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― リオレ島西方海域・上空 ―
[こちらの攻撃は避けられる。
でもその事にほんの少しだけほっとした自分がいた。
相手は敵なのに、どうしても幼馴染の顔がちらついて離れなかったから。
擦れ違いざまの問いかけに答えが返ってくるとは思ってなかった。
しかも、聞きたくなかった答えが、返ってくるなんて。]
…嘘だろ、シュテ……っ!
[シュテルンなんて珍しい名前ではない。
だから同名の似ている誰かかもしれない。
でも、でもシエルの名前にも覚えがあった。
シュテが引き取られる時に教えてくれた新しい名前ではなかったか。]
[一度機体は完全に擦れ違い距離を離す。
再度旋回して、突っ込むように機体を近づけ、叫ぶ。]
俺はセルウィン・ベッカー!
モルトガット帝国軍中尉、セルウィン・ベッカーだ!!
[叫び、名は相手へと届いただろうか。
相手が幼馴染かもしれないと思えば、攻撃の手は止まってしまう。
それではいけない、相手は敵だ。]
……俺は、小鴉…トールの旦那の為に。
[小鴉の一員として動かねばならない時。
感傷に流されてはいけないと分かっているのに。]
[迷いは飛行にも表れていただろう。
しかしそれも長くは続かなかった。
相手に撤退の動きが見えたから。
深追いする場面ではない。
こちらも損傷を受けているのだ、ただ無闇に追いかけても撃墜されるだけ。
だから今は見逃してやるのだと言い聞かせる。
こんな甘さなどいらない。
己の全ては陛下の為に在る。
そう言い聞かせて相手の機体が去って行くのを見送った*]
― リオレ島西方海域・上空 ―
[離脱した敵を追いかけはしない、出来ない。
今追いかけたところで攻撃を仕掛ける事も出来ないから。
帰還信号も打ち上げられている>>1:765
戻らねばならない。]
……違う、よな。
[再会を約束した。
しかしこのような再会を望んではいなかった。
だから似ている別人だと信じたくて。]
[去って行った方角をじ、と見つめ。
それから機体を大きく旋回させて帰還するべく空を駆ける。
その際、第一艦隊が見えれば挨拶代わりにぐるりと円を描いてみせた。
そうだ、自分には仕えるべき人がいる。
だから迷いなんていらない。
それでも今、心を占めているのは幼馴染の顔*]
帝国軍 中尉 セルウィンは、帝国軍 少尉 ミリアム を投票先に選びました。
[頭の中はぐちゃぐちゃと思考が混ざってはいたけれど複葉機は真っ直ぐに空を飛ぶ。
眼下にいた第一艦隊、皇帝旗艦シュヴァルツアインに飛び降りてしまいたい。
今、陛下に会って忠誠を確かめたいなどと思ってしまう。
だがそんな事は出来るはずもない。
複葉機も損傷してしまっている、修理をしなければいけない。
まずは船に戻り修理をする事。
それから陛下に報告を兼ねて会いにいけばいいだろう。
そう決めると、第四艦隊へと向けて飛び。
艦隊の水上機母艦の近くへと着水する。
集中が欠けていたせいかそれは荒い着水だったが、無事着水出来たのだからいい事にした。
もし誰かがそれを見ていたら、普段の自分とは違うと気づいたかもしれないが。]
[ランチが来るまでの間ぼんやりと空を眺める。
空を飛ぶ事は好きだ。
夢に語った鳥のようになれるから。
それに、昔幼馴染と語った虹の向こうに手が届くようで。
しかし虹の向こうに辿り着きたかった幼馴染は敵として現れた。
再会を約束した相手。
出来れば笑い合いながら、子供のように夢を語りたいとそう願っていた相手が。]
……シュテ…トールの旦那、俺は。
[幼馴染を撃つなど考えた事もなかった。
撃てるわけがない、なんて言えるはずもない。
自分は帝国軍の軍人だ、その忠誠は陛下の元にある。
陛下の期待を裏切るなどありえるはずもない。
だから、それを確かめる為にも一度陛下の顔を見たかった**]
― 発進前 ―
[ランチに乗り、第四艦隊の水上機母艦に乗り込んだ。
それからすぐだっただろうか。
第一艦隊より迎えのランチが来たのは>>342
本当は小鴉として陛下に同行する事が出来た事は知っている。
それを是とせず、入隊して軍人となったのはそれがより陛下を助ける事になると思ったからだ。
