情報 プロローグ 1日目 2日目 エピローグ 終了 / 最新
[1] [2] [3] [4] [5] [メモ/メモ履歴] / 発言欄へ
[夫に聞かせた話は、彼と生活を共にする前のもの。
彼の横顔に、耳に届いた声に違和を感じ取る。
今は彼と在るのに、気を悪くさせたのかも知れないと口を噤む。
進むほどに露わになる研究施設の様相。
怖いかと問う声に、直ぐに首を振ってみせ>>535]
いえ。貴方が居れば、…怖くは。
[建物を見遣る視線には僅かの警戒が滲むものの、恐怖自体は否定する。奥へと進めば、薄汚れた硝子を隔て、手術台や計器が姿を現した>>541
想像を巡らす必要さえもなく、過去の用途は知れる]
………、
[魔族の寵愛と蹂躙は似ていると語る夫。
何とはなしに彼に注いだ視線をつと逸らして、預けた腕に少し力を篭め]
[嫉妬を抱いたのかと尋ねる夫の顔。
そっと見上げて口を開く]
……。いいえ。嫉妬した訳ではないの。
[否定の言葉は静かに、率直に]
そういう疑念を、持ったこともありません。
貴方がもし、他のどなたかにお心を移していれば、
…きっと直ぐに解ることだと思うから。
[するりと頬に触れて、微かに笑む]
[薄暗い中、壁に備えられた枷と、それから伸びた長い鎖が鈍く光る。
捕縛された何かで、狂気を満たした名残が生々しい。
現に、この建物に蔓延る怨嗟は時を経ても、肌で感じられる。]
―――…こんな歌声を、貴女に囀らせることなど、致しませんが。
[薄闇で明々とは捉えられぬが、
壁にこびり付いた黒い色は、元はもっと鮮やかな朱色だったもの。
苦痛と発狂を表すように、爪痕も残っている。
その光景に涼しい顔をして、腕の中の彼女だけを慈しむ偏愛。
男にとって、この場でどれほどの惨劇が行われたかも、
種を問わぬ数多が犠牲になったかも、まるで興味がなかった。
仮令、その中に同じ精霊種が混ざっていたとしても。
明確な線引きは、この建物が抱える狂気と良く似ていた。]
[硝子の向こう、暗い潜みには、灰色染みた羽毛が散らばる。
所々千切れたそれは、魔族の目に物珍しく映った生き物から、激痛と引き換えに捥ぎ取ったものだろうか。
彼らの興と欲を満たし切った獲物は、どうなったのだろうかとぼんやり思う]
――……
[暗く翳る空気にも、夫は平静を乱されることなく、何処か居心地よさげな様子さえ見てとれ]
――…御しきれぬ力に、自ら手を伸ばすのは。
やはり、賢しく愚かしいことだとお思いになる?
[尋ねる声は、何気なく>>554
残り少ない力の行使を禁じる言葉に、浅く頷き]
ええ…、貴方にこれ以上、ご迷惑もご心配も掛けないようには。
[確約はできないものの、意思は告げる]
おや、それは残念です。
私は貴女のどんな顔も見てみたいのに。
[生まれた感情に翻弄される彼女も、邪に胸を痛める姿も
妻の全て己のものであると言いたげに。]
―――想像がつきません。
けれど、もしもこの心が貴女以外に揺れることが在るのなら、
[壁にまざまざと残された、狂気の宴の跡。
それに視線を長くは留めず、涼やかな夫の横顔を見遣る。
熱情と無関心の、遙か深い隔たり]
……そうですか?
