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― 水軍旗艦『八幡』・甲板 ―
[海上より再び響く、ノトカーの声>>121。
直接の上官でなくとも、その声に否やはなく、『応!』と揃った声が応じた。
浄化の術に縛られ、姫の破魔矢に灼かれた今なら、砲撃も有効だろう。
怒涛の攻撃に耐え切れず、傷付いた大海蛇の身は沈み始める]
――鱗が剥がれた! あそこに集中砲撃!
[ミヒャエル自身も、砲撃がより有効となるように、狙いの周知や精霊術による誘導に注力していた*]
― 水軍旗艦『八幡』・甲板 ―
[大海蛇の撃破直後]
カムナ殿――ご無事でよかった。
[護衛の一人が縄梯子を投げ、ややあってフィオンがそこから姿を現した>>131。
全身濡れてはいるものの、健在な姿を見て安堵する。
もっとも彼は、真っ先に姫への報告を済ますだろうが>>132]
しかし流石に……術の使い通しは疲れるな。
[常ならば砲撃手に任せるところを、常に誘導術を使い続ける形になってしまった。
息を吐いた所に、降り注ぐのは碧の光>>130]
……癒しの術?
『かの水霊どののものであるな……流石に癒しはお手の物か』
[しかし船の修復は人力で行うよりないようで、術により疲労の抜けた者から、作業に取り掛かることになるのだった*]
― 水軍旗艦『八幡』・甲板 ―
カムナ殿、……いえ、礼を言われるようなことでは。
そも、貴殿の能力あっての策でしたから。
[一礼する姿に小さく両手を上げたが、顔を上げたフィオンの表情はいくらか砕けたもので>>144。
続く言葉に、こちらも少し肩の力を抜く]
お気遣いなくと言いたいが、カムナ殿と酒の席を共に出来るなら、機を逃したくはないな。
――では、時が来たら有難く頂こうか。
[そうして先々の約束を交わしたところで、彼と別れた]
― 『澱み』の集う場所 ―
[そうして休息と修繕の後に進んだ先。
近付くにつれてその異様な気配>>138は、自身の肌でもはっきりと感じられるようになった]
なんだこれは。
……海にこんなものが巣食ってるのか?
[海に生きる者としてその存在は許しがたいものだが、同時に純粋な力たるそれにどう対抗したものかと、途方に暮れるような思いもあった。
そこに降り注ぐのは、水霊の蒼の力>>139]
水を渡ることまで出来るのか。
――有難い。
[意図も軽く使われた術にしては強大過ぎる気もしたが、今は考えないことにした]
道を切り拓く役目は、俺が担いましょう。
[そう宣しながら、視線を一度向けるのはフィオン>>147の方。
彼もまた道を拓くのに相応しい腕前だが、今は姫を護ることを優先するだろう]
『澱み』を祓うには、姫様のお力もきっと必要となるでしょう。
だから今は、『八幡』ごと姫様を護ってお連れするのがいいかと。
[とはいえ溢れ出る海生生物は、容易に進むことを許しはしないだろう]
――少しでも、この船の水先を拓くために。
行って参ります。
[アデルとフィオン、そして同僚の船員たちへ向けて一礼し。
船縁から勢いよく、水面へと飛び降りた*]
[飛び降りた先にいるのは巨大な蛸だった。
こちらの姿を見るや否や、頭部をぐにゃりと縮める。
どうやら墨をぶつけ、目くらましする心算のようだ]
――させるかぁっ!
[鉄の靴底を磁力に反発させ、強引に空中を蹴る。
墨から身を逸らしつつ、その反動で投げ付けるのは鉤縄の先端*]
― 『八幡』前・海上 ―
[眉間を打たれた大蛸は、触腕を力なく垂らして水面に浮かんだ。
とどめが必要ならば、後は艦砲などで容易に行えるだろう。
自身は更に空中で一回転して、足から着水すれば、海面はそれをしっかりと受け止めた。
術の信頼性を確認しながら先へ駆ける。
姫の言葉>>164を胸に、突出せず、遠距離からの援護は受けられる位置で]
[そして今、眼前に居るのは巨大なヤドカリだった。
遠距離攻撃を殻でやり過ごしていたが、いよいよ船が近付いて来たのを感じてか、のそりとハサミを覗かせた]
そこっ!
