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― 『世界軸』上層・『深淵の間』 ―
[急所に叩き込まれた電撃は『深淵』の身を内側から焼き、やがて巨竜は墜ちる。
それよりも一瞬早く、娘は床に膝を着いていた]
はあ、はあ……
[独りなら決してやらない無茶だった。
ミリアムの加護があったとはいえ、ブレスを受けた肌がひりひりと痛む]
ミリアム、大丈夫だったか……?
[そう言って振り向いた先の、相棒は果たして**]
― 『世界軸』上層・『深淵の間』 ―
――ミリアム?
[振り返って目が合った瞬間に捲し立てられた>>81。
その様子にとりあえず無事であることはわかって、安堵の息を吐く]
ふふ、流石に無茶だったね……。
でも、他に手が思いつかなくてね。
[迷うくらいなら前に進め、とは、鬼族の強靭さがある故の戦法ではあるのだけれど。
竜のブレスが相手では、ミリアムの心配も尤もだ]
[ミリアムの癒しの力が届いたのは、それから一拍置いてのこと>>84]
うん。ミリアムも、無事で良かった。
[自分が前に立っておきながら、結局最大の攻撃への対処はミリアム任せになってしまった。
自分一人で何もかも出来る訳ではないのだろうけれど、不足を感じ少しだけ眉を下げる]
こちらこそ、ありがとう。
[さて、神子からの言葉が届いたのは、そうして言葉を交わしている頃だったか>>26]
次は試練?
……他のヤツらが竜と戦っている間に、かい?
[八竜、というからには、名を挙げられた以外にもう二体は竜がいるだろうに。
疑問に思いはすれど、詳しく訊ねる時間はないようで。
そこにふわりと届くのは、風に乗った癒しの力>>27。
そして更に上へ続く階段が、眼前に現れる]
なんだかねぇ、こうもお膳立てされると……。
[誰に対してともなく呟いたところでふと、召集を受け広間へ集った際に、神子が見せた自嘲のような表情を思い出す。
まるで『世界』の責任を、自分一人で背負っているような顔だった。
それを思えば文句を言うべき相手も見つからず、ただ、長い長い溜息をつくだけだった]
ミリアム、どうしようか?
このまま先へ進むか、それとも休憩を挟むか。
[いずれにしろ、あまりのんびりとはしていられないだろう。
彼女の返答を聞きつつ、自身は戦闘の後始末として、投擲した武器を回収する。
金属製の武器は雷を通すことでそれ自体をある程度操作できるため、それほど手間はかからなかった*]
相談……。
[ミリアム>>100に言われて、ひとつ瞬く。
思わず手をやったのは、左耳の黒い石。
――余裕がなかった、というのは確かだけれど、ほんの少し意識を相手に向けただけでも、見方は広がっていたはずで。
それを可能にする手段のことすら、すっかり抜け落ちていた]
そう、だよね。
[こくり、と頷く姿は、少しだけ力ないものとなる]
相談……。
[ミリアム>>100に言われて、ひとつ瞬く。
思わず手をやったのは、左耳の黒い石。
――余裕がなかった、というのは確かだけれど、ほんの少し意識を相手に向けただけでも、見方は広がっていたはずで。
それを可能にする手段のことすら、すっかり抜け落ちていた]
そう、だよね。
[こくり、と頷く姿は、少しだけ力ないものとなる]
……いずれ神子とも、ゆっくりと言葉を交わしてみたいものだよ。
[自分も自分なりに何かを背負った気でいたけど、それよりも重いものを背負う存在がいるとは、考えないままに生きてきたから。
そうして思い馳せていたけれど、ミリアムの言葉>>109に頭を切り替える]
なら、一度戻ろうか。
[他の人も、との言葉に治癒士らしい気遣いを感じつつ、共に中層へと戻る。
しかし休息と用事が済めば、すぐに再び階段を登ることとなるだろう]
― 世界軸上層・『月闇の間』 ―
[中層で回復や休憩に幾らか費やした後。
先の広間より更に階段を登った先は、薄暗闇に包まれた部屋だった。
形状はどうやら菱形、壁のオブジェは月の満ち欠けを模したものか]
随分と洒落た部屋じゃないか。
[一見戦いの場ではないようにすら見えるその部屋に、見覚えのある薄碧の仔竜が静かに待ち構えていた。
かつて自分たちを出迎えてくれた仔竜の片割れは、静かに試練の内容を告げる>>#2]
全力でぶつかり合え、……だって?
