情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 5日目 6日目 エピローグ 終了 / 最新
− カルカリアス号 −
[戦艦内には、義勇兵の老人たちの他、共和国軍の船員と戦闘機乗り、《シャドウ・パレス》からの空賊が入り交じっている。
空賊たちには勝手の違う艦だ。下りて休養しろ、負傷者に付きあってやれと諭したのだが、どうしてもついてゆくと言ってきかなかった連中だ。
義勇兵は、職種も経験もバラバラだったが、ダーフィトを臨時艦長として認め、その指示に従うと決めて結束していた。それはそれでありがたい。]
[排出水蒸気を浮力の助けとして、カルカリアス号は数年ぶりにその巨体を持ち上げる。
まずは左右に断崖の迫るファレーズ飛行場を慎重に抜けたところで歓声があがった。
「オレたちだってやればできる」ことの確認だろうが、こうした手応えは大切だ。
開けた空間に出るとカルカリアス号は高度を上げてゆく。
光線対策リフレクター塗装の船体は地上に落ちる影を打ち消した。]
さすが弩級戦艦、安定度が違う。
[ガレオン船では風の影響を受け過ぎる強風域を超え、雪嶺を下に見下ろす。
ダーフィトは艦橋に立ち、煤でレンズを焦がした双眼鏡を天頂に向けた。]
的が大きいのはいいんだけど、突入口はどこだろうな。
あまり期待するのも難だが、
あの船、「門は閉じてはおらぬ>>0:33」こともあり得るんじゃないかって気がしている。
[迎え入れられるべき人々を乗せた箱船は未だ地にと留め置かれたままだ。
光の船は、ゲートを開放している可能性はあるのではないかと考えた。
どのみち、下級天使が出てくる部分は何カ所かあるだろうと予測している。*]
− カルカリアス号 −
[下方に目を配っていた船員から、上空から見た首都の惨状の報告があがる。]
── …、
[《シャドウ・パレス》に隕石が降る直前に、南に落ちた光。>>4:175
その結果を知れば、やるせなさが再び過る。]
万全なんて無理だとわかっていても、悔しいな。
行ってやりたい、と思うけれど。
[義勇兵のひとりから「息子の同級生の従兄弟の息子が救援物資を集めてもってゆくと言っておったわい。それでよかろう」との言葉を投げられる。
むちゃくちゃな理論だが、慰められているのはわかった。]
そうだな、おれにできぬ分、その人に託すことにする。
[繋がっている、と感じよう。
そして自分は、ここに居ない者の分も想いを受け止めて、天使の襲来を阻止するのだ。*]
/*
ナネッテは不在ドンマイなのです
セルフ落ちは難しいところだけど、
マレンマが何か1発呪文投げてくるとかでもあれば艦ごと沈黙しとく手はある
よく生きてるな、おまえ。
[天使らの統括者に会って話をしたという報告に、絶句した。
護身オートマタを連れ歩いているわけでもない、魔法も使えないマチスが、どうやって大天使の前から戻ってこられたのかと。]
[一方で、六翼の天使、という説明は、別の感情をも呼び覚ます。
一瞬だけ垣間見た、あれは ── 亡き母の面影。 本当に?]
[マチスが作戦の話を続けているのに気づき、意識を向け直す。]
防備を固めてくるかな。
否、人間の抵抗を蟷螂の斧くらいにしか思っていない連中だ。
格別の策は講じないかもしれない。
逆に、動きがあれば、それは天の側も人間が何を為せるか、本能的に恐れて警戒してるってことだ。
どっちにしろ、悪い話じゃない。
ところで、我々は、もうそろそろあれのことを"天使"ではなく、
天魔とでも呼び直すべきじゃないか?
どう思う?
[特に返答を必要としていない軽さで投げておく。*]
− カルカリアス号 −
[地上への憂いをひとまず封印し、再び上空へ意識を戻す。
光溢れる天が、さらに眩さを増した気がした。]
お出ましだ。
主砲担当班、
“加速”と”分身”の魔法詠唱を準備せよ。
[主砲は天空母船の底部に向けて仰角を大きくした。]
天に唾する行為、って、こういう図なんだろうな。
[空での戦いに命を張ってきたから、上を取られる不利は重々、心得ている。
それでも、]
打ち上がれ、スターマイン! 撃て!
