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[人が死んでいるのに笑みを浮かべている神父に不審に思う。余裕があれば、「どうして、あんたは笑っていられるんだ?」とでも一言減らず口を叩いただろうが、パメラの家へと急がなければならない。>>81
人狼は悪魔であり、血を分けた親兄弟、恋人も友も喰らう、とジムゾンが言えば、一瞬のことではあるオットーに視線を配らせて、]
……そんなの、………………
俺は彼奴等とずっと一緒に過して来たんだぞ……、親友の彼奴が俺を殺すだなんて……。
[その時のアルビンの声は覇気がなくなり、オットーへ向ける目線には憂いが帯びる。
汚らわしい化け物、意趣返しとも取れるフレーズには気付いていたが素直に謝れる筈もなかった。
ジムゾンの浮かべる微笑から目を背けてこう続ける。]
俺は大切な人を失いたくない。
自分の命よりも、だ。
[そう言葉を切ってアルビンもまた沈黙した。]
― パメラの家 ―
[パメラとカタリナが待つ家へと向かう。オットーがまだ哀しみに暮れている様ならアルビンはその肩を支えて慰めただろう。
時折、前を行くフリーデルの背中を鋭い眼差しで見ては、目線をずらしてジムゾンの様子を窺っただろう。
着いた、パメラの家。誰からともなく二人に事実を話す。二人もまた村人の死に心を痛めるだろうか。
「なんで…? どうしてなの?」と問いかけるパメラにアルビンは力無く首を振った。]
[果たして、話しをし始めたのは誰だったか。
人狼についての知識はある。だからアルビンは言った、「ゲルトが死んだのは人狼のせいだと思う。人狼騒動に巻き込まれた事があって……、」
実は以前に人狼騒動に巻き込まれた経験がアルビンにはあった。
此処では詳しくは話さなかっただろう。今、重要なのはこの村で起きた人狼騒動なのだから。
何故話さなかったのかと聞かれれば、「お前達に変な心配を掛けたくなかったからさ」と苦笑しただろう。]
[人狼とは何なのかパメラが説明を求める。それにはジムゾンやフリーデルが答えてくれただろうか。
無ければ、自分が説明したかもしれない。
そうして、ゲルトが人狼に殺された事。
村に閉じ込められた事。を皆は知るだろう。**]
/*
あれあれ挟んじゃってごめんね。
ごめんばっか言ってるwwやだwwww
ちょと仮眠した後に赤を返さなきゃ。パメラに失礼だよ、頑張ろう・・・。
― 回想・子供時代 ―
[>>3:76
驚いたのはオットーで間違いなかっただろうか。
梟に怯えるオットーをからかう様にアルビンはくすくすと笑った。
近くの木々から飛び立った梟がふたりの頭上を過ぎると、今度は地を震わす程の遠吠えが聴こえて来た。緩んでいた空気は一瞬にして張り詰める。
「あれは鳴き声は何?」とアルビンに訊いたのもまたオットーだったか。
「あれは、狼の遠吠えだ。」
と教えて、オットーの腕を掴んで鬱蒼と暗く茂る森の中を走り出す。ひたすら前へ走り続けていると、急に視界が広がった。木々ばかり並ぶうっとうしい場所から、広場のようになにもないところに着いたのだ。
其処から小高い丘と一匹の獣の影が見える。天に届けと云わんばかりに空を仰いで大きく遠吠えを響かせていた。
アルビンは思わず目を奪われた。まったく無駄のない、流れるような身体の線。それを包む漆黒の毛並み。
アルビン達の居る場所からは確認は出来ないが、鋭い爪と光る牙を持ち、その目はどの宝石よりも美しく輝いているのだろう。すべてが野性の力と品格に満ちていた。]
[アルビンは興奮した様に頬を高揚させてオットーへと振り返る。
「どの動物よりも山を森を早く駆けるんだ。オットーは知ってた?」
オットーは遠くに見える狼にどの様な反応を示しただろう。
アルビンと同様に狼に見蕩れたか、それとも野生の生き物の姿に怯えたか。
(そもそも、アルビンはこの出来事を忘れてしまっている。
この日見た狼が現実か夢か定かではない――。)
オットーがどの様な反応を示しても、アルビンは気にする余裕は無かった。
声を弾ませて話しを続けただろう。
「あれはね、森の王。世界中で一番に気高い生き物なんだよ。」]
[オットーの腕を引っぱり抱き寄せて、アルビンは悪戯めいた笑みを浮かべる。
耳元に唇を寄てそっと囁く。
「オットーだけに教えてやる。内緒だよ、俺はね狼の子供なんだ。」]
― 再び、現在 ―
[その秘密の告白にオットーはどうしただろうか。アルビンはそれも覚えてはいない。
ただオットーがアルビンを見れば、気高い狼の子供である事を誇っているのだろう、嬉々とした表情がオットーの瞳に映った。
アルビンはオットーに様々な事を教えた。その中でも特別の秘め事を一番の親友であるオットーに告白していた。それは遠い過去、子供時代の素晴らしい日々を飾る1ページ。
何故だか当の本人は忘れてしまってしまったけれども。
その秘め事をオットーは覚えているだろうか?
