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…この程度で通れるのは、この一帯だけだ。
だがあちらこちらに点在する石を伝っていけば、遥かに短時間で川を渡ることができる。
[踏み入った水は馬体を濡らすことなく、馬の足の関節をすぎたところで止まっている。
対岸を警戒しつつ、ひょいひょいと手綱を操って、馬を前後左右へと進めていった。
複雑なルートを危なげなく渡り、踊るように対岸へと降り立つ。
騎首を巡らせ、再び同じルートを辿って戻った]
……幾らか石が割れかけて危ない箇所もあったが、大勢は影響ないな。
後程、図を書こう。
お前たち、覚えられるか。
[北部の港でローと別れた際に、公国側に渡るために教えたのがこのルートだった。
誰もが真似できるとは限らない手段だが、騎馬の上で産湯を使うという遊牧の民ならば、無論容易い。]
とても大人数では取れない手段だが――
面倒なのは、浅瀬を軸にして馬筏を張られた場合だな。
まあ、事前に分かっていれば対処はとれよう。
[騎馬を降り、一度濡れた馬を労ってやりつつ、そう告げる。]
―北部渡河ポイント―
余裕があれば、誰かに実際に渡ってもらってもいいのだが…。
――…。
[ふ、と声を途切らせて振り返る。
対岸、風に乗って,僅かに馬の嘶きが聞こえた気がしたのだ。]
余り、長居はせぬ方がよさそうだな。
時間も押している。日の暮れる頃には間に合うように、もう一方のポイントにもたどり着きたい。
―渡河ポイント・Y地点へ―
[河原から上がり、川縁から距離をとってもう一点のポイントへと奔る。
元士官学校を拠点とするだろうという推測が正しいのなら、川縁至近を走るのは自殺行為だ。
途中で短い休憩を何度か入れた後は、一気に南側へと駆け抜けた。
辿り着いたのは、夕闇が迫る頃。
流石に大分疲弊したらしき部下に苦笑して、広大な川岸に目を落とす。
幾らかの朽ちた木と、骨の様に白い石の敷き詰められた河原。
こちらもまた、30ヤード程の距離に対岸が広がっている。
……僅かに向こう岸はこちらよりも土手が高く、あちこちに茂みも見られる。
開けたこちら側とは違い、明らかに見通しが悪く、伏兵を置きやすい環境に見えた]
警戒、怠るなよ。
――カイとテッドは対岸を見張っていてくれ。
他はついて来い。
[音を立てずに土手を降りられる、やわらかい赤土の箇所を探し、騎馬のまま河原へと降り立った。
ゆるりと炎のような夕焼けが彼らの背に射し、逆光が、一隊を照らす。
未だ、対岸に敵兵の姿はないように――見える]
こちらは、通常の渡河に利用できる場所、だな。
……曲芸のような真似をせずとも川を渡れるポイントだ。
無論、渡河中を狙われたり、力尽きて流されねば――の話だが。
但し、流れは北側よりは若干速いし、見ての通り向こう側よりかなり水位も深い。
北側と違い、途中で騎首を転じる程度の広さはあるが…
……ああ、そうだな。此処だ。
[辺りを探索した部下が、川縁に馬の蹄の痕を確認する。
乱暴に踏み荒らされたような其れを追って、慎重に水の中に馬を進める]
[水の中に、鐙の底が沈む。
ざぶり、と水を掻き分けて一歩歩いてみせた]
この通り、大分動きづらい。
機敏な動きは難しいだろ――…
――………!
[ぞわりと、首筋の毛が逆立つような感覚。
咄嗟に手綱を取り、馬を巡らせようとした。
ぱん、と、軽い破裂音。
『隊長、敵影が!』
その叫び声。
どちらが先だったかはわからない。
銃弾の狙いは正確で――だが、威力に欠いていた。
がくりと弾道を落として己の頬を掠め、背後、河原へと突き刺さる]
ち、……
[一拍置き、次の破裂音。
敵は対岸から、魔法弾を連射している。
状況を把握すると舌打ちし、手綱を大きく引く。
距離があり、弾丸の精度は低い。だが、腕は悪くない――寧ろ良い。
騎馬は嘶きと共に水面から前足を持ち上げ、いつもよりは鈍重に――
しかし可能な限りの迅速さを持って、河原へと駆け上がる。]
伏兵か。面倒なことになったな。
弓、番えろ!
敵は距離がある。強行して渡河を行えば矢の的になる。
簡単には――
[馬首を巡らせ、対岸に目を向ける。
こちらに真っ直ぐに狙いをつけている狙撃者の影が、見えて。
言葉を、失った]
[懐かしい薄茶色の髪が、夕日の朱に染まっている。
襟元に光をうけているのは、帝国の徽章だろうか。
パールグレイの瞳までが――まざまざと、見えて。]
――……。ダー、…
[乾いた声が、喉から絞り出される。
言葉を喪失したのは、恐らく、ほんの一瞬だった。]
………。
[きり、と唇を噛み締める。
銃撃は止んだが、彼はまだ、銃を構えている。
――対岸、30ヤード。
その銃にこめられているのは、恐らくは、弱めの空気弾だ。
飛空距離を満たさぬ其れは、威嚇のためか]
(それとも、……)
……ご挨拶だな、ダーフィ。
もう、俺の体には飽きたか?
[掠れた低い声は、周りの部下には聞こえなかっただろう。
揶揄するような、自嘲を含んだような薄い笑みとともに、ゆっくりと、声のない息が吐かれる。
落ち着け、と、言い聞かせる。
ここでやることは、決まっている。
誰が相手でも、其れは同じだ。]
――……全隊、土手まで後退せよ!
敵は魔法弾を所持。近接するのはうまくない。
高所より敵の動向を見極めた上で、撤退すれば良し。
せねば渡河中を狙い、撃ち落す。
……ここで全てを台無しにするわけにはいかない。
[最後は低く――押し殺したような小声。
それは部下には、作戦開始を前にした交戦を厭う言葉にも聞こえただろうか。]
[矢筒に手をかけ、弓を取る。
地上を走れば十数秒のその距離。
………ずっと望んでいたものが。
触れたいと焦がれてきたものが、ある場所へ。
キリ、と弓弦を絞り、狙いをつけた。
あらん限りの、威嚇をこめて。*]
う、うーん。。。
ちょっとこれカレルかわいそうじゃね…?
縁故あるキリング立候補相手いるのに、作戦行動前に自白して逮捕ってなにやりたかったんですかシロウせんせい
wwwwwwwwwwwちょwwwwwwwwww
きこえてたwwwwwwwwwwwwwww
余りに余りな言葉だから聞こえないことにしといたのにwwwwwwwwwwww
――深追いはするな。俺たちの任務は索敵ではなく、偵察だ。
一度、陣に戻るぞ。このことを報告し、次の作戦行動の準備をせねばならん。
[そう告げると、軽く首を振る。
……ぼんやりと、紡ぐ言葉に現実感がない]
………全隊、無事か。
[部下を振り返ると、労いの言葉をかける。
怪我がないことを確認すると、やがて小さく頷き、告げた]
――深追いはするな。俺たちの任務は索敵ではなく、偵察だ。
一度、陣に戻るぞ。このことを報告し、次の作戦行動の準備をせねばならん。
[そう告げると、軽く首を振る。
……ぼんやりと、紡ぐ言葉に現実感がない]
[――頬を切った傷口を拭い、ぬるりとした感触に眉を顰める。
対岸に目を戻せば、夕闇。
彼の姿は、もう、どこにもなかった。**]
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