情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 5日目 6日目 エピローグ 終了 / 最新
―談話室―
[神父とシスターが死んだらしい。
リゼットの瞳が僅かに揺れて、悼む様に顔を伏せる。
そのまま、ソファの上で膝を抱えたままで、大人たちが疑いあう様を聞いていた]
理由なんか、もう、必要ないじゃないですか。
どうせ、……みんな、自分以外が死ななきゃ安心できないくせに。
だって、パメラさんが言った通り、村に人狼がどれだけいるかなんて、
あいつら以外に分からない。
もし、人狼がいなくなったって……
誰にも確かめようなんて……ないのに。
[彼らが口実を探すのはきっと――人を殺す自分を正当化するためか、他の村人を殺しに加担させるため。
吐き棄てるように呟く少女は、村人の上に悪意の獣を見る]
[やがて、リゼットは立ち上がり談話室を後にする。
何処へ行くのかと問われれば
『明るいうちに部屋で仮眠を取る』と嘘の理由を告げて。
外套とマフラーを手に宿の外に出ると、村の外側へと繋がる細い山道に向けて歩き出した]
―村の外れ・外界へと続く道―
[村の境界を示す杭の前で足を止める。
切り立つ崖に沿って外へと連なる道は雪に覆われていた。
これではとても、村の外へ逃げるなど叶わない。
耳元を、絶えず谷底から吹き上がる風が吹き抜けていく]
――……。
[二年前、逃走したリゼットを追った人買いは、
この崖の道を踏み外して奈落へと落ちた。
否、捕まえようとする人買いに抵抗し、突き落としたのは少女の手だ。
絶望の表情を浮かべ、暗き谷底へと落ちていく人買い。
そのとき少女は、彼の双眸に映る自分自身の――悪意に染まった瞳を見たのだ]
[結局、どこにも逃げ場は無い。
このまま谷底へと身を投げてしまえば、楽になれるかもしれない。
少なくとも、殺されることに怯える恐怖からは解放される。
ごうごうと響く風鳴りは、死者の呻きのようにリゼットを招く。
その声に誘われるように奈落へと踏み出しかけた、
そのとき――
突如向きを変えた風に、小さな体は崖側へと吹き飛ばされた]
[倒れた少女のすぐ目の前を、雪の塊が暗い底へと落ちて行く。
ばらり崩れ散る雪塊から目が離せぬまま、リゼットの唇が震えた]
……う、……うっ。
[ぼろぼろと涙が零れ、喉元に嗚咽がこみ上げる。
声をあげて泣いてしまったら、もう、この場から動けなくなるから。
震える足を懸命に踏みしめて立ち上がり、ふらふらと歩き出した]
少女 リーザは、少年 ペーター を投票先に選びました。
……なんだろう。
[藁を除けてみると、埋まっていたのは透明な液体の入った小瓶だった。
蓋を開けて嗅いでみるが、匂いはない。
匂いがあったところでリゼットに瓶の中の液体の正体など分かるはずもなかった。
けれど、狩人小屋にある液体だ。狩りに使う為の何らかの薬である位はリゼットにも想像はつく]
――……。
[しばらくの間、掌の中の小瓶を思いつめたように見つめる。
――これは賭けだ。
非力な少女がまともな方法で人狼や殺しに来る大人と対峙できるわけがない。切り札が必要だった。
もし薬が致死性の毒薬ならば、こんな無造作に狩人小屋に置きざりにされているはずがない。
そう信じて、薬の効果を知るために震える指先を僅かに小瓶に沈め、ほんの一雫を舐め取った]
[薬は苦く、ぴり、と舌先が痺れた]
――……。
[数分が経った頃になると、口元にも痺れがうつり、唇の端から涎が落ちた。
小瓶の薬はどうやら麻痺毒のようだった。
だが、この後、毒がまわって死んでしまう可能性は否定できない。
寝藁に横たわり目を閉じる。
このまま眼が覚めなければ、その方が幸せかもしれないと思いながら、
抗えないほどに大きくなった眠気に身を委ねた]
[どれほどの時間、眠っていたのだろう。
顔を上げて口元を拭った。
外は暗かったが、まだ夜には至らない。
リゼットは立ち上がると、狩人小屋の壁に掛けられていた、
二振りの山刀のうち小振りのものを手に取り振ってみた。
子供が扱うには大きく重いが、扱えない程ではない。
それから鞘に納めた山刀を胸の前に掛けてから外套を着て、その場でくるり回り、軽く跳ねてみる。
山刀は外からは目立たず、動きの邪魔にもならないようだと
確認すると、小屋を後にして宿へと小走りに駆け出した。
そうして見つからないよう、宿の二階の自室に戻ると、ベッドに潜り込んだ]
―宿屋・二階自室―
[麻痺毒の存在は誰にも知られてはならない。
リゼットが少しでも脅威になると、人狼や大人たちに思われたら終わりだ。
無為で非力な小娘であることを利用しろ。
そうすれば奴らの目も欺けると、ヤコブとの一件が教えてくれた。
手にした切り札を使いこなせれば、生き残れるはず。
ポケットの中の小瓶を握る掌に汗が滲んだ**]
情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 5日目 6日目 エピローグ 終了 / 最新