[思わずミリアムの顔を見た。
向こうは癒し手、戦う役目は自分がと、先の戦いで内心決めていたのに]
――ミリアム。
[相手の目を真っ直ぐ見据えながら、深く深く息を吐いた]
アンタの準備が出来たら、動く。
開始の合図はアンタが出してくれ。
[速さを武器とする自身に対し、向こうは術等の事前準備が必要だろうと踏んでの提案だった。
有利不利を考慮して、というのは理由の半分。
もう半分は――自分自身の覚悟のため*]
[心の準備ができた頃、黒曜石を通じて返る声がひとつ]
――ありがとう。
私も、キアラを信じて、持てる全ての力をぶつけることにするからねえ。
― 『世界軸』上層・『月闇の間』 ―
[ミリアムの合図は如何なるものであったか、いずれにしろそれを受けて]
いくよっ!!
[大きく後方に跳んで距離を取りつつ、雷を帯びた四本の針を、右手からミリアムの足元目掛け真っ直ぐに投げる。
先の戦いで既に見せた技、故に牽制と相手の出方を量る初動だった**]
― 『世界軸』上層・『月闇の間』 ―
[ミリアム>>187の言葉に頷く。
はじめの合図と共に床を蹴り、水の加護に包まれた彼女向け針を投げる。
相手はそれを避けようとはせず、代わりに杖を構え詠唱に入る>>188]
へえ――分身の術ってわけかい?
[最初の一体は針を受け散るものの、直後に出現した分身は8体。
更に砕け散った一体も、水であるためか即座に修復される]
なるほど。考えたじゃないか。
[とん、と、開始時よりも離れた場所に着地して、改めて9体の分身を見る。
分身と言っても見た目は水のままだし、表情も本体とは違いなんだか気の抜ける顔をしていた]
コツ、コツねぇ。
――いろいろと考えるより、正面突破するほうが、性に合ってるんだけ、どっ!
[両手で苦無を引き抜くと、頭上へ向けて投げ上げる。
通常ならば放物線を描き落下するところだが、最高点に到達した所で、ばちりと紫電を帯びた苦無は軌道を変えた。
まるで意志を持つかのように、ジグザグの軌道でミリアムへ向け突き進む。
軽い針ならば一撃で落とされたけれど、それなりの質量と雷による操作を受けた武器ならばどうなるかと、試すように*]
なかなかわかってるじゃないか。
[>>203読まれている、とは思うが、相棒相手に手の内を隠す気もない。
或いは、鬼族の誇りを背負うが故に、戦い方も鬼らしさを捨てられないというべきかもしれないが]
[さて、こちらの投げた苦無はと言えば、2体の"分身"が滑らかに動き受け止めた]
さすがに通らない、か。
[とはいえ撃ち抜かれ砕ける様子と、たたらを踏むミリアムを見れば、強度はそれほどでもないことは察せられた>>204]
ミリアム。
何か攻め手を考えないと、"先"には進めないよ。
――恐らくは。
[相棒が治癒と防御を主体とすることは承知している。
しかし、それでも二人を戦い合わせた意味があるならと、考えた上で短く助言を飛ばす。
――それでもミリアムが、あくまで防御の力を高めることで勝利を掴み取ろうというのなら、それもまたミリアムの戦い方、なのだろうけれど]
――ならば、
[娘が上着を翻すと、しゃらしゃらと音を立てて、数十の針が床に落ちる。
とん、と合図のように靴音を鳴らせば、針は電気を帯びて浮かび上がり、キアラの正面でまるで陣のように円形を描いた]
これならどうだっ!
[娘が腕を一振りすると、それらは一斉にミリアムへ向けて殺到した*]
―――、“先”に……。
[己の得意とする力を高めるだけではいずれは追いつけなくなるというのか。
その懸念がなかったと言えば嘘になる。
キアラに追いつき続けたいという純然たる願い、その裏側に]
……はは、何を立ち止まってたんだろうねえ私は。
そうこなくっちゃね!
[ミリアムを守る"分身"がまとめて消え、代わりに大波がこちらの行く手を阻む。
その流れは数十の針であってもまとめて飲み込み、更にはこちらの身すらも押し流そうとするだろう>>234]
――あの時のことは、本当に感謝してる。
[ぽつ、と胸の内言葉を紡ぐ]
さっきだって、アンタがいたから無茶が出来た。
アンタの強さはわかってる。
それでも――
その"先"が見たかったんだ。
[自分が勝つための戦いではない。
それでも、勝つつもりで戦わなければ意味がない]
ミリアム。
[迫る波を見据えながら、一歩も動かず、娘は右手を上に掲げる]
アタシも、強くなれた。
前に進めたんだ。
――アンタのお蔭で。
[バチッ、と激しい音がして、娘の頭上に、雷を凝縮した球体が生まれる]
だから、あの時使えなかった全力の雷撃で――
アンタと勝負する!!
[3年前、娘の手を焼いた、純粋なる雷の球体。
薄暗闇を切り裂くようなその雷光を、ミリアムへ向けて放つ]
[しかしその行方を見届けるより早く、大波は娘の体へ到達するだろう*]
私も。
あの時貴女が応援してくれたから、
治癒魔法士として立っていこうって思えたんだ。
今は貴女の相棒として立ちたい、と思ってるんだけどねえ。
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