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風使い シュテラは、闇を綴りしもの を投票先に選びました。
◇2dイベント
[幻影が紡ぎ出される。
あなたの相方が魔界の瘴気に肌を灼かれ苦悶して死んでゆく姿だ。
頭の中に魔王の声が届く。]
「 その光景は遠からず現実となろう。
おまえがその者と共に在り続けたいと望むならば、その者の魂を半分、我に捧げると誓え。
そうすれば、我が庇護を与えてやろう。 」
ひっ……!!
[弱った少女に見えたのは幻影というには強すぎる魔力を伴ったもの。
そして聞こえてきたのは、あまりにも残酷な声。
それもまた、先程まで自分を苛んでいた声の主と一緒のもの。そして恐らくそれは、自分たちをこの世界に閉じ込めた……強い魔力の持ち主。
自分では到底勝ち目のないような]
……わ、私が、私が全て引き受けますから!
だから、だから、……それじゃ、ダメなんですか?!
私が魔族だから?!
人間ではないから?!
……………っ!!!
シェットラント様のものは渡さない!
私を全部持って行って!
[拒否すれば全てを奪われるのだろうか。
相手の条件を飲めば、助かるの、だろうか。
直ぐに出した答えは拒否に近く、だがそれでも全てを奪われるよりはと迷いが胸中を占める。
それでも。答えは「ノー」だ。
蒼白になりながら虚空に必死に訴えたが、果たしてーー]
ひっ……!!
[少女は青年を見てはいなかった。
小さく悲鳴があがり怯えたように相手に縋り付く。
だが、直ぐに虚空を睨むと叫んだのだった]
……わ、私が、私が全て引き受けますから!
だから、だから、……それじゃ、ダメなんですか?!
私が魔族だから?!
人間ではないから?!
……………っ!!!
シェットラント様のものは渡さない!
私を全部持って行って!
[虚空に必死に訴える姿は、相手にはどのようにうつっただろう。
それでも少女は必死で。
それが、相手の求める答えではなかったとしても、必死に。
虚空に、その彼方の相手に訴えていたのだった]
「 よき執着ぶり。
さらに悶え楽しむがいい。
絶望に泣く姿を晒すのもまた一興。 」
[魔王の声が遠ざかってゆく。
今のところ、直接、手出しをするつもりはないようだ。]
[怖い]
[ただ、とても怖い]
[やはり私の奥底まで、見破られているのだろうか]
[少女の震えは止まらず、それでも虚空を睨み続けていた]
[穢らわしい魔のモノ。
その言葉にギクと身を強張らせたものの、相手の抱き寄せてくれる腕の力と、そしてその言葉が己と同じ虚空に向けられている事に気付けば哀しげに眉を顰める。
何か彼にも聞こえているのかーー?]
シェットラント様……シェットラント様!
[自分は魔の者だ、確かに相手からすれば穢れてもいる。
それでも、そうだ。相手を護りたいという気持ちも。共にありたいという気持ちも。どちらも本物で。
ーーそう、あんな首輪が無くても、自分はとうにーー]
シェットラント様……!
[逃げろ。そう言われても、首を横に振る。
相手の腕の中なのだろうか、そうでなかったとしたら常の通り下から見上げただろう。
いつの間にか風は収まり、相手を瘴気から護る風のみが取り巻いている。
血塗れで、ボロボロの衣服で。
それでも、相手に腕を伸ばすとそっと抱き締めた]
ーー気をしっかり!
私をここに置いていく気は無いのでしょう?
二人でここから出て、二人で考えるんでしょう?
…シェットラント様…。
[また涙が溢れる。これは、自分の選択がもたらした事なのか。
だとしたら、相手のこの苦しみようは自分のせいなのかもしれない。
自分だって、キリキリとまだ頭の痛みは続いていた。だが、それよりも。
護りたい。
そんな相手を、涙を零しながら確りと抱き締めていた]
[しかし、思ってしまった事がある。
わたしは、彼を守り共に旅ができたとして。
彼に愛する人ができた時。
彼に家族ができた時。
彼が、ーー護りたいと思うだろう幸せを。
同じように護りたいと思えるだろうか]
[自信がない]
[それでも、今は生き延びて欲しい]
[魂なんて、渡さない]
[命よりも大事なもの、それが魂だから]
[でも]
[わたしは魔族だから]
[いつか貴方の魂を欲してしまうかもしれない]
[自信がない]
[でも、それでも]
[見ず知らずの誰かになんて渡せない、一欠片でも]
[だって、穏やかでいて欲しいから]
[生きていても、死後の世界も]
[でも出来れば私だって生きて2人で]
[2人でーー?]
