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6人目、3年D組・図書委員 天倉優護 ヴェルナー が参加しました。
3年D組・図書委員 天倉優護 ヴェルナーは、村人 を希望しました(他の人には見えません)。
―新幹線・車内―
[車内に溢れるにぎやかな声を聞きながらシートに背を預け、自分もまた近くの友人達とたわいもない会話に相づちを打つ。
駅を出てから早々に始まった、このにぎやかな会話の嵐は。目的地に着くまで止むことは無いように思えた。]
ほら見て、富士山よ。
[様々な会話が交差する中、1人の女子生徒の声が響く。凛子だ。
決して大きな声でも、まして叫ぶわけでもないのに、その声は鈴のように震えてよく通った。
学級委員長でもある彼女はクラス中の女子を纏めるリーダー的な存在であり、教師からの信頼も厚い。
彼女の声に窓の外を見れば。飛び去るように消えていく景色とは次元を切り分けたように、雲に霞んだ霊峰の姿が視界に映る。]
なるほど…もう少し晴れていたら、綺麗に見えたかも知れないな。
[適当な感想を口にして、視線はすぐに霊峰から移動する。
視線はそのまま彼を探して、視界に目的の人物を捕らえると、安心したように小さな笑み口角を刻んだ。
霊峰を望むよりもどこか遠く彼を眺めながら、心は旅とは別のざわめきに揺れる。]
(違うクラスだけど、一緒になれて良かった――。)
[仲の良い者同士。移動の最中も、宿での食事の時も常に一緒にとは行かないが、
こうして同じ車両に乗り合わせ、密かに思いを寄せる彼と同じ時を過ごせるなんて夢のようだ。
見えない先への期待と不安は、余計に想いの波を揺らす。]
[同じ図書委員会に属する彼と出会ったのは、2年生の時。
高所の本を取ろうとしていた所、バランスを崩して落下する彼を、文字通り身体を張って受け止めたのが始まりだった。
もっとも、頭を打って脳震盪を起こしたらしい自分が目覚めたのは保健室で。
目覚めるまでずっと、そばにいてくれた彼に手を伸ばして、彼の手に触れたのだったが。
指の長い彼の手は少し冷たくて、『ありがとう』と告げたとき。
一瞬驚きに見開いた彼の瞳を、今でもまだはっきりと覚えている。
困ったような彼の曖昧な表情に、なぜだか胸が胸が締め付けられ。
心臓が毛羽立つように胸がざわついた。
彼が自分と同じ学年だと知り。
それ以来、いつも教室の外で彼の姿を探すようになった。
彼が同じ委員に入って来た時は興奮で寝付けないほど嬉しかったのに、運命は残酷なもので。
奇跡的に担当が被ることはなく、いつもすれ違いばかりの日々だ。]
(贅沢言えないよな…)
[同じクラスならば、隣の席になれた可能性もあっただろう。
やはり少しだけ寂しい気持ちが湧き出て、こちらに気づいてくれないかと内心で勝手な希望を抱いてしまう。
もし目が合ったら合ったで、また心の波が歓喜に荒れ狂うのだが。]
(京都には、縁結びが得意な神様も多いみたいだし。
向こうに着いたらお願いしてみようか…。)
("篤史と一緒になれますように"――って……。)
[ふと、いかにも女子達がこぞって訪れそうな神社を野郎1人で参拝する己の姿を想像して。
寂しいやら情けないやらで、思わず蟀谷を押さえ込んだ。**]
[結局、篤史が此方を振り返ってくれるような事はなく。
あんまり長いこと彼ばかり注視していては不自然かと諦め、小さな溜息をついて、しおりの後ろを捲る。
>>60図書委員達が担当した巻末付録の観光ガイドは、それぞれが知恵を出し合い調べ上げ、力を合わせて創り上げた賜だった。
もっとも、そんな図書委員の努力など普通の生徒達が知れる所ではないだろうし。
ただの付録にそこまで興味を示す者は少ないだろう。
『幕末ゆかりの地コース』
それが自分が担当したコースの名前だった。
京都なんて寺と仏像ばかりでつまらないと、ごねる友人達のために。
彼等でも興味を持ってくれそうなものを――と、考えて作ったルートだ。
"新撰組"や"坂本龍馬"という単語は歴史に興味のない男子を惹きつけ、評判はなかなかに上々なものだったし、自分の班もこのコースを回ることになっている。
"あくまでも一応"はだが――。]
[なにせ自分の友人達は到底、決められた事を守るようには思えない連中なのだ。
集合場所と時間だけ決めて、あとは各自好きなことをするため解散!
