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俺は子供でも使う。
君も使う。
覚悟も使う、信念も使う、信仰も使う。
義務を果たすとはそう言うことだ、親友。
俺が言えた義理じゃあ、全く無いが。
―――…君もつくづく不器用な男だな。
[坦々と囁く声。
最後ばかりは、気安い溜息を空に吐いて漏らした。]
[顔を上げれば、紅い魔城が近い。
鮮やかに染まる色が、更なる紅を――、
人の血を欲しているようだ。
*全てを飲み込む真紅は眩暈うほど深い。*]
[顔を上げれば、紅い魔城が近い。
鮮やかに染まる色が、更なる紅を――、
人の血を欲しているようだ。
*全てを飲み込む真紅は眩暈うほど深い。*]
[――今宵だけ。言い含めるよう繰り返される言葉に、血に濡れた薄刃の如く、すっと真紅が細まった]
……そうでしょうね?
口説き文句にするには、拙過ぎるもの。
率直に申し上げて、下の下だわ。
[これ以上近づけば、腹立たしい男の血を身の内に取り込むかはさておき、鋭い牙に存分に頼る事にしようと心に決めて。
眼前でふっと解けた唇が、次はどんな気に障る言葉を吐き出すのかと一心に見上げ]
――………、
下の中ってところね、それも。
[細く長く溜息を紡ぎ落として、彼の言葉に逆らうべく、表情を幾分和らげる]
私は主の御心に従っているだけだ。
[呵責なほどの純粋さゆえに、外観に心を配ることも無く。
逆に、揺るぎなき信仰を持つバルタザールには、貴顕の責務にこだわるソマリに、焦りにも似たものを感じていた。]
己で何もかも背負うは、不遜に通じるぞ。
言辞を弄して私を動かそうと思うな。
貴様は
[叱り付けるが如き、鋭く短い囁き。]
― 数年前 ―
[―――聖気を帯びる奴隷が居る。
そう風の噂に聞いて、奴隷商を屋敷に呼びつけたのは、
その頃既に聖公教会との調整役を任されていたソマリだった。
サイキカル家は表向き清廉潔白なる教会に代わって、
才能のあるものを雇い上げ、使徒の開発に宛がう役目も買う。
題目では魔物は減らない。
刃を振り下ろし、人ならざる者の血の上に安寧は浮かぶのだ。
血生臭い穢れさえ高貴なる義務と下す一門に生まれた男。
豪奢なソファに身を沈め、
身体を拘束された奴隷のクレステッドに向かい、口を開いた。]
――…俺が君の命を買い上げよう。
君は我が義務から外れ、俺の所有物となる。
それを辱めと覚えず、命以上に価値を見出すものが在るのなら、
俺の剣となり、戦火を駆ける栄誉と苦行を与えよう。
[彼と同じ瞳を、何度か参加した戦乱で見たことがあった。
闘いの中でしか生を得られない本質。
彼が求めるのは、平穏ではない。
手駒を集める己と、戦乱に狂喜する彼の目的は合致する。
その言葉になんと彼が答えたか。
ただ、こうして侵攻戦に同行していることが、
彼の選択を肯定していた。
まだ若き彼の主人は、いつも、いつも。―――戦の火を与える。*]
[彼女の辛辣な評に、また嬉しげに喉仏が揺れた。
上流階級らしい美辞麗句でも、気を損ねた女の癇癪でもない。
気位の高さの割りに、擦れていない。
ステップを誘えば、添うだけの素直さがあるのに、
口を閉じて時が過ぎるのを待つだけの退屈な淑女でもなかった。]
おや、それは嬉しいな。
上手い口説き文句なんて聞き飽きているだろう。
君が心蕩かすような男に誘われた時、
俺の顔を思い出して比較してくれるかな。
―――…その時はそんな風に怒るなよ。
聊か勿体無い。
[彼女の怒りに油を注ぎ、薪をくべて、追い風を起こす。
彼女が感情を発露するほどに笑んでしまうのは、
すっかりと本質の悪趣味を晒してしまっている所為だ。]
[なぁ、君。と囁く男の声が風に乗る。
冬は眼と鼻の先、社交の場に出るのも今後は限られるだろう。
惜しいな、と思う心が一層男を傲慢にさせた。
彼女の腰を抱き寄せ、緩やかに額を重ねて真紅の瞳を捉え]
―――…来週も此処へおいで。
今度はもう少し難しい一曲を誘いたい。
無論、自信がないと“慎む”なら別だがね?
