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― 少し前・お茶会準備作業中 ―
[ドールと一緒に駆け出そうとした背中にオズワルドから声をかけられ、ジャムを入れた紙袋を渡される>>226
王子への貢物だという]
いや、オズワルドさんの方が、王子に早く会えるのではないでしょうか…
[戸惑いながらも紙袋を受け取った。
この城に来てから半年ほど、王子に読み書きを習いながら雑用をし、その後ここに放り込まれてからさらに半年以上がたとうとしている。
懲罰部隊になってからは、王子の姿はほぼEsをたずねてくるところしか見ない。
自分が王子に会うのは、短い月例報告に彼を訪れる時だけだ。
自分のために王子が時間をとるのはその時だけだ。
尊敬する王子のために…と聞けばますます]
私が王子に渡していいんですか?
[と困惑した。しかし、忙しそうな彼につき返すこともできず、そのまま紙袋を持って外に出て行った]
― 少し前・中庭 ―
[ドールは一直線にどこかに向かっていく。
そのあとを着いていくと、小さめなカトラリーの保管庫があり、その隅にテーブルクロスが置いてあった]
お、えらいぞ
[ドールを撫でるとクロスを持って中庭に戻り、テーブルに広げた]
あれ…
[さっきよりすこし風が吹いている。空を見上げると、少しずつ雲が出てきていた]
雨が、降るのかな
[と、気づくとオズワルドが様々なものを厨房から運び出そうとしている。急いでドールと一緒に戻って、彼を手伝った。
そろそろ何人かが中庭に集まってきている。
自然と、お茶会が始まった]
― 中庭 ―
[しばらく、厨房と中庭をドールと一緒に行き来していたが、すぐに手持ち無沙汰になる。
最初の準備さえ済んでしまえば、オズワルドをはじめとしてみな自給自足で楽しくやっているのだ。
お茶を飲んで笑いあっているところなど、Es以前に、ただの市井の友達同士のようだ]
友達か…
[目立たぬよう厨房側の壁によりながら考える。
自分にも、もしかしたら、ずっと小さい頃にはいたかもしれない。
しばらくぼうっとしながら様子を見ていたが、特に問題もなく、また、自分もこの場に不要だと感じた。
オズワルドに小声で囁く]
私は一旦下がります。
御用があったら、ドールかイドでお呼びください。
[テーブルクロスを取りに行くときにオズワルドに預かった紙袋を一旦置いておいた、使用人控え室へ向かった]
― 使用人控え室 ―
はー
[控え室に入ると、一目散に一番座り心地がいいと目される椅子に座り、靴を脱いだ。しばらく足をぶらぶらさせると、オズワルドに預かった紙袋に手を伸ばし、机に伏せるようにして眺めた]
あー ジャムかー
いいなぁ、王子、喜ぶよなぁ
[純粋な愛情は…とジェフロイの言葉を思い出したが、何言ってんだと頭を振り、同じく机の上にあった新聞を手に取った。
原則城外に出ないEsたちは、新聞など読むのだろうか。
もっとも、自分も同じだ]
今日はどんだけ読めるかな
[ネクタイをさらに下ろして首元を緩めながら、控え室においてあった愛用の緑色の携帯辞書を取り、突合せながら読み始める]
国、博覧会
万国博覧会、か
あの街でやるんだな…
[あからさまに読めないところは飛ばしながらも、見出しを拾いながら大体の内容を理解していく。今日のは結構理解できた。
街も、もうずいぶん涼しくなったらしい。
最後に、いつもの段を見て顔をしかめた]
まだ載ってる
『○家大量射殺事件犯人、警官殺し 混血の青年、黒髪、20代
その他余罪あり 該当と思われる者を発見した場合はすぐ〜』
俺は、殺してない…
俺があの人を殺すわけ無いのに
[王子にここから追い出されたら、俺のような混血は、隠れる場もなくすぐにつかまるだろうし、無罪を訴えたところではなから聞きいれられないだろう。
はっきり言えるのに。この2件は自分の犯罪じゃない。1件については心当たりもない、と
大体この事件が起こった5年ほど前、俺はまだ、あの家にいた。いや、ちょうどあの生活から抜け出した頃か…]
銃か…
[ギィの顔がぼんやり浮かんだ。
が、彼は事件の起こった頃には既にここにいたはずだ。
なんだか眠い。机に伏せるようにしたまま、意識が薄れて行った]
― 使用人控え室 ―
[疲れていたのだろうか。
机に伏して一瞬で深い眠りに入る。
少し昔の夢を見ていた。一瞬だけの幸せな日々だった。
俺が壊した。遠くに逃げて、最後に城に逃げ込んだ。
そして城を追い出された瞬間警察に捕まった。
街へ向かう馬車の中で呟く]
違う、俺は刑事さんを殺してない…
俺が殺したのは…
[近くでがさりと音がして、目を開けた。
眼鏡を取っていたのと寝起きなのとでぼんやりとしている。
ゆっくり音の方向に顔を向けた]
…ギィさん?