例え貴方に、枷と鎖で繋がれようとも。
私は厭いませんけれど。
[仮に彼が、本来交わり立つ事のない異属種に興が尽き、満たされぬ渇きを余所に求める時があれば。
徒に嬲り弄ぶことなく、平静なまでの無関心で以て手放すだろうと想像が及ぶ]
―――――…きっと、“私”は消えてしまったのでしょう。
[同じ顔をして、同じ声をして、同じ言葉を紡ぎ、
それでも、彼女を愛さぬ己には、自我が足りない。
同じ闇を司り、夜を支配し、影を統べろうと、
情熱を失くし、恐れを忘れ、魂砕けた器でしかない。]
[彼女に告げる心情は、一層の狂気を垣間見せる。
笑んで告げながら、己の底を支えるのは愛妻であるとの語。
精霊を精霊たらしめるは各々司る根源であるが、
自身はそれ以上に個を確立するものを手にしている。
腹を裂いてしまうに惜しく、興で使い果たしてしまうに釣り合わず。
魔族の饗宴を理解できても、同意を示すには、傾倒が過ぎている。
男は深淵の底、狂気の縁で、誰よりも彼女を愛していた。]
[嫉妬する顔さえ見たいと応じる声]
…そんな顔は、できれば貴方にお見せしたくはないわ。
[緩く苦笑し、続けられた言葉にそっと息を詰める]
――……、
それでも……、
貴方が、貴方であることに変わりはないでしょう?
[笑みを以て告げられた言葉の真意に至れず、声を絞る]
[夫の無関心は幅が広く、彼女を除いたあらゆることに興味が薄い。
夜の静寂と、仄暗い粘性の闇に僅かばかり興を燻らせるのみで、
妻たる彼女ですら、己が愛妻以外に向ける執着を知らぬはず。
――――それは、至極当然のこと。
長の座も、精霊界も、いつか訪れる世界の終焉ですら、
己の無聊を慰めてはくれないのだから。
彼女に向ける歪な執心が、練られ、曲がり、捻くれて、
己を混沌とした闇へと生まれ変わらせた。
出会った頃は、精霊力もまだ拮抗していたが、
時を重ねる程に、力は強大となり、末に大望を果たす。
それは、己が愚かしいと詰る人の渇望と相違なく、
濁した言葉の裏側を隠蔽するように奥歯を噛む。]
[迫る白銀、臨む深淵を自らもすっと覗き込み>>578]
…貴方の隣が、危険だと仰るなら。
全ての異界の何処より、危険な場所であっても、
ここが私の在るべき場所だと答えるわ。――何度でも。
とうにご存知の筈でしょう、そのくらいの事は。
[彼と生を共にする意味、今此処に在る理由を]
―――……、
[誰何を問う彼女は知らない。
自身の胸に篭る本当の根源を。
少し言葉を選ぶようにして、数拍の沈黙を落とし。]
イングリッド――、
それでは、もしも、私が死んでしまったら、
貴女の口付けで起こしてください。
[微笑を貼り付け、向ける言の葉は冗句にも聞こえる本音。
精霊は本来死さず、終わりにあるのは消滅か回帰であるが、
心の喪失は確かな死だと、彼女に言い聞かせ、
詐欺師のような男は、単純明快に唇を強請った。]
[御しきれぬ力に触れたいと、手を伸ばすこと。
ヒトにのみ許される性だと、夫は応じる>>602]
……。そうなのでしょうね、きっと。
[ならば彼は、賢しく愚かしいと思うのだろう。
同じ精霊でありながら、そう望む身を。
小さく頷き、額へ受けるキスにゆるりと瞼を閉ざす]
――……いいえ。
[いいえ。と繰り返し、緩やかに、はっきりと首を振る]
だって…、その時貴方が、私の唇を望んで下さるとは思えないもの。
[――その時が訪れるなら、きっと。
彼に触れたがる唇も、追い縋る腕も、何もかも亡くしているだろうと。
残りの理由は告げず、冗談めかして拗ねた声を作る]
大丈夫。それでも、少しは慣れてきたようだし…、
こうしていると、瘴気の影響は殆ど受けないみたい。
貴方のお陰ね。
[瘴気は擦れる肌に、吸い込む肺にざらつくものの、
夫の腕に抱かれていれば、護りの思念が直に流れ込む。光精の加護と治癒とは異質な、けれど確かな>>603
彼が歩く後から、位置を自らに標すごとく這い出す影を見遣り、彼の意図を察して頷く]
[瞬く白銀に、ふ、と表情を和らげ>>612]
いいえ?