おかげであまり陛下の側にいる事は出来ないの事は残念ではあるが。]
[軍人になって良かった事もある。
それはきちんと給料として金銭を得られる事だ。
最初は階級も低かったからそれほど多い金額ではなかったけど。
それでも初めて給料をもらった時は嬉しくてあれこれ買いたい物を考えて。
結局は自分を引き取ってくれた養い親に細やかながら贈り物をしたのだった。]
[そんな過去の事を思い出しながら迎えのランチへと乗り込み。
そして皇帝旗艦シュヴァルツアインへとやってきた。
陛下への面会を申し出て、暫し待つ事になるだろうか。
やがて陛下の元へと案内されれば肩の力が抜けるのを感じる。
幼馴染のと予期せぬ再会に随分と力が入っていたようだ。
本来なら身分差を考えればより緊張せなばならない場面なのだろうけど。]
何か用事でも、トールの旦那。
[にこりと笑みを浮かべての挨拶。
そこには気安さが滲んでいた。]
[着水について指摘されれば羞恥に頬がほんのりと赤く染まる。
見られていたとは思わなかったから。]
あ、いえ…なにも。
ちょっと敵に知り合いが……その、幼馴染に似た…、いや幼馴染がいて。
それで少し。
[しどろもどろに答える。
まるで言い訳のようだと思うが、事実ではある。
動揺はまだ心の中に残っている。
次にシュテと対峙した時に撃てるかどうか。
否、どうあっても敵対関係にある限り撃たねばならない。
撃って、自分が平気でいられるかどうか分からない。
それでも軍人であり、何より忠誠を誓った陛下の為ならば。]
……うん、でも次はないんで。
ちゃんと撃ち取って、逃がしはしません。
[真っ直ぐに陛下を見て言う。
陛下の顔を見れば躊躇いも徐々に消えていくようだ。
そうだ、自分は小鴉の一員。
全ては陛下の為に*]
[いい子だなんてまるで子供扱いだ。
でも悪い気はしない。
孤児院で出会った頃を思い出すから。]
空は俺の夢。
鳥のように自由に空を駆ける事は楽しい。
その夢が叶ったのもトールの旦那のおかげ、感謝してる。
[ただ自由に空を飛ぶ事は楽しい。
そこに軍事が介入しなければよかったのだろうが。
生憎と今の自分は軍人で、ただただ空を飛べばいいというわけではない。]
[次に幼馴染が現れたら機体の前に出て引き付けろと言う。
簡単に言うがとても危険な行為だ。]
…簡単に言ってくれるなぁ、トールの旦那。
ええ、でもやってみせますよ。
撃たれても撃たず、三度待つ。
相手の心に俺がいなければ、その時は―――――引き金を引きます。
[陛下の言葉を心の中で噛み締める。
三度目に撃たれたら、シュテの心の中には俺はいない。
再会を約束した仲。
その心の仲に自分が存在しないなんて考えたくはないが。
自分も相手も軍人、お互いに譲れない矜持もそこに在るはず。]
必ず戻ります、トールの旦那、貴方の元に。
[大事な幼馴染を撃ってでも戻ってみせると誓おう。
今の自分があるのは陛下のおかげ。
この身へ陛下の為にあるのだから*]
[名前で呼ばれた事が誇らしい。]
はい、ありがとうございます。
[笑顔を滲ませ答え、それから頭を垂れた。]
そうですね、修理には時間がまだかかるはずなので。
旗艦で食事が出来るのならいただきます。
[休憩が出来るのならありがたい。
丁度良く腹も減っている事だし、こちらで食事が出来るのならばありがたく頂戴する事にして。]
[しかし続く陛下の言葉に驚きにぽかん、と口を開けた。]
……、え?
複座のって、え、まさか、本気ですか!?
[その意味する処は連れて行けという事だろう。
陛下の顔をまじまじと見つめればそれは本気で言っているのだと分かる。]
いや、敵陣まっただ中とかじゃなければいいんだろうけど。
え、でもこれ後で怒られませんか?
[本気で連れて行けというのならば連れて乗せるのはいい。
空を飛ぶだけならば大丈夫だろう。
軽く偵察くらいならばきっと大丈夫だが。]
まあ、トールの旦那が望むなら飛びますよ。
ただ、ちょっと見てくるだけですからね?
[陛下が複座の複葉機を用意すれば乗せて空を駆けるつもり。
その際、敵に攻撃はされないギリギリの近さまで飛ぶだろう*]
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