[すかさず鉤縄をヤドカリの本体目掛け投げ付ける。
ヤドカリは慌てて殻に隠れようとするが、磁力の操作を受けた鉤は、強引に曲がった軌道で殻の中までも入り込む*]
[絡んだ縄によりヤドカリのハサミの節が折れ、致命傷に至らずとも無力化に成功する。
貝殻の穴が上を向く方向に倒したので、砲弾か術の投射があれば完全に倒し切ることができるだろう]
[時折駆け抜ける光の筋>>168を横目に見ながら、更に前を目指す*]
― 『八幡』前・海上 ―
[見据える先には、きらきらと、しかし鈍色に輝きながら海面を跳ねる姿があった]
飛魚か……?
[一匹一匹の大きさはさほどでもないが、集団で船内へ跳び込まれたら対処には手間取られそうだ]
苦無で落とすか?
でも、この数相手では効率が悪いか。
[思案している所に、肩上から声が掛かる]
『生き物の中には、ワシと同じ力を感じ取れるものがいるらしい。
コヤツらはどうかのう?』
成程。なら逆に、テツの力を借りれば……!
[言いながら構えた苦無を、飛魚の群れへ投げ付ける。
一匹ずつを確実に仕留めつつ、それに纏わせているのは強烈な磁力*]
― 『八幡』前・海上 ―
[磁力を帯びた苦無によって、群れは統制を欠き散らばり始めた。
十分に効果を確認したところで、鉤縄に持ち替え、群れを薙ぎ倒すように狩っていく。
船に近付いたものも、砲撃>>179に巻き込まれ数を減らしていくことだろう]
姫様も奮戦されている。
[船に近付いた大物のうち幾つかは、姫の浄化の力により落とされているようだ。
それに負けていられないと思うのは当然のこと]
――またあの海蛇か。
[再び海蛇の姿が目に付いて、警戒を強める。
船内の者でも仕留められはするだろうが、明確に船に害意を向ける存在だ。
近づけさせないに越したことはない]
今度は、こちらから行く!
[頭部を打撃された海蛇が、頭部をぐらつかせる。
しかし固い頭部に対し鉤での衝撃は小さかったようで、再びその眼が船を見据えた]
――先の大蛇ならともかく。
こいつ相手なら、通るか……?
[鉤縄を引き戻し、直後に両の手に構えるのは苦無*]
もう、船には近づけさせるものか。
俺たちの、前に進む意志を阻ませはしない!
― 『八幡』前・海上 ―
[苦無は海蛇の両の眼を、過たず穿った。
行く先を見失い暴れる海蛇に、鉤縄で追い討ちをかけ、更に艦砲がとどめを刺す。
船先を切り拓くこちらに対し、追従する船は道を押し広げるようにして、共に先を目指した]
――……っ、そろそろ……!
[更に一体、鈍色の影を押し退けた先に、祓うべき力の源は見えるだろうか*]
― 水軍旗艦『八幡』・船内 ―
『えっ食べられないのか……』
『いや、どう見ても食べたらいけない色してるだろ』
『しかし、海の漢たるもの……!』
[若干名食い意地の張った者はいたものの、連絡員の周知>>218と周囲のやや乱暴なツッコミにより、無事阻止されたのであった*]
― 『澱み』の集う場所・海上 ―
[ユウレン側からも幾人かが、海上に降りて露払いを行っている様子だ。
その中に、遠目からだが見た覚えのある姿を見付けた>>221]
ユウレンの剣士殿か。
[その動きは、対応が面倒な方向から来る敵を引き受けてくれているようで]
有難い、これで先に進みやすくなるというもの。
[集中すべき範囲が狭まった分、前進の速度は上がった]
[そして、視界の先。
鈍色の卵の表面に、ひびが入るのが見えた>>222]
まさか、本当に卵だったのか!?
[まるで孵化するかのようなその変化は、この場合歓迎すべきものではないだろう。
やがてその内より、咆哮と共に鈍色の龍が姿を現した>>223]
海龍、だって……!?
[水霊の言う通り、それはこの辺りでも特に脅威の存在として、船乗りたちの間で語り継がれていた]
――あれと戦え、っていうのか?
