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――俺は、人と妖が本当に共に暮らせているのか、まだよくわかっていない。
[この場にいる者たちや、ここに至るまでに出会った人たちに限れば、上手くやれているように見える。
けれど、それはその者たちが"特別"だからかもしれない。
実際出会う存在が大物すぎて、色々と感覚が混乱していた]
そのために、妖の側はどれだけ我慢をすればいいんだ、とも思う。
でも――お前がやろうとしていることは、理解した。
いや、理解したなんて言い方も偉そうか。
[結局のところ、相手に対する底知れない存在という評価は変わらないかった。
無論、その心の裡>>179が読めるはずもなく]
それでも正直、俺はお前が恐ろしいよ。
願っていることが同じだとしてもな。
[最後の呟きは、風に紛れるような声だった*]
― 風龍峡入り口 ―
確認……か。
[これからのことなど考えていなかった、というのが正直なところだ。
無論、異変調査もまだ序の口だから、まずはそちらに意識を向けるべき、ではあるのだが]
……歩み寄り。
[思うのは、異種族ながら結ばれた父と母のことだ。
共存と呼ぶには父は随分と寿命を擦り減らしてしまったように思うのだけれど、ともかく自分が生まれるだけの余地はあった]
うん。
[大妖が説く言葉>>195に、少しばかり素直な口振りで頷く]
(……喜ばせてしまった)
[笑顔を向ける妖>>196に、内心お手上げといった心持ちになる。
多分自分が苛立ちを感じているのは、彼の者の行動そのものでなく、その立場に立てること、なのだろう。
だからそんなどうしようもない思いを打ち切るように立ち上がる。
折しも姫が再び白銀へ跨る>>189頃合いであった]
ま、もうしばらくだけは……
……よろしく。
[聞こえるか聞こえないかくらいの声でぼそりと言って、次の目的地向け歩き始めた**]
― 翡翠ヶ淵 ―
[ウェルシュ>>216と少しだけ視線を交わした後歩みを進める。
しばしの後に辿り着いたのは、翡翠色の川淵]
……こんなところもあるのか。
[そんな感想を口から漏らす。
天沙河の支流の一は知っていても、それが見せる様々な表情は未知のものであったから。
しかし、感嘆に浸っている暇はないようだ>>190]
……白兄?
[文字通りの意味ではないだろうが、馴染みの存在ではあるらしい。
しかしその白狼は、姫の前に立ちはだかる姿勢を見せる>>191]
守り人、か。
[人との決別を決めてからは、里にもそのような存在が置かれた。
この先は危険だから踏み込むな、と。
命の保証はしないとも言う]
そんでも、こっちだって守らないといけないもの、あるしな。
[姫の宣言>>192に異論はなく、湧き出す小鬼へ向け身構える]
[既に周囲の多くは戦闘に入っていたか。
自分には騎竜師のような機動力はないし、肉弾戦をこなせるほどの体術もない]
むしろ、こんくらいの位置から"見る"のが好都合か。
[そして真っ先に視界に入ったのは、肉弾戦組――クラリッサがまさに小鬼と組み合っているところだった>>215。
別の影が、横合いから近付いて来ているのも見える]
――邪魔、するなよ!
[クラリッサを狙う敵の爪が見えていたから、それを掠める軌道を狙う――などという小賢しい芸当では、本命を仕留められなかったようだ。
とはいえ足元を撃たれた一体の意識はこちらへ向く。
クラリッサに目の前の戦闘に集中してもらえるなら、まずはよしとしよう]
ほら、こっちに来い。
[飛び跳ねるような動きの小鬼が、こちらへ向けて突出してくる。
それが飛び掛かるために、地を蹴る動きに変じるのを狙って]
[鱗刃は小鬼の胸部を過たず貫いた、が]
まだ動けるのか!?
[執念とも言うべき動きを見せて、小鬼はこちらへ齧りつかんとする]
く……。
[左腕を小鬼の口へ押し付けるようにしてあえて噛ませる。
自身のものだけでなく、内に仕込んだ鱗刃が鎧替わりにもなる。
とはいえいくらか牙が食い込むのは避けられない]
いい加減、大人しくしろ……!
