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お父様を怨むだなんて
あなたらしくない言葉ね、フランツ。
[わたしは彼の呼びかけに答えるように、ぼんやりと出現しました。
この魂は摩耗して肉体とともに滅ぶばかりと思っていたのですが、*どうやらそうではないようです。*]
[フランツの村長さんを怨む様子には、わたしは少し首をかしげます――明確な肉体もないのにできることかしらん、まあ雰囲気です。]
そんなの、あなたが臆病者だから自立できなかっただけでしょう。
逆恨みじゃないの?
……自立しないことを良しとしていたのは親の罪とは思うけども。
[死んでようやく反抗の意思を見せるフランツを、わたしは生きているときよりも心穏やかに見ることができました。]
結局、あなたのしたいことって何だったの?
[オットーが狼であることを知っていたことについて、正直に話すべきか迷います。
それも、どれほど前から話始めれば良いのでしょうか。
そもそもオットーは人間の彼の名前で、狼としての彼の名はちがいます。
理屈的になれば、オットーは狼ではないです、と言うこともできるのでしょうけれど。**]
そんなこと、もうどうでも良いじゃない。
それとも、わたしが知っていたとして、
……秘匿していたのかとなじりたい?
[「君も」とのフランツの言い草には思わず吹き出してしまいました。
全く若者とは青い生き物ですね。
もう死んでいるものと思えば、わたしはますます彼に向けて言葉の槍を投げるのでした。
遠慮なんかするもんですか、悔しければ言い返せば良いのです。]
わたしはフランツの全部なんか知らないもの。
知らせようという努力もしてくれないなら
「わたしから見たフランツ」像、で
話すしかないじゃない。
話してくれるんなら、いくらでも聞きましょう。
説明もせずに周囲に責任転嫁するのは、
みっともないわよ。
[かわいそうなフランツ。
周囲の言葉を強く否定できる勇気がないから、こんなことになってしまったのでしょう。]
あなた、結局、
悪ガキになるのがこわかったのでしょう。
繊細なおぼっちゃん。
変に小利口だから、反抗して叱られるわたしたちを見て
逆らうのがこわくなったんじゃなくて。
……わたしと遊ぶより、親にほめられる方が良かったということでしょう?
[誘いを断られるということが、幼い頃のコンスタンツェにとって、どんなに寂しく悲しいことだったのか、彼はわからないのでしょう。
そしてわたしには、それを親切に教えてやるつもりはありません。
少なからず声はすねた口調にはなりましたが。]
[オットーのことも、わたしのことも知りたいと欲張るフランツに、わたしはどうしたものかと思いました。
何から説明すれば良いのか……。
フランツの勝手な興味につきあう必要はありません。
ただ、彼のそれは良い傾向にも思えました。
少なくとも、わたしにとって、その変化はうれしいことでした。*]
ようやく、「村長さんとこの息子のフランツさん」じゃなくて
一人のフランツという人間と話せている気がするわね。
今までのあなたったら、
村長さんの言葉の代弁ばっかりで、会話なんかありゃしなかった。
[「知ろうとしなかった」、つまりはそこに行き着くのでした。
わたしは鼻で笑うと、それ以上返事をしませんでした。
わがままなのでしょう。
誰かが知ろうとしてくれるのを待っているだけ、
自分では全て言ったつもりになっているだけ。
お互いにそんなことを分かっているのであれば、それ以上追求をしません。]
[自分を強くないと評価するフランツ。]
自信が無かったんじゃないのかしらん。
「いいこ」なのがあなたなんだと、自分でも決めつけていたのかもね。
[正解はわたしには分かりません。
それはフランツの決めることだわ。
わたしは少しおせっかいね、悪い癖かもしれないわ。]
居場所無くしても外に行こうとするあなたを
受け入れてくれる誰かがいると信じられたら良かったのにね。
[わたしはさて、まるでモノを考えない子どもでしたので、懲りるということを知らずに怒られてばかりいました。
「おにいちゃん」も、オットーも姉さんもそんなわたしと遊んでくれていたので、それは幸せ者ということだったのです。
反してフランツは大人に自立心を徹頭徹尾へし折られた不幸ものだったということです。]
諦めるしかないって状況には、同情するわ。
わたしはあなたをなじっていじめていたし、
相談をもちかけようだなんて、フランツだって思いもしなかったことでしょうし。
[それら過ぎ去った日々のことです。
もうやり直すことは許されません。]
[フランツは、ようやく年頃の青年らしい素直な表情を見せました。
ええ、ええ、わたしには見えております。
魂の扱いにはずいぶん慣れていますからね。]
ばかは死んでもなおらない、ってよく言うけれど
あなたはばかじゃなくて良かったわ。
[自分で言っていてくすくす笑いが止まりません。
やはり、若者と話すということは良いものです。
特に、精神や肉体の成長するさまを見つめるというものは。
さて、何か知っているかと問われれば、たいていのことは知っているのですが。*]
うーん、そうね。
今回のことの発端の、直接の原因は彼よ。
[ラズワルドがわたしを呼んでいます。
「聞こえているさ、見えているとも。」
そんなお返事をしたって彼には聞こえません。
あれら全て彼の人生です。
わたしはそれを見守るのみです。*]
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