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投票を委任します。
調香師 ローランドは、嵐激の騎竜師 カーク に投票を委任しました。
― 回想/遺跡前 ―
[この先への同行がどうなるかは、伝令の兵の一存では津全ながら分かり得ぬもの。
ならば直接公子から伺いたいと兵へと先に伝えに戻ってもらい、自分は出立の準備を整える事にした。
といっても右肩の傷の保護を厚くするのと、使用した薬品の補充位で済ませたので然程遅れる事は無く。
>>9公子の前まで進み行くと、笑み含んだ声で話しかけられたそれにまずは頷いた]
えぇ。
それに、私などより腕の立つ方も数多といらっしゃるでしょう。
[国民でもない上目立つほどの腕利きでもない自分が何故、と思った故に肯定すると公子の傍近く控えていたお歴々から不敬という声が飛ぶ。
だが、男もそれを分かった上で言っている]
[これで怒る様な方ならば、こちらから同行は断ろう。
そんな考えを読まれていたかどうかは分からないが、続いた公子の言葉はこちらの予想を超えたものだった]
…なんとまぁ。
[個としての信用を重視する、それは当然といえば当然の選択ではある。
だが、立場が上であればある程、柵や面子などに捕らわれ難しくなるだろうものなのに]
(豪気なのか何なのか。
面白い方が居たものだ)
[ふ、と浮かんだのは素直な笑み。
そして]
勿体なきお言葉、有難うございます。
ローランド・メルシエ、謹んでご同行させて頂きますよ。
[そう言うと、深く頭を下げて公子に同行する意思を示した*]
[トンファーを抜き取ったと同時、確認出来たのはこちらへと向かい走ってくる牡牛。
ただ自分の知る姿と違うのは、角が前に長く鋭く伸びている所。
トンファーで殴るよりもその角に貫かれる方が早そうだと判じた男は即座腕を前に振り上げ]
それっ
[トンファーを持つ手を離せば、慣性のままに牡牛目掛けて飛んでいって。
こちらに向かってきた牡牛は避ける術もないまま頭でトンファーを受け止め、崩れ落ちた]
よし、まずは一頭。
[上手く狙い通りに投げられた、と安堵するもゆっくり浸る間は無い。
特に自分は戦いが本業ではない、本業を全うする為にも此処で脱落してはならないのだから]
手当する人間がボロボロになってちゃ、気を使われてしまうしねぇ。
[逃げも隠れもする気は無いが、動けぬ失態は見せられない。
すぐさま牡牛に駆け寄りトンファーを拾い上げると、新たな敵意の元へと向き直った。]
[向き直った先に居たのは大きなサイ。
二角になっている違和感は、より凶悪さを感じさせるものだった。
やはりこちらへと向かい走ってくるのを見止め、先は手放したトンファーを持つ手首をくるりと返すと確りと握りを固定して]
……せい!!
[真っすぐに突き出した柄先は、ドスン、と鈍い音を響かせてサイの二本角の中心を正確に捕らえられた]
[だが]
(…足りないか!)
[動きは止まらず、トンファーごと男の身体は後ろへと押されていく。
このままでは均衡を崩されたやすく男の身体は跳ね飛ばされることだろう。
ならば、崩される前にこちらから崩してしまえば良い]
[こちらから崩した均衡は、正面から側面へと移る事には成功した。
だが、このままではサイは真っすぐ他へと向かってしまうだろうと空いている右手でサイの角を掴んだのは、流石に欲をかきすぎたか]
っ、く!
[タイミングを測りはしたが、人よりも遥かに力強い相手に力比べは無謀が過ぎると自分でも分かっている。
少しでも早く決着をつけねばと、じりじり引き摺られながらも左に持ったトンファーの持ち手を握り替えて]
[間近に見えるサイの顔。
その皮膚は継ぎ目があり、そこを狙えば気絶もさせられよう。
そんな狙いで振り下ろしたトンファーは]
!?
[ガツンという大きな音。
それにふさわしい手応えはあった、だがそれは皮膚によって跳ね返されただけに過ぎなかった。
その反動によってトンファーも取り落としてしまい、狙いは悉く外してしまったことを悟る]
っ、この皮膚が、厄介、だね…!
[男が失敗の原因を推測している間にもサイは前へと進むことを止めない。
恐らくはこちらの体力待ちを狙っているのだろう]
…さすがに、そこまで、付き合ってあげる、
暇はない、な…!