……なんて展開になっても、おかしくない面子ばかりで。
気の良い奴らではあるが、フリーダム過ぎるところが密かな心配の種だったりする。]
(夜は枕投げだよな…絶対)
[消灯後の展開まで見えるようで、また溜息をつく。
今日はいったい何度、溜息をついただろう。
"溜息をつくたびに幸せが逃げていく"なんて言葉が本当なら、もうとっくに幸せなど遠くに行ってしまっている気がする。]
(あいつが担当したコースは、どれなんだろう…。)
[女子達には御利益ある神社を巡るコースが人気だったようだが。
彼の作ったコースが分かれば、その一部でも是非回りたいと思いながら"しおり"を眺めていれば。]
あ…っ、聖前。 どうした?
[>>126 すぐ近くで聖前の声が聞こえて顔を向ければ、想い人の姿に思わず下の名前を呼びかけ。
慌てて苗字で呼び直した。]
コース? なにかあったか…?
[彼の中途半端な言葉に、まさかここに来て自分が担当したルートに何か問題でも見つかったのだろうかと
内心焦りながら、聖前の顔を見つめる。
こんな時でも彼の顔を見つめていると、優しげに整った面差しと長い睫毛に視線が行き。
心臓は緊張以外の早鐘を打つ。]
[しおりの付録を作るときくらい、せめて一緒に作業できたら良かったのだが。
相変わらず彼とは縁がなく、結局今日まで彼が携わった部分は知ることが出来なかった。
だからそれがどんな理由であれ、こうしてわざわざ違うクラスから出向いて来てくれたことに喜びを覚え。
>>139しかも内容が自分の携わった部分を問うものだから、尚更心が躍った。]
ああ、ええとな…ここ。
この『幕末ゆかりの地コース』ってやつ
[>139かつて新撰組の屯所があった八木邸から始まり、大政奉還の舞台である二条城を回って、
最後はかの有名な池田屋跡までを巡るコースを指で示す。]
見ての通り分かりやすいだろ?
そう言えば、お前の担当はどれだっけ?
[何も問題はなかった事に安心しつつ。
今度は彼の番だと言わんばかりに、瞳を向けて問いかけた。**]
[>>156なにやら向こうで聖前を絶賛する声が聞こえて、そちらを見れば。何かちらりと狐色のものが見えた気がしたが、気のせいだろうか?
よく見れば隣は空席のようだし、そもそもペットを連れ込んで同席なんて無理だろうから。
きっと目の錯覚だろうと己に言い聞かせる。
いや、今はそれよりも――。]
(やっぱ聖前って女子に人気あるんだな…――。)
[物腰柔らかな彼は図書室を訪れる女子生徒に人気が高いと、べつの図書委員から聞いたことがある。
こうして改めて彼の高評価を目の当たりにすると、なんだか寂しい気がして目を伏せた。]
(あ、車内販売…。)
聖前――、こっち。
[>>128前方からやってくる車内販売に気が付けば。
そのまま視線は通路に立ったままの聖前に移り、「そこにいると邪魔になる」とは続けずに、ほぼ無意識に彼へと手を伸ばす。
通路に立ったままだと邪魔だろうと言う口実でもって、彼を自分に引き寄せて。
あわよくば自分の膝の上に載せようという算段を瞬時に叩きだした結果はどうだったか。]
[なにやら視線を感じた。>>179
だが、凝視という程でもなく、その眼差しにはどこか寂しげなものがある気がする。
人恋しげなオーラ。
好葉に声を掛けていった男子生徒がそちらに行くのを見れば、念を送った。>>126>>183]
よし! そのままホールドだっ
[>>184興味を示してくれた聖前に気をよくして、]
好きなのもあるけど、俺の場合は歴史に興味ないヤツが多くて…。
[そこを纏めた理由は小声で説明する。]
いいよな、寺巡り。
実際、世界文化遺産めぐりなんて贅沢だよな。
[>>189聖前が示してくれたコースはいくつかあって、その殆どは歴史に触れる事を重視したものばかりだ。
出来るなら自分は、彼の作ったコースの方を巡りたい。]
俺の班は一応、このコースを回るようなこと言ってたけど…。
実際どうなるかな……。
[>>192聖前に言葉に苦笑を向ける。
実際にきちんと巡るかわからないからこその微妙な笑みだった。]
パンフレットにあと写真な、わかった。
余すと来なく納めてやるから、任せておけ。
[些細な情報を望む聖前の様子に、本当に彼は歴史物が大好きなのだなと思いながら。
旅行から帰った後も彼と交流を持つには絶好の機会に、満面の笑みで答える。]
――!!
[聖前の腕を掴んだ瞬間、何か聞き慣れない声が頭の中に響く。]
だと、いいな――っと…
[>>207もしかしたら……と、そんな希望を口にしかけた聖前の腕を取り。
バランスを崩した彼をそのまま自分の膝に乗せる。]
あ……大丈夫か……?
[自分でやっておきながら、彼の腰を両手でしっかりとホールドしつつ。
気遣う言葉をかける。]
[>>#4そんな触れ合いも、時間にしてみればほんのわずか。
車内に定刻通りのアナウンスが流れる頃には、名残しげに彼を見送っただろう。*]
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