…うわっ なんでここにいるんですか!?
[思わず飛び起きた。靴は脱いでるわ、首元はゆるゆるだわ、完全に気が抜けていた。
俺よだれたらしてないよな…と口元を拭ったところで、彼が新聞を読んでいることに気づいた]
ギィさんは新聞を読まれるんですか?
[眼鏡どこに置いたっけ、と机を横目で見遣りながら聞いた]
― 少し前・中庭 ―
[楽しそうに笑う面々を、ぼうっと眺めていると、ソマリから声をかけられた>>471]
えっ、リアクション… そうですね
[自分は何を眺めていたのだろう。
見ていたはずなのに思い出せず、なんとも間の抜けた返事になる。
ぼうっとしているのを見抜かれたのか、休んだほうがいい、とまで言われてしまった]
ありがとうございます
あの、お言葉に甘えさせていただきます
[少し微笑んで、お辞儀をした後オズワルドの方へ向かう。
どうして彼は、こんなに人に気を使えるのだろう。
周りが見えない自分と違って。
完全に立場が逆転している。少しため息をついた]
ギィさん…
[王子は知っているのか、という言葉に立ち上がり、
ギィとまっすぐ向き合った]
あなたは、本当はそんなこと知らなくていいんです。
でも、どうしても気になるなら、王子が私に作ってくれたものをお見せします。
それで、王子が、ご承知の上で私をここにおいていることをわかってもらえるでしょう。
[いや、むしろ、ただ逃げ惑っていたどこの国の者かもわからない青年だったとしたら、王子が城に置いておくいわれはないだろう。
王子は、俺が、こういう人間だから気に入ったのだ。
そして、色んな本を読んで、いろんなことを知った今は、それが不安でもある。
でも、自分を放り出して欲しいわけではない。頭がぐるぐるする]
どうします、私の部屋にありますが。
見に行きますか?
もし今の回答で満足であれば、私はお茶会の片付けにいきます
そろそろ… 雨が降りそうです
[窓から外を見た。雲が厚く、太陽を隠していた]
/*
やばいぞ…
王子が非道すぎて王子への狂信者メーターが下がりそうだ!
王子のちょっといい話でも作らなければ
― 自室 ―
[先導して自分の部屋に入る。
部屋は私物と呼べるものがほぼ何もなく、殺風景なものだった。
そのまますたすたと進み、備え付けの箪笥の一番下の横長い引き出しを開く。
白いリネン類が入っているその布をめくっていくと、奥に白い木目の板で出来た、細長い木箱が見えた]
これです
[木箱は紐で縛られている。
棚の奥から箱を取り出すと、両手でふった。
かたかたと音がした]
なんだか、更にちょっと軽くなった気がします
[少し苦笑した]
開けますね
[箱を床に置くと、紐を解き、そっと蓋を開ける。
肘のところから切れた、腕のミイラがあった]
これは、刑事さんの…あの人の腕です
私は、あの人に捕まりました。
そして、本署のある街へ、馬車で向かっていたんです。
私の右手とあの人の左手は手錠でつながれていて、私は幸せでした。
その前にあの人には散々殴られてましたが。
[苦笑したが、そのあと、すぐ寂しげな表情になる]
ものすごい雷が、近くに落ちたんです。
音と光が同時でした。
ばらばらと落石があって、馬は崖の道から足を踏み外しました。
気づいたときは、馬車は崖下に落ちていて、あの人は私の横で落ちてきた石に頭をつぶされていました。御者も息がありませんでした。
必死であの人の懐からナイフを探して、腕を切りました。
ナイフは脂のせいなのか、血のせいなのか、すぐになまくらになりましたが、泣きそうになりながら頑張って、手錠側の腕が切れました。
やっと私は死体から自由になったんです。
私は彼の死体には用がなかった。
彼が死んだのに、捕まる気もさらさらなかった。
でも… 捨てられなかった。
こんなの取っておいても意味無いのに。
[切なげにひからびた腕を眺めて、ふと気づいたように言った]
ああ、まだ少し、匂いがします…
[箱から腕を取り出すと、顔に寄せた。
しばらく何かを思い出すように、腕を顔につけていたが、顔を上げてギィの方を見た]
わかりましたか?