貴方の望んで下さる時に、お望みなだけ、何度でも。
[私は貴方の妻ですから、と習慣めいて繰り返す言葉。
穏やかに響かせ、彼に言い含め――自らに言い聞かせる声音。
自身を抱き抱えたまま、錆びた扉を肩で抉じ開ける素振りも止めはせず。この腕に擁される権利を、自ら放棄することもないと]
― 霧の沼地 ―
[外気はたっぷりと水を孕み、暗所に慣れた目が眩むこともなく煙る視界。肌にじとりと纏わる湿気を厭い、自ずと彼に身を寄せ、触れ合う面積を増やす。
隠し切れなかった違和を問い質され>>614]
…ああ、いえ。
貴方の、お耳に入れる程のことでは――…、
[言葉を選びあぐねる内、感じ取った幽かな気配に気を逸らす**]
[懸念は面に出さずとも、先より感知していた騒乱の兆し。
同種の危機として顕現すれば、抑え切れぬ動揺が顔に上る>>615]
―――やめ…、ッ、
[立ち込める濃霧の奥に、惑う水精の気配。
遊猟に逸る邪気が迫るを感じ取り、張り上げた声がふつと途切れる]
[生来湛える光は今や底を尽きかけ、水精の微弱な気と大差ない。
加護をも授けうる筈の身は、強い腕にただ護られるだけの有様。
泣きそうに細めた双眸で、夫の横顔を素早く盗み見る。
――彼に娶られると知った日から、選び続けてきた決意。
見上げた姿に再び噛み締めれば、くっと小さく喉が鳴る]
[その折、男はとぷんと揺れた水面の音を聞く。
どうやら関心が逸れたことにより、水精が沼に逃げ込んだようだ。
他に面倒を押し付け、自身は安息を得る同属へ、
向けていた憐憫は露骨な不快と嘲笑に変わる。
人でも、精霊でも、天使でも、一皮剥いてしまえば、
皆このように、自己の保身へと走る。
やはり、世界で輝くのはただ一つ、
我が妻ばかりか。と、蔑視向けた水精より意識を切り上げた。]
[同種を助けて欲しいと、他力に縋る心算もない。
闇の眷属たる彼の性質を鑑みれば、そもそも筋違いだろう。
余所事のごとく肩を竦める姿が、的外れの推量ではないらしいと裏づける>>650
首を断たれた騎士が、此方へと向き直る。欠く筈の眸にじとりと凝視された気がして、悪寒が這う]
ルート…、
[数を増す幽馬を見据え、夫の首筋に絡めた腕に力を篭める。
けれど、騎士の邪揄を聞き咎めたのか、縋る腕はふわりと解かれて]
―――だめっ、ルート!
逃げて――……!
