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― ジェム御開帳 ―
あ、ありがと……
『めっちゃ淀みないなこの娘はん。』
(……ね。
普段からお父さんとかにやってるのかな……あ、一人暮らしなんだっけ?
あれ……?)
[>>185随分手馴れた様子でシャツを脱がせるローズマリー。
男の人の胸を直視できず、少し目線を逸らした。
思春期入りたてである。]
[その後はぷるぷる震える手で、ちらちらとジェムの位置を確認しつつ、青紫をこつんと当てた*]
ローズマリーさん……?
……どうしたの、どこか痛いの?
[>>186悲しげな表情で呟く彼女に、首を傾ぐ。]
…………背負う?
[彼女の言葉の意味が解らず、呟かれた言葉をそのまま問いにして返すだけ*]
[>>189提案にこくり頷いた。]
[相手が何かを打ち明けようか考えているとも知らず、案内されるまま、会澤の家へと。]
[元教え子への謝罪の言葉
逸らされる視線]
[これが魔女試練なのか]
[見知った顔と戦わなければならない時が、自分にも来るのだろうか]
[たとえば、会澤先生。
たとえば、白水さん。
たとえば、井家くん。
たとえば、…………]
[考えたくはなかった]
ローズマリーさんも?
……うん、わかった。
[自分が夢の中で泣いていた時、優しい指先が触れたような気がしていた。
あれが彼女のものとは、わからなかったけれど。]
[なぜか、拒む理由もないような気がして、彼女へ頷いた>>196]
[ちくり]
…………?
[歩く途中、一瞬だけ、身体へ痛みが走ったような気がしたが、それだけ。]
『来たか。』
(うん。でも……
感覚は……わかるんだけど。)
[>>136弾かれる感覚。斬られる感覚。
いずれもシェイの身に“降りてきた”が、言われていたような痛み>>23では、なかった。]
『あんさんの呪い……恩恵は、
苦痛の度合いは、あんさんの精神状態に大きく左右されるんや。
家出たばっかのあんさんなら、多分いつきはんが消えた瞬間泣き叫ぶくらい痛がったやろな。
今は随分安定しとるから、その程度の痛みで済んだんやな。
笑わしてくれはったあんちゃんに感謝やで?』
(……うん。)
『いつきはんのことは……まだ、“視え”んようやな。
呪いに慣れとらんせいやろから、じきに視えると思うで。』
[紅苑へ「わかった」と頷いた頃には、会澤の家は目の前だったろうか。]
― 会澤宅 ―
あれ?
苗字……
[>>43表札に気づけば一瞬首を傾ぐも、先生が答えてくれた>>210
特に強い違和感を覚えることもなく、なるほどと頷くのみ。
そもそも自分も本来の苗字は違う、何も驚くことはないじゃないかと『いやそれとこれはちょい違う気もするけどな?』]
あ、ありがとうございます。
[正座は苦手なので、足を崩して座布団の上へ。]
……大丈夫。
[すぅー、はぁー。
大きく深呼吸して、
少女は口を開いた。]
― そして少女は語る ―
……その日は嬉しいことがあったんです。
お父さんの仕事帰りを待ちながら、お母さんと一緒に、腕を振るって料理を作ってた。
私、この村に来る前は調理部に入ってて。
ほんとは、洋服作りとか編み物より、こっちの方が得意なんです。
将来は調理師の免許取りたいって思ってたくらいには。
……でも、全部台無しになっちゃった。
いきなり家の中に知らない男の人が入ってきて。
私の首に後ろから腕を回してきた。
お母さんが止めようとして弾かれて、お腹を打って気を失った。
その人は私にナイフを突きつけて、外の警察にお金と逃げ道を要求した。
その時に、銀行強盗未遂の犯人だってわかった。
お父さんも慌てて帰ってきて……でも、暫く外では何も進展しなくて、犯人もイライラしてたみたい。
「人質はまだ2人いるから、こいつは見せしめに殺っちまうか」
そう言って……私をナイフで刺そうとした。
めいっぱい抵抗した。
でも、やっぱり体格も力も全然違いすぎて。
犯人が私に被さってきて、ああもう駄目なんだな、って思った。
……私の右手の横、床に落ちてる包丁を見つけるまでは。
気がついたら、包丁が犯人のお腹に刺さってた。
血の赤い色も、感触も……今でも覚えてる。
それでも私を鬼のような顔で睨んでくるのが怖くてたまらなくて……
殺される、死にたくない
