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[文句を言いたかったのに、目の前の彼がもう彼じゃないから言葉を飲み込む。けれど抗議の視線は理解できたのだろう、目の前の彼は自分のことじゃないのに、申し訳なさそうに目をそらせた]
……?
[やっと足は解放されたけど、今の彼はミヒャエルに好意を持つ彼ではない。さほど身の危険も感じず――なんだろう。
抑えられなかったことの瀉剤はともかく、続く言葉の意味が分からない…小物の小物ざる?]
えー、と?
[申し訳ないことを、とは。じっくり意味を考えて]
………。え。え?!ちっ、が!なにも…!!
[理解してしまった。つまり、彼とそう、いう、ことをしたと!
ないないない!と必死で首を振る。なんということを考えるのかこの男!必死の訴えはやっと通じたけれど、お互い顔を見れない時間は避けられないだろう*]
[ひどい誤認をそのままに、小物に乗せられた状態で]
……す、すまない。
そそ、その、く、口、付けを!
しても……いいだろう、か……
[目の前の男の顔をまともに見れないまま放った、叩きつけるような要請に。
何故と問われれば、力の戻りが強かったという言葉を口にするだろう。
両手は拘束されたままだが、頑張れば、きっと、く…口付けくらいは大丈夫だ!]
あ、う、ん。その。ごめん
[やっと誤解はとけたものの、そんな勘違いをしたせいなのか、お互い顔をそらせたまま視線が合わない。どうやら気絶するほどの衝撃を与えてしまったことを謝罪する、けれど。
口調のせいか落ち着いた人だと思っていたけれど、もう一人の彼に子供だと評される彼の内面は思ったよりも]
……。
[思ったよりも、可愛らしいようだ。必死で目を逸らす様子をしばらくにこにこと眺めていたのだけれど]
…え?
[唐突に空中に向かって、宣言した内容が。キス、なんで?]
[と思うのだけど、必死で視線を外したままで許可を求めてくるのに、ちょっと。悪趣味だとは思うが。あんまり、嫌という気がしない。だから]
――いいよ。
[こちらから、緩く抱きついてみようか*]
[力いっぱい許可を求めた時、目の前の男がどんな顔をしていたのかなんてことまでは、吾は気にする余裕もなかったが。
ただ、吾の中の小物が少し不機嫌になったような?拗ねているような、そんな感覚に襲われて]
……!?
[胸にかかる重みに、ひゅっと息を飲んでしまった。
そうして告げられた許可の言葉に、ぶうぶう言い出す小物を宥める]
[うるさかった小物が静かになってそこで初めて、こちらに視線を向ける男を目を合わせる。
このままの体勢では不便だと、少々不安定ながらも膝立ちに、いざと思えば──…]
[どうにも動けず、なにも言えず。
真っ赤な顔で逡巡することどれほどか、
この状態で小物が静かなことが少し不気味だが、
意を決して、吾は目の前の男と唇を重ねることにしよう]
[意気込んでのキスなんて、すんなりうまくいくわけがない]
──ふっ
[一気にやればいいと唇に触れるその直前、止めてた息が漏れてしまい、吾はそこで動きを止めてしまった。
そのまま唇を触れさせればいいというだけの話なのに、男の顔を前にして吾は
接吻とは、唇を合わせるだけでいいのだったか。
いらぬ思考を挟んでしまった。
そうしてそれは、小物にも伝わってしまったようで]
[まあ、さんざん茶化されることになった接吻の作法は小物から聞けたので、それも怪我の功名と言えようか。
さあ、今度こそ、教わったとおりに唇を重ねて──…
それから下唇を傷つけないように噛み、舌を口内に滑り込ませることにしよう]
──っ、ふ… んっ
[内部からの刺激もあって、また男の口内の感触に、また己の行動に羞恥のあまり、意識が飛びそうになるけれど、
ここで気絶しようものならどうなるかなんてわかりきっているものだから、必死に堪えて舌を這わす。
男の呼気さえ貪るように唇を重ねなおすたび、リップ音混じりの水音がつなぎ目から耳を侵す。
目の前の男から抵抗があったとしても、そういうものだと吹き込まれているから、羞恥と未知の快楽に思考を侵されつつある吾は、男の口内を舐るのを止めることはしないだろう]
[なんとか男を開放できたのは、吾が腰砕けになって立てなくなる頃であったか。
べしゃりと崩れ落ち、息も絶え絶えになりつつも、なんとか小物に体を渡すことは防ぎつつ。
こんなに大変なことをしていたのだから、先程の吾が意識を失うのも仕方がないことだろうにと、小物に向かって悪態をつくのだった*]
[唇が近寄る。自分でいいと言ったくせに、吾様ほどではないとはいえ経験豊富といえないからやっぱり緊張する]
……。
[大人しく目を閉じて待っていたけど触れる気配がなくて、そろりと目を開けると近い距離で硬直したように固まっているのが見えた。
どうしようこれ。こちらからするべき?
