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吸血鬼狩人 レトは、吸血鬼公 アレクシス を投票先に選びました。
姉ちゃん、無事……ぇ?
[彼女の手に見慣れないものがある。
それが拳銃だと気づいて目を見開いた。]
なにやってんだ!
正気かよ!?
[咄嗟に手に触れた本を拳銃めがけて投げつける。
身体は必死にひねって射線上から逃そうとした。**]
― 図書館 ―
毒?
[姉ちゃんの返答に、眉と声が跳ね上がる。>>53
足を引きずっているように見えるのはそのせいか、と納得し、まずは手当をと考えかけて、そんな場合じゃないと思い直す。
彼女が銃をこちらに向けていたのは事実だ。
麻痺毒か幻覚毒か。あるいはそもそも毒を受けたというのもフェイクか。
いずれにせよ、彼女がダーツを取りだしたのを見れば、未だにこちらを攻撃しようという意思は明白だ。
周囲の狼どもが手を出してこないことからも、きっとあの吸血鬼は物陰から覗いて楽しんでいるんだろうし、ほぼ間違いなくあいつが元凶だ。
声が聞こえて来た方向>>49を睨み、おおよその位置を測る。]
[苦労して立ち上がろうとしている風を装いながら、床を利用してボウガンに太矢をセットする。
二連装型のボウガンに、鎖付きの矢だ。
それから立ち上がり、彼女を見る。]
大丈夫だ。絶対助けてやるよ。
だから、まずはその物騒なものをしまえって。
あいつに騙されるな。気をしっかり持ってよ。
頼むから、吸血鬼なんかの言うことを聞くな。
[刺激しないようゆっくり近づいて、抱きしめるように腕を伸ばした。*]
そのままにしてて。
[彼女の背を抱くようにしながら、ボウガンを構える。
狙いは、棚の裏にいるだろう吸血鬼。
狙いを定めて、連装の矢を続けざまに放った。
最初の矢は、狙った書架の最上段に突き刺さる。
それより少し上に放った矢は書架を飛び越え、最初の矢に繋がった鎖で急角度に方向を変える。
見立てが外れていなければ、二の矢がアイツの頭上か背後から突き刺さる、はず*]
っつ……あっ…!
[目指す書架の裏へ回り込もうとしたとき、足がもつれる。
なにかに躓いたわけではない。
強いて言えば、自分の足に躓いた。
もとより、怪我を受けすぎたのだ。
血が足りない。意識が遠のく。]
く、そ……っ…
[暗く落ちていく視界に抗うが、身体はもう意思に従わない。
杭打ち機とボウガンを固く握りしめたまま、意識は闇に落ちた。**]
― 街 ―
[走る狼の背中で目を覚ます。
いや。実を言えば少し前から意識は戻っていた。
どうやら狼に縄で縛られているのはわかったけれど、縛り方が若干甘いのか、頭を地面に擦りそうで怖い。
この場合は、甘くて助かったと言うべきだろうけれど。
あの場で吸血鬼を仕留められなかった以上、今は打つ手はない。
今はともかく、逃げるが勝ちだろう。]
[靴の踵から、とっておきのシルバーナイフを飛び出させる。
とっておきの理由は、高価なのもあるけれど、材質が材質だけに一度使えばなまくらになるからだ。
けれども、今は銀の刃が功を奏した。
苦労して掴んだナイフで縄を切る。
吸血鬼の力で作られたらしい縄は、銀の刃であっさりと切れた。
疾走する狼の背中から転げ落ち、街路の端に空いていた穴―― たぶん、図書館の屋根を砕いたのと同じ力の仕業だ――の中へとさらに落ちていく。
落ちる先は、おそらくは街の地下に縦横に伸びているらしい地下墓地だ。*]
― 地下墓地 ―
[転がり込んだ場所は、だいぶ古い区画のようだった。
忘れられた石棺が、崩れかけた壁のくぼみに並んでいる。
すぐ傍には、壊れた棺桶から落ちてきたのか、しゃれこうべがひとつ転がっていた。
なんとかしないと自分もそのうちこいつと並んで骸骨だなー、なんて思いながらも、動くことができずにいる。
せめて止血…と思えど、未だに手足に絡んだ縄すら完全にはほどけていなかった。**]
はいはーい。
[言葉を残して頭上の影が引っ込んだ。
ほんとに探してくれるかなと、期待7割諦め3割の気分だ。
何しろ、街は今大変なことになっているだろうし。
赤い霧のおかげで想像の10倍くらい大変になっているのは、知らなかったけれど。
しばらくして足音が近づいてきて、これで助かったかと思った。
頭だけ傾けて、そちらの方を見て、一度瞬きする。]
[向こうから現れた人の目が赤く見えるのは、満月が変に赤いせいか。
それになにより……]
…やあ聖女さん。
アンタって、真っ暗でも平気なたち?