非日常にも関わらず冷静に話すジムゾン。
話しが終えるとアルビンは鋭い視線をフリーデルへと向けた。]
誰も死なせやしない。その為には処刑を始めるしかないと言うんだな?
なら、俺は……。**
[狼の子供、自分は生まれて間もない頃に捨てられたという。赤ん坊の自分を拾って育ててくれたのは狼であるその人だった。
行商人として生きる育ての親と共に各地を渡り歩き花盛りの村へと辿り着いた。あの人は商売に出掛けると行って村にいない時間も長かったが、とうとうアルビンが大きくなると村へ帰って来なくなった。
親が狩りをしている瞬間を見た事が無い。きっと自分の前から姿を消している間に人を襲っていたのだと思っている。]
[果たして、波の様に押し寄せて来る感情は何処から来るのだろう。
自分が感じている感情が自分のものなのかパメラのものなのか分からない。
彼女の声を頭の中に響く様になってからというもの、脳裏へと伝わって来る想いがあった。
今も胸に頭を預ける彼女から流れ込んで来る。知己の仲を殺める罪悪感と、其れを上回る人を食らう快楽。
アルビンはパメラを通じてゲルトを食い殺したのだ。一種の疑似体験を味わっていた。
様々な感情がせめぎ合い複雑に入り混じる。感情の波が押しては返し心の内をかき乱す。このまま感情の海に溺れてしまいたい。胸から溢れ出る感情もまたパメラに伝わってしまっているのだろう。]
[「耐えられないと思ったら逃げて。
許せないと思ったら……」
あの時、そう呟いたパメラは怯えていた。謝罪を繰り返し許しを乞いた少女もまた。
幸せな時間を奪われたとは思っていない、自ら捨てたのだ。
差し出した手を取ってくれた存在が誰よりも気高く美しいと知っている。
その全てを視て感じて来たのだから。それ以上の至福を自分は知らない。
彼女にまだ人の心が残っていると言うならば、
人としての幸せを願うならば、
自分の願いが叶う事は無い。ならば、せめて、彼女は幸せになって欲しい、そう思って、思っていた、のに……。けれど、儚い望みだったのだろう。]
[小首を傾げてパメラが手を差し出された。血で濡れた人狼の手だ。パメラの細い腰から手を離しては目前にある手を取った。人ではない者の手と手が重なり合う。
唇を寄せた。まるで、口付けを落とす様に。否、祈りを捧げる様に。]
太陽に焼かれようとも、闇に身を投じても構わない。
お前の感じる全てを得られると言うなら、
この命も惜しくない。
俺も全てを捧げよう。
[それは、誓いだ。]
[流星は俺達の願いを叶えてくれない。ならば俺は愛しい妹の願いを叶えてやろう。
閉じた目蓋の裏には、傲慢で倒錯した暗く蠢き煌めく狂星が煌めいている。
けれども狡い自分は最期の願いを聞かなかった振りをして、
無理に笑おうとして失敗しまっているパメラ。不器用なこの子に微笑み返したのだった。**]
[自ら犠牲に選ばれるとは泣ける話しだ。
流石尊い聖職者と言えば良いのか。けれど、フリーデルの話しには抜けがある。]
明日ジムゾンが生き残っていれば彼に罪を擦り付ける事が出来るのだから。オットーとカタリナはずっと昔からの幼馴染みだ。
オットーは俺の事を信頼しているし、……。
[それに、きっとパメラの事を。
その事は伏せて話しを続ける。]
ジムゾンが高名な魔祓いと言われているならば、
もしかしたら、彼には何か能力があるのかもしれない、が。
その時はー―、俺が……。
[そして、畳み掛ける様に女の罪を告発する。]
俺は知ってるんだ、今は聖職者のなりはしているが、昔は東の都で娼婦をしていた事を。
人狼だと疑いを掛けられて東の都を追われた事も。潔白であれば、堂々として居ればいいものを。
そう出来ないのはお前が本当は人狼だからじゃないのか?
[短く息を吐く。
周りを見渡す、この中にはフリーデルを殺せそうな人物は居そうにない。アルビンは護身用に身につけている大振りのナイフを上着の外側からそっと触れる。]
アンタは苦労して来たんだろうが、同情はしても、
だからってアンタが無実だとは思えない。
アンタが死ぬって言うなら止めはしないぜ?
[もしも、今は死を覚悟していても、いざ彼女が死を直前にして怯えて逃げ出す様なら……。*]
/*
フリーデルを殺したく無いよー。
ジムゾンが庇って飛び込んで来てくれるんじゃないかと一瞬思ったのであった。
しかし時間もないし無理そう
[フリーデルへの残酷な言葉は続く。]
あたしが本当に人狼かもしれない?
人間ならそんな事は言わないだろう。
たまたま、そういう生き方か。
アンタが人狼ならそういう生き方を選ばなければいけなかったんだろうな。
けど、ゲルトを、幼馴染みを、殺した奴を許す事は出来ない。
死にたいと言うなら、好きに――、
[神父とは言っていた、
人狼とは、例え血を分けた親兄弟、恋人も友も喰らう悪魔なのだと。
ならば自分はその悪魔に魂を売った人間だ。]
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