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…俺が、本当の勇者・・・・・
フィーじゃなく、俺が…、
・・・
フィオンは、勇者で、俺は、いつだって、オマケ、で
敵…・・・・・
フィオンは…、
あのね、やっとわかったよ。俺が、お前より劣ってたわけが。
魔物なら、仕方ないよな。だって俺人間だもん。魔物ならさ、力が強くて当たり前だよな。
でもさ、勇者は、人間を守るためにいるんだよ?
魔物の勇者っておかしいだろ? もう茶番はおしまい。
お前を倒せば、俺が勇者になる、勇者は一人でいいんだ。俺が、お前を、
おれが、
・・・おまえがいると、おれはゆうしゃになれない。
はやく行かないと、エリーが死ぬんだ。
だから、だから、だから…
フィオン。
うん。なりたかったよ、ゆうしゃに。
ずっと、ずっとなりたかった。なんであいつなんだろうって、おもってた
フィーがいなければ、おれはゆうしゃになれる。
・・・だれにも、くらべられなくてすむんだ・・・
あ、あ、ああ、ど、どうして、フィー、、
フィー!!!!!
[ナイフから手を離し、添えられた手を握り締める。フィオンの体を抱きとめ]
お、おれが
俺が・・・・!?
あ、ああああ、あ
ち、がう、ちがう、俺は、こんなことしたかったんじゃ、… フィー…!!!
[ぶるぶると震えながら、フィオンの体を抱きしめた]
(子供のころ、自分が勇者であることが誇らしかった。聖痕は選ばれた人間の証、人々を救う存在なんだって教えられて…自分は特別なんだって思った。
同じ運命を持つ
…弟が出来たのも、そんな時だった。ある日、親父が連れてきた赤ん坊。エレオノーレ。母さんは妊娠していなかったから、どうしていきなり赤ちゃんが生まれたのか分からなかった。でも、新しく出来た弟は可愛くて、俺は、弟の為にももっと、勇者として頑張らなきゃって思ったんだ。
(…いつからだったろう。自分が年下のフィオンよりも劣っていると感じ始めたのは。
剣技も勉強も、年上な分覚えるのは自分のほうが早かったけど、それだけ。いつだってその先を行くのはあいつで。勇者としての才覚を現していくフィオンを、剣の師匠も、勉強の先生も手放しで褒めた。そう、俺なんかよりずっと…。)
(それでも、俺も勇者なんだから、選ばれた人間なんだから、頑張らなきゃ、て。頑張って認められたくて、一生懸命だった。)
(そんな中、俺は…弟が「腹違い」だということを知った。
親父が、不倫をして出来た子ども。
どこから、誰から聞いたのか分からない。けれど漠然とした噂は、俺の耳に毎日入ってきた。
あの時はその内容も意味も分からなかったけど…今なら分かる。
親父は、「勇者の父親」と言われることが嫌だったこと。
自分から勇者の子供なんて大層なモンが生まれて、いかにも立派な人物みたいに自分を扱われることが苦痛だったこと。
だから浮気して余所で子供作って、自分はそんな大仰な人間じゃないって証明しようとしたこと。)
(…なんて馬鹿なんだ。最低な男だ。勇者の片割れは、そんな最低な男の子供なんだ。)
(泣き虫で頼りないけど素直で優しい、誰からも愛されて当然のフィオン。そんなあいつと俺が、どうして同じ「勇者」だなんて言える?)
(…それ以来、自分を全部変えた。
武器も剣をやめてナイフにして、勉強だって適当にこなして。師匠にも先生にも怒られたし呆れられたけど、それでいいと思った。勇者にふさわしいのはフィオンで、俺じゃない。きっと村の人間皆そう思ってる。あいつが勇者で、俺はそのおまけ。最低な人間から生まれた、能無しの勇者。
エルだって、俺よりあいつが兄貴だったら良かったって思ってるに決まってる。
その証拠に、ほら。エルはいつもフィーといる時は楽しそうな顔をするだろう?)
(…だからせめて、フィーには。
年上風吹かせて、俺は仕方なくお前のお守りをしてやってるんだぞ、って。
そう振舞わないと、俺は、
自分が 惨めで
だけど)
ぎえええええええええエマあああああああああああああああああああああああ
なん それ
反則 こんなクズ野郎に。。。。。。フィー;;;;エマ;;;;;;;;
う、う
[ぶわっと涙が溢れる。
そうして、フィオンの手は床に落ちて]
――――っ…
[彼の命が零れ落ちていく。取り返しの付かない過ちに、声なき声を漏らした]
…・・・・
[そうして、抱きしめるフィオンの体から、熱が失われていくのを感じながら。
ぬくもりが消えきらぬうちにその体を離し、そっと横たえた。額に掛かる前髪を撫でようとして…自分の手が血に濡れていることに気付いて、ぎゅ、と掌を握り込んだ。
胸に付きたてられているナイフを、抜き取る。
傷口は聖痕があった場所。子供の頃、勇者の証だとお互い見せ合って、笑いあった。
その時と同じように、右掌を傷跡…聖痕に合わせる]
……。
[フィオンの血がついたナイフを納めると、頭上のねずみに話しかける。]
…エマ。ありがと。
大丈夫だから、お前は…、フィーについててあげて?
[賢いねずみは意図を汲み取ってくれ、とん、とん、と軽快に床に降り立つと、フィオンの傍らに立ち、此方を見上げてくる]
…ごめんな。
[血に濡れていない指先でそっと頭を撫でた]
[やがてゆっくりと立ち上がる。
その場に居た仲間たちに、掛ける言葉は持ち得なかった。言い訳も、申し開きも出来るわけがなかったから]
…・・・・・・
俺は、エルを助けに行く。
[ぽつりと呟き、歩き出した**]
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