私の…裁かれるべき罪は、あの人の大事な人を急行の通る直前の線路に突き落としたことくらいです。
私は、腕を持って、三日三晩山を歩いて、開けた草原にでて…そこで王子に出会ったんです。
私をみて、なんだか面白そうな顔をしてました。
でも、この腕が、私の大事なものだって、理解してくれました。それで、これを作ってくれたんです。
私があの人を殺すはずがないんです。
王子はそれをわかっています。
ギィさんは、新聞に書いてあったことが…
あれが私のことだったとしても、嘘だって、冤罪だって、信じてくれますか?
[そしてふと困った表情になった]
○家の銃の事件は…
はは、困ったな。やってない証拠がないんです。
私はやったかもしれないしやってないかもしれない。
父親がアリバイの証人だったのですが、私が殺してしまいました。
[笑っていったが、ちゃんと付け加えた]
一応言っておきますが、正当防衛ですよ。
それはあの人も認めてくれました。
[そのあの人も死んでしまったのだと思うと、少し悲しくなる。
もう王子しかいない。王子しか俺に残されていない]
不完全な話になってしまいましたね
ここまできてもらったのに、申し訳ないです
あとは、ギィさんが、私を、信じてくれるかどうかだけなのですが
― 書室 ―
んん…
[背伸びをしながら暗い書室に入ると、ランプをつける。
今日は色々あった。
ギィと話をした後、すぐ中庭に向かうと、お茶会も切り上げようとするところだったが、やはりちょうど雨が降ってきた。
片付ける間にも雨はどんどん激しさを増し、びしょぬれになりながらとりあえずの片付けをドールと一緒にすると、部屋に帰ってシャワーを浴びた。
しばらくベッドで休むと簡単な夜食を食べ、そしてここにきた]
不思議だな…
[どうしてこんなに落ち着くんだろう。
ここは埃っぽいため、以前は適当な本を3,4冊ごそっと取っては部屋に持ち帰って辞書を引きながら読むのを繰り返していたが、Esの一人であるレトもここに通っているのを知ると、ここで本を読むようになった。
2人でずっと静かに本を黙って読んでいるときもあれば、本の話をすることもあった。
本を読む人と一緒にいるのが楽しいのだ]
今日はいないのか
[どっちが先に来ることも後に来ることも、来ないこともある。
どれでもいい。
分けておいてあった読み途中の本を手に取ると、辞書とつき合わせながら読み始めた]
えっと、トーキー…
いや、トークイル、夕暮れの風
はは、あってるあってる
[辞書と小説の文字を突合せながら、たどたどしく読書をする。物語もだんだん佳境に入ろうとするところだ。ふと、遠くから大きな音がして顔を上げた]
庭の何かが飛んだかな
…すごい風だ
[カーテンで覆われた先の窓枠ががたがたと音をたてているのがわかる。雨のたたきつけられるような音もどんどん強くなっている]
…
[何か、この嵐に普通とは違うものを感じて、少し耳を澄ませたが、やはり風と雨の音がするだけだった]
― 少し前・自室 ―
不十分な説明で申し訳なかったですが、信じていただけて嬉しいです
[ギィの言葉に、本当に信用してくれたらしい、とやっと一息ついた>>525]
私の味方…ですか
[それには少し首をかしげた。
私の味方、とは、つまり王子の味方、ということでいいのだろうか。
言うまでもなく、皆、そうではないのか。
違う者がいると言いたいのか。
それとも、個人の私の味方、だと言いたいのか。
何に対して、そう思ってくれたのだろう。
含みを持たせた言い方に、何かを聞きたいと思ったが、うまい質問が出てこないうちに、彼は部屋を出て行った]
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