早く、動かなくなって
……って思って、必死で刺した。
何度も、何度も。
あれから今まで……包丁が持てなかった。
……その時の事が、ニュースになった。
こっちの方で流れたかは、わからないけど。
顔と名前は伏せてもらってた。
でも……近所の人が、ネットで両方公開して。
学校にも広まって。
仲の良かった友達や優しかった先生も、みんな私を無視するようになった。
人殺しとなんか話したくない、って。
それでも、お父さんだけは味方でいてくれたから、何とかやっていけてた。
……お父さんの勤めてた会社にも広まったみたいで。
お父さんの仕事がなくなった。多分、私のせいで。
同じくらいの時期に、お母さんが死んじゃって。
それ以来、お父さんは私を庇ってくれなくなった。
引越しが決まった直後、お父さんは私を別の人間にした。
糸瀬は、お母さんの旧姓で。
英美は、元の名前から響きだけ残して漢字を変えたもの。
一番ショックだったのは……
髪を切れ、って言われたことだったな。
「なんであんなことしたんだ」って責められた時よりも、ずっと苦しかった。
私、ほんとは志賀永未っていうんだよ。
永遠の永に、未来の未。
志賀永未のままで、
普通で平凡な女の子でいられれば、
それだけで幸せだったのに。
けど、それでも。
“糸瀬英美”としてでも、ここで静かに暮らせるなら、それでよかった。
でも……それも許してもらえなかった。
学校帰りに、脅されたんです。
私が人殺しだって皆にバラされたくなかったら、祭りの時間に公園に来いって。
……私の居場所を守るには、
みんなに、1年前に起きた事を忘れてもらうしかないって、思った。
それが、私の願い……だった、の。
[洗いざらい話した。
どんな反応が待っているのだろうか。]
[自分を恐れるだろうか、軽蔑するだろうか]
[それとも、他者を信じようとせず忘却を願ったことを責めるだろうか]
[覚悟は決めたけれど、やっぱり、怖くて
ぎゅっと手のひらを握りこんだ*]
……ううん。
今まで、誰にも話したことなかった……
話せなかったから。
私も、話したかったんだ、と思う。
こんな話、聞かせちゃってごめん。
……ありがとう、ローズマリー。
[>>238彼女が自分のために泣いてくれることが、申し訳なくも、嬉しかった。]
[目頭が熱くなる。]
…………っ……
[生きてて良かった――
耳にした瞬間、耐え切れずぼろぼろと涙が零れた。]
……せんせぇ……
あり、がと……
ありが、とう……
[誰も言ってくれなかった、
一番欲しかった、
言葉だった。]
うん、……うん。
やく、そくする。
誰も、ころしたり、しなせたりしない、よ。
[ひっくひっくと何度もしゃくり上げながら、>>242先生の言葉に頷いた。
経験談からくるものだとは、わからなかったけれど。]
『…………。』
[紅苑だけが、何かを察している様子だった。]
……あの、…………
[会澤先生もローズマリーも、やはりそれぞれの事情で試練を受けることにしたのだろうかと。
問おうとして、やめた。]
[別に、自分が話したからといって、二人が話す必要なんてどこにもない。
言いたくないならそれで構わない。
話してくれるというなら、全力で聞くつもりだけれど。]
……ほんとに、ありがとう。
[自分の話を聞いても、引いたり責めたりしなかった。
それどころか、かかるものは優しい言葉で。
少女にとっては、それだけで充分に救われたのだから。]
(あのさ。
……私、わからなくなったよ。
今までは、願いを叶えないと、私、もうここで生きていけないって思ってた。
でも……もしかしたら、忘れさせたりしなくても。
私は、ここにいられるんじゃないか、って。)
『うんうん。
そう思えるようになったのは大きな成長やな。
で、どないする。
あんさん、試練降りんのか?』
(それは……
そうしたい、とは思わないかな。
合格したら、願いを叶える力が手に入る、ってだけで。
強制的に叶う、わけじゃないなら。
何か、願いを別の事に使えないかな……って思ったりしてる。)
『……さよか。
あんさんの後悔のないように、な。』
[シェイの心変わりに、紅苑は安心したような、けれど複雑そうな表情を浮かべた。]
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