[不幸中の幸いか、トンファーを取り落としてしまった事で空いた左手を背のリュックへと伸ばし入れた]
[薬の入った小瓶は、硬い皮膚によっていともたやすく割り折れた。
それが与える傷はごく微量ではあったけれど、男の狙いは傷つけること、ではない]
…もういい加減走りつかれたろう?
ゆっくりお休み。
[叩きつけた小瓶の中身は強力な睡眠薬。
男が呼びかける間にも薬が効き始めたのかサイの動きが緩慢になっていき、最後はその場にくず落ちて寝息を立て始めた*]
…!
承知致しました、公子。
[まるで男の逡巡を読んだかの様な呼びかけは、男の思考に知らずかかっていた暗示を除いてくれた。
男は薬師として参加している。
更に言うなら男の本質は香を繰る者だ。
武器をもって戦うは、自分の本分ではない]
[それぞれが動き始めたのを視認すると同時、男は漆黒の獣から逆の方向へと走り出す。
程良く距離を稼いだところで香の入った瓶を取り出すと、蓋を少し開け]
……ふむ。
この広がり方だと、二箇所…いや、三箇所に撒くのが良いかな?
[香りの流れ方から、空気の巡りを読み、どれ位の範囲まで香が伝わるかを推測する]
[そして、背負っていた鞄から水が満たされた中瓶と巾着袋を一つ取り出し。
更に腰に巻いていたストールを外し地に広げ、瓶の中の水を満遍なく振りかけた後]
よし、後はこれを…
[すぐに拾い上げたストールを手に目星をつけた場所まで移動すると、巾着袋の封を開けて横薙ぎに振り撒き。
それを手にしていたストールでばさりと扇ぐと、その場から扇状に清涼な草花の香が広がっていった]
[男が広げているそれは、人にはただの香りとしか感じられない。
少なくとも不快を与える香りではないだろう。
だが、人ならぬ者にはその意味が身体で感じ取れるはず。
それは幾つかの香草と花弁を併せた不浄を清める浄化の香。
正気を失った神の徒にとっても、多少なりと沈静の助けとなろう**]
[それが一匹ならまだしも、何匹も同じ様に交差して走る様子が見えれば流石にその不可思議さに気付くというもの]
これは、さっきの光のおかげ…か。
[思い当たる節を探し、更に視線を彷徨わせ。
ようやく翡翠の髪色を見つけると、微かな笑みと共に頭を軽く下げるに留めた。
今は悠長に礼を言っている場合では無いし、何よりかのもりびとが男を護る術を施した訳はこの香に他ならぬだろうから]
手を止める訳には、いかないね…!
[この行動が無駄ではないと言外に伝えられた、そう思った男は漆黒の双角が正気を取り戻すまで香を保ち続けた]
[駆け寄った二人は揃って何やら慌てた様子。
鎧の色合いから、トールの胸の傷をぱっと見では気付くことが出来ず]
どこか打ち付けたのかい?
[ユーリエを受け止める際によろけでもしたか、と双方の顔を見て問いかけた*]
[駆け寄ってみれば、>>140ユーリエにも幾つかの傷がついている。
あの体躯を相手に戦っていたのだから、無傷で済む道理もないとは思うが女性の顔の傷は痛ましさは感じるもの。
それは男なら誰も感じるだろうと思うから、>>144トールの頼みも不思議ではないのだが]
君は自分だけ仕事をしておいて、僕にはさぼっていろと言うのかい?
心配しなくても、皆を診るし、手当もさせてもらう。
まずは女性を安心させる為にも、君から診せてもらおうか。
[男の経験上、この様に他人を優先する者は十中八九自分を疎かにしがちなだけにはいそうですかとは言える訳がない。
>>149ユーリエの訴えからも、まず優先すべきはトールだと態度からも隠さず告げた*]
[それからトールへと視線を戻すと、既に彼は受けた傷を露わにし終わっていた。
特に目立つのは右胸の上、見た限りでは骨や内臓への損傷は無さそうだが問題はその深さ]
これは…結構深くやられたね。
[まずは出血を止めるが先決と、消毒した綿で抑えながら呟く。
医者であったなら縫合も出来ようが、薬で出来ることには限度がある──だが]
傷に麻酔と消毒を染み込ませた布を当てて、貼布をした上から包帯で固定しよう。
多少息苦しくはなるだろうけれど、暫くは得物を存分に揮えるはずだ。
ただし、皆の元に戻ったらすぐに医者に診せるんだよ。
[言いながら、迷いなく処置を施していけばトールの傷は白い布の下に隠れていった**]
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