情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 エピローグ 終了 / 最新
― 天上宮・楼閣 ―
……ん?
この木気……蒼龍殿、か?
[庭園の方から感じた木気は、自身にとっても馴染み深いもの。
討伐に向かったはずのそれが感じられる、という事は]
……向こうで、何かあったかな。
[小さく呟き、腰から提げた朱色の羽と銀の鈴で作られた護符に手を触れる。
朱色鮮やかなそれは、朱雀神自身の羽。
これを介する事で、距離を隔てても言葉を交わすのが叶うのだが]
……いや。
今は、止めておくか。
[羽に手を触れた瞬間に感じたのは、高まる火気。
それが伝えるのは、主の力と、それから意気の昂揚。
……に、しても。
待ってる方の身にも、なっていただければ、なぁ……。
[つい、そんな言葉が口を突く。
長き眠りより目覚めた朱雀神に対する眷属の想いは、強い。
長く不安定な状態にあった反動と言えばそうなのだが。
だがその反面、朱雀神が先陣を切り続ける理由もまた、わかっている。
己が目覚めと健在を、広く知らしめる事。
二度と墜ちぬと示す事。
そうする事で、眷属の抱く不安を拭おうとしているのだと。
わかっているからこそ、そして、そんな主に信を抱くからこそ。
託されたものに全力で臨むのが、自分の在り方と見なしていて。
だから、ぼやくような言葉は心の内にのみ落とす。*]
情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 エピローグ 終了 / 最新