[水の力で先に放った刃を引き戻す]
[動きが固定された状態での後ろからの一撃は、流石に避けようもなかったらしい。
即座に小鬼は霧散して、左腕が解放される]
はあ……。
[手こずったな、と思いはするがまだ休んではいられない。
左手が動くことを確かめるように握ると、クラリッサや、他の戦況を見回した**]
― 翡翠ヶ淵 ―
[クラリッサは負傷こそしたものの、対峙していた一体は無事に仕留められたようだ>>244。
感謝の声に頷きだけ返して、まだ残る小鬼へ意識を向け直す。
右手に刃を握り]
――撃ち抜くだけじゃ仕留めきれないか。
それなら……!
[見定めた相手へ、横薙ぎのように右手を振り抜く]
[こちらの策は功を奏したか。
腕の回転と水の後押しにより横薙ぎの軌道をとった刃は小鬼を大きく切り裂き、そして消滅させた]
……よし。
[控え目ながら手応えを口に出すも、次の影が迫っていたから、手元に戻った刃を受け止めつつ気を引き締めた。
とはいえ投げる動作に移るにはやや近い距離]
だったら――斬る!
[鱗刃の先に水の刃を纏わせる。
強度も刃渡りも心許なくはあったが*]
― 翡翠ヶ淵 ―
[しかし付け焼刃としかいいようのない技は、相手の肩口辺りで止まり。
こちらが腕を振り切るよりも、相手の飛び掛かる速度の方が早かった]
うわ……!
[咄嗟に腕を引き刃の本体を相手の腹辺りに捻じ込んで、勢いのまま倒されるのを防ぐ。
しかし振り下ろされた右手の爪まで防御が回らず、左肩を切り裂かれる感触があった]
く……。
[刃を握り込み、肩ごとぶつかるようにして距離を放す。
即座に次の動きに移ることは出来ず、睨み合いとなった*]
― 翡翠ヶ淵 ―
[小鬼と睨み合っている間にも状況は進んでいく。
術>>233による援護もあり極端に追い詰められている者はなく、それぞれなりの戦果を挙げている。
と、そこに響いたのは>>263]
…………!
[獣の吠える声に僅かに身を竦める。
彼女の本性を知る由はないがその一端を見たような気がした]
[他方、地の下からは振動と、異なる気配を感じた>>266。
それの正体を目視する余裕はなかったが]
……こんなとこで、睨み合いやってる場合じゃない、か。
[振り払うように一撃を放つ。
しかしそれが当たるか当たらないかのところで、一声が響いた>>267。
それを合図に、小鬼は一瞬にして溶け消える]
今度は、お前相手に力を示せ、ってことか。
[門番にしては随分と軽い口調とは思うが、それが纏う力を侮ることは出来ない。
姫の様子>>268からもそれは感じ取れる]
……あいつを倒し切るには……。
[負傷もあるし自分は援護に回るべきだろう。
そう判断しつつ、彼の者の纏う炎を見据える。
ふと脳裏に浮かんだのは、戦場を縦横無尽に飛び回る風の騎竜師の姿*]
[ウェルシュの軽い調子>>273には横目を向けたが、実際無傷ではなさそうなので指摘はしなかった。
それに適任は他にいるようだ>>274]
[彼が姫に何を語ったのか>>275はわからなかったが。
抜き放たれた剣>>276を目を細めて見る。
その輝きに、どこか自分たちに近しいものを感じていた**]
― 翡翠ヶ淵 ―
[視線の先、渦巻く火炎と風刃が交錯する>>279]
すごい、な……。
風の力で、相手の炎までも巻き込むのか。
[彼自身の腕までも炎に包まれる様子に眉をひそめるが、護りの力>>291が幾らか熱を軽減するだろうか]
これなら、余計なことしなくても……。
[炎までも利用するというなら、水の力による介入は不要だ。
そう思って、静観を続けようとして]
いや。
[白狼が低い姿勢から伸びあがろうとする>>283のに合わせて、右腕を振るう]
ごちゃごちゃ考えてるより、出来ることを探すべきだろ……!