[命じる声に、悲壮さは欠片もない。**]
[マチスの口からクレメンスの名が出て、遺言を伝える。]
認めさせる、か。
天使たちを追い返すことができたならば、おまえが手にするのは、消極的な認可だ。
それ以上のものを認めさせるには、相手を倒すことなく、心を開かせることが必要だろう。
[難しいことを言う、と混乱したいろを滲ませた。*]
− カルカリアス号 −
[天から光の驟雨が降り注ぐ。
魔法の障壁を張り巡らし、鋼鉄に鎧われていてさえ、それは凄まじい衝撃をもたらした。
ダーフィトもまた、艦橋の手すりにしがみついてかろうじて転倒を免れる。
艦のそここから、呻きがあがっていた。
損害を告げてあがる声を一時退け、次の攻撃命令を発する。]
徹甲弾装填、 撃て!
[天空母船への長距離射撃だ。
実際に届くかどうかは関係ない。狙う意志を突きつける。*]
− カルカリアス号 −
これまでとは統制の度合いが違う。
大天使が出てきているのか。
[それすら確認できないほど天使らの数は多く、眩い。
反射素材が早々に灼ききれるのではないかと真剣に思う。
あと1撃、それで限度か。3度目は、ない。]
引きつけるまで待つなんて机上の空論だな。
子爵、 いいな。
[いつものように委任すると、オートマタを伴って、新兵器の元へ駆けつけた。]
[そこにあるのは高性能音響システムであった。
ある特定の音律が天使の行動に影響を与えるとの分析を得たマチスからのフィードバックで設置されたものだ。>>131
他の艦ではレコードされた周波数を使うことになるが、ここには音源のオートマタがいる。]
始めろ。
[機械の歌姫が音を紡ぎ、それが音響システムを通じて増幅され、自動で倍音を創成しはじめた。
共鳴洞に使われるのは、カルカリオス号そのものである。
戦艦が、天使を哀悼する歌を空に解き放つ。]
[それは、かろうじて神の鉄槌の発動に先んじた。
先んじてなお、間に合わなかった。
ドウ、と下った光の滝は、高高度を飛んでいた飛空戦艦を、その半分の高さにまで一気に叩き落とす。]
── …、
[一瞬の亡失の後、ダーフィトはワァズに抱きかかえられている自分に気づく。
ワァズの中で回る歯車の音。
他には何も聞こえない。
艦は沈黙していた。
残り火のようなスチームエンジンの動力で、ただ、漂っている。*]
[引き延ばされたような静寂の中、天から下りて来た光を見る。
大天使の象をしたもの。]
…母上
[以前にも、脳裏を満たした想いだった。
あの時は、アデルとの戦いで消耗していたから、幻覚だったのかもしれないと思うことにしたのだ。
けれど、再度、確認しても、母の面影を濃く見出せる。]
…そんな姿で、おれの前に立つな。
[六翼の天使は、背を逸らし腕を掲げる。
圧倒的なまでに、澄んだゆえに見えざる玻璃の刃のような。]
[震える左手に握った半壊のガンソードが、青く輝き大天使を指す。]
我が友に、
[銃声一愁。
オートマタの背が老婆のように曲がり、ダーフィトの上に覆い被さって包み込む。]
[直後。
閃光が至る場所。
そこには、青いオーラをまとう造りものの左手だけが、転がっていて、
次の瞬間、
── 大爆発した。***]
− 《シャドウ・パレス》/ 3年前 −
マチス、見ろ。
[マストの上にいる青緑の鳥を示す。]
あれはこの国では幸運の鳥と呼ばれていてな。
ただし、自分で見つけただけじゃダメで、
誰かに教えて見せてやると、両方に幸運が訪れるという。
なんでおまえかって?
いいじゃないか。
( おまえは、自分の知識を独り占めにしない。
おまえは惜しみなく与える者。
そんなおまえに会えて、嬉しいんだ。**)
/*
ナネッテがノーダメージだと、最終日組の難易度がががかと思いまして、土産置いてったん。
アリガトゴザイマス
情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 5日目 6日目 エピローグ 終了 / 最新