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[しかしそれも長くは続かなかった。
こちらへと急降下で突進してくる機体があったから>>53
そんな無茶な特攻をする奴などきっと一人しかいない。
幼馴染と同じ名前を持つ、アイツだ。]
…三度、
[側面へと回り込まれる。
それは動きを阻害する為の行動だろう。
こちらを撃つつもりならば背後へと回るのが得策。
即座に機首を下げ、高度を一気に下げて相手の機体の下に回り込み。
それから速度を軽く落せば斜め下の位置につく。]
三度待つ。
[一気に上昇すればぴたり、と背後につけ、しかし撃たない。
そのまま相手の機体すれすれの位置を擦り抜け前方へと出る。
背後を見せる格好、これは挑発。
撃てるものならば撃ってみせろ、と言わんばかりの*]
― とおい想い出 ―
[小さい頃、よく外で遊んでいた。
その中でもよくやっていた遊びが鬼ごっこ。]
だってそのしっぽ捕まえやすいんだもん!
切っちゃえばいいだろー?
[なんて言ってはみても本当に切ればいいなんて思った事はない。
シュテの長い髪はとても綺麗だったし、とても似合っていたから。]
[何度か髪の毛を何故伸ばしているのか聞いた事があった。
でも答えは”なんとなく”で。
そう言われればこちらもふーん、と気にない返事をするしかなかった。]
うん、でもまあ似合ってっからいいと思うよ。
[それは本心だったけど。
なんだか本音を聞かせて貰えてないようでちょっとだけ悔しさの滲む言葉だった。
でもそれも喧嘩して二人で雨宿りをしたあの日からちょっとだけ変わった、ように感じた。]
ん、目印。
シュテの髪は目立つから、すぐ見つけられるよ。
その髪、目印にするから。
[揺れる髪を見て笑いながらそう答えて。
それは別れの時もそうだった。
泣きそうだったから口には出せなかったけど、シュテが変わらないままならきっとそれも長いままで。
だからそれを目印にして見つけられると、当時は信じていたのだ。
でも今は――――――*]
― 上空 ―
[撃ってみせろ、と挑発して。
それに乗れば勿論躱すつもりであったのだが。]
撃たない、何故。
[相手もこちらが誰か気づいているのだろうか。
ならば納得はいくのだが。
色々と話したい事はある。
交わしたい言葉がある。
しかし今は敵同士、このまま二人で空を駆けて何があるというのか。]
…―――――――シュテッ!!
[虹の先を見たい、そう語ったのは何時だった。
もう随分と昔の話。
でも確かに覚えている、シュテの、大事な幼馴染の語った夢だから。]
[何故、敵軍にいるんだ。
何故、敵軍にいるのに撃たないんだ。
問いかけたい事はあるのに声は届かない。
いっそ撃てばいいのに。
撃たないのなら引いてくれればいい。
そしたら追わない。]
く…っ、
[追わないで済むのに、何故。
相手が更に上空へと昇ればそれを追いかける。
機銃を掃射はしない。
三度待つ、三度目に攻撃をされれば相手の心に自分はいない。
ならば今は。
攻撃を仕掛けてこない今はどういう事だろう。
甘い期待が胸を掠める。
それは大きな隙となるだろう*]
― 上空 ―
[三度待つ、だから撃たない。
だが何故相手は撃たないのか、分からない。
お互いに撃ち合わず、ひらりと空を舞う様は他からはどう見えているのだろう。
まるで遊んでいるように見えるだろうか。
相手が軌道を変え、こちらと擦れ違う。
その際聞こえた言葉に反射的に声を張り上げた。]
再会するって、約束しただろう!
幼馴染の顔を忘れたのか、シュテッ!!