でも下手なことをすると、また気絶してしまいかねない。
どうしていいのかこちらも固まったまましばし]
[ふ、と唇に息がかかった。それこそ、今にも唇が触れそうな距離。]
――?!
[ふにゃと力が抜けそうになる。今まで比較的平気だったのに…一気に血が上り、後ろに逃げそうになるのだけど]
っ、ん…
[唇に柔らかいものが触れた。キスした!いやいいと言ったのはミヒャエルなのだけど。
逃げない、に、げ…ちょ]
ふ…、ぁ、ん…
[優しく唇を噛まれ、力の抜けた口内に、まさかの。舌、舌が]
ひ、ぅ!!ゃ、あ……
[まさか。あちらの彼ならともかく、こっちの彼にそんなことをされるなんて考えていなかった。舌にざらりとした柔らかいものが触れてぞくりと背を何かが這い、慌てて逃げるけれど狭い口の中では逃げる場所なんてない。
再び追いかけてきた舌が舌に絡みつき、その間も呼吸を許さない必死さで何度も何度も唇を重ねる。その度に信じられないくらいに音が響いた。
信じられない。信じられない、こんなの。でも。
嫌じゃない…というより]
――っ、も、む…
[無理、という訴えは唇で塞がれた。酸欠でぼんやりしてくる…信じられない。けど、きもちいい…無理、と、もっと、が混ざりあってもうなんだか分からない]
[結局二人して崩れ落ち、息も絶え絶えになった。緩く彼の背に回していた腕が一度も離れなかったのには最後まで気付かないまま。
しばらく必死で息を整えて]
――、どうしよう。きもち、よかった…
[ぽつり、本音が洩れた*]
[悪態をつく吾様に言うべきか言わざるべきか。
いや、だって、あれは吾様がわるいよ。吾様の聞き方が悪い。
ほとんど力が戻ってるってことを伝えなきゃいけないのに、吾様は復帰できそうもない。
それなのに俺に主導権を譲ってくれないので、なにもやれることはないと──…]
……吾様
[不貞腐れていたら、ふいに部屋の中のなにかが動くような感じがして。
それを吾様に告げたなら、くれぐれも無体は働かないようにと言いつけられた上で、体の主導権を与えられた。
吾様は何かを探って備えようとするつもりらしい。
それが館の主からの伝言>>33>>34の、前兆であったと俺達が知るのはそれからちょっとだけ後の話]
[俺は吾様じゃないから、崩れ落ちたままの状態から起き上がることが出来るのだけど。
背に回された腕を離させたくないんだけどどうしよう。
なにかに備えるなら起き上がらなきゃいけないんだけど、一生懸命息を整える君が可愛いので離れたくないんだけどどうしよう。
拘束を解いてもらった方がいいんだけど、吾様じゃなく俺が話してそれが叶う気がしないんだけどどうしよう。
吾様の口調真似するにしてもなんかめんどくさい言い方をするってぐらいしか思いつかないし、話してて面倒になりそうなんだけどどうしよう。
そんなことをぐるぐる考えていたら、可愛い台詞が聞こえたんだけどどうし──…
吾様への言い訳が思い浮かばないんだけどどうしよう!]
[本音を零す君へ、触れるだけのキスを落としたら君はどんな顔をするのだろう。
一度じゃもちろん足りないから、二度三度と、唇で君に触れたら、どんな反応をするのだろう。
どんな反応をするにしても関係ない。
考えなかったことにするなんてありえない。
というか、もう、しちゃったからね!]
[そんなことをしてしまえば、きっと今の俺が俺の方だっていうのは君にはバレてしまうだろう。
もしもダブルノックアウトについて問い詰められたら、やったのは吾様だって言ってしまうし。
キスを教えてほしいって聞かれたから教えたよ!とも言ってしまおう。
だって、あれは吾様の聞き方が悪い。
さっき起きた事とか、君にされた事って聞かれたなら、それはちゃんと答えたよ!]
