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研究所員 アイリ は 詐欺師 カナン に投票した
[お見通し、と評されるその言葉にゆっくりと首を左右へと揺らす。
視線を重ねたら、淡く笑みを乗せて口を開く。]
お見通しじゃないよ。
興味があったから、見ていただけ。
[満ちたグラスを少し傾けたなら、口内に涼やかな味が広がっていく。
時折、彼女の様子を伺うように視線を傍らへと送りながら、彼女から零れる吐息を見つけたなら、少し思案するように押し黙った。
飲み込む言葉の代わりに、ジンを口に運んで喉を潤わせる。
不意に、困惑した様子のアイリを見たら不思議そうに目を丸くして、後に続く言葉を待つ。
投げたはずの問に重ねられる音。
しかし、その後の言葉を聞けば、ようやくその意味を知るだろうか。
薄く笑みを浮かべて]
……もしかして、オレかな。
[確認するようにアイリに問いかける。]
― 館の外 ―
[なんだか、少し、酔っ払ってしまったようだ。館の外に出て、ひと息をつく。]
(勝手に出て、怒られないかな…)
[でも今、ゆっくり話していた相手もいないし、私ひとりが外の空気を吸いに出たくらいでは、誰も困らないだろう。
広いローゼンハイムの庭。今、時間は昼下がりくらいだろうか。まだお日さまは、すこしだけ高いところにある。]
[カウンターに預けた身体をゆっくりと起こして、傍らに佇む彼女に少し距離を縮めたら。
その耳元へ、囁くように声をのせた。]
……ここ、抜けだそっか。
[誘い文句に、彼女はどう答えただろうか。*]
/*
ほんと驚かせてゴメンナサイ。
でもアイリちゃんが第三希望にメレディスって書いてたから…(理由は何度も言うけれど、顔。)
興味……。
[それは何の――と聞こうとしたけれど、やめた。達観した彼のことだからきっと。彼の答えはなんとなく察していた。
その後、続く、言葉。確認の意味を込めて問いかけられる言葉。
どくり
心臓が高なって。どくどく、どくどく。なんだろう。私、どうしちゃったんだろう。熱い。お酒かな。お酒、だよね。
その問いかけには縦に首を振り、肯定の意を示す。そして耳元で囁かれるお誘い。これには耳の後ろまで真っ赤にして]
はい
[と、一言だけ答えた*]
[興味。そう呟くアイリは自身の言葉にどこか引っかかりを覚えたろうだろう。
問われたなら、その解答はすぐに用意できるが、繊細な彼女のことだ。傷つけてしまうかもしれない。
続く言葉がないことを知れば、その賢明さに双眸を細める。
自身の問いかけに返る肯定の言葉。
どうやら自身にも恋矢は刺さっていたらしい。
特に何か変化を覚えた気はしなかった。
いや、それとも自身が鈍いだけだろうか。
頬を赤らめ、僅か俯く彼女は確かに好感を持てる。
色好い返事を貰えたなら、ン。と短く頷いて。]
バレないように、静かにね。
[エスコートするように彼女に掌を差し出す。
彼女が応えたら、その手を緩く握るようにして、静かにその場を後にした。]
― 館の外 ―
[外に出てみれば、まだ日は傾き始めている頃だったか。
彼女の手を解放して、ゆるくと外を見回した。
館の外、といえど余り離れるでも得策ではない。]
酔い覚ましに散歩でもしようか。
[思いつきの発想を彼女に向けて、サク、と葉を踏んで歩き出す。
数歩進んだら、彼女の動きを確かめるようにして、振り返り。
足が止まっているようなら、おいで。と手を伸ばす。*]
ー 館の外 ー
[午後のやわらかな日差しがゆっくりと溶ける頃。ほかに人影はなく、数歩先を行く男をゆるりと見つめる。彼にも確かに恋矢は刺さっているけれど、こちらへの興味、という意味合いの矢印はまだまだ淡く、いまにも消えてしまいそうだった]
(あ、待って……)
[歩幅の広い相手に遅れそうになり、追いかけようとしたところで『おいで』と手を差し伸べられる。もし相手が許してくれるなら、その手に自分の指を触れようと。
優しく微笑む相手のことを、私はまだなにも知らなくて。
恋がはじまるには些か早すぎるような気もした。何を、聞こうか。]
そういえば……
なぜ、メレディスさんはここに、参加したの?