[擦れ違えば一瞬で距離が開く。
だからこちらの言葉がどこまで相手に届いたかは分からない。]
[水平に沿って飛ぶ相手を上空から見下ろし、並走する。
ちらりと視線を遠くへと投げれば戦う味方の姿がある。
何時までもこんな事を続けてはいられない。]
…トールの旦那。
[三度待てと言われた。
だから待つつもりではある、が。
しかし相手が撃ってこない場合、挑発の一撃は最初に入れてもいいだろうか。
落とすつもりはない。
ただ、挑発する為だけの射撃。]
…シュテ。
[ぐ、と操縦桿を握り。
そして機銃から弾が発射される。
それは相手の機体から僅かにそれ、直撃はしないだろう**]
帝国軍 中尉 セルウィンは、帝国軍 中尉 セルウィン を投票先に選びました。
― 上空 ―
[挑発の弾丸は予定通りに相手の機体を掠めただけ。
その後即座に撃ち返してくるかと思ったが。
器用に並走する形で並ぶとこちらへと向かって叫んできた。]
忘れた、そっか忘れたのか。
また会おうって約束も忘れたのか!!
[何故忘れたのか、分からない。
シュテの様子と言葉から忘れたくて忘れたわけじゃないらしい。
忘れたふりをしているようにも見えない。
おそらくは記憶喪失。
何かがあって、シュテは記憶を失って。
そして敵軍へと入った。]
俺にも護るべき人がいる。
でも、俺は!!
[最初に護りたいと願ったのは誰だったか。
それは長いしっぽを揺らして笑う幼馴染。
あの、雨の日に二人遭難した時に決意したのだ。
護ってやらなきゃって。
そう決めたのに、護りたい相手に機銃を向けなければならない。]
[相手が引鉄を引いた。
放たれる弾丸はこちらを狙っている。]
これぐらいなら……っ
[機体を加速させて大きく旋回して弾を避ける。
三度避ける。
一度目の攻撃は甘い攻撃だった。
そこに躊躇いがあるように思えた*]
― 上空 ―
[攻撃は躱したが余裕があったわけではない。
ひやり、と汗が伝う。
相手の狙いが甘かったから助かった、そう思うと同時にわすれられてしまった事実に胸が重くなるようで。
二撃目の狙いも甘い。
だがこちらも集中力が乏しく、思考が乱れているせいか羽に弾が掠った。]
まだ、この程度なら……!
[ほんの少し翼が欠けた程度の損傷。
バランスを崩す事もなく空を駆ける。]
[これで二度の攻撃。
三度目があれば、相手の心の中に自分はいないと思え。
でも。]
…記憶がないんだったら、記憶を思い出せばそしたら。
[相手は撃つのを止めて逃げてくれるんじゃないかなんて馬鹿な事を考えてしまう。
擦れ違いざまに漏れ聞こえる言葉と声。
そこには確かな矜持が存在しているように思える。
だから逃げるなんてそんな事するわけないなんて事分かっていた。
それでもそう考えたかったのは、撃ちたくなかったから*]
― 上空 ―
[いつも、いつも後ろを追いかけるのは自分だった。
年下だからというのもあったし。
あの長いしっぽを追いかけるのが好きだったのもある。]
ちゃんとぶつかる、うん、分かってるんだ。
[三度目の攻撃をされなくたって、もう分かってる。
シュテの心の中に俺はいない。
そうじゃない、俺はいるけど、それ以上に大事な物がシュテにはあるんだ。]
どんな形だって後悔はする。
それでも、俺は、
[ぐるりと回り込まれ背後を取られる。
三度目の攻撃。
陛下に言われた三度目の攻撃が放たれた。]
俺は……っ!!
[シュテの心の中に俺はいない。
否、きっと存在はしている、記憶がないのだとしても。
しかし、三度の攻撃がなされた。
だから彼の心の中には俺はいないものと”思え”
無理矢理にでもそう思って気持ちを切り替えろ、そういう事だ。]
[背後からの攻撃は流石に避けきれなかった。
幾つか被弾したが、まだ飛べる。
ぐ、と操縦桿を握り締め速度を上げ急旋回をして前へと回り込む。]
お前とは戦いたくなかった、けど。
俺はトールの旦那の夢を叶えたい。
トールの旦那の元へと戻ると約束した。
だから、
もうシュテはいない、俺の中にはいないんだ!!