[言葉が零れだしたのは、ほぼ無意識だった。だから自分が何を言ったのかなんて覚えていなくて、だから目の前でそんなことを考えられているだなんて考えもしなかった。
また唇に柔らかい口付けが落ちる。さっきとは違う、宥めるみたいなキス。
――きもちいい。
ちゅ、ちゅと連続で落とされる唇を目を閉じて受けて、あれこれはどっちだろう、と微かに考える。でもどちらであっても思いを込められた口付けはきもちよかったから、こっちからも少し長めに触れるだけのキスを返そう]
[息を整えて少しは戻ったけど、やっぱり力の入りきらない体、間近なままでさきほどキスに到った理由を聞こう。触れるだけ、という話だった筈なのに、つまり吾様は目の前の彼に騙まし討ちをされたらしい。合掌。
これは怒るべきなのだろうか。けどどうにも怒る気になれない。相手の体ごしに回した手で、相手の両手を戒めるベルトの存在を確かめるみたいに、ベルトと肌の合間を指で辿り――その戒めを解く。もういらない気がしたから。]
…、
[どう言えばいいのだろう。今となっては。あれだけ否定しておいて。
嫌じゃない、という言葉をそのまま伝えるのは言いにくいから、どうやって伝えたものか。悩むように唇を開きかけたままで、でも言葉は出てこない]
― 尖塔の最上部より ―
[怒るべきか呆れるべきか決めかねているような顔の君が、俺に再び抱きついた。
突然に抱擁に動揺するより先に、手をなぞる指先がその目的を伝えてきたから
力の大半は戻っているのだし、革のベルトごときの拘束なんて自力でなんとかできるけど、
ここは、役得を──…じゃなかった、大人しく解かれるのを待つとしよう。
カチャリと金属が床に触れる音が、縛めを解かれたと知らせてくるのと、
なにかの気配が濃くなるのは、同じくらいのタイミングだったか]
[鍵なしでは帰れない、そんな言葉を聞いてすぐ、吾様が転移の術式を貼ろうとしたんだけど。
どうやらこの館の中では、少なくとも吾様の使う魔術体系の転移は使えなくなっているみたいだ。
そんな事をしている間にメッセンジャーは…いや、おそらくあれは……
ま、消えちゃったし、それを気にしてもしょうがない。
戻りたいけどなんて言葉とともに、彼>>41は俺を見上げるけれど、俺の答えは決まってる。
彼が戻るなら着いてかなきゃ意味がない。さすがに世界を隔ててじゃ口説き落とすのも大変だからね!
吾様の答えも動機はちがえど帰還一択、悩む必要はどこにもない。
だからまずは──…]
この塔から出ないと、だね!
[窓しか出口がない尖塔、その最上部から降りなければ。家具のないこの部屋から出る方法なんて一つしかない]
ん、と、今ここから落ちるから、暴れちゃ駄目だよ。
[なんて、彼を抱き上げて、俺は窓から飛び降りるのだった。
やってることはお姫様抱っこだけど、地面につく場所をへらすことで落下の衝撃をなんとかって吾様が言ってた気がするから仕方ないんだよ!
背負う担ぐなんて選択肢は、見えないとこで引っ掛ける可能性もあるって吾様が言ってた気がするから、この抱き上げ方になるのは仕方ないんだ!*]
[そろそろ小物を一回小突くかなにかしなければなるまいと、吾は強く心に決めて、落下の衝撃を和らげた。
あまり離れ離れになると制御が難しいと伝えたはずだし、小物が先に降りて次にという方法でも対処できるとも伝えたはずであるのだが、どうしてこうなったのか。
まあ、男との距離の近さに意識してしまって制御どころではなくなりそうだから、こうなってしまえば表にいるのが小物でよかったのだろうか。
……そもそも小物が表じゃなければこうがなっていない事を除けば、小物が表でよかったのだろう]
[君を抱き上げ幸せいっぱいだった俺は、遠くない未来に吾様による説教が待ち受けてるなんて知らずなくて。
もっともーっとこの時間を噛み締めていたかったけど、地に足がついてしまったから名残惜しいけど君を降ろそう。
それからぐるーっと周りを見回して、どうやら差し迫った危険はないようだから]
鍵探しに行く前に、忘れ物とかあったら言ってね。
取った瞬間、戻っちゃうやつだったら置いてくことになっちゃうし。
[なんて、制服のポケットから、キャラメルとクッキーをばらばらと取り出して、彼に手に乗せれるだけ乗せて]
あと、ちょっと俺、寝るよ。
鍵の位置を補足するのに、吾様の魔術領域だけじゃ足りないみたいだから分けてくる!
[なんて伝えてから、大きな木の元に腰掛け目を瞑った]
[寝ると宣言して休んだのだ、わざわざ表に出る必要もないと、吾は探しものへ意識を集中させた。
ぱちり、ぱちり、と意識を切り替えれば、その度に範囲を変えた分布図が現れて。
……膨大な魔力質量を持ったなにかでは該当が多すたか。
今度は、大きさ…温度…生命反応…魔力波パターンそれから──…
検索条件と除外条件を切り替えて、それに該当する可能性の高いものを絞っていく。
吾も人外といえど全知全能とは呼べるものではないから、取りこぼすものもあるだろうし、拾ったところで見当違いというものもあるだろう。
だからこそ、情報の剪定作業は入念に、小物の領域まで手を広げて行おう。
そうやって、いくつもできた候補地の中、
あの世界への転移条件、その魔力波にもっとも近い反応を示したものは──…]
北、か
[北の墓地の奥の一角で、空間が歪んでいる更にその先に]
[そうやって調べ物は終わったのだが、あの男はどうしているだろう。
その場に留まっていたのなら次の目的地を告げるだろうし、
もし傍で眠りについているのなら目覚めるまでの間、吾も隣で微睡むこととしよう**]
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