[それは何気のない質問だった。矢が刺さっても感情の動かない彼は、『お見合い』という言葉に、すこし不釣り合いな感じもしたのだ。
単なる会話の糸口を探して、こんな質問を、なげかける。
少しは相手のことを知ることができるだろうか
さきほど『興味』について口をつぐんだ私にしては、軽率な質問だったのかもしれないけれど、今の私には知るよしもない。*]
[彼女の指が伸びてきたら、柔らかくその手を包む。
歩幅を少し緩めて、アイリの歩調に合わせるよう隣に並んだ。
好奇の目を向ける其の様子に薄く目を眇めれば、自身も彼女の様子を伺うようにそれとなく視線を送る。
先刻まで気になる男が居たというのに、恋の矢が刺されば、恋天使もやはり矢の力には抗えないものなのだろうか。>>1:128
自身の読み通りなら彼女もまた恋矢に踊らされて、いずれは自身も彼女に恋い焦がれていくのだろうか。
その時交わした小津の言葉を思い出したなら、双眸を伏せる。>>1:133]
……確かに、つまらないな。
[どこか覚めたような口調でほつり。密やかに言葉を落とした。
矢に左右される自身の心も、簡単に感情が動いてしまう彼女も。
それだけ恋矢の威力が強いということではあるが、なら…。]
[不意に、彼女から投げられる質問に思考の海から顔を上げて、彼女へと意識を戻す。その問に、んー…と曖昧に言葉を濁そうとしたけれど、特に隠すつもりもなければ、口を開く。]
アイリさんみたいな、真面目そうな人に言ったら怒るかもしれないけれど。
ただの興味だよ。
――…恋天使に恋矢を挿したらどうなるか、ってね。
[くすり、悪戯に微笑んで見せたなら、アイリを見つめて]
自分に恋矢が当たるのは、リスクに感じたけど…、
……アイリさんなら、色々楽しませてくれそうだ。
[其の笑みは無邪気に、好奇の色だけが浮かぶ。*]
[温かな手が繋がれれば、それだけで、とくり、と心が動く。これが、恋だろうか。『……らないな』、と相手が何か呟くのが聞こえた気がしたが、独り言だったのだろう。思慮を巡らせているようだ。
自身の問いに答える彼は、どこか楽しそうで]
真面目そう……って。
私は……興味がなかっただけ……かな。
[彼とは対照的に答える。恋矢は仕事であり、人間関係をお手伝いしてあげるだけの手段だったから。]
でも、私はー
[これは前にも彼に話しただろうか]
自分が、恋矢を刺されることに、興味があったかな。
[それをいま、まさに体感しているはずなのだけど。あまりに感情の流が自然すぎるのか、実感が、ない。『楽しませてくれそう』の言葉には、不思議そうに相手をみあげて]
ほんと?
私なんかで、いいのかしら。
― ここではないどこか@ ―
[物質は、ある一定の温度と圧力で臨界点に達し、その状態は液体・気体・固体、のいずれでもない「臨界状態」となる。その臨界状態では気相液相の相転移が起こりうる――簡単に言えば、液体でもなく気体でもない状態をゆらゆらと行き来している状態を保つようになるのだ。
と難しいことを書いたのも。
そういう状態において、実は物質の密度や濃度は一定ではなく、ある特定の揺らぎが生じることがわかっている。
たとえば食塩水。水の中に均一に食塩が溶けている状況が普通だけれども、その食塩水が仮に臨界状態にあった場合。食塩の分子は均一に分散しているのではなく、「濃い部分」と「薄い部分」が存在することがある。
これは臨界状態から離れれば離れるほど顕著で、明らかな揺らぎが生じるのだけれども、では、その「揺らぎ」が発生するポイントはどこか。ここを私の研究所では幅広く研究している。
といっても、実際に臨界状態の物質を自由自在に操れるほど高温・高圧にすることは事実上不可能なので、使っているのはコンピューターのプログラミングだ。]
― ここではないどこかA ―
[ほんの少しの圧力、ほんの少しの温度変化。それだけでがらりと変わってしまう臨界状態の世界。それは『恋』にもよく似ていて。ほんの少しの状況の変化だけで、心はがらりと動いてしまう。
――そこまで考えて私は胸元のペンダントを見て。
これを貰った時には、もしかしたら、なんて思っていた。そこで心が動いた。あれはある意味私の臨界点だったのかもしれない。
阿部から恋矢を刺す相手を告げられた。そこで私の恋は突然シャットアウトされた。ぐらり、世界が揺れた気がした。
でも、私はまた、今、新しい恋に出会っている。
きっかけは、なんでもいいのだ。
でもその「ほんの少しのひと押し」が、私の心をぐらり、と変えてくれたのだったら。それはきっと幸せなことだし、そうなる運命だったのだ。
物性は、ある意味運命には逆らえない。
そうなる時は、そうなることが決まっている。
私の恋は、どうだろうか。*]
[アイリの回答にスゥ……と目を細める。]
興味がなかった?
……君は恋矢を人に射て、何も感じなかったの?
恋矢に刺されることには興味があったんだ。
アイリさんは、人間みたいな考え方をするね。
……オレは、誰かに命令されて恋をするなんて、嫌だよ。
[苦笑を零し、しかし、はっきりと意思を告げる。]
人間は恋矢を射すだけで簡単に恋をする。
恋天使は、そうならないで欲しかった。
[少し物憂げにそう呟けば、繋ぐ手を少しばかり強めて、く、と彼女を引き寄せる。
男女の体では、その力の差は歴然だろう。
有無を言わさぬ力で彼女の身体を引き寄せて、腰を抱き寄せたら彼女の耳元へ]
……簡単に恋矢に騙されて恋をするような女の子には興味はないよ。
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