし苦無を弾いた]
なっ――速い!?
[単純な反応速度だけではない。
まるで、こちらの狙いが初めから読めていたかのような動きであった**]
― 『世界軸』下層・心の広間 ―
そうだね。
[奥の院で交わした会話を思い、決意を新たにし>>+22。
『深奥』に対する初撃を放つも]
ちっ……そのようだねぇ。
[ミリアムの予想>>+23に頷く。
狙いを隠したつもりはないが、それは動きを見た所で避けられまいと踏んでのこと。
しかし『深奥』は、恐らくこちらが動き出すよりも早く、攻撃を見切っていた。
ミリアムの術に対する反応もまた、それを裏付ける]
まったく……やり辛いったらありゃしないよ。
[直情的なのは鬼の性、それでも力で押し通るのが鬼族流のやり方である。
しかし、どうやら八竜は、それが通るほど甘い相手ではないようだ]
なるほどね。やってみよう。
[ミリアムの提案に頷き、両の手に2本ずつの苦無を構える。
手から離れた物を操るにはそれなりの集中力がいる。
"読まれにくい"不規則な動きを実現するには、この数が限界だった]
いくよ!
[投擲した4本の苦無を電撃が追う。
それらは上下左右に紫電の尾を引きながら、ジグザグに飛行し『深奥』へ迫る。
しかし――]
ダメだ!
[先のように一瞬で叩き落とされはしないものの、ここだ、と鱗の隙間や皮膜を狙い加速すれば、僅かな身動ぎで急所を逸らされる。
多少の傷や電撃は通れど、効果は薄いようだ]
――苦無は手から離れているから、動きそのものを読まれているわけではないはずだ。
[苦無を飛ばして竜を牽制しつつ、心の中で独り言めいた思案をする]
見てからかわせる距離でもない……。
心の龍……読まれているのは――
[縦横無尽に苦無を飛ばしながら、思案に耽る。
或いはそれすらも、心の龍には『読まれ』ていたのか。
不意に龍は咆哮と共に、翼を強く羽搏かせた。
そして鱗に当たる苦無をものともせず、急激に上昇する]
しまった!
[娘らしからぬ深い思索のせいか、一瞬反応が遅れた。
身を翻し円を描くように飛んだ『深奥』は、咄嗟に上方へ跳んだキアラの身をその動きの中で掻っ攫い、胴に巻き付いて締め上げようとする]
ああ……っ!
[呼吸もままならない状況に、浮かびかけていた答えはあっけなく霧散した*]
[思索にふける声が流れ込んでくる。
声は状況を分析し、一つの結論を導きだそうとしていた]
そっか、心の龍ってことが最初から答えに―――
そいつは私達の心を読んでる!
簡単な話だったみたいだねえ、何せ心の龍だし。
だったらいっそ読めようと関係ないすっごく近い距離から一撃喰らわせた方が……
[だが、危険にさらされている状態のキアラにそれが可能なのか]
[ミリアムが名を呼ぶ声>>+30は意識を引き戻す手助けにはなれど、龍からの回避には間に合わず。
キアラの身は龍に巻き取られ、その足は宙に浮いた。
息苦しさに暗転しかける意識を、こちらに届く声なき声で必死に保つ]
そ、うだ……心が……
心の、龍、だから……
[ミリアムの声にどうにか答えようとするけれど、明滅する意識によりその思考は散り散りになる]
も、少しで……掴めそう、なのに……。
[抜け出そうともがいているのは、体か、心か。
――キアラの左耳の黒曜石が、光を吸い込んだようにその昏さを増したのは、その時だった]
[体が訴える苦痛から切り離されたように、一瞬思考がクリアになる。
それは月闇の絆石――感情と静けさを司る石の恩恵か。
何者にも干渉されない、心の龍すら入り込めない会話が、その一瞬の内に交わされる]
その通りだ。
でもこのデカブツの鱗を通すには、アタシ一人の力じゃ足りない。
――雷が何処で生まれるかは知っているね?
……!
[急に淀みないものとして聞こえ始めたキアラの声。
絆石――黒曜石の色合いを思わせるように静かに、静かに、
二人の心の裡だけに響いていく]
そりゃあもちろん知ってるけれど……、
[できるんだろうか、という心の葛藤は、
続く言葉によってあっさりと吹き飛んだ]
[心すら覆いつくす闇の裡に、二人の絆という確かなものが存在する。
今やその感覚だけが、キアラの意識を保つ最後の一点だった]
――すごいよ、ミリアム。
[杖の一振りごとに龍の頭上を、灰色の雲が覆っていく。
出来るかどうかもわからない、ただ信じて託すしか出来なかったことを、相手はやってのけた。
治癒術を主体とするミリアムには、未知の領域の術だったろうに]
ありがとう。これでやれなきゃ――
赤鬼の名が廃るってもんよ!!
[鬼は畏れられる者、いつだって破壊と恐怖の化身だった。
時折は疎ましく思ったその汚名を、今は龍を倒す力に変えてみせる]
轟け、積乱の雷鳴!!
[絆がくれた力を全身に籠めて、力の限り叫ぶ。
それに応えるように頭上の雲は目映く輝き、そして轟音と共に幾筋もの雷を、『深奥』へ向けて降らせた*]
情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 エピローグ 終了 / 最新