[彼女の矜持を擽る言葉を投げて、片目を瞑る。
授業料は君の名で。と笑い、鼻先で戯れめいてこめかみを撫でた。
出逢ったばかりで彼女の唇を恋う男は五万といるだろう。
されど、己はその有象無象と同じにはなりたくなかった。
女に侮られるのも性分と笑い飛ばせる筈が、
彼女に退屈な男だと思われるのは、何故か業腹だった。]
[だから、名も聞かず、素顔も暴かず。
無音のワルツが終わりを迎えて、その手を離した。]
必ず、おいで。
――…俺に逢いにおいで。
君を忘れず、待っているから。
[―――月下に交わした戯れの約束を、
彼女はどれほどのものと感じただろうか。
しかし、その約束が果たされることは無かった。
その夜会から程なくして、魔を宿した右が御しきれず、
男は別邸より王都へ連れ戻されることとなる。
待っている、と告げた癖、此方から約束を反故にした。
それ以来、まるで何かを警告するが如く、
時折右腕がじくじくと痛むようになる。*]
君に言われるとお終いだと思うのだが。
[硬き心と身体を持つ相手の言葉をそのまま返す。
彼は己が持つ義務から外れる珍しい相手であった。
彼に護られようとも思わないし、
彼を護りたいとも思わない。
そういった強弱を超えた信を寄せる相手であった。]
君が俺の言葉を聞いてくれているのは知っているよ。
俺の心の臓を見る君の目に、今更腹探りなんてさせやしないさ。
[軽く笑って、掌揺らす。
利己と打算に塗れた腹内を、大儀有する彼に見せることも厭わない。
己の信とは、常に対する者を試すに似る。
そして、彼は唯一、この世界で試すに足る男だった。]
クレステッド、君も前に出るかい。
盾になれとは言わないが、結界に気付かれれば潰しに来るだろう。
俺一人では荷が重い。
君は傍に侍れ。中衛だ。
[ユーリエをエスコートしつつ、己の所有物である青年に声を掛けた。
彼が己の言葉を聞くか否かは判断難しいところだが、
己は戦火を呼ぶ性質を持つ。
厄介など、いつでも向こうからやってくるのだ。]
―――…君の命は既に、君のものでなく。
俺のものだ、クレステッド。
命の使い時、努々見誤るなよ。
[そっと、彼に対しては、義務を課さない男が囁いた。]
了解だ、無駄に命を散らすつもりはない。
ただ闘いの最中に命は約束できない。
私に課せられた性だからな。
とはいえ、貴方には恩がある。
だから、出来る限りを尽くすと約束する。
[すらりと引き抜く白銀の曲刀。
翡翠色の文様刻まれた刀身は魔力を受けても折れぬ剣。
―――そして一つの術具でもあった。
ユーリエに祈れと、アデルに求めよ、と科す。
己が聖将として呼ばれる所以はこれにある。
サイキカルの叡智により生み出された秘術。
立てた剣は神の祝福を受けし、二人の幼子より力を引き出す。
薔薇は風も無く揺れ、大気が神聖に応じる。]
―――バルティ、オズ、リエヴル。
先は任せる、誉を剣に示せ。
[自身は力の矛先を決めるだけ。
白銀の切っ先が夜に掲げられ、神子等の力が降りる。]
―――― キィィィィィン ――――
[その瞬間、野茨に囲まれた盤上に細く、重い振動が駆け抜けた。
高位のものであれば、あるほどに神経を爪弾く神の音色。
後退の道を立ち、逃亡を許さず、剣先は真っ直ぐに夜城へ。]
[鋼鉄の刃の如く、ひとつの目的の為に極限まで研ぎ澄まされた男は、己の脆さに気付いてはいない。
その脆さは、接した誰にでも分かるものなのか、それとも、心に隔てを置かない者だから気の付くものなのか。]
[結界の根源は神の力である。
誂えられたアデルとユーリエの力を喰い、広大な土地を覆う。
二人の身には、一瞬、膝を付かせるほどの加重が掛かるか。
次第に馴染むだろうが、この強固な結界を作り出せる潜在能も、
教会が二人を同行させた目的の一つでもある。
二人の背には、月の光さえ遮る神の加護が降り、
己は視線を夜城に向けて細め。]
―――…命の使い時、か。
[そっと一人ごちた。]
[ス、と剣先を彼の背中に向け。
十字を切る。
彼がそれに気付くかは知らない。
その上、自身は神を余り信じていない。
ただ、信頼する背中に、彼の信じる神の祝福を切った。
名ばかりの血に穢れし、聖将は、少しだけ。
彼に加護と言う名の、信を掛けたのだった。]
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