[明かりもなしに人間が歩くには、少々辛い暗さだろう。
左手に握っていた銀のナイフを、そっと握り直した。*]
…へえ。
最近の聖女さんって謎も多いんだ。
[聖女が吸血鬼勢に落ちた可能性と、最初から聖女があちらの陣営だった可能性を考えかけて、やめた。
どっちにしてもここのままだとちょっと生きていけない。
それに、多分吸血鬼側だったとしても、俺を恨んでるアイツよりはマシだろう。]
話?なに?
あ。それより先にちょっと、ロープ外すのとか止血するのとか手伝ってよ。
[寝転がったままで、お願いしてみる。*]
やあ、助かるよ。
俺、恩はちゃんと返す方だから安心して。
[念押しにはにこやかに答えて、ナイフを靴に戻してみせる。
もともと、依頼の無い相手はあまり狩らない方だ。
手当をされてる最中もなすがままになっていたが、時々、「そこ危ないから気をつけて」「あっ、そこダーツあるから」などなど、口を出すのだった。
最終的に出てきた武器は、実に二桁に届いた。**]
[半吸血鬼の見覚えを聞かれれば、首を傾げた。]
うーん…。残念だけど見覚えはないなぁ。
けど、この街出身の
騎士の娘で、金髪だって話。
けっこう昔の話だけど、また最近ここらで見たって噂。
えええと、コットンとかシルキーとか、なんかそんな名前。
[欲しかった話じゃなかったらごめんね。なんて謝っておいて]
それで、聖女さまはその
[と、ことさら軽く尋ねた。*]
討伐対象?
へえ。
[吸血鬼と半吸血鬼が仲が悪いというのはよく聞くけれど、討伐対象になるほどなのかと感心する。
元聖女の吸血鬼とか、半吸血鬼にとっても狩人にとってもやっかいな相手だなとか、そんな感想。]
こちらこそありがとう。ホント、助かったよ。
街は……まあ、うん。
俺はもう、こんなだし。後は生き延びることを考えるよ。
あと、よかったら…でいいんだけど、
ゾフィヤっていう黒髪の女の子がそっちにいたら、良くしてあげてよ。
ぼんぼん吸血鬼が連れてったみたいだからさ。
[最後に見た彼女の姿を思い出しながら、ついでに頼んでおく。
気がかりであっても、もう助けに行くのは無理だろう。]
俺の立場で言うのもどうかと思うけどさ。
討伐、うまくいくといいね。
[依頼のようなもの、のあたりに親近感を覚えて、そんな言葉を掛けておいた。**]
― 街 ―
[街の惨状は、想像以上だった。
吸血鬼たちが襲ってきた、というだけでは収まらないなにかがある。
荒れた痕やら、今も聞こえてくる悲鳴の割には、死体が見当たらないけれど。
歩く内、視界が赤いことに気がついて、咄嗟に口を布で覆った。
ヤバさの元凶はこれだと勘が囁く。
図書館から連れ出された時は、あまりにも朦朧としていて気づかなかったけれど、吸い込むだけで、なんか頭がぼうっとしてくる。]
やばいやばい。
なるべく吸わないようにしないとか。
[まったく何なんだよと悪態をつきつつ、ひとまずは荷物を回収しようと図書館へ向かった。
現在位置が若干不明だけれども、教会を目印にして歩けば大体なんとかなるものだ。*]
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