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[「おまえは私の大切でかけがえのない息子だ」と柔らかな声がしみてくる。 そういわれるのが、とても好きだ。
それから、しなやかな髪が、腕が、接吻けが優しく世界を覆った。
偽わりの仮面は失せて、ただひとりのかけがえのない血親がそこにいた。
肉欲の焔も影の枷も退いて、自由になった手でその人を掻き抱く。]
あなたが教えてくださったことです。
あなたこそ、俺の生きる理由。
[この人の場合、「愛がすべて」ではなく、「すべてが愛」なのだと思う。
その薫陶を受けて育まれた自分は、幸せだ。
噛み締めながら、睦み合う。]
[仮初の姿は愛しさと歓びの前に溶け落ち、本来の姿を取り戻す。
我が子と抱き合い繋がり合ったまま、闇の道を開いた。
温かな闇の胎を潜り、速やかに居城へと帰還する。
そこは昼の無い場所。常に満月が夜を照らす異界。
闇の懐の奥深く。小さな部屋ほどもある寝台の上に我が子を横たえて、天蓋の代わりに上を覆った。]
おまえは任務には失敗したが、私の企みごとは打ち破った。
だから、ご褒美と、お仕置きと、両方をしよう。
聞かせておくれ。
どんなご褒美をねだるつもりだったんだい?
どんな、お仕置きがされたい?
[口づけを降らせる合間に、問いをひとつふたつ置く。]
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