[為すべきことは、いずれアデルや連絡員を通じて伝えられることになるだろうか。
今はただ、強大なる存在の前に立ち、その様に圧倒されている**]
― 『澱み』の集う場所・海上 ―
[龍王、そのものでなくてもその眷属たる海龍は、シンシャの民にとって畏怖すべき存在。
模倣とはいえ、そのような存在と対峙することになるとはと、途方に暮れていたのだが]
――貴殿は。
[傍らからの声>>238に、はっと視線を流す。
ユウレンの剣士の内心までは読めなかったが、力の籠った声とその笑みの意図は知れた]
ええ。
……その存在の意味するものを知らず、ただ力のみを真似たというなら。
海に生きる者として、その在り方を正さなければなりませんね。
[ダーフィトの言葉に後押しされ、鈍色の海龍へと向き直る。
海を統べる者の姿を借りながら、海を汚し澱ませるもの。
シンシャの民、キタミの一族の者として、立ち向かうべき相手と定めた]
― 『澱み』の集う場所 ―
[海龍と直接刃を交える中に、いつのまにか小柄な影が加わっていた>>250]
大烏賊と戦っていた御仁か……?
[遠目にも強者とわかる存在だったから、彼が加わるのは頼もしいことだ。
と、思考したところに、見覚えある太刀筋が走る>>253]
カムナ殿!
[彼の者が前線に現れたということは、護りから攻勢に転じたということ。
砲撃や術が飛び交う最中、彼の張り上げた声が届く>>255]
――御意!
[伝えられた命に、振るわれたヒレのひとつを苦無で牽制しながら諾意を返す]
必ずや、我らの生きる海を汚したこの者を、討ってご覧に入れます!
[為すべきことへの迷いはもう、そこになかった*]
― 『澱み』の集う場所 ―
[かつて、目に見えぬ力の流れを読むことで、一族は水先案内の役目を得た。
そして力の流れを捻じ曲げることで、精霊術としての発展を遂げた]
この龍も、形を得た力そのものなら。
どこかに、力の流れがあるはずなんだ……。
[『虚無』が、海において『澱み』を生んでいたように。
何かしらの、力の集う点があるはずだと睨んだ]
[鉤縄を振るい、鱗を削るように打ちながら、見るのは海龍の体を蝕む炎。
煙が風の流れを示すように、炎の揺れが力の流れを示しはしないか。
そうして見極めた、炎の上る先]
――顎の下、か。
[ノトカー>>258の一閃で龍の顔が上がった一瞬、見定めることが出来た。
とはいえ弱点を長く晒す気はないようで、即座に顔を俯け爪や尾での攻撃に切り替えるのが見えた]
鉤縄や苦無で撃ち抜くにしても……軌道を複雑にし過ぎれば失速する。
それなら――
[周囲で奮闘する、シンシャ、ユウレン両陣営の面々へ一瞬視線を送る]
俺が懐――顎の真下に潜り込んで、逆鱗を叩きます。
どうにか一瞬でいい、奴の顔を上げさせられませんか。
[或いは深手によって隙の出来る一瞬を捉えるか。
いずれにしろ、周囲に自身の方針を伝えて援護を頼んだ*]
― 『澱み』の集う場所 ―
[コリドラスの術>>264が海龍を縛り、動きを阻む。
フィオン>>268は海龍の足元にて斬撃を放ち、その意図を受けたダーフィト>>269も、もう一方へと斬り込んでいった。
そして雷竜と騎竜師>>270は、一瞬で海龍の鼻先へ到達し、一閃を振るう。
攻撃を嫌がるように後退った海龍は、挑発に苛立つように顔を上げ――]
[その機を逃さぬためには、ただ走るのでは足りないと承知していた。
息を吐き、膝を軽く曲げる。
鉄の靴底が、水面よりも更に少しだけ浮き上がり]
テツ、――今だ!
『おう、やるぞ』
[磁力の反発と誘引、その力でもって、精霊師は脚力を超えた速度で水面を翔ける。
途中、無作為に暴れる龍の爪が見えたが]
――――っ!
[体を外へ倒すようにしつつ、速度を上げて強引に交わした。
爪の掠めた左腕に紅が滲むが、気にしてはいられない]
――見えた。
テツ、飛ばせ!!
[かつて見届けたフィオンの勇姿を思いながら、今度は自らを磁力で打ち上げる。
そして、折り重なる鱗の中に。
逆さに生える一枚を、確かに見出した]
はあああああっ!!
[気合いと精霊の力を込めて、自らの体ごと後方へ回転をかけながら、その一点へ鉤を打ち付ける]
[そして逆鱗は、過たず打ち砕かれた*]
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