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[問うた言葉への返答は、半ば以上確信しつつ、その赤き人からの答えを待つ。
先ほど耳にした話し声は、確かに脳裏に残る物と重なった。
だからこそ。
招いたのは己である、故に従え、と言ったような、そんな返答を予期していた。
姿勢を正し、答を待ち…]
…は?
[目の前で起こった事態>>6に、脳の処理が追いつかず、思わず間抜けな声を漏らした。
ぽかん、と開いてしまった己の口に、気付くまでに数秒。
漸くその口を閉じると、ゆっくりと瞬きを一つ。]
『その通り』
『己がお前をここへ呼んだ』
[確かに、そう答えるその人の答えは真実なのだろうとは思うものの。
予想通りの内容を、予想と大幅に異なる面持ちで告げられて、混乱した内心を包み隠し。]
……。
[深呼吸を、ひとつ、ふたつ。
後に開かれた唇から、零れだすは無感動な声。]
構いません。
お好きに、お呼び下さい。
[そもそも人ならざる存在だ。
呼び出した、と言うのであれば、己と次元すらことなる相手かもしれない。
そのような相手が、こちらの名前を知っていたところで、別段今更驚くつもりはなかった。
呼ばれて困る名でもない。
勿論、名乗りを求められれば名乗りもするが、必要が無いならそれでもかまわない。]
[求め>>7に応じ、一歩踏み出す。
躊躇いなく近づくと、寮の腕を持ち上げ、絡む髪へと指先を伸ばす。
しかし、決して慎重に恵まれたわけでもない己の身では、頭一つ背の高い相手の頭近くへ手を伸ばすというのも、できなくはないがいささか困難で。
つま先に力を籠め、背伸びをしてみようとするが、踏ん張りに欠ける己の脚では、どうしてもよろめいてしまうだろう。
諦め、伸ばした手の先で、丁寧に髪房を解き始めるが、少し時間がかかるかもしれなかった。]
…あの。
[早々に、無言の作業が居たたまれなくなり、思わず口を開く。
言葉をかけることは、許されるだろうか、と、ほんの僅か、躊躇を見せ。
問題が無さそうだと判断すれば、今度は躊躇いなく、言葉を続ける。]
貴方の事は、何とお呼びすれば。
[尋ねたのは、その名ではない。
己に求められる、呼称。
意識してか否か、既にこの赤の人が己を従える人なのであろう、と認識しているようで。
順応が早い、と評されることもあるが、長く軍属を続けてきた身では、ごく自然なことのつもりでいた。*]
[問うた言葉に、返答は得られず、代わりに返されたのは、いささか不可解な行動>>82。
それに対しての男はほんの僅か、目を見開くのみ。
先に漏れ出た笑い>>80にさえ、気持ち悪い、という発想は得なかった。
相手が人間であれば、気味の悪さも嫌悪感も、もしかしたら抱いたかもしれないが。
人ならざるモノに、人の道理を当てはめようとするのは愚かであろう。]
私のような者は、珍しいのですか。
[獣たちと睦まじくしている様子は見てとれた。
もしかしたら、人間そのものが珍しいのかもしれない。
この世界の常識は、まだわからない。
こそばゆさを押し包みつつ、そうと問うてみた。
この人はどうにも、どことなく動物じみたところがあるような気がする。]
あっ…
[折角途中まで解いたところ、待つのに飽いたか、体を離したその人は、自らの髪を一部とはいえ切り落としてしまう>>83。
それを目にし、男は思わずそれを惜しむような面持ちを見せた。
折角見事な緋を、と、勿体なく思う。
しかしそれも一瞬の事、上げたままだった手をおろし、そのまま首を垂れて、礼を一つ。]
よろしくお願い致します。
ルートヴィヒ・デンプヴォルフ、と申します。
[ご存知なのでしょうが、と小さく付け足した後。
お好きにお呼び下さい、とさらに付け加える。
それから、門からずっと寄り添ってくれた狼の前へ、少し体をかがめるようにして手を差し出す。]
少々物騒な名を冠してはおりますが…
貴方がたに牙を剥くつもりは毛頭ございません。
よろしく、ご鞭撻願います。
[おそらくこの狼たちは、主となる人の神使のような物だろう、と判断し、軍帽を被せられたもう一頭にも、頭を下げた。]
[再び上げた眼差しは、主であることを宣言した人へ、注がれる。]
私の疑問はともかくとして。
お呼びいただいた理由、私の成すべきことは、
お教えいただければ幸いです。
[上に立つ者の指示に対し、疑問を抱くのは御法度と叩き込まれた若輩の頃を思い出す。
今でこそ、参謀などと言う立場に胡坐をかいて、様々な意見も口にするようになったものの、ここでは己はただの
従うべき相手がいるのであれば、是非もなく従う構えである。
