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リー...すまない。
[ 彼女が何者であろうと、男の中では何ひとつ変わりはしない。この世でたった一人の、大切な妹 ]
俺がお前を、護らなければいけなかったのに...
[ 悔いる声は、彼女の元には届かない** ]
/*
赤の双子関係は聞こえてない方がいいだろうなと思うので...ていうか、あれだな、自分が気にしてる部分だけ聞こえる的な御都合主義にしとこうね。
『悔いるのはまだ早いわ、ロー』
[ 再び沈みかける魂を引き上げるかのような艶やかな声が響く ]
母さん...?!
[ シャン、と答えるように、鈴の音が鳴った。ローグ随一の舞姫と謳われた母が、足に飾っていたアンクレットの鳴るその音は、男にとって子守唄のように懐かしい音だ ]
『忘れてはダメ。人は笑うために生きるの。あなたも、そう誓ったばかりでしょう?』
......ああ、判ってる、母さん。諦めたりしないよ。俺は、リーを取り戻す。
あの子の笑顔を、必ず。
『いい子ね、ローは、とても、いい子』
[ シャンシャンシャン、と、軽やかに鈴は鳴る。
楽しげに、誇らかに ]
― 思い出 ―
[ 母は、明るく強いひとだった。それは、死の、その瞬間まで変わることなく ]
『泣いてもいいけど、泣き続けてはダメよ...』
[ 子供達を庇って魔物に受けた傷は、治癒の術も及ばぬ程に深く、最早死が目前に迫ると判っていても、美しい微笑みを浮かべたままで ]
『可愛い私の息子...どうか...笑っていて......ずっと、見ているから......』
[ 美しく舞う母の姿が好きだった。その笑顔が好きだった......彼女が魔に命を奪われた時、男の中で、何かが変わったのは確かなことだ ]
母さん......母さんっ!
[ 母の遺した言葉通りに、少年だった男は泣いて、泣いて...そうして立ち上がった。
魔の闇に覆われようとする世界、その世界で笑って生きるためには、その闇に負けぬ強さを、と... ]
[ 魔とは、なんなのか...? ]
[ 取り残された青い闇の中、男は思う ]
[ あの魔将は、人のように笑うけれど、それはどこか、空虚な笑みだ。
そこに、本当の喜びは無く、人の感じるような幸福の暖かさは無い......男にはそう見えた ]
[ 人を下等なものと呼び、家畜や奴隷として扱いながら...彼等は、人を模したかの姿をして、人を真似るかのように笑い、楽しんでいるかに見える ]
[ けれど... ]
[ あの禍々しく美しい魔将は、人の心を欠片も理解はしていなかった...本当に、何ひとつ ]
[ 魔王は楽しい悪戯を思いついたかのように、男の身体を脇に置き「見せてやろう」と言葉にした。
魔によって閉ざされた闇の檻の一部が、更に強大な力を持つ魔王の言霊によって、意図することなく開かれて、男の魂は「視界」を得る ]
ヨセフ...皆......
[ 蹂躙される様を、と、魔王は言った。けれど]
信じている...から。
[ 押し寄せる魔の軍勢、その圧倒的な行軍の前に、儚くも揺れる篝火...手を伸ばそうとしても、声を届けようとしても、決して届かない。
その無力感に苛まれつつもなお
男の心は、絶望からは遠い** ]
[ 圧倒的かと思われた魔王軍は、しかし、幻影の城の罠に飲まれ、炎の柵に阻まれて、砦の壁にもとりつけぬうちに、停滞の憂き目を見ていた ]
は...はは...!
[ 男の顔に、この闇に沈んでから初めて、明るい笑みが浮かんだ ]
ディーク、お前の作戦だろう?やっぱり凄いよ、お前は。
[ コエが届かないのが、とてつもなく残念だった ]
[ しかし、苛立ちを露わにした魔王が「城」へと進軍を命ずる声が届く ]
...動くか!?
[ この城が前に出る時、恐らくそれが、恐るべき殲滅兵器の本領を発揮する時だろう、と、ヨセフに、その予測を語ったのも記憶に新しい。
冷たい予感に、男は仲間の居る砦を凝視した ]
ヨセフ...逃げて下さい...。
[ 祈りはやはり届かず、そして視線の先、砦の内で、魔将とアイリが、そのヨセフと対峙している事も、男は知らない ]
[ 力をもって蹂躙せんと、魔の城が揺れる。
魔導の共鳴を示す波動は、男の魂にまで届いて、びりびりと、痺れるような感覚を齎した ]
く...う...!
[ 死と破壊を望む、衝動の音叉...その波に半ば翻弄されながら、男は先の疑念を無意識に蘇らせる ]
[ 魔とは...... ]
[ 力のみを求め...弱きを蹂躙することを楽しむという、魔とは...... ]
[ 他を圧する力を持つ、魔王とは... ]
[ .........如何なる、存在なのか? ]
/*
時間結構無いよねー、がんばれ、魔将殿!がんばれヨセフ!
そして、俺も、この状況下で目覚めたらどうすりゃいいのか、いまいち不明だ。
[ 今、思いついてる事は、大概自殺行為臭い ]
物語の要請上ってことで、反則技使うしかないかもね。
[ 胸の小袋ごそごそ ]
[ 破られる罠...重なる死の気配 ]
[ 死を操る魔将の魔力に身を曝しているせいか、それらは常より身近に、男の内に届く ]
(帰らなければ...)
[ 死の影が全てを覆う前に...... ]
[ ふと、子供の頃のことを思い出した ]
[ まだ、アイリとも出会っていなかった、幼い頃 ]
[ 母に叱られたのだったか、単に道に迷ったのだったか ]
[ 1人で夜道を歩いていた ]
[ 星降るような夜 ]
[ 世界でたったひとりになってしまったような寂しさに ]
[ 泣きそうになって、空を見上げた ]
[ その、星の海に ]
[ 大きな輝く流星が長く尾を引いて ]
[ いくつも、いくつも、絶え間なく、空を一杯に埋め尽くして ]
[ その美しさに、ぽかんと口を開けたまま、眺めていた ]
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