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5人目、電気石の赤鬼 キアラ が参加しました。
電気石の赤鬼 キアラは、村人 を希望しました(他の人には見えません)。
― 中央海域・キガン島 通称"鬼ヶ島" ―
[切り立った岸壁を、潮風と海鳥が通り抜けていく。
左右で異なる石の下がるピアスが、ちゃり、と音を立てた]
旅立ち……か。
[呟く娘の額からは、二本の生成り色の角が伸びていた]
[――遠い昔。魔界人を名乗る異貌の男が、不可侵領域に程近いキガン島を訪れた。
男は力が強く、闘争と色を好んだ。
その長い寿命の間に多くの子を儲けたが、男の血を引く子は、例外なく額に一本ないし二本の角が生えていたという]
[時が流れ、額に角を持つ魔界人の子孫は、一族と呼べる程の数に増えていた。
鬼族と呼ばれるようになった彼らは、闘争本能の赴くまま周囲の島へ攻め込み、やがて侵略戦争と言われるほどの規模まで戦火を拡大した。
魔界人の特徴を色濃く残す彼らが、不可侵領域近くで争乱を起こすことの意味など考えもせず]
[結果として、彼らは敗北した。
略奪によって得た土地を追われ、祖先の降り立った地であるキガン島のみを領土とすることを許された。
そして余程の例外を除いては、周辺国へ立ち入ることさえ禁じられたのである]
[それから数百年。忌むべき魔界の血族と目されてきた彼らに、転機が訪れる。
二つ目の石――つまり絆石を持つ赤子が生まれたのである。
それは鬼の一族にとって、またとない好機であった]
[彼らが世界の
― 回想/3年前・キガン島岸壁 ―
…………つっ……
しくじった……。
[3年前。
16歳の少女は、右手首を左手で強く握り、岸壁半ばの岩の上にうずくまっていた]
[絆石を持って生まれた少女は、物心ついた頃から、心身と魔力の鍛錬に明け暮れていた。
ここはそうした修行によく使う場のひとつで、住人が好んで寄り付かない険しい岩場であった]
[この日少女が試みたのは、魔法の出力を限界まで高めること。
天命石の持つ雷という激しき力を、激しきままに操ろうとした少女は、限界を見誤りしっぺ返しを喰らった。
強力な雷撃が、掲げていた右手を打ったのである]
[影響が体の中心に及ぶことこそどうにか防いだものの、外傷である火傷自体が深刻なものだった。
指を動かせなくなるほど深くまで達したそれは、癒しの魔法が不得手な鬼族では、完治することが難しい。
かと言って、島外、特に周辺国の人間が、快く治療に応じてくれるとも思えなかった]
何やってんだアタシは……召集まであと何年もないってぇのに……。
[傷の痛みもさることながら、不甲斐なさに涙が滲む。
助けを呼ぶことも出来ないまま、少女は岸壁にもたれ掛かった*]
/*
しかし。
異種族やりたーいと軽い気持ちで鬼族設定にしたんだけど、今見るとそれぞれの種族代表が集う某漫画みたいな展開になりつつあるね。
― 現在/中央海域・キガン島 ―
[風に乗って、呼び掛けの声>>5が届く]
ああ、行くよ。
鬼族の『柱』として立つために。
[刻の訪れを族長に報告すると、その晩は細やかな宴が開かれた。
島の住人が口々に祝いと激励の言葉を掛け、両親は涙ながらに抱き締めてくれた。
豊かとは言えない閉ざされた島だけれど、その分一族の結束は固い]
[そして翌日。住人たちの見送りを受けながら、船は島を離れていく。
鬼族にとって数百年ぶりの、誰に憚ることのない旅路だった*]
―『世界軸』中層 ―
[『世界軸』へ向かう旅は短いものであったが、娘にとっては初めての、外の世界に触れる機会であった。
鬼族を良く思わぬ者であっても、娘が二つ目の石を手にしていると知れば、それなりの礼儀をもってもてなしてくれた。
そうした僅かばかりの穏やかな時間を過ごした後、少女は独り、『世界軸』の門の前に立つ]
世界を貫く柱……ね。
[『世界軸』の遥か上は天界へ、そして遥か下は魔界へ繋がっていると言われている。
となれば祖先はこの柱を通ってきたのかもしれないが、その話は未だ伝承の域を出ていなかった]
[ぼう、と立ち尽くしている所に、守衛から声を掛けられる]
うん?
……そうだ、呼ばれたんだ。風に乗った声に、な。
[視線を戻し答えれば、守衛はお待ちしておりました、と深々頭を下げた。
その横には二頭の仔竜がいて、愛らしい姿につい口許が綻んだ>>54。
娘の視線を受けると、仔竜はついてこいというようにこちらへ背を向ける。
娘は居住まいを正すと、真っ直ぐ前を見据えて歩き始めた]
―『世界軸』中層・広間 ―
[二頭に導かれ向かった先は、どうやら広間のようだった。
その奥には、訪れるのではなく迎える立場と思しき者が立っていた>>55]
コイツが『神子』……?
[外見だけならば、自分よりも年若い少年のように見える。
しかしその纏う雰囲気は見た目に似合わぬ落ち着きがあり、どこか神聖な気配すらも感じられた]
…………。
[小さく息を吐く。『柱』が集い神子の話が始まるまでには、まだ少し間があるんだろうか。
手近な壁に寄り掛かると、腕を組みしばし目を閉じた*]
――――もうひとり。
アンタも、ここに居るのかい?
[心中の独り言めいた呼び掛けは、果たして届いただろうか*]
貴女が、私と同じ石を持つもう一人?
……来たよ、はるばるとねえ。
[どこかで聞いたことのある気がする声に返す。
どこで聞いたか、記憶から引っ張り出せるのはもう少し先の話]
― 回想/3年前・キガン島 ―
…………?
[聞こえた声>>119に眇めた目を向ければ、船の上には見慣れぬ人影。
明らかに島の住人ではないその姿に、何故、と思う間もなく、人影は岸壁へと降り立った]
え、あ、アンタ一体……。
――アタシが、怖くないのか?
[躊躇いもなくこちらへ近付いたその人物は、少女の手を取ると、もう片方の手をかざした。
驚きで動けずにいる間に、癒しの力を持つ水の輝きが、深く火傷を負った少女の手を包む。
清涼なる力が流れ込めば、傷の痛みは見る間に和らぎ、思わずほう、と息を吐いた]
そんな、アタシは、強くなんか。
[気性の激しい鬼族は、鍛錬も苛烈だ。
その中で、しかも『柱』候補として育ってきた少女にとって、その評価は思わぬもので。
思わず戸惑いに瞳を揺らす]
[やがて傷の痛みは消え、火傷の痕もそれとわからないほどに回復した。
言われるがまま指を動かしてみれば、引き攣れを感じることもなく動かせる。
鬼族どころか、並の治癒士でも、短時間でこれだけ治療するのは難しいだろう]
あ、あの……ありがとう……。
[まだどこか惚けたような声で、小さく礼を言えば、相手からは満面の笑みを向けられた。
そこに、今更思い付いたように問い掛けられて>>120]
その、……修行中だったんだ。
将来のために、少しでも強くなっておきたくて。
[言いながら、少女は無意識に右耳の石――赤から黄を経て緑へ、鮮やかに色を変える電気石に触れる。
他方、左耳には対照的に、光通さぬ漆黒の石が揺れていた*]
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