それはただ、“そうあるべきである”というだけの認識として。*]
[説明不足、を詰るは勿論、不服に思う事も無いままに、端的に返された言葉>>170に、なるほど、と頷きを一つ。
しかし、そんなことよりも。]
……アマリリス…
[まるで主の髪の化身のようにして、花開く紅の花。
自国での、その花の愛称を呟いて、ふと思い出すのはここへ至る直前の事。
死ねない、理由。
敗者の抱いた正義を喰らった以上、勝者は勝ち続けねばならない。
より強い光放つ正義に喰らわれるまで…
そう、かつて己に説いたのは、王を討ち取ったばかりの養父であった。]
…はい。
[ルート、と呼ばれ>>171、それに応える。
そんな愛称で呼ばれたこと等、幼き頃の友人くらいではなかろうか。
しかし、お好きに、と口にした以上、それに対して意見をする気も毛頭なく。
軽く頭を下げ、了承を示す。]
構いません。
元々、年の半分は野営地で過ごしているようなものです。
[テント位は張りたいものであるが、それすら用意できぬことも無くはない、どこにあっても体を休める術位は身に着けているつもりだった。]
[挨拶代わりのように、差し出した手に鼻先を寄せる狼と目が合う。
生憎おとこの眼には、エメラルドも金も、あまり大きく差をつけられないのであるが、しかしその理知的な色ははっきりと分かった。
恐ろしいとは、思わない。
ウルと呼ばれたその獣が、こちらを想ってくれていることを、もう知っている。
しかし、遠吠えひとつで雷を纏い、巨大化する姿には、流石に度肝を抜かれた。
ごくり、息を飲む。]
…おみ足、お借りします。
[漸く口にした声は、まるで何事も無いかのような、平静を装えていた。
内心では、起こった減少に未だ混乱しつつ、同時にこれだけの巨体であれば体を預けるにも頼もしい、と思いつつ。]
[と。]
ッ…あるじ…ッ?
[おもむろに抱え上げられ>>172、少し上ずった声が漏れる。
反射的に呼んだのは、先ほど宣言された、主、という身分。
名を忘れたわけでは無い、ただ名を呼ぶ習慣が無いだけではあるのだが。]
[続いて背後に、更に主が体重を乗せたのを感じると、半ば振り返るようにしてその姿を見上げた。
狼が二頭いるのだから、当然別に乗せてもらうものとばかり思ったが。]
私もそう、軽くはないと思うのですが…
[控えめに口にしたのは、背を借りた狼が不服そうな気配を醸した気がしたからである。
しかし、帰って来るのは笑い声ばかりなのだから、それ以上は何も言えなくなってしまった。]
代理戦争。
[説明は得意ではない、と言いながら、主の口にした言葉>>173を、そのまま繰り返す。
幸いにも、男にとってこれほどにわかりやすい説明も無かった。
失礼します、と呟いて、狼の首元へと捕まらせてもらっていたが、危うく見えたろうか。
背後から支えられる気配を感じ、すみません、と呟いた。
鞍と鐙を付けた馬であれば、どんな駆け方をされようとも落馬しない自信はあるのだが、流石に肉食の獣は走り方が違う。
まして、乗る為の装備があるわけでもないのだ、そう自由にはならなかった。
最低限の説明を受けたところで、得た情報を整理していると、頭にかかる重み。
顎を乗せられている、と気づくまでに、少々時間を要した。]
…何事にも、初めてというものは存在するかと。
[フォローが必要だろうか、と口にはして見るものの、しかし主が分からぬルールを己が分かるはずもなく。
他の君子に聞くべきか…などと考えつつも、最終的には主に従う心づもり。
しかし、それでもいくつか確認しておくべきことがあった。]
敗者は、やはり弑されるものなのでしょうか。
[唐突に投げるにしては、物騒な問い。
しかし、男にとっては至極まっとうな問いであった。
辛うじて疑問を持つことができたのは、四君子と呼ばれる彼らが死ねば、何かと問題があるのではなかろうかと思ったからに過ぎない。
隷属する人間が負けた場合、無事で済むなどとは微塵も考えてはいない。
むしろ、主の身代わりとなって弑されるなどと言われたところで、驚きはしなかっただろう。]
[はっきりとした答えが得られたとしても、得られなかったとしても、その場はそれで納得する。
…否、納得した素振りを見せる。
それ以上の問いかけをしたところで、無意味なのは明白であった。
他にも、問うべきことはあったのだろう。
しかし、基本的には受けた説明以上の問いは口にしないのが常である。
だから。]
…何故、私を。
[目的地が見えてきた辺りで口にした問いは、本当に、魔が射したとしか言いようが無かった。*]
/*
なんか、どこの主従も、ちゃんとバトったり、なんだり、すごいなぁ。
うち?