[それは伸ばされた爪の辺りを狙ってのことだった。
戦いの大勢に影響はないだろうが、牽制くらいにはなっただろうか]
[そして天からの稲妻が、白狼の口元へと落ちて>>285]
終わったのか。
[決着を見届けて、軽く息を吐き出す。
相変わらず軽い口調の白狼>>295が、こちらの力を認めた様子で語り始める>>296。
どうやらこの先にも厄介事が待ち受けているらしい]
……『澱み』、ね……。
[しかし、それは異変の原因に近付いているということでもあった。
ひとまず休息を、という姫の言葉>>298に頷いて。
噛み痕の残る左腕の応急手当などをするのであった*]
― 翡翠ヶ淵 ―
[左肩や腕の傷に布を巻いて処置をした後。
自分から誰に話し掛けるでもなく、座り込んで静かにしていたのだが。
そこに近付いて来たのは、思わぬ人物だった>>306]
えっ。
[その相手と声掛けの両方に驚いて、一瞬固まった。
反射的に遠慮しようとしたが、何と言うのが正しいのかわからず]
ありがとう……ございます……。
[結局は素直とも言える態度で、手を差し出した*]
― 翡翠ヶ淵 ―
[自身の態度が相手>>311に何を思わせたかは気付かず]
金平糖……。
[掌に零れた星。
甘いお菓子の類は、実を言うとほとんど口にした経験がなかった。
一粒をつまんで、思わず顔を綻ばせる]
あ……はい。
[固くならなくてもいい、との言葉に反して、ついかしこまりながら向き直る。
王宮という言葉に、自分と縁のない遠い世界を思い描いたりもして]
護り、手。
[竜と絆を結びその称号を得るのだって、自分からすれば手の届かないような存在だ。
けれどやや幼い声で問い掛ける姿に、別の意味での間違いに気付かされる]
あっ……その……
仲間って思っていない、わけじゃ、なくて……。
[ここで平伏してしまったら堂々巡りだ。
だからしどろもどろになりつつも顔を上げて]
ただ、あなたのような人と話したことはないし、話すとも思ってなかったから。
どうすればいいのか、わからなくて。
里にいる純粋な妖ほどでなくても。
人にも、竜にも、近付くべきではないと思っていた。
[自分が思っていたほど、妖は"悪"としてはみなされていないのかもしれない。
そう気付き始めてはいるけれど、どこかで決定的な線引きを見てしまうのが、怖くて]
だから、一緒に進ませてもらってるのは、俺の方で……。
[そこまで言って、歩み寄っているのが姫の方で、蟠っているのは自分だとようやく理解する]
あ、あの、態度のことは努力します!
だから俺の方こそ、故郷を守るために、共に戦わせてください!
[真っ直ぐな言葉でそう告げつつ、改めて頭を下げた。
しかし平伏するのではなく、すぐに顔を上げて]
金平糖……ありがとう。
お返し、すぐに出来るものはないけど……。
[先頃受け取ったものへ、素直な礼を伝えた*]
― 翡翠ヶ淵 ―
[アイリの方からの謝罪>>322に、小さく首を横に振って。
けれど彼女の言葉に気付きもある]
そっか、普段からこんな風だったんだ。
[龍峡の村の人たちの態度も、彼女が姫だからではなく、アイリとして友好を築いたものなのだと知れた。
自分の偏見を恥じたのは内心でのこと。
そして妖を身近な存在と語るアイリ>>323に、また少し内心の固さが取れるような気がした]
ウェルシュ……。
[視線の先でじゃれ合っているのはいずれも大物の妖だった。
けれどウェルシュも白狼も彼らなりに何かを護ろうとしていると知れたから、得体の知れぬ恐ろしさは和らいでいる]
う、うん。
[改めての挨拶と笑顔>>324に小さく頷く。
蟠りが解けたら解けたで違う意味で緊張するのだが、それは努めて意識の外に追いやった]
そんな家訓が。
……でも、うん。いつか必ず。
[王家の家訓に瞬きを一つ。
けれどお返しに関しては、密かな決意として胸の内に仕舞っておくのだった*]
― 翡翠ヶ淵 ―
……翠龍王様……。
[アイリから語られたのは途方もない話>>336だった。
それこと里の長老でさえ伝説として語るほどの]
やっぱり、すごい人と関わってしまったな。
[いくら仲間と言われても、そう本音をこぼさずにはいられなかった。
無論、彼女が白銀の方へと去ってしまった>>337後にだが]
……ひとまずは、ここを乗り越えること、か。
[次は暴走している守り人との情報を思い出し、改めてその場に腰を落ち着ける。
少しだけアイリを追った視線をなんとなく周囲を見回す方に戻して]
[それからしばし後、こちらに近付いてきたのはウェルシュだった>>326]
これ、を……もらっていいのか?
[金糸の輪は手首へ結ぶものだろうか。
触れてみると、ウェルシュの妖気、それから妖白狼に感じた気が混じり合っている。
自身とは性質の異なる気ではあれど拒絶感はなく]
……ありがとう。
[そう、素直に口にすると、自身の左手首で巻き付けた*]
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