[音なく地へ降り立つや否や、闇の欠片が拡がり身を包む]
[物珍しさ故か、騎士達の興は水精から逸れ、己に注がれる。
逃れる同種の行方を一瞥で確かめ、一秒と置かず、立ち塞がる夫の背に視線を戻す。
加護を――と振り翳した掌は、寸前で思い留まる。
背反の性を具える彼には、無益を過ぎて害を及ぼしかねない]
……ッ、お願い、どうか――…
[無理をしないで。傷つかないで。込み上げる懼れが喉を押し塞ぐ。
数で劣ろうと、闇の長たる彼が引けをとるとは思わないが、それでも]
/*
旦那様……
嫁は自己保身は別として、
旦那様>|超えられない壁|>他の全て、と敢えて決意してしまっているのよ…
決してそんないいものじゃないのよ…
ほんとは水精にも憐憫してるんだろうな、とは思ってたけど、旦那様の方が純粋な気がしてならない嫁です。
[何時か夫を失う時を、想像しなかった訳ではない。
けれど、尽きぬ力を傍近くで見てきた故か。
――彼を喪う日は、夢にも案じたことがなかった。
生まれ落ちて以来、どの瞬間より恐ろしく堪え難い時が続く。
無音で空を裂いた大鎌は、静かに、確実に死を齎した。
既に首を欠く魔物の胴は、真っ二つに分かたれ、霧の奥へと消える。
闇を統べる男の斬撃に無駄な所作は一つとしてなく、
鮮烈なまでに容赦を持たない]
――…、……
[夫の身体は、纏う黒衣に乱れさえなく無事に在る。
逃げをうつ魔物達の姿を視界の端に捉えつつも、
一心に目を凝らしていた黒衣の背が、白靄の向こうへ跳躍し]
[――――その時、
助けて…、
と、小さな声が沼から響いた。
時を惜しむように視線だけを其方へ投げかければ、
そこには先ほどまで追われていた若い水精の姿。
水色の長い髪は光沢を喪い、幾度も焼き鏝押し付けられた白い肌は見るも無残に爛れていた。
散々、衝槍に玩ばれたのだろう体躯は、所々欠けてもいる。
詰まらないものを、見つけてしまったとばかりに
嘆息した自身に構わず、水精は懇願を迸らせた。
精霊界に戻りたいと、どうか慈悲をと、
己の力を確信してから媚びる様は、実に見苦しい。
長々続きそうな声色に、興味が動かされることは無い。
寧ろ、今は見失ってしまった残りの魔物が気がかりであり、
何より―――、妻の下に早く戻りたかった。]
残念ですが―――…、
[ふぅ、と煩わしさを溜息で払い、微笑んで向ける言葉。
はい…っと威勢よく縋ってきた相手を裏切り、ヒタと向ける大鎌。]
―――…今は、妻と行楽の最中なのですよ。
[己の吐き出した言葉の意味を計りかね、「は?」と間の抜けた声を、喉から搾り出す水精は、男の狂気を知らない。
精霊力を飢えさせ、みすぼらしい彼にも、
なけなしの力を絞って分けるだろう愛妻を思えば、生かす得も無い。
いいや、なにより。
―――彼女が身を按ずるのは、自分だけで良い。
昏い思考は、大鎌を同種に振り被ることで行動に変わる。
驚愕に彩られ、喉に悲鳴を溜める水精へ、何ら、躊躇いなく。]
[咄嗟に踏み出した脚は、寄り添う影に掬われ、
傾ぐ身体ごと搦めとられる>>675
柔らかく巻きつく、抗うことを許さぬ力]
―――…嫌、行かないで…っ
[夫の気を削ぐまいと思うのに、喉を突き上げ迸る懇願。
強張る身を繋ぎ留める影、一度は突き放しかけた腕で
闇を掻き抱く]
私なら大丈夫、だから――ルートの処へ行って!
[…どうか護って、と囁く声音に震えが混じる]
[寧ろ、憂いを削げて良かったとばかりに安堵が浮かぶ。
彼女の一滴とて、誰かに渡すのは腹が煮えること。
妻の力の一欠片とも、釣り合わぬとばかり、
怯えて水色の瞳を見開く水精を闇の鎌が撫でた。
己の力は、精霊種へも消滅を齎す強烈を孕む。
彼女へ向ける執着は時として、賢しくも愚かしく働き。
沼に事切れて沈み行く精霊は、最後の希望も立ち消えて、
生まれた場所にすら還ることなく、男の傲慢に踏み躙られた。
―――沼を囲む深い霧が、男の悪辣をそっと包み隠して。*]
/*
えっ。
えっ。えっ?
旦那様、容赦ない………!!!
ある意味純粋過ぎて、もう……!
見えてたらどうしたかしら、確定で隠してくれてるとこに配慮を感じつつ、ときめく…(歪んでる)
[1] [2] [3] [4] [5] [メモ/メモ履歴] / 発言欄へ
情報 プロローグ 1日目 2日目 エピローグ 終了 / 最新