うちの主可愛いでしょ(突然のデレ
[後頭部に当たる固いナニカは、おそらく主の角であろう。>>200
少々痛い…が、耐えられぬほどではない。
そもそもが、傷つけようという狙いの攻撃ではないのだから、当然と言えば当然か。
投げかけた問いに対する答えには、ふむ、とひとつ考えを巡らせて。]
つまりは主も、そうそう命を脅かされることは無い、と考えてよろしいのですね。
[独り言のように口にした。
しかし、そうそう傷つけることが叶わないような相手と戦わねばならぬというのであれば、勝敗など初めから決まっているような気がする。
そもそも、ただ人の身で、人ならざる存在に届く可能性など、微塵も無いように思えた。]
[案ずるな。
そう言いながら、続けられた言葉>>201には、ちらり、と背後の気配を窺うようなそぶりを見せて。]
ありがたいお言葉ではありますが。
それでは、本末転倒と言うものでしょう。
[四君子同士の争いが、世界の存続を危うくする、それ故の代理戦争のハズだ。
それを、世界を灰にしてでも、などとは。
本気だなどとは欠片も思い至らぬものの、冗談と笑う事もせず。
淡々とした言葉には、やはり色が乗りづらかった。]
― 雷華の領域にて ―
[そう、魔が差したのだ。
口にしてから、その疑問を抱いてしまった事へ、僅かながら後悔がよぎる。
主が己を選んだ理由、そんなものは、選ばれた側が知る必要のあることではない。
仮にそれが気まぐれであったとしても、何らかの理由があったと同様、心身捧げることには変わりない。
しかし。
零れ落ちた問いかけは、無かった事にはできない。]
[一面に赤の咲き乱れる地へとたどり着いた狼は、そこで足を止める。
ふわり、と背後から支えてくれていた気配が消え、傍らに降り立ったのを知ると、自然とそちらと視線を向けた。
ざぁ、と流れる風が、状況はこんなにも非現実のようなことが立て続けに起こっているのに、リアルな感触を頬に流れる髪と共に贈ってくる。
差し出された両の手を、まじまじと眺め。]
え、あ
[抱き留められようとは、思いもよらずにただ、眺めていると、焦れた様子もないが主がこちらを再度抱き上げてしまう。
繰り返すが、鍛えた身体は決して軽い代物ではない。
しかし、それに対して何かを言おうとした唇は、半端に開いたまま音を紡がずに息を飲む。]
…はぁ。
[遅れて返された返事>>203を耳にして。
数瞬の間の後、間の抜けた声が零れ落ちる。
主と呼ぶこの人に、少なからぬ好意を抱かれている事には、気付いていた。
主であるという割に、男からしてみれば、扱いが随分と優しいものであった。
闘争の民、と名乗ったこの人は、男からしてみればきっと高次の存在…つまり、軍神のような物なのではないだろうか、と男は漠然と思っている。
軍人としては、誉れ高いことかもしれない。
…しかし。
男はそこで、何とも言えない面持ちを見せる。]
…主。
主を見下ろすなど、私にさせないでいただけませんか。
[遠回しに、降ろしてほしい旨を口にする。
主と呼ぶ相手を見下ろすこの姿勢は、いささか居心地が悪すぎた。
姿勢を保つため、主の肩に手を置かせてもらっている子の状況も、とてもよろしくない。
要求が聞き入れられたならば慎重に大地へと脚をおろすが、聞き入れられなかったならばそのままに。
ほんの少し、眉を怒らせて、男は付け加える。]
馬鹿げた、などと仰らないでください。
王を決める、大切な戦でございましょう。
[主であるその人に、王となってほしいなどと、対願ってしまうのは、理屈などではない、ただの性である。*]
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