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[飢えに耐える為に、人である為に、自ら血を流すことが習慣になり、その傷が身体から消えなくなった頃。彼は帰って来た。
あの時は随分と浮かれていた、打ち明けることよりも只純粋に彼の帰還が嬉しかったのだと思う。
だからこそ伝えてくれた母親の話もろくに聞かずに店を飛び出してしまった。教会にいる、それだけが耳に残り「神父様になったのよ」その言葉が聞こえていなくて。]
[息を切らせ辿り着いた教会の扉を開けた時、そこに佇んでいた人が振り返った。
神父服に身を包んだその男の人は精巧なステンドグラス越しに陽の光を浴びて、“お兄ちゃん”と同じ色の瞳をしてこちらを見る。
その姿がどうしようもなく遠い存在に見えた。清らかで、何処か儚い、…獣とは対極の。
何も言わずに逃げ出すことしか出来なかった、この人はもう“お兄ちゃん”などではないのだと、この身に何が起きたのか話すことなど出来ないのだと悟って。
それから僕は笑うことも泣くことも出来なくなったんだ*]
ハイアオ、ぼくは……
…ぼくは、どうすれば
[もう許されるまで同胞たる彼女へは語りかけないつもりだった
その決意を自ら破る程に心が揺らいでいる]
[応える囁きは返っては来ない]
ハイアオ、ねえ…お願いだ、返事をしてくれ。
やっぱり無理だよ、ぼくは独りじゃ駄目なんだ。お願いだ、また笑ってくれていいから…
[血の臭いは、そう遠くはない。まだ今日会っていない生きた人間は、二人。]
……っ
[その傍らの女性はよく知った昔馴染み
躊躇いが歩みを遅くさせる。何を今更、この手で三人も殺めた癖に。分かっていても、それでも……]
[全てが聞こえていたわけではない、只、瀕死のジェフロイが己の名前を口にしたのは耳に届いていて
ローレルがこちらに気付くまで扉を開けたまま、動けずにいた]
……ローレル
[ポケットの中、ナイフを握り締めた]
ローレル。
お前は妹を殺した男を信じるんだな?
[ローレルが呼び掛けに応えたのは、自分ではなくジェフロイ。問い掛けは形だけのもの、もう分かっている。
ナイフを取り出し、鞘を投げ捨て。屈んだ背中へ降り下ろそうと駆ける]
/*
戦場で剣の鞘を投げ捨てるのは死を覚悟しているという意味だそうです。
ここはローゼン邸で捨てたのは調理用ナイフの鞘なので何の格好もつきませんがな
/*
・ナイフをズボンのポケットから取り出して柄を捨てるまでの時間
・背を向けた彼女への呼び掛け
・駆けた、までしか書いておらずまだ降り下ろしていない
一応これで抵抗出来るようにしたつもりだったんだけど即死させようとしてるようにしか見えなかっただろうか
/*
というかローレルがオットーが狼っぽいでって聞いた後そっかー今日は寝るわが違和感あります
今日決着を付けるべきとの判断でした
そうだな、お前の言う通りだ…っ!
[避けられる、そう思ったがナイフを持つ手に確かな感触。ローレルはジェフロイに気を取られたようだ
彼女の胸を赤く染めたナイフを抜き取り、倒れる音を耳に彼を見れば]
…………そんなにこいつが大切だったのか?
[ジェフロイは、息絶えていた。
撃ったのは彼女の筈なのに、ナイフを譲り受けて、その最期に反応し人狼を討ち損ねるなんて。
二人の間に何があったのか、それは自分が知るべきことではない]
[この男が嫌いだった。
それは性格が合わないということよりもむしろ、ならず者と呼ぶべき生き様やよく漂わせていた酒の臭いに己を襲った狼を思い起こさせられるからで。
ジェフロイからすれば八つ当たりと言ってもいい理不尽なもの、いや…アルビンに対しての思いだって同じだろう。彼らは何も悪くはなかったのだ]
…恨んでいいよ。
[どちらにともなく呟く。
もう二人には何もする気はなかった。ローレルが掴んだままのナイフのことは、意識の外に]
[もし、これがコンスタンツェだったなら
自分はどうしただろう?もう信じられていないことを理解しても同じように出来ただろうか。
…きっと一度は説得を試みた。ローレルのことだって大切だった筈だが、それは情の差、かもしれない。]
[実際は致命傷にはなりえなく、大したものでも無かったのかもしれない。
しかしそのナイフは“銀で作られていた”、無知なオットーが知る由も無いがそれは人狼に対抗するにはとても効果的な。
狩人の武器だ]
[抑えられない悲鳴が響き焼けるような痛みが身体中を走る、まるであの時のようだ。]
ぃ ……た
…… けて
お に ……
[何とかそれを抜き取り投げ捨てる。
力無くうずくまり、荒く呼吸を繰り返した]
[組み敷かれた床の上、獣の牙が与える焼き付くような痛みと中ぼくは声にならない声で助けを求めた。両親でも、村の大人達でも、ましてや神様でもなく、アルビンに。
今は自分が獣となってしまった。冷静であったなら彼を呼ぼうとなんて決してしなかっただろう。それはとても恥知らずで厚かましいことだから。
それなのに、……「オト」懐かしい声が、聞こえた]
……ぁ
に ちゃ……
[違う、違う。手当てなんてしなくていいんだ。あなたの弟はもう死んで、今ここにいるのは化け物なんだ。
それなのに“やっと助けに来てくれた”そう思えば枯れた筈の涙が溢れ出していた。]
[ディルドレも共に現れただろうか、もし彼女やアルビンが何かを問い掛けてくるなら答えようとはする、落ち着くまで上手くは喋れないだろうが。
何も言葉を掛けられなくとも、譫言のように「違う」「僕は」そう幾度も繰り返す様子を見せる**]
[初めて人間に抵抗され、傷を受けた。
そのことへの恐怖と明らかに自分で傷を付けるのとは違う痛みで頭が一杯で。
ぼくは自分が彼女を探せる程に覚醒したなんて、気付けずにいた**]
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