[魔族の私が、何を望めるというの?]
[嗚呼、一度だけでも私のモノになってくれたら]
[愛してくれたら]
[そんな、渇望]
[その渇望が満たされたとしたら]
[この狂気は収まるのだろうか]
[それとも]
ーーもっと加速する?
[もう大丈夫。そんな言葉を聞いてもなお、相手を抱きしめる腕の力は抜ける事がない。
『エアリー・クリーン』と小さく唱えれば、せめて、2人についた血を綺麗にさせた。服に染み込んだものはどうにもならないが、自分のせいでついた血だ。血の匂いはまた狂気を齎すかもしれないと。
自身もまたそうだったからだろう、血の色と匂いをできるだけ払っては少しだけ腕を緩め顔を上げた。相手を、まだ涙の気配の残る瞳で見上げる]
…本当に大丈夫ですか?
わたしは、…まだ頭が痛いです。でも、私は。
…シェットラント様。
…少ししたら、空を飛んで移動しましょう?ここは、危険過ぎます。
それまで、瘴気を吸いすぎないようにしてくださいね?
地面より空の方が瘴気は薄い筈ですから。
…ここ、を、抜け出して…。
もしそれが叶ったら、一つだけ、お願いを聞いてください。
[相手の汗を拭おうと手を伸ばしながら、少しだけ笑みを浮かべる事ができた。
少女の中にはまだ狂気は残る。
それでも何とか、今は気持ちを落ち着ける事ができた。先ほど自分を傷つけた事で大きな魔力を使ったのと、回復されたとはいえ失血はかなりの量で回復しきっていなかったため、逆に暴走の不安が消えたからかもしれない。
ただ、相手は気づいていないかもしれない。
エアリーシールドは、もう少女にはかけられていない事に]
……私と。2人で戻れたら。
契約し直してください。
今度は、私自身の意思で、あなたに。
……いえ。忘れてください。
[相手からの答えや問いがないまま願いを告げようとして、途切らせた。
自分の中の渇望が、願望が、欲望が頭をもたげそうになったから。
ただ、誤魔化しては笑う。
つ、とその顔に汗が一筋垂れていただろう]
……確かに空を飛び続けるにはもう少し、休まないと。でも、ここには魔力が溢れていますから。
私は魔族ですよ?だから、ここの環境はーーあの声さえなければ、大丈夫なはずなんです。
だから、貴方を一人置いてはいきません。
あの声さえ、なければ……。
……きっと、大丈夫。
[表情が一瞬暗くなるものの、それでもと笑みを浮かべ直した。
悲観すればまた囚われてしまいそうで。
自分の中の渇望を、必死に抑えてきたそれを暴かれた今、また囁かれたら暴走しないとも限らないから。
だからただ、笑みを浮かべ]
でも、一つだけ、謝らせてください。
私は、貴方を…貴方が助かる可能性を、蹴ったのかもしれない。
私のワガママで。
…ごめんなさい。
[側にいて欲しい。そんな事を言われたのは、ましてや懇願の形で乞われたのは初めての事だった。目を見開き、微かに震えーーそれでも。
首を横に振る姿がある]
いいえ、できません。
貴方は人間で、私は魔族。
私、思い知らされたんです。貴方が、どんなに大切か。そして、どんなにーー執着してしまっているか。
シェットラント様は人間で、いつか、誰かを…人間を愛するでしょう?
家庭を作り、その幸せを守ろうとするでしょう?
……その時に笑顔でいられる自信はありません。
今よりもっと時を重ねてしまったら、今よりきっと離れ難くなる。
その時に…貴方の敵になるような事はしたくない。
だから、……いま。
[離れたほうが良いのだと思う。
相手が自身を求めてくれ、とても嬉しいのに。だが、今を逸しては離れる事が出来ないだろう。
ーー狂気はいつでも訪れる。
それを自覚させられた今、頷くことはできなかった]
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