[突撃するように相手の機体へと突っ込み機銃の掃射する。
避けさせるつもりもなければ、避けるつもりない特攻。
中途半端に後悔などしない、させない。
ここで決着をつける*]
/*
脳内航空ショーみたいな動きになってるんだけど複葉機ってどれくらい小回り効くんだろう?
二機で螺旋描きながら急降下とかやってみたいけどそれ戦闘機。
[弾丸は確かに相手の機体に当たっている。
なのに止まらず向かって来る。
真っ向勝負、どちらも引かず、引けない勝負。]
は……、うっ……!!
俺は、落ちない。
一人では絶対に……っ
[正面から撃ち合えばその弾は翼に、機体に当たる。
そして、コクピットに座る己にも被弾する。
ゴーグルを掠め、グラス部分が割れて砕け散って。
そのまま弾はこめかみを抉り血が弾けるように飛んだ。]
[傷みと血が目に入った事による視覚障害に動きは一瞬鈍る。
その一瞬でどれくらい距離を詰められただろう。
弾も機体に幾つも当たるのを感じた。
反射的に操縦桿を握り機体の上昇を試みたが。
果たして避ける事が間に合ったかどうか##]
― 上空 ―
[咄嗟の判断だったが上に抜ける事が出来た。
だが相手が後ろに回り込んで来る。
たった今急上昇したばかりの機体、しかも損傷しているこの機体で完全回避は不可能だろう。
機体を傾け被害を最小限にとどめるのが精々か。
しかし襲ってくるだろうと思っていた攻撃はこない。]
違う、俺の名前はセルウィン・ベッカー。
モルトガット帝国軍中尉。
お前の呼ぶセルはここにはいない、もう俺の中にお前はいない。
[自分へ言い聞かせるように言葉を並べる。
懐かしい呼び名に手が震えて、決意が揺らぎそうだったから。]
[攻撃をしてこないのならこちらからいくまで。
機体を旋回させて側面へとつけ、機銃掃射をしようとして。]
―――――――――っ!!
[ピシッ
小さく、しかしはっきりと音が聞こえた。
翼に亀裂が走り、今にも折れてしまいそうだ。
負荷を与えれば終わる。
つまり、旋回ももう出来ない。]
……トールの旦那、すまない。
[戻ると約束したけれど、機体がもちそうにない。
丁度良く相手の機体とは向き合う形。
旋回も出来ないのならばあとは只管に機銃を撃ち続け。
そして相手の機体へと特攻する。
落ちるならば諸共に。
相手を巻き込んで共に海へと落ちる、そのつもりで速度をあげて特攻した*]
― 上空 ―
[共に落ちる覚悟が双方にあるのなら。
結果はただ一つ。
機体同士がぶつかり合い、翼が折れ、落ちていく。]
く……、
[落ちる覚悟、それは死ぬ覚悟だった。
そこが相手との大きな違い。
しかしただ死ぬつもりだったわけじゃない。
一人では死なぬ、相手を道連れにするつもりで。
だから落ちながらも機銃の掃射は止まらない。
それは闇雲に撃たれているだけだけど。]
(…トールの旦那、すまない。約束だったのに戻れない。)
[こめかみを抉った傷以外にもいくつも弾丸を浴びている。
傷みと出血で朦朧とした頭で思い描くのは忠誠を誓った陛下の顔。
戻ると約束したのに、戻れない。
死ぬ事は怖くないけど、それが心残りだ。]
(…シュテ、会いたくなかった。ごめん、会いたかったのに本当は。)
[虹の向こうはどんな景色なんだろう。
過去に語った夢を思い出す。
俺は鳥のように自由に空を飛んだ。
シュテはどうだ、虹の向こうを見たか。
落ち行く中、空を見る。
その空に虹はあっただろうか。
闇に意識が溶け行く今、それを見る事は*叶わなかった*]
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